( ^ω^)ブーンが幸せの意味を知るようです

  
20: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 21:50:14.19 ID:iFJfdzjK0
  

--第24話--

─西の島 廃墟─



ξ゚听)ξ「囚われの巫女・・・って言うには待遇良すぎよね・・・」

ぽかんとして部屋を眺める。
ベッドもある、窓もある。
手錠も足かせもされてないし、丁寧に朝ご飯まで机の上に乗ってるし。


ツンはついさっきまでブーンの隣で寝ていた。

目覚めると部屋の窓に足をかけた少年、
─フサギコと本人は名乗った─に抱えられており、荒巻の孫かと問われ。


そうだと答えると、彼は「俺がお前の全ての謎を解き明かしてやるよ」と述べた。


きっと、我が一家に蔓延る殺戮劇のことだろう、そしてこの少年はそれに加担するものであろう、
と瞬時に察したツンは、彼に着いて行く事に決めた。

最後に、ブーンに「ごめんね」という言葉を残して。



  
22: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 21:52:41.23 ID:iFJfdzjK0
  

─あたしにもやらなきゃいけないことがあるの。

─ブーン・・・ごめんね、あたしは守られてばっかのお姫様じゃなくて。


そんな事を考えていたら、突如腹を殴られた。
移動するから眠ってろ、と言って。

実際、どこまで移動したのか分からないけど、とても速かった、と思う。
秘密にしておきたい移動手段でもあるのだろうか。


ツンは腹をさする。まだ痛む。

ξ゚听)ξ「手荒いなぁ・・・」

ミ,,゚Д゚彡「軟弱だからだ」

フサギコと名乗った少年はふん、と鼻を鳴らす。

( ´∀`)「まぁまぁフサ」

朝ごはんを持ってきてくれた男の人がフサギコを制止する。

( ´∀`)「一国の宝である巫女さまモナ。彼女を今回は客としてもてなすモナよね?」

今回は、という言葉に疑問を覚えた。
が、とりあえずは生きて帰れそうだ。



  
23: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 21:55:06.75 ID:iFJfdzjK0
  

フサギコは鼻息と舌打ちを同時にするという巧みな技を披露しながら、部屋から乱暴に出て行った。


( ´∀`)「まったく・・・フサがいきなり出かけたと思ったら・・・こんな大層なお客さん連れて帰ってきてびっくりモナ」

彼は人懐っこそうな瞳をこちらに向ける。
悪い人には見えない。

ξ゚听)ξ「あの・・・あなたは?」

( ´∀`)「申し遅れましたモナ。俺・・・や、私はモナー。フサギコの部下モナ。
      身辺のお世話を任されているモナ。何かあったらすぐに行ってくださいモナ」

あの少年の・・・部下?
あの子はこの組織・・・"逆さの胡蝶"と言ったかしら?の中間管理職かなんかなのだろうか。

( ´∀`)「まぁ、お世話と言っても今日一日だけですモナ」

ξ゚听)ξ「今日だけ?どういう事?」

( ´∀`)「フサが元々勝手に連れ去ってきたし、あまりこちらに長く居させると神殿に混乱がおこるだろうから
      今日中には帰すと言ってたモナ」

ξ゚听)ξ「そうなの・・・あんた達案外親切なのね」

彼はそれには答えず。
( ´∀`)「・・・・・・今日1日あれば、すべての準備も・・・整うと言ってたモナ・・・」

え?とツンは聞き返したが、モナーはなんでもない、と返すだけだった。



  
24: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 21:55:43.02 ID:iFJfdzjK0
  


同時刻 ─北の島 ショボン宅─

(´・ω・`)「ドクオ君、起きてー。朝ごはんにしようか」

('A`)「ショボンひゃん・・・おひゃよごじゃます・・・」

(´・ω・`)「あんれまーすごい顔。まず顔洗っておいで」


('A`)「はひ・・・」

ショボンがすごい顔と言うのも無理はない。
昨日は夜明け近くまで眠れなかったのだ。

ショボンさんと同じ部屋で二人きりで夜を過ごすなんて。
もうダイヤモンドヴァージンでもすっぽり童貞でも奪ってくれないかと思った。

・・・当然、そんな事は起こらなかったが。

まったく平和だ、とドクオは思いながら冷たい水で顔を洗った。



  
25: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 21:56:14.22 ID:iFJfdzjK0
  

