( ^ω^)ブーンが幸せの意味を知るようです

  
231: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 02:38:49.12 ID:9WLQ9otV0
  

--最終話--

ブーン達がまだ山に登り始める少し前の事。


ミ,,゚Д゚彡「ったく、ここはムカつくぐらい何も変わってねぇなぁ・・・」

神殿に突如少年が現われ、偉そうな口を叩く。

( ´_ゝ`)「誰だ貴様!!」

(´<_` )「変態か!!」

川 ゚ -゚) 「私の結界を・・・2度も越えるなど・・・何奴だ。隠しても無駄だぞ、私には分かる」

从*゚∀゚从「・・・!」


くつくつと、その少年は嗤った。

川#゚ -゚) 「・・・何がおかしい?」

クーは怒りを露わにした声で相手を圧倒させようとする。
しかし、少年には全く効き目が無い。



  
236: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 02:46:58.40 ID:9WLQ9otV0
  


ミ,,゚Д゚彡「ク・・・フフ・・・そうか、この髪の色じゃ分からないのかよ・・・」

そう言って指をぱちんと鳴らす。
みるみるうちに脱色され、銀糸が姿を現す。


その色は、間違いなく彼らのそれと同じ色であった。
─サラマンダーだけ、父親に似たくすんだ金髪だが。

(´<_` )「お前は・・・フサ!!」

川 ゚ -゚) 「今まで何処にいたんだ・・・」

ミ,,゚Д゚彡「気付くのがおせぇ世よ・・・。まぁ、俺の可愛い妹ちゃんは気付いてたみたいだが?」


ただならぬ殺気を彼から感じる。

( ´_ゝ`)「何を・・・しに来た?」

ミ,,゚Д゚彡「母を見殺しにした、お前らを殺しにだよ・・・ハハハハハハ!!!」


从*゚∀゚从「こやつ・・・狂っておるわ・・・」



  
238: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 02:50:58.08 ID:9WLQ9otV0
  

