( ^ω^)ブーンが幸せの意味を知るようです

  
1: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:42:24.18 ID:UKBthTxk0
  
--第8話--

暗い、暗い部屋で2人の男女の独白が始まる。

(  )「私たち、狂っているのかも知れないわね」

(  )「どうしたんだ?いきなり」

(  )「だって、こんな事、自然の摂理に反している。許されることじゃないわ、きっと」

(  )「そんなの、分かっていて始めたことじゃないか。僕たちは、許されないよ。でも・・・」

(  )「そうね。もう、守りたいものを守れないのは嫌よ。その為なら、喜んで間違いを犯すわ」


此の狂信者達は、救済者となる天使か。それとも、暴帝たる悪魔か。



  
4: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:44:27.05 ID:UKBthTxk0
  
---------------

あたしは、また・・・あの夢を見る。
妹が、あたしの妹が・・・命の火が・・・消えて、消えて・・・

ン・・・ツン・・・


誰?あたしの名前を呼ぶのは、誰なの?


川 ゚ -゚)「ツン、起きるんだ」

ξ゚听)ξ「・・・!」

川 ゚ -゚)「やっと目覚めたようだな。随分うなされていたようだが・・・」

彼女は心配そうにあたしの顔を覗いてくる。あたしの大事な友達。

ξ゚听)ξ「えぇ、大丈夫よ。ありがとう、ウンディーネ。」

川 ゚ -゚)「そうか、なら良かった。」

( ^ω^)「ツン、大丈夫かお?汗すごいお」

ξ゚听)ξ「キャァアァアアアア!!」

!?!?!?
どうして、ここにコイツがいるの?



  
5: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:44:44.05 ID:UKBthTxk0
  
(;^ω^)「悲鳴あげられたお・・・そんな嫌われてたのかお」

僕は、ショボン達の話を盗み聞きしてしまった。
ただ、喉が渇いたから飲み物を貰おうとして、居間に行っただけだったのだけど。
聞いてしまったんだ。だから、ツンに謝らなきゃと思って、ここまで来た。
・・・僕は、なんて事を言ってしまったんだ。ごめんじゃ済まされない。
無我夢中で、走った。

神殿の入り口には凄い結界があって。
必死だったから殆ど記憶がないけど、ここを開けてくれ、ツンに会わせてくれと必死に叫んでいた気がする。

そしたら、この女の人、ツンにウンディーネと呼ばれた人が出てきて・・・・ウンディーネ?
この女性が、ウンディーネ?


そこで、ブーンの思考は一旦停止する。

( ´_ゝ`)「どうしたツン!!悲鳴が聞こえたぞ!!」

ドアを勢いよく蹴破る音がした。そして、人が入ってくる。

(´<_` )「む、見ない顔がいるぞ!!変質者か!!」

从*゚∀゚从「どうやってあの結界を・・・まぁいい、逮捕じゃ!逮捕じゃ!!」

( ^ω^)「ちょwやめるお、変質者じゃないおー!」

ブーンは3人にあっという間に取り囲まれてしまった。



  
7: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:45:06.02 ID:UKBthTxk0
  
( ´_ゝ`)「問答無用!」

そう言った男性から、強い風が巻き起こる。それは刃となり、ブーンに向かってくる。
ブーンは、間一髪の所で避けた。

(´<_` )「中々やるようだな。しかし、大人しくしてもらおうか」

さっきの風使いによく似ている男性が、両手を前に掲げる。床から木の枝が生えてくる。
ブーンは、その枝に絡められ、捕まった。

从*゚∀゚从「さぁ、神殿に入り込んだ無礼者よ!どうしてこのような狼藉を働いたのか教えてもらおうぞ!」

( ^ω^)「僕は、ツンに謝りに来ただけだお。ちゃんと許可貰ったおー」

( ´_ゝ`)「許可・・・とな?」

(´<_` )「確かに、あの結界は何者にも越えられぬはずだし・・・」

考え込む3人。やっと静かになった。



  
8: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:46:07.92 ID:UKBthTxk0
  
川 ゚ -゚)「さて・・・シルフ・ノーム・サラマンダーよ、少しは落ち着いたか?私は何度も制止の言葉をかけたが・・・
     聞く耳が無かったようだな。そこな少年、ブーンは、私がここに入れたんだ」