('A`)「ただいま帰りましたー」

カウンターにはご飯と味噌汁と添え物が出されていた。
ただの朝ごはんなのに、輝いて見える。


('A`)「練れば練るほどこうやって色が変わってウマイ!テーレッテレー♪」



(´・ω・`)「納豆ご飯もいいけど、混ぜても色は変わらないと思うよ」

ショボンの冷静な突っ込み。
なのにどうしてだかドクオは嬉しそうに笑って納豆ご飯を口に運ぶ。

(´・ω・`)「あ、ドクオ君。口の端にご飯粒ついてるよ?」


(//A//)(つっ、つけてんのよ!!)

ドクオが心の中で必死に叫ぶ。
そう、やって見たかったのだ、アレを。



  
26: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 21:57:15.62 ID:iFJfdzjK0
  

女「男くんご飯粒ついてるー♪」

男「えっ?どこだい?」

女「ここー♪」

女はそう言ってご飯粒をとる。手で取ってそれを食べるもよし、口で取るならさらによし!

女「とれたよウフフ」

男「ありがとうゲハハハハ」

こんな、こんなシチュエーションを俺は待っていたのだ!


(´・ω・`)「何ぶつぶつ言ってるのかな?かな?っていうか口の端のご飯粒に虫ついてるよ」

(;'A`)「!!!?」

見事にハエが止まっていた。
虫退治を昨日するの忘れてたね、とのんびりとショボンが言った。

('A`)「あ・・・あぁ・・・ハエとフォーリンラブ、らぶらぶシチュエーション♪・・・ハエと激愛メリーゴーランド・・・うふ、うふふ」

少年の淡い願いは叶わず、心は砕けてしまいそうだった。



  
28: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 21:58:05.85 ID:iFJfdzjK0
  



そんな朝食もどうにか終わり、後片付けを始めた。

(´・ω・`)「今日はこれからどうしようか?ブーン君はまだツンのところにいるだろうしね・・・」


('A`)「・・・じゃあ、荒巻さんの所にでも行きますか?昨日行きそびれたし・・・チビ達がどれぐらい大きくなったか見たいし」

(´・ω・`)「そうだね、じゃあそうしようか」

かちゃかちゃと洗い物の音が響く部屋で、これからの事はすんなりと決まった。



  
29: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 22:00:29.39 ID:iFJfdzjK0
  

からんからん、とドアの上に鎮座するベルがいい音を鳴らす。
今日は呉服屋の方にいるようだ。

(´・ω・`)「荒巻さん、おいすー」

('A`)「おいすー・・・ってあら?」

/ ,' 3 「おぉ、よく来たのう・・・ひさしぶりじゃ。先客がおるが、ゆっくりしてくれ」

畳、という独特の床の上には2人の中年の男女がいた。
男の方が、誰かに似ているような・・・

(´・ω・`)「父さん、母さんも・・・」


(`・ω・´) 「ショボン、久しぶり」

从'ー'从「前会ったときよりもまた大きくなったわね・・・」


(´・ω・`)「どうしてここに?自分の家があるのに・・・」
ほんの少しだけ、詰問しているような声。

/ ,' 3 「まぁまぁ、そう責めてやるでない。2人はな、
    長い間構ってやれなかったお前さんにどんな顔をして会えばいいか分からん、とわしに相談してきたのだよ」



  
30: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 22:01:41.66 ID:iFJfdzjK0
  


(`・ω・´) 「すまない・・・ショボン」

从'ー'从「私達は自分の悲しみばかり背負って、あなたの事を忘れてしまっていたのかもしれないわ・・・」

何を言っていいか分からないのだろう。
しかし、言葉は少なくても、その表情から後悔の念が見て取れた。


(´・ω・`)「ねぇ、どうしてここにいるの?ここにいるって事は、研究は実を結んだのかい?」

話題の飛躍した質問に、2人はたじろぐ。

(`・ω・´) 「あぁ・・・効果は限定的なものだが、望んでいたものは完成したよ」

ショボンの父が少し俯いて答える。

(´・ω・`)「そうかい・・・それで、2人は報われたかい?」


从'ー'从「・・・!!」

はっとするショボンの母親。



  
32: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 22:03:16.75 ID:iFJfdzjK0
  

