( ^ω^)ブーンが幸せの意味を知るようです

  
84:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 01:56:22.22 ID:vuJWHAfG0
  
--第18話--

ぎぃん、とコロシアムに響く金属と金属の交歓の音。

風使いの少年の雷光の剣戟と、水使いの少年の流れるような捌きの剣が交差する。

( ^ω^)「さっき後手にまわって不利だったからって先手を取ろうとするのは単純だお!」

('∀`)「お前もな!」


コロシアムの2回戦、第1試合が始まった。

特訓で毎日のように手合わせしてきたブーンとドクオ。
先程までの試合の緊張すらもはや存在せず、楽しむように二人は剣技の円舞を演じる。



  
86:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 01:58:29.24 ID:vuJWHAfG0
  
  _
( ゚∀゚)「あいつら、やっといつものペースに戻ってきたな」

(´・ω・`)「そうだね、スロースターターだよね」

そんなもんか?とジョルジュは思う。が、2人の試合を真剣に見るため返事はしない。
すると、ショボンが前を向きながら呟く。

(´・ω・`)「・・・いつもの通りの戦い方なら、ドクオ君が攻めに攻めて、ブーン君の防戦一方・・・
      終わらない戦いになるね」
  _
( ゚∀゚)「あぁ、あいつらは極端すぎる。今回の試合で上手いこと混ざってくれねぇかな」

弟子について語る二人の隣には、同じく二つの人影。



  
88:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:01:41.04 ID:vuJWHAfG0
  
(*‘ω‘ *)「いい剣っぽ。あれでこそ本当のドクオの動きだっぽ!」

( ><)「ブーンさんもドクオさんもやるんです!」

  _
( ゚∀゚)「だろ?そのうちお前らに並んでいい"和解者"になるぜ!」

(*‘ω‘ *)「お世辞はありがたく受け取っておくっぽ!
      豪腕と闊達で知られるジョルジュ氏に褒めてもらうことなんて滅多にないっぽ」

( ><)「嬉しいんです!」

どうして彼らがここにいるのかというと、
ブーン達が試合に行く少し前にわかんないんですが目覚めたから激励しに来たのだという。



  
89:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:03:42.98 ID:vuJWHAfG0
  
彼らはそれぞれの対戦者を応援することにしたようで、
ちんぽっぽはドクオに、わかんないんですはブーンにそれぞれ話しかけていった。


ドクオとちんぽっぽはみかんの一件以来打ち解けたようで、茶々を入れながらも楽しそうに話していた。

少しして、ブーンの方は大丈夫か、とドクオは心配してちらりとそちらを見た。

すると、無言で二人は頷きあっているのが確認出来た。

あちらはあちらでちゃんと理解しあっているようだ。
眼でのみの会話。畜生、格好良いじゃねぇか、とドクオは少し羨ましく思えた。

そして間も無くブーン達はコロシアム控え室へと向かって行った。

そして、ちんぽっぽ達にこれからどこで観戦するのか尋ねると
特に決まった席もないと言うので試合を一緒に観戦する事にしたのだ。



  
91:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:18:08.92 ID:vuJWHAfG0
  
勝負の形勢はショボンの予想通りとなった。

ドクオは腰を屈めて早足で歩き出した。
腰から巻いたマントがひるがえり、隠した多数の輝く凶器が覗く。


風使いという皮を被った一人の獣の歩みは既に疾走となり、黒い残像を残して地を這う。

先程から床を舐めていた右手の細身の剣は振り上げられ、上弦を描いて振り下ろされる。

(;^ω^)「っ!!」



  
92:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:26:41.16 ID:vuJWHAfG0
  

ブーンが下弦の軌道で剣を振り上げて回避。

ドクオの余りのスピードに冗談抜きで火花が散る。

(;^ω^)「あぶないおっ!」

('∀`)「試合で危ないもクソもあるかっ!」

疾走を止めずに答える、楽しそうな表情のドクオ。
こっちは猛攻に耐えるのに必死だというのに・・・。


('A`)「まだまだいくよっ!」

ブーンから離れ一定の距離を取ったドクオ。
背中を向けた姿勢からいきなりこちらを向いて宙へと高く舞い上がる。


その一動作のうちに、彼の両手には8本のナイフが握られていた。

胸の中で両手を交差するようにして力を溜める。

そして風の向きをこちらに変更し、特攻してきた。



  
93:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:31:45.84 ID:vuJWHAfG0
  


(;^ω^)(あのナイフ・・・いつ投げるかお・・・)