フサギコの周りに灼熱の炎が現われる。
最初から手加減などする気は無いようだ。


( ´_ゝ`)「と、とにかく、逃げるぞ!!」

シルフが空間転移を展開する。
4人は部屋から忽然と消えた。


ミ,,゚Д゚彡「チッ、悪あがきしやがって・・・大人しく殺されりゃーいいのによ」

彼の呟きも、独り言で終わった。


从*゚∀゚从「兄者・・・助かったのじゃ・・・」

川 ゚ -゚) 「後は私に任せてくれ。水の幻影で空間を捻じ曲げる。ほんの少しだが時間は稼げるだろう」

(´<_` )「じゃあ俺は、木や植物のトラップでも作っておこう」



  
242: ◆OLIVIA/O7I : 2006/10/10(火) 02:59:52.36 ID:9WLQ9otV0
  

神殿の最上階にある隠し部屋に4人は潜んだ。


(´<_` )「時にクーよ。真実を移すあの水鏡は何処にある?あれが上手く使役出来れば、説得も不可能ではないはず・・・」

川 ゚ -゚) 「すまん、あれは人にやってしまった」

( ´_ゝ`)「お馬鹿!!」

こんな事になるとは思わなくてな・・・とクーが弁解する。


从*゚∀゚从「しかしクーよ、相打ち覚悟でフサに突撃するというのは考えなかったのか?」


川 ゚ -゚) 「まだお前には言って無かったか・・・私達が、何故人に洗礼など与えていると思う?」

从*゚∀゚从「それは・・・魔法を人に与えて自分達が浮かない存在になる為じゃないのか?」


( ´_ゝ`)「では妹者よ、今の状態で俺達は"浮いてない"と思うか?」

从*゚∀゚从「いや、浮いておるのう・・・人から特別視されて・・・」

川 ゚ -゚) 「そうだろう・・・。魔法を与えるには、別の理由があるのだ」


(´<_` )「俺達が、いつか人間に戻るため・・・だ」



  
248: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:10:22.68 ID:9WLQ9otV0
  

从*゚∀゚从「我らが・・・人間に!!?なれるというのか!?」

川 ゚ -゚) 「妹者よ・・・お前は気付かなかったか?人に魔法を与えるたびに、自分の力が失われていくのを・・・」

妹者は少し考えてみる。
そういえば、変な脱力感があった気がする。

从*゚∀゚从「我らは・・・自分の力を分け与えていたのか・・・」

( ´_ゝ`)「そうだ・・・そして、いつかゼロになれば・・・」

(´<_` )「人に戻れるんじゃないか、そう思うんだよ」


川 ゚ -゚) 「ただ、これにはルールの様なものがあってな」

そこでクーに遺伝子がどうのこうのってむつかしい話をされた。
要約すると、子を成すと、その子には与えたはずの力が元通りになって受け継がれるんだそうだ。

从*゚∀゚从「わらわは双子だから・・・兄者の力と合わせれば、
     一番力が強かった頃の母者と同等の力を持っていたという事か・・・」


( ´_ゝ`)「そういう事だ。しかし、お前はもうたくさんの人間に力を分け与えているし・・・」

そこで兄者が言葉に詰まる。



  
254: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:21:16.14 ID:9WLQ9otV0
  

从*゚∀゚从「言われなくても分かっておる・・・フサの方が、よっぽどわらわより魔力をもっておる・・・」

川 ゚ -゚) 「気付いていたのか・・・」

実際、母の、ペニサスの力の7割近くはフサギコに与えられていた。
偶然の産物なのだろうが、この状態ではあまりに痛手である。


それでも、初代の水、風、地の精霊はもう、彼らの力の1割を切った。
妹者・・・彼女しかまともに戦える存在はいないだろう。


川 ゚ -゚) 「外敵に襲われないようにと・・・立ち入る者の規制を始めたのに・・・
     敵が身内とはな・・・」


クーは、フサギコの分だけは結界を張らなかった。
いつでもここにかえってこれるように。



  
255: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:22:02.43 ID:9WLQ9otV0
  


川 ゚ -゚) 「完璧に、仇になったな・・・」

もう苦笑しか浮かばない。

( ´_ゝ`)「とりあえず、だ。もしここにフサギコが現われたらどう対処するか考え・・・ってあっちい!!」


神殿が、神殿の至る所が燃えていた。