( ´_ゝ`)「ふむ・・・では、さっきの悲鳴は?」

放心していたツンが口を開く。
ξ゚听)ξ「あ・・・ごめんなさい、人がいたもんだからびっくりして・・・」

(´<_` )「そうだったのか、まぁ、無事で何よりだ」

从*゚∀゚从「済まなかったのう、ブーンよ。ノーム、解放してやれ」

ブーンは枝のしがらみから解放された。しかし、ブーンも放心したままである。

川 ゚ -゚)「先程、この少年が門の前で『ツンに謝らせてくれ』と言ってきたのでな、ここを通した。
     私の加護を受けた者だ、心配はいらん。・・・と、少年よ、大丈夫か?」



  
10: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:46:35.42 ID:UKBthTxk0
  
ブーンの頭の中はこんがらがっていた。
( ^ω^)「ウンディーネ?シルフ?ノーム?サラマンダー?・・・4精霊・・・かお?」

( ´_ゝ`)「まぁ、4精霊と呼ばれている者だ。一応は人間のはずだが・・・な。」

川 ゚ -゚)「まぁ、驚いても仕方ないな。私たち4人に会うことの出来る人間なんて、中々いない。
     しかし、私のことを覚えていないか?お前が洗礼を受けているときに一度会ったのだが。」

( ^ω^)「あの時・・・水の中にいた女性・・・そういえば、そっくりだお」

川 ゚ ー゚)「思い出したようだな。改めて紹介しよう。私は、ウンディーネだ。」
銀色の髪に、澄んだ海のような瞳の女性がそう言って微笑む。

( ´_ゝ`)「俺はシルフだ。さっきは済まなかったな。」
同じく銀の髪、そして黄金の色を宿した目の男性が少し困った顔をしている。

(´<_` )「俺はノーム。ウンディーネの姉者が通した人間なら信用してもいいだろう、よろしくな、ブーン」
やはり、透けるような銀の髪、新緑の様な瞳を持つ男性が人懐っこく笑う。

从*゚∀゚从「わらわはサラマンダーじゃ、未熟者だが頑張っておるぞ。ブーンよ、また遊び相手にでもなってくれ」
彼女だけ、くすんだ金髪、燃えるような瞳を輝かせて無邪気に笑う。

まさか、伝説に生きる4人をこの眼で見るとは思わなかった。



  
13: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:47:35.77 ID:UKBthTxk0
  
( ^ω^)「ツン・・・大丈夫かお?」

ξ゚听)ξ「えぇ・・・なんとかね。毎日のように悪夢しか見たこと無いから。」
ツンは、悲しく笑う。

ξ゚听)ξ「あたしね、妹いたんだけど・・・死んじゃって、もういないの。
     それがすごく悲しくて、何も出来なかった自分を恨んじゃって・・・
     それで巫女になったの。兄さんは同じ理由で"討伐士"になったわ」

また、その笑顔。こんな時まで笑わなくたって。
悲しい、笑顔だった。
こちらまで、悲しくなるような。
嫌だ、ツンにそんな顔して欲しくはない。そのつもりで、謝りに来たのだ。

( ^ω^)「ツンは、よく、悲しそうな顔で笑うおね」

ξ゚听)ξ「・・・そう?この、巫女様の顔のせいじゃないかしら・・・」

ツンは少し、困った顔になる。



  
14: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:47:54.93 ID:UKBthTxk0
  
( ^ω^)「顔や体は確かに初代の巫女様のものだお。だけど、その表情や気持ちは、ツンのものだお」

ξ゚听)ξ「・・・!」

( ^ω^)「巫女様がどんな人だったかなんて知らないお。きっと、時が流れすぎて、4精霊ぐらいしか覚えてないと思うお。
       だから、ツンはツンらしく生きればいいと思うお。4精霊も、どんなツンでもきっと友達だお」

