( ^ω^)ブーンが幸せの意味を知るようです
- 379: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 00:39:24.36 ID:zxMiZMeP0
- --第7話--
それから、数週間は経ったろうか。
ツンは祈りに忙しいく、あまり練習を見に来る事は無いが、アドバイスや練習内容を的確に教えてくれた。
ブーンは、水道が引かれていて動いていないシャワーから水を出したり、洗面器からシャボン玉を作ってみたり。
ドクオは、自ら風を起こしての飛行や、短剣を突風に乗せての目標物への攻撃などの特訓をしていた。
ここ数日で、ブーンとドクオの能力には開きが出来ていた。
ブーンは、自ら水を発生させる事が出来ないのだ。
確かにドクオの操る風は、人間が動くだけでも発生し、常に世界中に"存在"する。
しかし、水はある場所にしか存在しない。
そういった違いはあるものの、この能力の開きは、2人の性格や考え方による魔法の使い方の相違によるものだ、とツンは思っていた。
ドクオは、あまりにもクサいが愛故に魔法を使う。それの最大の糧、ショボンもいる。
だからこれほど短期間に誰もが驚くほど成長した。
- 380: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 00:39:48.80 ID:zxMiZMeP0
- しかし・・・ブーンは・・・
想像力がなさすぎるのだ。
水の元となるものは、いつだって身近に存在している。我々人間も、体に水を抱いている。
そこに、ブーンは気付いていないのだ。
ξ゚听)ξ「まったく・・・」
ツンは、ため息を吐く。
目の前で特訓しているブーンを見ながら。
('A`)「あーははー。おもしれーw」
窓の外には風に乗って空を泳ぐドクオがいる。無視。
(;^ω^)「う・・・うーんだお・・・」
ブーンは何も無い部屋で水を発生させようと必死になっている。
しかし、その努力は報われていない。
(;^ω^)「もう、何もない所から水を出す練習を始めて5日だお・・・」
ブーンは、焦っていた。
自分のスランプ、ドクオの成長。
いやでもイライラは募る。
- 381: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 00:40:10.16 ID:zxMiZMeP0
- そして、そのイライラの捌け口は、こんな特訓をさせるツンに向かう。
(;^ω^)「もう嫌だお!!こんな特訓ばっかり!もうやめるお!!」
ξ゚听)ξ「あら、根性無しね。なら、やめればいいわ。あんたが魔法使おうなんて、無理な事だったんだわ」
(#^ω^)「そんな言い方酷いお!そりゃあ、ツンは巫女になれるほどの才能があるんだお。
魔法もバリバリ使えて、苦労したことなんてないんだお?」
ξ゚听)ξ「・・・」
ツンは、一瞬悲しそうな顔をした。
ξ゚听)ξ「そうね、あたしはあんたみたいな苦労してないわ。」
その一言だけをブーンのいる部屋に残して、祈りの部屋へと行ってしまった。
(#^ω^)「なんなんだお・・・」
・・・どうしてこんな3流漫画の様な喧嘩をしているのだろう・・・
とりあえず、どうしようもないのでドクオを引っ張ってジョルジュの家に帰って行った。
- 385: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:19:21.95 ID:zxMiZMeP0
- ξ゚听)ξ「そうね・・・魔法を使うために、そんな苦労は、して、ないわ・・・」
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_
( ゚∀゚)「おーす、おかえり!今日は早かったな!」
(´・ω・`)「お昼ごはん作るから、待っててね」
('A`*) 「ショボンさんのランチ・・・」
( ^ω^)「・・・」
(´・ω・`)「どうしたんだい?ブーン君。」
( ^ω^)「ツンと喧嘩してしまったんだお。」
- 386: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:20:24.76 ID:zxMiZMeP0
- _
( ゚∀゚)「お前、ツンになんて言ったんだ?」
( ´ω`)「ツンに、根性なしって言われて、ツンは才能があるから、苦労してなくていいなって、皮肉を言ってしまったんだお」
_
( ゚∀゚)「ブーン・・・お前、自分が悪いって事、ちゃんと分かってるのか?」
( ´ω`)「皮肉なんて、言うべきじゃないお・・・」
(´・ω・`)「ツンにごめんなさいしないといけないよね」
( ´ω`)「そうだお、でもツンもきっと怒ってるお。日を改めて謝りに行くお・・・」
そういって、ブーンは寝室に向かっていった。
- 387: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:20:46.96 ID:zxMiZMeP0
- ('A`*) 「ショボンさんのランチ独り占め・・・じゃなくて、ブーン、大丈夫かな・・・
あいつ、本気で落ち込んだ時は寝てリフレッシュさせるんです」
(´・ω・`)「ちゃんと素直に反省したブーン君は偉いけど、ツンは・・・