川 ゚ -゚) 「炎・・・まさか・・・」


クーの腕を掴む手があった。
彼女は勢いよく振り返る。




ミ,,゚Д゚彡「みぃつけた」

悪鬼の笑顔がそこにあった。



  
258: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:31:11.87 ID:9WLQ9otV0
  

('A`)「ブーン!!大丈夫か?もうちょっとだぞ!」

(;^ω^)「がんばるお!!よいしょっ!!」

息も絶え絶え、足はがくがく震えながらもどうにか神殿まで到着した。
ショボンが神殿を見上げて呆然とする。

(´・ω・`)「神殿が・・・燃えている・・・」

(;^ω^)「そ、そんな・・・おっ!?」

がくり、とそこでブーンの膝が折れた。
倒れこむ前にドクオが肩を貸す。

その時、かしゃん、と音がして何かが落ちた。
ドクオが慌てて拾う。

('A`)「何だこれ・・・鏡・・・ってうわ、割れちまった・・・すまん」

(;^ω^)「いや、いいんだお。懐になんて入れてた僕が悪いんだお」



  
261: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:34:21.95 ID:9WLQ9otV0
  

それは、ツンの元から旅立つ時に、ウンディーネがくれた鏡。
面白いものが見えるかもな、と言いながら渡してくれたのだ。

それが、もう随分昔の事に思える。

(´・ω・`)「ブーン君、大丈夫かい?ごめんね、のんびりしている暇はなさそうだ。

      手分けして精霊達を探すよ!!」

3人は燃える神殿へと突入した。
ブーンの魔法によって炎は防がれることとなった。



  
266 名前: ◆OLIVIA/O7I [>>264どんまいです(´・ω・`)つ旦~] 投稿日: 2006/10/10(火) 03:43:10.84 ID:9WLQ9otV0
  

ミ,,゚Д゚彡「全く・・・余計な罠まで張ってくれやがって・・・手間掛かったじゃねぇか。
      でも、もうさっきのは通用しないぜ。ここは全部炎が廻ってるからな」

( ´_ゝ`)「ちぃ・・・」

フサギコは狭い部屋だというのに遠慮なく炎を飛ばしてくる。
家屋というのは可燃性のものがたくさんある。

炎というのは、敵に回すとやっかいなものだ・・・」

川 ゚ -゚) 「防戦に尽くすぞ!!そして、出来る限り広い部屋に逃げる!」


从*゚∀゚从「把握!!」



  
269: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:53:04.84 ID:9WLQ9otV0
  



どうにか屋上まで逃げて来たクー達。

川 ゚ -゚) 「決戦が屋上なんて、映画っぽいな」

( ´_ゝ`)「クー・・・冗談を言ってる場合では・・・」

そんな事を言っている間も炎の猛攻は止まない。



ミ,,゚Д゚彡「ほらほらほらほらぁ!!どうした!!逃げてばっかりじゃいつかやられるぜ!!」

相手が攻撃を仕掛けてこないこともあり、フサギコは有頂天になっていた。

(´<_`;)「こっちも好きで攻撃魔法使ってないわけじゃないというのに!」

木の壁を作って炎を防ぐが、一瞬で焼き尽くされてしまう。

ミ,,゚Д゚彡「ほう・・・?こっちも攻めてばっかじゃつまらんからな・・・
      どうすればいい?どうすればそっちも魔法を使って攻めてくる?」



  
270: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:54:01.12 ID:9WLQ9otV0
  


川 ゚ -゚) 「ツンだ。巫女を返せ。巫女との誓約により、彼女の命が無い限り私達は誰かを傷つけることが出来ぬ」

クーもフサギコの炎を防ぐために水壁を作る。
が、やはりすぐに蒸発した。


ミ,,゚Д゚彡「そうか、分かった・・・少しだけ待っていろ」

そう言って、彼はまた炎の中に消えた。



  
272: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 03:59:32.44 ID:9WLQ9otV0
  


ξ゚听)ξ 「ふぁー。ひっさしぶりの出番ねー」

大きく欠伸をひとつ。

(;´∀`)oO(年頃の女の子が・・・)

と、その時、暖炉からフサギコが現われた。

ミ,,゚Д゚彡「そこの女、精霊達が呼んでいるから帰るぞ。モナー、お前も来るか?

