( ^ω^)ブーンがパリイを打つようです

  
26 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:38:01
  

第四話

ソーモン

七古参を待ちわびていた住民たちは、明らかに伝説とは異なる行いに絶望していた。
今や街はモンスターに溢れ、住民はクジンシーの困るスティールの餌食にされるのを待つばかりだった。



(´<_` )「これはひどい…」

街の北部にある大きな館。
門番も存在するそこが恐らく、クジンシーの館だろう。
彼らはモンスターを容赦なく切り捨て、館の中へと突入していく。

館の中も、当然といわんばかりにモンスターが溢れていた。
消耗しすぎないよう、敵との距離を測りつつ館を探る。

( ^ω^)「お?この暖炉入れそうだお」

暖炉を抜け、奥に二つの宝箱を発見する。
中身は大量の金貨と一つの指輪。

(´・ω・`)「折角だし、貰っておこうか」

しっかりと財宝は回収する。
結構せこい。



  
27 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:39:31
  

二階のモンスターを殲滅し、宝を回収した後3階への階段を上る。
外観からすると、ここが最上階であろう。
後方に扉が一つ、そして前方にもう一つの扉と骸骨の群れが見えた。

ξ゚听)ξ「どちらから行きましょう?」

(´<_` )「少々敵は厄介ですが、やはり前方から行くべきかと」

(´・ω・`)「…そうだな」

敵の正体は、獄門鳥。
タータラを上回る力をもって、獲物を切り裂く強力な怪物だ。
―しかし

( ^ω^)「パリイだお!」

( ´∀`)「喰らうモナ!」

ブーンがひきつける合間に、モナーが敵を両断する。
強撃…力任せの一撃だが、決まれば効果は高い。

残った怪物たちを、ジェラールやショボンが仕留めていく。



  
28 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:40:17
  

辺りに敵がいなくなったことを確かめ、扉を開く前に休息を取る。
ふとした疑問を、小声でジェラールがショボンに訊ねる。

(´<_` )「クジンシーは一撃必殺の技を持つと聞きます。…大丈夫なのですか?」

ショボンはただ頷き、こう返した。

(´・ω・`)「案ずるな、必ず倒す」

自信溢れる言葉に、ジェラールはそれ以上何も言えなかった。

扉を開き、実体を持たぬ亡霊たちの奇襲を退け、



――ついに元凶の姿を捉えた。



  
29 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:40:53
  

          ___
          /     ゙゙''ヽ _ __     
        /  -、,、   /´      ` ヽ 、
       /  /´  ~ヽ彡、  , -ー-、__、:i_ 、,-一`,     
      丿  /    /彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、     (⌒)
    ,r'⌒  /    ;.守y    , - '´-^、_,-`- 、  ヽ    ノ  Y`Y´`Yヽ
__ y--、 ../     { i } 、  i  ,ー----- 、 !  ノ (´ ̄    i__人_人_ノ
\,  ;-i_ト- ソ 、     ヾ、l `、   i´/ ̄ ̄~.か ,イr'"
  い '='ノ  ヽ、    lゞ、 !   !~-- 、__ !~r'
   /   / ̄ ̄´      l  '   \__`__ン 

/彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、「久々にわざわざ出向いてきたから困る。
                  頭を下げて、VIPを差し出せば、我が重臣に取り立ててやる
                  のが今の俺なんだよな」

(´・ω・`)「息子のカタキだ。覚悟しろ」

/彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、「そんな用事か、くだらなくて困る。
                  俺の力を見せてやったのに勝てる気でいるとは。
                  頭の悪い奴だから困る。VIPは実力で頂くことにしよう。
                  息子の所に送ってやる」

異形がゆっくりと剣を構え、宙に浮いていく。
パーティが武器を構えた瞬間、クジンシーの刃がショボンを襲う。

( ^ω^)「僕を無視するとはいい度胸だお!」

ブーンが飛び出し、一撃目、そして返す刃も弾いていく。



  
30 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:42:32
  

一同が最強の技を持って、クジンシーに襲い掛かる。
だが流石にヴィクトールを葬っただけあり、倒れる気配はまるで無い。

/彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、 「これだから人間は困る」
            ___
          /     ゙゙''ヽ _ __     
        /  -、,、   /´      ` ヽ 、
       /  /´  ~ヽ彡、  , -ー-、__、:i_ 、,-一`,     
      丿  /    /彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、 
    ,r'⌒  /    ;.守y    , - '´-^、_,-`- 、  ヽ 
__ y--、 ../     { i } 、  i  ,ー----- 、 !  ノ (´
\,  ;-i_ト- ソ 、     ヾ、l `、   i´/ ̄ ̄~.か ,イr'"
  い '='ノ  ヽ、    lゞ、 !   !~-- 、__ !~r' モァ〜ン
   /   / ̄ ̄´      l  '   \__`__ン 