ブーン君の想像以上に悲しんでるかもね・・・」
_
( ゚∀゚)「そうだな・・・あいつ悩み出したら止まらないからな」
('A`)「どういう事・・・ですか。ブーンが言った事・・・何かマズかったんですか?」
_
( ゚∀゚)「あぁ、ツンにも苦労ぐらいあるさ」
(´・ω・`)「君もツンと関わっている以上、ツンの事知ってもいいんじゃないかな。
ツンは・・・というか巫女はね、魔法は使えないんだ。てゆーか、人間じゃない」
(゜A゜)「・・・(サラっとカミングアウト!?)」
- 388: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:22:49.61 ID:zxMiZMeP0
- (´・ω・`)「とりあえず、知っているとは思うけど、
この世界にどうして魔法が存在しているか、というところから説明しようか。長い話になる、テキーラはサービスだよ」
そうして、ショボンが語り出したのは、誰もが子どもの時に聞いたであろう、巫女の伝説についてだった。
遠い昔、今より文明が発達していなかった頃。
突然変異によって生まれた人間。亜人と言うべきかも知れない。
水を自在に操るウンディーネ。
火を自在に躍らせるサラマンダー。
風を自在に遊ばせるシルフ。
地を自在に動かせるノーム。
彼らは、不老不死の存在であった。
両親は人間であり、彼らは4つ子としてこの世に生まれ落ちた。
- 389: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:23:18.21 ID:zxMiZMeP0
- 彼らは、その常人にはない能力から、人に恐れられ、疎外された。
そんな彼らの悲しみは、いつかは憎しみへと変わった。
自分たちを疎んだ人間達に復讐しようとしていた。
そんな彼らの前に、突如現れたのが、初代巫女である。
彼女は、4つ子を前に臆す事無く、ただ一言、
「私と友達にならない?」
と。
しかし、4つ子はそんな言葉を信じるはずも無く。
それぞれの力で巫女を攻撃する4つ子。
巫女は、反撃もせず、その力の前に倒れた。
- 390: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:23:42.42 ID:zxMiZMeP0
- 「貴方達が攻撃してきたのも我々のような、力の無い人間のせい・・・だから、恨まないわ。こちらの方こそ、ごめんなさい。
それよりも・・・・貴方達と友達になりたい、と、言っ、た返、事き・・・いてな・・・わ」
それが、巫女が倒れる前に呟いた最後の言葉だった。
(´・ω・`)「4つ子はこの事を悲しんだ。なんて愚かな事をしたのだと。4つ子は元々いい子だったんだね。
そして長子のウンディーネを筆頭に、巫女の体を元通りにしたんだ。」
('A`)「でも、巫女の体は、ほとんどボロボロで・・・彼らが元の形に似せて創造したんですよね?」
(´・ω・`)「うん。彼らは全力で体を直した。巫女の精神が死んでしまう前に」
_
( ゚∀゚)「そして、体は治ったが・・・欠陥があったんだ。巫女も、不老不死になった」
(´・ω・`)「・・・体だけね。」
- 391: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:24:03.96 ID:zxMiZMeP0
- (´・ω・`)「もちろん、心臓とか急所を刺されたら死ぬよ?老いて死なないように体を維持できるだけ。
あと、それと、巫女の体に、精神が入ってないと死んでしまうんだ。」
('A`)「精神が・・・死ぬんですか?体が生きていても」
_
( ゚∀゚)「その頃の文明の話で、今はどうだか知らないが・・・人間として生きている限りは寿命があるんだ。
心臓でも、脳でもない。目に見えるもんじゃなくて、"心"ってモンの寿命がさ」
そして、ショボンの話は続く。
4つ子は、初代巫女の精神の死後、体を残そうとした。自分の過ちを償うため、忘れないため。
愚かな事だと分かっていても。
それで、次代の巫女の精神を、代わる代わる入れていったのだ。
そして4つ子は巫女の体を守り続けた。
巫女になるための条件は二つ、4つ子に気に入られる事、自分の今の体を捨てる覚悟がある事。
- 392: 1 ◆et0cofkO4A :2006/07/22(土) 01:24:44.65 ID:zxMiZMeP0
- (´・ω・`)「だから、ツンは一度、死んでる、という事だよ」
ショボンが苦々しく笑う。
(´・ω・`)「巫女になって手に入れるものは、洗礼を与える力と、4つ子を使役する力だよ」
('A`)「どうして、ツンは・・・そんな事をしたんですか?」
_
( ゚∀゚)「・・・もう、大事なものを奪われたくなかったからさ」
(´・ω・`)「まぁ、それは別の話、また今度ね。話しすぎちゃったね、もう日が暮れる。晩ご飯作るよ」
('A`)「・・・」
これは、ただごとじゃない。何かがあるんだと、ドクオは思った。
でも、聞かないほうがよさそうだ。
[壁]ω^)「・・・」
--第7話 終--
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