      ・・・お前が出る幕も無いぐらい大したこともない奴らだがな」

(;´∀`)「フサが強すぎるからモナ・・・」

ツンは、また嫌な予感に襲われた。
今の言い様、まさかこの子・・・クー達と戦ってるんじゃ・・・。


ξ゚听)ξ 「分かったわ、早く帰りましょう」

暖炉からフサギコが出てきたことなど、もはやどうでも良かった。



  
275: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:04:22.90 ID:9WLQ9otV0
  


('A`)「いたか!?」

(;^ω^)「こっちにはいないお!」

(´・ω・`)「あとはもう・・・最上階か屋上ぐらいしか・・・」


('A`)「くっそ・・・!」

(;^ω^)「とにかく!急いで上に向かうお!」


ブーンの魔法に支えられながらも、しかし全身に火傷を負った3人。
上に向かう階段へと走る。傷など気にしている暇はなかった。

(´・ω・`)「あ・・・」

先頭を行くショボンが立ち止まる。


('A`)「どうしました!?」

(;^ω^)「階段が・・・」

上の方は火の回りが激しく、階段の方も燃え崩れかけていた。



  
278: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:15:12.14 ID:9WLQ9otV0
  

川 ゚ -゚) 「他に怪我人は!!」

クーがきびきびと動く。
フサギコが再び帰ってくるまでに傷を癒しておかねば・・・

从*゚∀゚从「こっちはもう大丈夫じゃ!!」

( ´_ゝ`)「こっちも大丈夫だ」

(´<_` )「クーのお陰でぴんぴんしてるさ」

3人とも、元気な返事をしてきた。

川 ゚ -゚) 「よし!!」

クーは満足そうに頷いて、大きく息を吸って精神を集中させた。


すると、目の前に広がる炎がひときわ大きく揺らめいた。

ミ,,゚Д゚彡「ふぅ・・・待たせたな」

( ´∀`)「フサ・・・ちょっと燃やしすぎモナ」

ξ゚听)ξ 「みんな!!大丈夫!?」

川 ゚ -゚) 「ツン!!こっちは無事だ!!そっちこそ平気か!?」



  
280: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:19:33.32 ID:9WLQ9otV0
  

ξ゚听)ξ 「えぇ!!ピンピンしてるわよ!!」

フサギコに動物のように抱えられたツンが腕を振る。
元気そうでひとまず安心した。

しかし、相手は仲間を連れてやってきた・・・。
不利な状況には変わりないか・・・。


ミ,,゚Д゚彡「さて・・・女を連れて来てやったが、易々と帰すわけにはいかねえ。
      よっ、と」

ツンを隣に立つモナーに投げる。

(´<_` )「乱暴な扱いをするな!!」

弟者の怒号。

ミ,,゚Д゚彡「あっれ?俺にそんな指図していいと思ってるのか?
      ・・・女はこっちの手にあるんだからな」

フサギコが鋭い眼光と共に脅しをかける。
人質がいるため、高圧的な態度を取るのは危険だと判断した。

ミ,,゚Д゚彡「ふぅ・・・普通に人質作戦で行こうと思ったが、お前達の態度が気に食わない。
      いっちょ楽しいゲームといこうか」

川 ゚ -゚) 「こういう時のゲームとは、こちらからは全く楽しくない。
     ・・・しかも拒否権が無い」



  
282: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:23:00.41 ID:9WLQ9otV0
  


ミ,,゚Д゚彡「よく分かってんじゃねぇか。そういう事だ」

彼はまたひとつ指を鳴らす。
ツンを抱えるモナーの廻りに、炎を張り巡らせた。

ξ゚听)ξ 「熱いわね・・・」

やはり緊張感のない声でツンが言った。

(;´∀`)「ちょっと我慢してくださいモナ・・・」


ミ,,゚Д゚彡「これでお前達は女を助けることは出来ない。そして・・・」

フサギコは夕方になって晴れてきた空を見回す。



ミ,,゚Д゚彡「あの日が沈むまでに俺を倒せなかったら、あの女を殺す」



  
285: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:27:59.40 ID:9WLQ9otV0
  

川 ゚ -゚) 「な・・・!?」

もう太陽は殆ど沈みかけている。
沈み終わるのに、15分は掛からないだろう。

そんな時間で、この悪魔に勝てというのか・・・。


ミ,,゚Д゚彡「勘違いするなよ?その後できちんとお前達も同じ所にちゃーんと宅配してやるからな」

最初に現われた時の様な嫌な笑いを浮かべる。
クーは背筋がぞっとするような感覚を覚えた。


从*゚∀゚从「そんな事、言われなくても分かっておるわ!!」

威勢よく妹者が言い放った。

(´<_` )「クー、あいつに勝つしかもうツンを助ける方法は無いだろう・・・」

( ´_ゝ`)「勝って、ツンと一緒に神殿を建て直そう」

川 ゚ ー゚) 「あぁ!!ツン、私達に命を!!」

覚悟はもう、決まった。
勝つしかないのだ。

時間制限がついていても、それに変わりはない。



  
288: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:33:41.64 ID:9WLQ9otV0
  


(;^ω^)「はぁっ、はぁっ・・・最上階にも・・・いなかったお・・・」


(´・ω・`)「屋上の方が何だか騒がしい気がするよね」

(;'A`)「でも屋上までの道は塞がれてますよ!?」

フサギコがクー達を追いかけて屋上に登った際、彼が意図的に崩したものだ。
邪魔者が入ってこれないように、と。

(´・ω・`)「自分達でどけるしかないよ!!大丈夫、15分もあれば終わる!
      ・・・頼むから、それまで保ってくれ・・・!!」

彼らは腕が、体が焼けていくのにも構わず崩された壁や床をどけていく。
一刻も早くこの作業が終わることを祈りながら。



  
291: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:42:18.72 ID:9WLQ9otV0
  



川 ゚ -゚) 「はぁっ!」

クーの氷で作り出した鋭利な刃が、フサギコに急襲する。

ミ,,゚Д゚彡「フン」

彼は自分が持つ剣でそれを一薙ぎ。
クーの刃はいともやたやすく折れた。


(´<_` )「せぇい!!」

ノームが木の枝を張り出して彼を捉えようとする。
しかし、炎に燃えつくされるだけだった。

( ´_ゝ`)「まだまだ!」

シルフの風が、フサギコを切り裂かんとばかりに襲い掛かってゆく。
しかし、炎の中を移動して、いともたやすく避けられた。


ミ,,゚Д゚彡「全く・・・4対1でこれかよ・・・殺すにも弱すぎていっそ可哀想だな」

フサギコの偉そうな態度に、文句を言えるほど元気な者は誰もいなかった。



  
294: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:45:52.07 ID:9WLQ9otV0
  

川 ゚ -゚) 「(こいつ・・・格が違いすぎる・・・)」

( ´_ゝ`)「(こんな奴、どうやって倒せって言うんだ!)」

(´<_` )「(剣術も魔法も・・・スキがない・・・!)」


(;´∀`)「本当に・・・俺が出る幕なんてないモナね・・・」

炎に包まれたモナーがのんびりとそれを見つめていた。

ξ゚听)ξ 「・・・」

ツンは、自分の命が生死の天秤にかけられたことよりも、精霊の怪我の方を心配しているように見えた。

しかし、ツンの命のタイムリミットは、刻々と近づいていた。
もう陽は半分程沈んでしまっていた。



  
298: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:52:38.91 ID:9WLQ9otV0
  

从*゚∀゚从「まだ、大口を叩くには早いわっ!!」

先程まで石畳に膝を落としていた妹者がフサギコまで突進していた。

川 ゚ -゚) 「妹者!!もうお前は十分頑張った!!」

体中に火傷の傷を負い、特攻を繰り返してはあちこちを殴打され、
妹者の体はボロボロだった。
口からも鼻からも血が出ている。

从*゚∀゚从「それでも!一番力の残っているわらわがやらねば・・・ツンが!!ツンが・・・!!!」

川 ゚ -゚) 「(ブーン・・・まだ帰ってこないのか・・・)」

ヒーローの登場を祈ってみるが、現実は甘くなかった。


ミ,,゚Д゚彡「ちょこまかちょこまかと・・・!!」

懐に潜り込んだ妹者を膝で蹴り上げる。
妹者がまた血を吐いて倒れた。



  
304: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 04:59:18.63 ID:9WLQ9otV0
  

