ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 16:30:26.70 ID:Pw6SNvmF0
  
第八話『警察官(セイギノミカタ)、ギコ!』

〜前回までのあらすじ〜

( ゚∀゚)「おっぱい! おっぱい! おっぱい!」
ジョルジュ長岡は三度の飯よりおっぱいが好き!
好きな漫画家はゼロの者とひんでんぶるぐ!
今日も彼は、おっぱいを求めて荒野を走る!

( ・∀・)「この世界はAカップによって支配されるべきなのさ」
対立するは、貧乳教枢機卿のモララー!
定期購読雑誌はコミックLO!
彼は信者を率いて、この世からボインを絶滅させようとしていた!

( ・∀・)「受け入れたまえ!
     スレンダーの桃源郷(アルカディア)を!!」
( ゚∀゚)「負けるか!
    巨乳は最後に必ず勝つ!!」
激化する死闘!
舞う血飛沫!
ジョルジュとモララーが激突するとき、
第三の勢力、同系接合族(ギルド・オブ・ローズ)が現れる!

( ・∀・)「ツルペタブラスタアアァァァァァァァァァァァ!!!」
( ゚∀゚)「ウォーターメロンクラッシャアアアァァァァァァァァァァ!!!」
お互いの信念と信念が火花を散らす!!
こいつらの人生はどっちだ!!!



7: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 16:35:39.22 ID:Pw6SNvmF0
  
以下、何事もなかったように本編再開


        *         *         *


(,,゚Д゚)「この前は逃げられたが、今日こそは詳しい話を聞かせてもらうぜ?」
ギコが拳銃を向けたまま、更に問いかける。
ギコとこちらとの距離は、およそ6、7メートル。
完全に、拳銃の有利な間合いだ。

イ从゚ ー゚ノi、「知り合いか? マスク仮面」
('A`)「あー……まあ、そうかもしれん……」
よりによって、何て悪いタイミングで現れるんだ、こいつは。
つか、この前逃げたことをまだ根に持ってるな。



9: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 16:45:40.01 ID:Pw6SNvmF0
  
('A`)「この前、偶然出会った刑事でさ。
   そん時は上手く逃げられたんだけど……」
イ从゚ ー゚ノi、「成る程。
     正義のヒーローとは、国家権力から逃亡することが仕事だったのじゃな」
ドス女が嫌な笑みを浮かべながらさらりと皮肉を言った。
こん畜生。

(,,゚Д゚)「……お前ら、無視すんなよ」
ギコが苛立たしげに拳銃を構えなおした。
(,,゚Д゚)「最初に言っておくが、妙な真似はするなよ?
   訳の分からん化物を退治するぐらいだから、
   まともにやれば俺じゃ歯が立たない位強いんだろうが……
   この状況では、そうもいくまい?」
ギコのその言葉は、正しくその通りだった。

今、ドス女は俺を背負う為に両腕が封じられている。
この状態では、すかさず日本刀を抜刀、というわけにはいかない。
加えて、62キログラム分の俺のウェイト。
いくらドス女とはいえ、間合いの離れたこの状況からの戦闘開始は、不利と言える。

ただ、ギコは重要なことを読み違えていた。
ドス女にとって、その程度のハンデなど、
単なる人間に過ぎないギコを倒すのに何の支障も無いということを。
得物として拳銃を持っていようが、その結論は覆しようがなかった。



10: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 16:51:40.01 ID:Pw6SNvmF0
  
イ从゚ ー゚ノi、「……どうする、マスク仮面。
     あの程度の輩、すぐにでも昏倒させれるが」
ドス女が小声で俺に告げた。

('A`)「いや、なるべくそういう物騒なのは無しで。
  一応、向こうは警察官だし……」
とは言え、どうするか。
このまま大人しく相手のいいなりに捕まっては、
晴れて前科一犯の身にクラスチェンジしてしまう。

かと言って、相手を殺したり怪我させてまで逃げるのはもっとまずい。
そんなことをすれば、一生警察から追われることになってしまうし、
何より正義のヒーローとして完全にアウトだろう。

ここは、可能な限り話し合いで解決するべきだ。



11: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 16:56:41.85 ID:Pw6SNvmF0
  
('A`)「え〜と、何か勘違いしてらっしゃるようですが、
   私達は別にクマの怪物とかそういうものとは一切関係ありません。
   ただの、善良な市民ですよ?」
精一杯友好的な雰囲気を装い、俺はギコに微笑んだ。
しかし、ギコは表情を強張らせたままこちらを睨み続ける。

(,,゚Д゚)「……その日本刀は?」
いきなり、あまりにもクリティカルな職務質問をギコに投げかけられた。
俺が不安そうにドス女を見ると、
ドス女は任せておけ、と自信満々の笑みで答える。

イ从゚ ー゚ノi、「趣味」
およそ考え得る限り、最悪の言い逃れだった。



14: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 17:03:03.03 ID:Pw6SNvmF0
  
