( ^ω^)ブーンが幸せの意味を知るようです
- 1: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:18:57.83 ID:PxWXWKg00
- --第10話--
夜の帳の降りきった町をジョルジュは歩く。
町は夜でも騒がしい。眠らない街というのはこういう事だろうか、と考えながら。
しかし、酔って火照った体を冷やすには丁度いい。
まだ春までは少しだけ遠く、冷たい風が吹く。
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( ゚∀゚)「・・・」
ジョルジュは静かに歩く。
足音も腰に下げた剣が揺れる音も、喧騒に掻き消されて何も聞こえはしない。
- 2: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:20:52.92 ID:PxWXWKg00
- ドンッ
背後に衝撃を感じ、ジョルジュはそちらに目をやる。
そこには息を切らした少年がへたりこんでいた。
この少年がぶつかり、少年のほうが転んだのだろう。
この筋肉は武器になるな、なんてことを考えていた。
ミ,,゚Д゚彡「・・・」
少年はこちらを睨み付けている。
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( ゚∀゚)「すまねえな、ぼうず。大丈夫か?」
年のころはブーン達とそう変わらないだろう。
獅子のたてがみの様なボサボサの黒髪、地獄まで焼き尽くしそうな紅い瞳。
- 3: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:22:18.67 ID:PxWXWKg00
- その少年にジョルジュは手を差し伸べる。
その差し伸べられた手に少年の手を重ねようとした瞬間、少年は何かに気づき
電撃が走ったかのように速く逃げて行った。
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( ゚∀゚)「なんだったんだ・・・」
呆気にとられたジョルジュは仕方なくまた歩き出す。
すると、さっき少年がぶつかってきた方向から、灰色の服を着た男二人がやってきた。
二人の頬には黒い蝶の刺青。確かこいつらはあの組織の。
そういえばさっきの少年の手にも、左の片翼だけの蝶の刺青があったような。
- 4: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:23:39.60 ID:PxWXWKg00
- 右の羽がある部分には確か数字の、021・・・
「コード021は何処に行った!」
灰色の服の男がそう言った。
まさか・・・いやしかし、推測の域を出ないが"コード021"とはあの少年の事で間違いなさそうだ。
「なんとしても見つけ出さないと・・・」
「"見つけ次第殺せ"という上からのお達しだ、何せあいつは・・・」
そこで会話はまた喧騒に掻き消された。
- 6: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:27:33.96 ID:PxWXWKg00
- ジョルジュは思った。
あの少年が"コード021"であってもそうでなくても、この状況はよろしくない。何者であろうと見殺しには出来ない。
討伐士としての仕事、だな。
とりあえず、あいつらを見失わないように仕事をしてから警察でも呼ぶ方が良さそうだ。
ジョルジュは路地裏に入っていく二人の男を足早に追跡した。
- 9: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:34:15.30 ID:PxWXWKg00
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ミ,,゚Д゚彡「クソッ、迷っちまったか!」
少年は裏路地を彷徨う。元々この辺の土地感覚など無いのだ。
移動はいつも自分の足を使っていなかったから。
息を切らしながら少年は走る。
何かを蹴った。やわらかいもの。
人。灰色の服。自分を追ってきていた奴ら。
死んではいない。気絶している。
どうしてこんなところで倒れているのか。
そんなことはどうでも良かった。逃げられるチャンスなのだから。
- 11: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:38:51.79 ID:PxWXWKg00
- 今は力を使いすぎて疲労も限界に達しているのだ。
殺すのは、今でなくてもいい。殺すべきはもう殺した。
こいつらは体調を元に戻して、また捕らえて、拷問でもしてやろう。そう考えただけでゾクゾクする。
あぁ、俺って殺人快楽兵器。
ミ,,゚Д゚彡「今は寝てろ。そのうちお前らの組織ごと壊してやるさ」
- 12: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:40:32.58 ID:PxWXWKg00
- 黒い蝶の刺青。
"黒胡蝶"
西の島のマフィア集団。
恨みがあるわけじゃないけど。
むしろ恩がある。
でも、壊させてもらう。
もっと強くなるために。
アイツを 殺すために。
ミ,,゚Д゚彡「俺の母親を殺したアイツの復讐のためにな・・・」
殺気を存分に出したせいか、気のせいか、少年の髪は銀色に輝いていた。
- 13: 1 ◆et0cofkO4A :2006/08/28(月) 21:47:08.03 ID:PxWXWKg00
- 次の日の新聞には
「巨大マフィア"黒胡蝶"トップが殺される 犯人は不明 内部犯の可能性大」
という記事が一面を飾っていた。
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( ゚∀゚)「俺、なんか忘れてねぇかな・・・」
--第10話 終--
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