と、思った直後。
妹者の両手がフサギコの足を捉えたのだ。

そのままフサギコの体を引き倒す。
それと同時に起き上がり、その間に"兄"の腹に拳を叩き込む。


ミ,,゚Д゚彡「か・・・はっ!」

从*゚∀゚从「このまま動けなくしてやるわ!!」

フサギコの両腕を掴みあげる妹者。
慌ててクーも駆け寄り、足を蹴って起き上がれなくする。

(´<_` )「よくやった妹者!!」

( ´_ゝ`)「よくぞ捕らえた!!」


ミ,,゚Д゚彡「ふははは・・・ハーッハッハッハ!!!」

その時、フサギコが狂ったように笑い出した。
むしろ、"狂った"のかもしれない、と腕を押さえつけながら妹者は思った。



  
307: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:06:26.66 ID:9WLQ9otV0
  

川 ゚ -゚) 「何がそんなにおかしい?」

むっとしたクーが詰問する。

ミ,,゚Д゚彡「ふ・・・それはな」

近くでまだくすぶっていた炎にフサギコは足を近づける。

川 ゚ -゚) 「いかん!!」

そう言ったときには時遅く、フサギコはモナーとツンを囲む炎の中にいた。

ミ,,゚Д゚彡「お前達、自分の足元を見てみろ」


从*゚∀゚从「?」

疑問に思いながらも足元を見る。
影が・・・無い。


( ´_ゝ`)「しまった!」

兄者は西の方角を見据える。

─訪れてしまったのだ。
望まなかった時間が。

タイムリミットが。



  
311: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:17:12.13 ID:9WLQ9otV0
  


ミ,,゚Д゚彡「残念だったなぁ・・・?」

まったく残念そうではない声でフサギコが言う。

ミ,,゚Д゚彡「なぁモナー、荒巻をここに連れて来て、死刑執行をご覧に入れてもらう、という考えはどうかな?」

彼は道化の様にふざけてみる。

( ´∀`)「フサのお気に召すままに、だと思うモナー」

ミ,,゚Д゚彡「ふ・・・、わかった。俺は荒巻を連れてくるから、お前はここの番人やってろ。
      まぁ、この炎は誰にも越えられんがな」

高笑いと共にフサギコは再び消えた。

川 ゚ -゚) 「ツン!!どうにかして、助けるから!!」

(´<_` )「お前を、死なせはしない!!」

そう言って4人はこちらに駆けてくる。
必死に炎を越えようとするが、体が焼ける臭いがするだけで、ツンの居る炎の中へ来ることは出来なかった。

ξ゚听)ξ 「・・・いいのよ。みんな、もう止めて」



  
313: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:17:54.36 ID:9WLQ9otV0
  

呟くように、しかしはっきりとした口調で、ツンは言った。

从*゚∀゚从「ツン、早まるでない!!」

( ´_ゝ`)「まだ諦めるな!!」



ξ゚听)ξ 「早まっても、諦めてもいないわ。・・・私はただ」




ξ^ー^)ξ 「信じているの。ブーンが助けに来てくれる、ってね」

多分、死ぬ直前まで、いえ、死んでいく中もあたしは信じるのを止めないと思う。
ブーンはあたしを守ってくれるって、約束したもの。



  
315: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:22:08.47 ID:9WLQ9otV0
  


ミ,,゚Д゚彡「やっぱり炎は越えられなかったみたいだな」

フサギコが帰ってきた。

/ ,' 3「ツン・・・大丈夫か・・・?」

荒巻は病院で治療を受けている合間にフサギコに捕まってしまった。
足もまだ満足に動かない。
本当に、無駄死にしに来たようなものだ。

荒巻を炎を外に放り捨て、フサギコはツンの前に立つ。



ミ,,゚Д゚彡「さぁて、最後に言い残すことでもあるかい?」



  
318: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:30:38.70 ID:9WLQ9otV0
  


(;^ω^)「あと、あとちょっとだお!!」

石畳の欠片と欠片の隙間に光が差し込んできた。

(;'A`)「んなろぉぉぉ!!!!!」

ドクオが突風を起こす。
欠片が吹き飛び、人ひとりぶんぐらいが通れる穴が出来た。

(;´・ω・`)「はぁ、はぁ・・・やっと出来たね・・・さぁ、ブーン君から行くんだ!」

(;'A`)「お前が行かなきゃ何も始まらないって!もしかしたらツンが帰ってきてるかもしれないんだしさ!」

汗を拭いながら二人が道を譲ってくれた。

(;^ω^)「ありがとうだお!じゃあ先に行くお!」

そう言って、穴を跳び越した。
びゅう、と冷たい風が頬をなぶる。

動いて汗をかいた後なので、その風を気持ち良いと思った。
そして、ブーンが空の次に目にしたものは。

( ^ω^)「お・・・?」



剣で左胸を貫かれたツンの姿だった。



  
321: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:34:25.44 ID:9WLQ9otV0
  

ツンは、赤く明滅する視界の端で、彼の姿を捉えた。

ξ゚ー゚)ξ 「まった・・・く、今、頃着ちゃ・・・うなん、て・・・ね」



それはそれでブーンらしい。



そう言おうとしたけど、意識が混濁して、言えなかった。
後はもう、落ちていくような感覚だけが残った。

そしてそれも、すぐに消えた。

フサギコの剣に添えたいた手が、ぽとりと落ちた。
ツンは、微笑んだまま眠っていた。



  
326: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:41:20.32 ID:9WLQ9otV0
  


('A`)「どうした、ブーン?」

(´・ω・`)「何があtt・・・」

二人は一斉に口を閉じる。
そう、見てしまったのだ。

あの陰惨な光景を。



  
328: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:41:59.71 ID:9WLQ9otV0
  

(  ω )「ツン・・・ツン・・・」

目の前がちかちかする。ぐわんぐわんと耳鳴りがする。
平衡感覚すら分からない。

今僕は立っている?僕は今座っている?