(,,゚Д゚)「舐めんな犯罪者どもがあ!
   いい加減にしやが……!」
ギコが銃爪に指をかけた瞬間、ドス女が動いた。

俺を背負ったままにも関わらず、
目にも止まらぬ動きでギコとの間合いを詰め、左足で拳銃を蹴り飛ばす。

(,,゚Д゚)「なッ……!」
驚愕するギコの足元を、体を沈めてからの足払いで掬い取る。
バランスを崩し、ギコは背中から仰向けに地面に倒れた。

(,,゚Д゚)「くッ!」
倒れた姿勢のまま、ギコが地面に落ちた拳銃を再び拾い上げようとしたが、
ドス女が拳銃を更に遠くへ蹴り飛ばすことで、その試みは失敗に終わる。
そもそも、人間が怪人と闘おうなど、最初から無茶な話だった。



16: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 17:10:56.10 ID:Pw6SNvmF0
  
イ从゚ ー゚ノi、「王手」
(,,゚Д゚)「糞が……!」
ドス女が上からギコを見下ろし、静かに告げた。
しかし、ギコは絶体絶命の状況にも関わらず、
なおドス女に噛み付くような視線を向け続ける。

イ从゚ ー゚ノi、「……何の目的があるのかは知らんが、これ以上深入りをせぬことじゃ。
     次は、こんなもので済まぬぞ?」
諭すようにドス女がギコに言う。
しかし、ギコは全くその言葉に耳を貸そうとせず、
(,,゚Д゚)「ふざけるな!
   今まで、何人死んでると思ってんだ!
   それなのに、上は全くそれを調べようともしねえ!!
   お前らは何だ!
   裏で何が動いている!
   答えろ!!」
ギコが叫ぶ。
しかしそれは、こっちが聞きたい話だった。

ドス女。
蜘蛛男。
クマ男。
実験施設。

当事者の一人である俺ですら、何が起こっているのか分からない。



19: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 17:22:02.73 ID:Pw6SNvmF0
  
('A`)「……悪の秘密結社が、怪人と戦闘員を操って、
  世界征服をしようとしていると言ったら、信じるか?」
俺はギコをまっすぐに見据えてそう言った。

(,,゚Д゚)「……ああ?」
案の定、ギコは全く信じていない様子だった。
そりゃそうだろう。
こんな話をいきなり聞かされて、真に受ける方が異常者だ。

イ从゚ ー゚ノi、「行くぞ、マスク仮面。
     これ以上の問答は時間の無駄じゃ」
ドス女がギコに背を向け、その場を立ち去ろうとする。

(,,゚Д゚)「てめえ、待ちやがれ!!」
ギコは起き上がり、拳銃の所まで駆け出して、
手に握り直した拳銃をもう一度こちらに向けた。
しかし、ドス女は全く動じる様子もなく歩き続ける。

(,,゚Д゚)「おい、待てって言って……!」
しかし、ギコは銃爪を引くことはなかった。
さっきので、そんなものが通用する相手ではないと痛感したからだ。

(,,゚Д゚)「このままで済むと思うなよ!!」
最後にギコがそう叫んだときには、
俺達とギコとの距離はすっかり離れてしまっていた。



23: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 17:27:17.11 ID:Pw6SNvmF0
  




('A`)「……さっきの刑事、諦めてくれるかな」
ギコが追いかけてくる様子がないことを確認してから、
俺はドス女に聞いた。

イ从゚ ー゚ノi、「十中八九、それはないじゃろうな。
    比喩でなく、死ぬまで喰らいついてくるじゃろう」
('A`)「そっすか……」
俺は溜息をついた。
全く、あんなしつこそうな相手に目をつけられるとは。
これからは、今まで以上にマスク仮面スーツを着て外に出る時には、注意をしなければならない。

イ从゚ ー゚ノi、「それと、さっきのギコへの言葉は、お主にも言ったものなのじゃがな」
('A`)「?」
言葉の意味が理解できず、返答に詰まってしまう。

イ从゚ ー゚ノi、「今回はたまたま命が助かったが、次も助かるという保障は無い。
    ……正義のヒーローも、そろそろ幕の引き時ではないか?」
('A`)「…………」



25: 電気店勤務(岡山県) :2007/03/30(金) 17:33:38.76 ID:Pw6SNvmF0
  
('A`)「俺は……」
ドス女の言う通りだった。
今回俺が生きているのは奇跡に等しい。
次は、死んだっておかしくないだろう。
だが――
だが、それでも、俺は――

('A`)「ここまで来て、やめられるか。
   第一、もう怪人達には俺の素性がバレたかもしれないんだ。
   今更、無関係とはいえないだろ」
詭弁だ。
こんなもの、後付の理由に過ぎない。
俺は、正義のヒーローという逃げ場を失うことが怖いだけだ。

イ从゚ ー゚ノi、「……そうか」
ドス女が、どこか悲しそうに呟く。

近いうち、俺は本当に死ぬのかもしれない。
だが、それでも後悔はしないだろう。
今まで、俺は生きながら死んでいた。

それが、怪人に会って、ドス女に会って、
再び生まれ変わることが出来たのだから。


〜第八話『警察官(セイギノミカタ)、ギコ!』 終
 次回、『弱虫の遠吠え』乞うご期待!〜



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