从'ー'从「えぇ・・・あの子が報われたかどうかなんて分からない。でも、確かに私達の心は救われたわ。

     だって、これから苦しむ人を・・・本当に一握りの人だけでも助けてあげられる・・・」

両手をぎゅっと握ってまっすぐにショボンを見た。

ショボンは、強張らせていた顔をそこで初めて緩ませた。

(´・ω・`)「そっか・・・それならいいんだ。


      おかえり、父さん、母さん」

いつもの笑顔でこう答えた。
ただいま、と父はいい、母は抱擁までしてきた。



(*'A`)「・・・」
ドクオは、自分の事のように嬉しそうにそれを見ていた。



  
33: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 22:04:31.98 ID:iFJfdzjK0
  


─俺じゃ、親なんてつっぱねちまうだろうし、構ってくれなかったら拗ねるんだろうなぁ・・・

─俺にはまだ人を許せる包容力も、我慢強さも無い・・・そういう意味で、やっぱりショボンさんは大人だな。



ドクオは人間性でもショボンに惹かれはじめていた。
いつか、彼のアナル、ゲットだぜ!と叫んでみたい。
そして、行く末はアナルマスターに。

(*'A`)「うほっ」


ショボンの両親の前でこんな妄想をした事など、恥じる様子も無かった。



  
34: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 22:05:21.08 ID:iFJfdzjK0
  

─再び廃墟 フサギコの部屋─


( ´∀`)「フサ、モナー入りますモナー」

ノックと同時に彼の部屋に入る。

ミ,,゚Д゚彡「モナー、あの女の様子はどうだ?」

( ´∀`)「特にこっちを警戒した様子もないモナ」

ミ,,゚Д゚彡「そうか」

( ´∀`)「フサ、ちょっといいモナか?」

ミ,,゚Д゚彡「いいモナカ?っておやつじゃねぇか。

      まぁ、冗談は置いといて、どうした?」

フサがこんな軽口を叩くのは珍しい。機嫌でも良いのだろうか。



  
36: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 22:06:37.82 ID:iFJfdzjK0
  

( ´∀`)「巫女を捕まえてきておいて、どうしてむざむざと逃がすモナ?
      返すときに万が一こっちが捕まったりしたらフサが危険モナ」

ミ,,゚Д゚彡「ただ、返すわけじゃないさ。あれはいい囮になる。

      母を言わば見殺しにした奴ら、あの忌々しい精霊に復讐してやるのさ」

( ´∀`)「フサ!!何を考えてるモナ!!」

慌ててフサギコの元に詰め寄るモナー。

( ´∀`)「彼らはフサの血縁者モナ!?妹だっているモナよ!??」

ミ,,゚Д゚彡「落ち着けモナー。・・・俺はもう、"復讐"という血塗られた悪鬼に取り付かれた・・・いわば悪霊だ。

      母を守らず、それに加担した者も許さない。
      そのあとであの巫女を殺し、荒巻も殺す」

( ´∀`)「止めても・・・聞かないモナね」

ミ,,゚Д゚彡「あぁ・・・」

その言葉を聞いて身を離すモナー。



  
38: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/09(月) 22:08:15.10 ID:iFJfdzjK0
  

ミ,,゚Д゚彡「実はもう、2人ほどこちらから刺客も送ってある。
      性格的に破綻した奴らだが、腕は立つ」

( ´∀`)「熱くなってすまなかった、肉親を全て殺された俺とフサは違うモナ。・・・気にしないでくれ。


      なら俺達は、フサのその"復讐"の彩りを支援するモナ!!」

狂信者のように熱く語るモナー。


ミ,,゚Д゚彡「まずは俺が直々に動いて盤面の駒を動かす。お前はその後に続け。







     さぁ、今までの血の物語に、これ以上に血生臭い終焉を標そう・・・」


--第24話 前編 終--



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