今僕は生きている?今ツンが死んでいく?

何が現実?何が夢?
夢が何で?理想を夢見る?

生とは何で、死とはなんだ?

あそこに横たわる少女にあるのは死?
それは彼女を奪っていく。


─もうあの笑顔を見ることも出来ない


( ;ω;)「ツンんん・・・」

現実を失う事は無かった。でも僕は現実を忘れたいと思った。
ジョルジュさんの"死"によって"死"という事に耐性がついた自分を呪いたかった。



  
331: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:46:56.53 ID:9WLQ9otV0
  

ツンの"あの光景"を見た後ドクオはブーンを見た。
完璧にブーンは茫然自失の状態であった。

仕方がない、それぐらいの傷は負うだろう。
自分も、怒りと涙は止まらなかった。

ショボンもショボンで、わなわなと震えている。
妹の様に接してきた存在が失われること、その辛さは計り知れないものだろう。

ドクオは、2人の肩を叩いてやることしか出来なかった。


ミ,,゚Д゚彡「ほう・・・遅い登場だったな。


     そこの女、"ブーンとか言う奴をいつまでも待つわー"って言いながら死んでったぜ」


もういい!!もういいから!!やめろ!やめてくれ!!!



  
336: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 05:55:51.91 ID:9WLQ9otV0
  

ミ,,゚Д゚彡「その中にブーンとか言う奴がいるのなら大層笑い種だなおい!!」

何処かのおばちゃんの様に手を叩きながら醜い笑いを上げるフサギコ。

('A`)「・・・黙って聞いてりゃド偉そうに言うもんじゃのう、ワレが。
   おどりゃ、アレか?ジョルジュさんも、その両親も殺したクチか?えぇ?」

ドクオが、キレた。
口調が変わっているのは故意なのか。

ただ、確かに言える事は、ドクオの中に「俺が勢いづいたら、誰かもノッてきてくれるかもしれない」
という思惑があったこと。


ミ,,゚Д゚彡「あぁ、そうだとも!!俺が荒巻の一家を皆殺しにしている!!じきに荒巻もぽっくりさ!!」

こいつ、完全に狂ってやがる・・・。
荒巻を抱えたクー達が、こちらに避難してきた。

4人とも、火傷の傷でぼろぼろだった。
それを見て、ドクオの怒りは更にヒートアップする。


('A`)「おどりゃ、人様殺して何が笑えりゃあ。誇れる事なぞなんもありゃあせんわ!!」

ぴしゃりとドクオが言う。
その怒気に、フサギコが初めて恐怖を覚えた。僅かではあったけども。



  
341: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:05:01.31 ID:9WLQ9otV0
  

ドクオの殺気でフサギコがたじろいでいる間、クー達は体制を建て直していた。
クーは廻りに結界を張った。


川 ゚ -゚) 「とにかく、これで人手が増えて助かった。
     そしてドクオ、よくこの中で覇気を上げてくれた。礼を言う」

('A`)「いえ、ついカッとなって・・・。火に油を注いだかもしれません」

( ´_ゝ`)「それでも、あそこでああ言ったお前は偉いよ」

从*゚∀゚从「ツンにあんな事をしておいて、ただで許すわけにはいかん・・・」

(´<_` )「死には、死をもって償って貰うしかない・・・」

(´・ω・`)「でも、彼は相当の手だれでしょう・・・どうやって彼を抑えるんですか?」


ミ,,゚Д゚彡「作戦会議とは悠長だなぁ。まぁいい、待ってやる。
      ただ、再戦が始まれば、全員サイコロ切りにしてちゃんとウェルダンまで焼いてやるよ」

( ´∀`)「みんな死ねばいいモナー」



恐ろしい事を言うが、僅かでも時間を与えられた事に間違いは無い。
出来る限りの作戦を練らなければ、と皆一丸になって考えていた。



  
344: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:10:47.94 ID:9WLQ9otV0
  

(´<_` )「で、これからどうする?」

(´・ω・`)「やはり、皆相打ち覚悟で突っ込むしか・・・」

川 ゚ -゚) 「それはいけない。ショボンとドクオは生きるんだ。私達でどうにかするから」

(´・ω・`)「でも!」

( ´_ゝ`)「大丈夫だって・・・4人ぐらい犠牲出せばきっと勝てるから・・・」



川 ゚ -゚) 「ブーン、ブーンは荒巻さんを見ていてくれ。出来るか?ブーン?」

ブーンはでくのぼうのように立ち尽くすだけだった。



─相打ち?皆殺し?死?生きる?犠牲?死ぬ?死ぬ?死ぬ?殺す?殺す殺す?