( ^ω^)「僕は、ツンが笑った顔が好きだお。怒ったり、泣いたりしたってきっと好きだお。
       でも、無理やり感情を押し殺してるのを見るのは辛いお。

       泣いたっていいお、僕に向かって怒ってもいいお、だから・・・」

ξ*゚ー゚)ξ「あんたって・・・本当に馬鹿ね」


( ^ω^)「それはひど・・・ !

ツンは、笑っていた。涙を流しながら。それでもなお、可憐に。
ツンは、ツンだからこそ、やはり綺麗なんだ。そういうと、ツンは僕を蹴った。



  
17: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:48:42.65 ID:UKBthTxk0
  
ツンには僕の知らない悲しみがあって、簡単に癒える事はないんだろうけど。
それでも、少しでも、ひと時でも。軽くなるなら。軽くすることが出来るなら。

( ^ω^)「ツン、聞いてくれお。僕は、ツンの過去、巫女の話、精霊・・・4つ子の話を聞いてしまったんだお」

ξ゚听)ξ「・・・いいわ。あんたになら。いつか、あたしから話そうと思ってたから。」

( ^ω^)「・・・そうかお」

ξ゚听)ξ「どうして、そんな困った顔をするの?」

( ^ω^)「やっぱり、ツンの口から聞きたかったお・・・」

ξ゚ー゚)ξ「・・・馬鹿」


そういって、ツンはブーンにもたれ掛ってくる。

( ^ω^)「くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」」



  
18: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:48:59.16 ID:UKBthTxk0
  
ブーンは天パった。

ξ゚听)ξ「これだから年下の男は・・・」

なんて事を言いながらツンは小さくあくびをする。眠いようだ。
僕に何かしてあげられるだろう。
僕の魔法で、ツンの心まで癒せたら。

そう思った時、部屋に、雪が舞った。
窓は開いていないというのに。

ひらひらと、儚く踊る雪は、ツンの手のひらに落ちた。

ξ゚听)ξ「この雪、冷たくないわ。水にもならず消えるし・・・」

雪は、粉雪となり部屋に注がれる。
何故だろう、この雪に触れるとなんだか心地よい。

ξ゚听)ξ「ブーン、あんた・・・ちゃんと魔法使えるようになったのね・・・」

そういうと、ツンは眠ってしまった。



  
20: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:49:55.08 ID:UKBthTxk0
  
この雪は、ブーンが起こしたものだった。
初めての魔法らしい魔法。
鎮静効果のある"雪"を起こすことだった。
喜ばしい事なのだろうが、ブーンはまだ焦っていた。

(;^ω^)「これ、朝までこのままなのかお・・・」

やはり奥手、といか恋愛経験の無いブーン、手など出せようもない。
ツンの寝顔を覗くので精一杯だった。


( ^ω^)「ツンは今・・・幸せかお?」

( ^ω^)「いつか、僕が立派になってツンを幸せにするお」

そんなブーンの小さな呟きであり、大きな決意は、誰にも聞かれることは無かった。



  
23: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/08(火) 23:51:25.80 ID:UKBthTxk0
  
その日、ツンは小さな妹と遊ぶ幸せな夢を見たらしい。
--第8話-- 終

--第8話-- 番外

川 ゚ -゚)「ブーンめ、手を出したりも何もしないのか・・・」

( ´_ゝ`)「今時プラトニックなやつだな。まぁ、手を出したらこっちも黙っちゃいないが」

(´<_` )「しかし覗きとは流石だな俺ら」


从*゚∀゚从「はよブチュっとやってしまえブチュっと!!」

川 ゚ -゚)( ´_ゝ`)(´<_` )「コラ!」

--終--



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