考えている間にもドクオは有り得ないスピードで近づいてくる。
しかし、落ち着かなければ。あのナイフは何処へでも飛んでくる。
逃げても仕方ない。今は考えろ。

とりあえず、あのナイフは8本ある。
僕の至近距離まで来て投げるなら、正確性のある1本の方がいい。
どこか、風の流れが一番いいところで8本全てを投げてくるだろう。

ならば、この攻撃を凌げば。
ナイフかえかわせば近づいてきたドクオを狙うチャンスが出来るはず。
風の流れを、感じろ。

一瞬の間にここまで頭が回った自分に驚いた。



  
94:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:36:50.13 ID:vuJWHAfG0
  

(  ω )「・・・」

眼を瞑る。精神を極限まで研ぎ澄ます。

('A`)「そんな事してたら全部当たっちまうぜ!!」

ドクオの咆哮が聞こえる。
風が勢いを増す。

もう少し。




( ^ω^)「今っ!!」

眼を開く。

予想は命中。
8本の刃の奔流をかわす事無くブーンが突進する。



  
96:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:45:35.81 ID:vuJWHAfG0
  

ブーンが力の限り走る。
頭上すれすれを運動エネルギーを伴なったナイフが掠める。

しかし、ナイフはブーンに当たらず、先程までブーンが立っていた位置に綺麗に8本刺さっていた。

( ^ω^)「ふぅ・・・危なかった・・・お!」

ブーンが前方に走り、辿り着いた場所は、



ドクオの着地点。

(;'A`)「なっ!?」

着地まであと数メートル。回避は困難。

( ^ω^)「迎え撃ってやるお!」

無形で構えていた両手の剣がゆらりと半円を描く。



  
98:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 02:53:50.00 ID:vuJWHAfG0
  

('A`)「く、そぉっ!」

歯を食いしばり、犬歯を見せるドクオ。
それが確認できるほどに奴はすぐそこまで来ているのだ。

( ^ω^)「いくおっ!」

ブーンがちゃきり、剣を強く握り締めた。

あぶねぇって!
こいつ、人が攻撃した後の切り替えしばっかりうまくなりやがって・・・。
たまには自分から攻めて来いっての!

焦るドクオ。

どう回避するかよりも困惑の感情の方が湧いてくる。

(;'A`)「うぉっ!」

ブーンの剣が水平に突き出される。
腕を切り裂かれないために風を斜めに起こして体を傾けてかわす。

腕は無傷だが、服を掠ってしまった。

お気に入りの服だったのにぃ!



  
99:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 03:00:31.42 ID:vuJWHAfG0
  
そんな事を言う暇も無く、もう1本の剣がドクオに襲い掛かる。

同じ手を2度も喰らうか!

('A`)「らぁっ!」

( ^ω^)「おっ!?」

いきなりの上から下へと叩きつける風。

ブーンの剣の軌道よりもずっと下にドクオが移動。
同時にブーンの足元の地面に着地。

(;^ω^)「しまっ・・・」

懐に入り込まれてしまった!
ドクオが上目遣いににやりと笑う。眼光は何より妖しかった。



  
100:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 03:05:09.83 ID:vuJWHAfG0
  

その時、今度は下から上への上昇気流が起こった。
ドクオはその勢いに飛び乗る。

('A`)「仕返しだぜっ」

−ゴッ

鈍い音がした。

(;^ω^)「ぐぅ・・・」

懐に入られていたため、掌底を喰らうのを許してしまった。

しかも上昇していたドクオはブーンの頭を踏み台にして跳躍し、気流から外れて再び地面に着地した。



  
101:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 03:09:06.13 ID:vuJWHAfG0
  

そして、ドクオはブーンの方にくるりと振り返る。


(*‘ω‘ *)「っぽ?」

ちんぽっぽが異変に気付いて声を上げる。

( ><)「試合放棄なんですか?」

続いてわかんないんですの驚きの声。


ドクオは、ブーンから少しだけ離れたところで、両手を広げて立つ。
そして、道化師の様なおどけた声を出した。


('A`)「さぁさぁ!ブーン!」



  
103:◆OLIVIA/O7I :2006/09/15(金) 03:17:19.28 ID:vuJWHAfG0
  

そこでドクオは一拍の間を置く。


さっきも思った。
ブーンはいつも反撃しかしてこない。
これではいつもの堂々巡りだし、何より自分も面白くない。

たまにはこっちも守りの姿勢に入ってみてもいいではないか。
反応速度ではこちらが優位なのだから、反撃は容易いだろう。

ブーンの攻撃をかわした時の彼の驚いた顔を拝んでみたい。

(´・ω・`)「ドクオ君は、気付いたようだね・・・」


さて、間は十分に置いた。そろそろ宣戦布告といこうか。

ドクオは軽く息を吸い込む。

ドクオはブーンを指差す。

('A`)「月並みだけどさ・・・ブーン、かかってきな」


その人差し指をくいくいと引いて対戦者を挑発した。

--第18話 前編 終--



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