(  ω )「・・・・とか・・・いお・・・」


川 ゚ -゚) 「え?どうした、ブーン?」


(  ω )「もう死ぬとか殺すとかうるさいお!!」



  
347: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:19:00.83 ID:9WLQ9otV0
  

その時だった。
その場にいた、ブーンを除く全員の人間が光に包まれた。


そして、その光が消えた頃。

皆、6角形の水晶のようなものの中に閉じ込められていた。

(´・ω・`)「これは・・・?」

光源はブーンからであったように見えたから彼の魔法であることは間違いないだろう。
おそるおそる触ってみると、ひやりと冷たかった。

川 ゚ -゚) 「氷の結晶のなかに閉じ込めたか・・・」

この結晶は、ブーンの魔法の集大成であった。

从*゚∀゚从「傷が・・・癒えていく・・・?」

ミ,,゚Д゚彡「ちっくしょ!どうなってんだコレ!剣も通さないし、魔法も使えないじゃないか!!」

('A`)「そうか・・・無効化・・・」

ずっと前に一度だけ使ったあの魔法をドクオは思い出していた。

川 ゚ -゚) 「これで、フサギコの動きも封じた・・・動けるのはブーンだけ、今がチャンスだ!」

クーはブーンに向かって呼びかけた。
しかし、ブーンから返ってきたものは冷ややかな視線。



  
350: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:25:15.11 ID:9WLQ9otV0
  

(  ω )「まだこの期に及んで殺すとか言ってるのかお!!ふざけるのもいい加減にするお!!」

川 ゚ -゚) 「ふざけてなんかいるか!!私はツンの事を思えば・・・!!」

(  ω )「偉そうにツンの事を語るなお!!もう誰もツンの事を語る資格はないお!!


       それに、ウンディーネはツンが死んで辛いと思わなかったかお!?悲しいと思わなかったかお!?」

ブーンの怒声についついウンディーネも怒りがちになる。

川 ゚ -゚) 「悲しいと思ったさ!!だから今!!


(  ω )「復讐をしている・・・って!!?それこそ、ふざけるんじゃないお・・・」

( ;ω;)「ツンが死んで、悲しいと思ったなら、どうして自分が死ぬとか言うんだお?
       フサを殺して、サラマンダーはきっと悲しいと思うお。

       ウンディーネだって、きっと悲しいと、自分を責めるだろうお・・・」


ぽろぽろぽろぽろと大粒の涙を流すブーン。
涙腺の堰が切れたのだろう。



  
356: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:33:07.03 ID:9WLQ9otV0
  

( ;ω;)「人が、仲間が死んで悲しいのは皆一緒だお・・・だから簡単に死ぬとか殺すとか言わないで欲しいお・・・。
       みんな、復讐に取り付かれた殺人鬼になっちゃいけないんだお・・・」


川 ゚ -゚) 「そう、だな。済まなかった。私は死なない、いや、みんな死なないよ」


( ^ω^)「おっ!」

泣きながら、ブーンは笑った。

ミ,,゚Д゚彡「うぉぉぉい!俺放置して何ほのぼのしてんだよ!
      俺は殺人鬼だぜ?いい具合に捕まえたんだから煮るなり焼くなり好きにすればいい」


( ^ω^)「お前を、どうこうしようとは思わないお。
       ただ、サラマンダーや荒巻さんとゆっくり話せばいいと思うお」


ミ,,゚Д゚彡「俺は、ここから出して貰えればすぐにお前らを皆殺しにするぜ?」


(  ω )「・・・」

凍て付くような冷気を帯びた視線だった。
先程とは違う何かにフサギコは畏怖した。



  
359: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:38:19.12 ID:9WLQ9otV0
  

ミ,,゚Д゚彡「そんな睨むなよ」

目線を逸らしながらフサギコが言った。

川 ゚ -゚) 「そうだ、なぁブーン?私が前にあげた水鏡を持っているか?」

( ^ω^)「持ってるけど・・・割れちゃったお・・・」


川 ;゚ -゚) 「新種のバカかお前は・・・まぁいい、出してみろ」

ブーンは懐から割れてしまった鏡を取り出す。

川 ゚ -゚) 「それを地面に置くんだ。そして、その中に水を注ぐ。
     上手くいけば、それで過去を見ることが出来る」


上手くいけばだけどな・・・とウンディーネは言った。

ブーンは言われるままに水を注いだ。

すると、コンパクトサイズであったその鏡が、ブーンが両手を広げたぐらいの大きさまで拡大された。
そして、水を湛えた鏡は、何かを映し出す。



  
362: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:45:12.68 ID:9WLQ9otV0
  

ミ,,゚Д゚彡「母さんと、荒巻・・・!?」

二人が子どもをあやしている姿が映された。
そして、その画像は早送りされ、子どもは大人になっていった。

それは、自分が殺した荒巻の子夫婦。
それが、荒巻と母の子・・・?