クジンシーから奇妙な色の霧が放たれる。
効果を知らずとも、離れたくなるような感覚。

(´・ω・`)「これは冥術か!皆、広がれ!」

―イルストーム―
その瘴気を取り込んだものを、命を削る毒素で蝕む呪われし術。
反応が遅れたツンが、立つことすらおぼつかなくなって両手を床に付ける。



  
31 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:43:33
  

( ´∀`)「こんなこともあろうかとぉ!モナ」

すかさずモナーが傷薬を彼女に飲ませる。
人間も、ただ手をこまねいて見ているだけではないのだ。

一進一退の攻防。
とは言え人数で勝るショボンたちが、確実に押してきている。
実戦を積んだ経験も、それを後押ししている。

/彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、「むむっ、これは困る」

空間が歪む。得体の知れない恐怖に、動くことが出来なくなる。
…一人を除いて。

(´・ω・`)「さあ、来るがいい。」

/彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、「言われなくとも、本気を出さねば困る」


             困 る ス テ ィ ー ル


期待と不安、4人はそれぞれの思いを込めた視線をショボンに送る。
だが、ショボンは微動だにしない。
自ら死地に赴くかのように、その邪悪なる技に身を曝け出す。



  
32 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:44:37
  

(;´>ω<`)「ぐおおおっ…!!」

4人が、何が起こったのか把握するのにどれ位時間がかかっただろうか。
たどり着いた結論は、全く同じものだったが。
そう、逃れられぬ死。

/彡ソ   '⌒`ゞ  ヾ⌒'  !、「口ほどにも無い。…俺の技を受けて生きていられるものなどいたら困る」

(;´・ω・`)「ジェラール…!撤退だ、…今すぐだ…!」

ジェラールは漸く我に返る。

(´<_`;)「ブーン、モナー、ツン!……逃げるぞ!」

あの時のように泣いている暇は無い。
自らに出来ることを、今は果たすのみ。

クジンシーに追う気がなかったのか、思いの外撤退はスムーズに済んだ。
…失ったものはあまりにも大きかったが。



  
33 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:45:33
  

ベッドに横たわるショボン。それを見つめるジェラール。
兄の姿と変わらぬ、命が消え行く蒼白。

(´・ω・`)「…ジェラール…」

(´<_` )「はい、ここにおります」

(´・ω・`)「お前が次の皇帝だ。お前はクジンシーと戦わねばならぬ」

(´<_` )「…はい」

(´・ω・`)「だが、今のお前の力では勝てん。私の力を受け継いで戦うのだ。よいな?」

(´<_` )「はい、はい」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ。冗談はともかく。
      あの女魔道士は、伝承法と言うものを教えてくれた。
      伝えるものと受け継ぐ者に強い意志があれば、
      志と能力を受け継ぐことが出来るのだ」

ショボンは一旦瞳を閉じ、深呼吸をしてから言葉を続けた。

(´・ω・`)「あの女が何者かわからんし、ただのでまかせかもしれん
      しかし、お前とこの国が生き延びていくには、この方法に頼るしかないのだ
      奴の必殺技、困るスティールは見切った。この見切り、お前に伝えよう」



  
34 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:46:12
  

先程冗談を言ったとは思えないほど、ジェラールの表情が歪む。

(゚<_゚ )「父上、まさかそのためにクジンシーと戦ったのですか!
     あの女狐が、父上をそそのかして…」

掠れた声で、ショボンがジェラールを制す。

(´・ω・`)「ジェラール!私のことなど取るに足らん。
      伝説では七古参が世界を救ってくれるというが、実際はどうだ!
      あのクジンシーには、世界を救う気などないようだ。

      奴が偽者なのか、伝説が伝説に過ぎぬのか、
      どちらにしろ、お前は強力な七古参に立ち向かわねばならんのだ。

      奴らがクジンシーのように残忍な奴らばかりだとすれば、
      七古参を倒さねば世界の統一も、人々の平穏な暮らしも無い。


      お前は、自らの人生を捨てて戦う覚悟はあるか?」

ジェラールは息を呑む。
しかし、答えは決まっていた。


(´<_` )「はい」



  
35 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:47:02
  

(´・ω・`)「よし。長く苦しい戦いになるだろう。だが、その決意があるものに、力を受け継いでいくのだ
      ジェラール、私の魂は常にお前と共にあるぞ」


                   さらばだ…


(゚<_゚ )「父上ええええええええええええええええっ!」

また、失ってしまった。
兄だけではなく、父すらも奪われた。

(;<_; )「ちち…うえ…」

重く圧し掛かる無力感のなか、淡い光が身を包む。

(´<_` )「…この力は…」

絶望すらも押しのける、魂を受け継ぐ希望。
…これが、伝承法の力。
涙は、完全に止まっていた。


部屋を出たジェラールに、兵たちが一斉に視線を向ける。



  
36 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:47:53
  

(;´-`)「ヴィクトール様に続いて陛下までも…。
     ああ、帝国はVIPはどうなるのだ!」

悪いことは立て続けにくるものである。
衛兵が血相を変えてこちらへ向ってくる。

彡 ゚ー゚)「ゴブリンが攻めてきました!」

(;´-`)「不幸につけこんできおったか。もはやここまでか!」

ジェラールは部屋へと視線をやり、祈るように目を瞑った。

(´<_` )「…父上、お守りください…」

目を見開き、僅かの動揺も窺わせぬ表情を兵たちに晒す。

(´<_` )「落ち着け! モンスターの数は? 城壁が破られるほどか?」

彡 ´ー`)「いいえ、街を略奪しているだけです」


(´<_` )「よし、打って出るぞ」



  
37 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:48:37
  

その言葉を聞いた瞬間、大臣の顔が青ざめる。

(;´-`)「ジェラール様!ムチャをなさらないでください
     …せめて選りすぐりの者をお選びになって。
     ジョルジュ!ジェラール様とご一緒しろ!」

ジョルジュと呼ばれた男は、大臣の命令を鼻で笑い飛ばした

( ゚∀゚)「オレ達がやとわれていたのはショボン様がいたからさ。
     ジェラール様なんかについていく理由はないね。
     ジェラール様が皇帝じゃあ、この国もどうなることやら…」

(#´-`)「きさま、なんという…」

ジェラールが大臣の言葉を遮る。

(´<_` )「わかった。ジョルジュの言うことも尤もだ。…4人で行こう」

彡 ´ー`)「ジェラール様の…
      皇帝陛下のご出陣!ご出陣!」

戦いはまだ、始まったばかりである。

第四話 終





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