そして、鏡の画面が切り替わる。
ヒステリックに暴れまわる巫女が見えた。
きっと先代の方だろう。

彼女は母に何かを言った。
母は泣いていた。

そして、次に映った場面はフサギコと妹者がベッドで眠っている光景だった。
寄り添うのは、母と、荒巻。


鏡は、そこまで映して役目を終えたようにまた小さくなった。

川 ゚ -゚) 「壊れていたから音声は出なかったし、映像も飛び飛びだったが・・・ちゃんと見たいものは見えたな」


( ^ω^)「こんな奇跡は叶うくせに・・・愛する人を救う奇跡は訪れないものだお・・・」

ブーンが鏡を拾い上げながら、誰にも聞こえないような小さな声で呟いた。



  
369: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 06:56:05.59 ID:9WLQ9otV0
  

ミ,,゚Д゚彡「一体、今の映像は・・・」

/ ,' 3「それはわしの口からちゃんというべき事かのう」


フサギコがどこで勘違いをしているか分からないので、荒巻は最初から語りはじめた。

自分が先代の巫女の孫で、自由に神殿に出入りできたこと。
そこでフサギコの母と恋に落ち、子を拾い養ったこと。
だから妻はペニサス一人だということ。

そして、巫女が精神崩壊を起こし、なくなる時に「血のつながったひ孫が欲しかった」
なんて嫌味を叩かれ、泣きながら妹者とフサギコを生みだしたこと。

ミ,,゚Д゚彡「じゃあ、母を殺した理由は・・・?」

/ ,' 3「彼女は、日に日に力を奪われ、衰弱していった上に、"穢れ"へと落ちたのだよ・・・」

穢れ、とは。魔法を与えた相手が非人道的な事を起こすと、精霊の体に負担がかかり、病に落ちることを指す。

/ ,' 3「1日に10人を殺す殺人鬼。通り名を、VIPと言った炎使い。ニュース等で知っておるだろう」

ブーンも、幼心にVIPという殺人鬼に恐怖を覚えたのを今でも記憶している。

/ ,' 3「彼女は、あれのせいで"穢れ"に落ちた」


─気高い心を忘れなかった彼女は、自分が狂って死んでいくのを自分で許せなかった。
 だから、気が確かであるうちに、わしに"私を殺してくれ"、と言ってきたのじゃ。



  
373: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 07:04:18.53 ID:9WLQ9otV0
  

ミ,,゚Д゚彡「だったら、母を殺したとき、「俺はまだ血を求める」って言ったのは・・・?」

/ ,' 3「あれは・・・VIPを、あやつを捕まえに行ったのじゃよ。おかげで、右腕は使い物にならんようになったがの」


──そんな、そんな・・・じゃあ。

ミ,,゚Д゚彡「全部・・・俺の独り相撲だったってことか?」


/ ,' 3「・・・そうなるのう。お前さんは若くして力を持ちすぎたのじゃ」


そんな事言われたって。
荒巻が父親だって言われてもピンとこないのに。
俺は、俺は、復讐のつもりで肉親を殺していたのか?

俺は、俺、何のために──


ミ,,゚Д゚彡「はは、俺、バカだよな・・・今まで、何のために・・・



     もうさ、今まで殺してきたたくさんの人の為に、償いをもって死ぬっきゃないじゃねぇか・・・」



  
376: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 07:08:21.27 ID:9WLQ9otV0
  


( ^ω^)「フサギコ・・・!!いや、サラマンダー、荒巻さん、モナーさんの結晶を開放するお」

ぱきん、と澄んだ音がして結晶が割れた。

モナーとサラマンダーは自分の足でフサギコの結晶の前まで歩を進める。
荒巻はブーンが抱きかかえてフサギコの前まで連れていった。


( ´∀`)「俺は、どこまでもフサに付いていくモナ」

从*゚∀゚从「わらわの兄はお前じゃ!」


/ ,' 3「お前は・・・わしの大事な息子・・・ペニサスの形見じゃ・・・易々死ぬと言うてくれるな」


ミ,,゚Д゚彡「・・・!!」


( ^ω^)「これが大事な人の・・・肉親やそれに値する人の言葉の重さだお!
       ちょっとは生きる気力わいたかお!?」



  
378: ◆OLIVIA/O7I :2006/10/10(火) 07:13:20.57 ID:9WLQ9otV0
  


ミ,,゚Д゚彡「お前、お人よしってよく言われないか?」

( ^ω^)「フサギコも、言われないかお?元々僕は、お前を傷つけるつもりはなかったお。
       ちんぽっぽにあれだけ懸命に尽くせる心があるなら、きっとこっちの明るい世界に帰ってこれると思ったんだお!」


その時、結晶が次々と音を立てて割れた。


川 ゚ -゚) 「ブーン!!」

ブーンは、魔法の行使のし過ぎのために、ふらりと倒れていった。

( ^ω^)「ツンの体・・・頼みましたお・・・」

そう言って、ブーンは気を失った。
しかし、ツンの結晶は解放されないままだった。

--最終話 前編 終--



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