ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:20:05.30 ID:YUVRVeP30
  
第十話『激突、素直クール対怪人トラ男!』

〜前回までのあらすじ〜

ミ,,゚Д゚彡「ホワイトハウスは、我々『エロゲのモザイクを無くそう解放軍』が占拠した。
      72時間以内に我々の要求を承認しなければ、
      大統領以下ホワイトハウス内全員の人質を殺す」
20XX年、ホワイトハウスは突如謎の集団によって占領された!
突きつけられる無理難題な要求!
迫る制限時間!
そんな中、状況の打開の為、特殊部隊の投入が決定された!

(`・ω・´)「俺、この任務が終わったら結婚するんだ」
(*゚∀゚)「無事帰ってきたら一杯や ら な い か」
続々と立てられる死亡フラグ!
勿論、この台詞を言った両名は上映30分で作中からリタイヤだ!

( ^ω^)「シャキン、ツー、お前らの敵は絶対取るお……!」
特殊部隊最後の生き残りとなったブーン!
孤立無援の状況で、テロリスト軍団に立ち向かう!

ξ゚听)ξ「ああッ……やめて。 お止しになって……」
無理矢理挿入されるラヴシーン!
お色気要素で日曜洋画劇場放映時の視聴率もウハウハだ!

( ^ω^)「ああッ……やめて。 お止しになって……」
勿論801にも対応完備!
ブーンの菊門の貞操の命運は!?



3: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:23:10.61 ID:YUVRVeP30
  
ミ,,゚Д゚彡「ブーン、君が投降しなければ5分毎に一ずつ人質が死んでいくぞ?」
狭まっていく包囲網!
テロリストの卑劣な罠に、ブーン、絶体絶命!?

( ^ω^)「んあぁッ!」
ミ,,゚Д゚彡「だはァッ!」
途中どんなに銃撃戦が繰り広げられようが、最後は結局肉弾戦だ!
微妙な掛け声と共に、エセカンフーが炸裂する!

( ^ω^)「ゲームオーバーだお」
たった一人の潜入作戦を、ブーンは生き残ることが出来るのか!?
そして、テロリストの目的とは一体!?

全米が震撼!!
制作費100億ペリカ!!
『ミッションインポッシブーン』、4月12日上映開始!!!

Coming soon!!!



6: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:28:28.21 ID:YUVRVeP30
  


                *    以下、何事も無かったかのように再開     *


川 ゚ -゚)「ここ、か……」
10月22日午前3時。
ドクオが奇形男の管理する実験施設を壊滅させてから2時間後、
同じ場所に、JOW特殊戦闘部隊所属の素直クールの姿があった。

VIP市の外れにある廃工場から、謎の爆発音があったという情報を掴んだJOWが、
調査のために彼女をここまで派遣したのだった。

川 ゚ -゚)「…………」
クーは工場前で足を止めた。
荒事には慣れている筈の彼女ではあったが、
今回の任務では何故かいつも以上に嫌な予感を感じていた。

この廃工場の中に入ってはいけない。
何か、恐ろしいことがここで起こった。

戦士としての第六感が、そう告げていた。

川 ゚ -゚)「……虎穴に入らずんば虎子を得ず、か」
しかし、給料を貰っている以上正当な理由無く上からの命令には逆らえない。
何より、彼女の性格が任務放棄を許さない。
意を決し、廃工場の中に侵入していく。



7: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:35:41.38 ID:YUVRVeP30
  
川 ゚ -゚)「……! これは……!」
廃工場の地下の隠し実験施設に入り、クーは驚愕した。
そこら中に、彼女の敵対勢力である組織の戦闘員らしき死体が転がっている。

それも、単なる死体ではなく、
毒ガスか何かで憤死したらしい惨たらしい死に様の死体ばかりだ。

川 ゚ -゚)「……ブーンが来れなくて幸いだったな」
ブーンは現在、別の任務のためクーとは別行動している。
彼がもしこの現場を見たら、きっとトラウマになっていたことだろう。

しかし、いつまでも死体に構っているわけにはいかない。
死体を踏まないように避けつつ歩きながら、クーはここで何があったのかを調べることにした。



9: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:38:23.90 ID:YUVRVeP30
  






川 ゚ -゚)「……一足遅かったようだな」
実験施設内のデータは、既に何者かに持ち出された後だった。
恐らく、敵の組織が異変を知るなりすぐに情報の隠蔽工作を行ったのだろう。

川 ゚ -゚)「仕方が無い。 戻るとするか」
今のところ大丈夫なようではあっても、
毒ガスが使われたかもしれない密閉空間に長居するのは、あまり気分が良いものではなかった。
収穫も無かったので、クーはそのまま廃工場を後にすることにする。

川 ゚ -゚)「…………」
地上に続く階段を上がり、実験施設から廃工場へと出る。
溜息をつきながら、外と繋がる出入り口へと歩みを進め――



11: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:44:08.27 ID:YUVRVeP30
  
川 ゚ -゚)「誰だ……!」
目にも留まらぬ早業で懐から拳銃を抜き出し、
物陰へと銃口を向けた。

(=゚д゚)「……勘が良いラギね」
闇の中から、一人の男が姿を現す。
頬に左右二本ずつ、計四本の傷がある、陰のある顔立ちの男。
年齢は、クーと同じか少し上、といったところであろうか。

川 ゚ -゚)「何者だ。 何をしにここへ来た」
クーが男の眉間に照準を合わせながら詰問する。

(=゚д゚)「どうせ見当はついてるだろうに一々聞くなラギ。
     まあ、社交辞令として一応自己紹介させて貰うと――」
男は、銃を向けられてるというのに全く動じない様子で、

(=゚д゚)「俺の名前はトラギコ――ま、怪人トラ男とでも呼べばいいラギ。
     ああ、そっちは名乗らなくていいラギよ」
川 ゚ -゚)「ほう、そちらもこちらの見当はついているようだな」
(=゚д゚)「ああ。 世界最大の暴力組織だろラギ?」
トラギコが挑発するような態度で言う。

川 ゚ -゚)「……貴様達と一緒にするな。
     我々の力は、あくまで正義の為にのみ使われている」
クーが殺気のこもった瞳でトラギコを見据えた。



12: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:44:57.23 ID:YUVRVeP30
  
(=゚д゚)「ま、ここで正義だの悪だの青臭えべしゃり場もどきをするつもりは無いラギ。
     どうせ、お前の目的はこれラギ?」
トラギコがポケットからMDのような物を取り出し、
これ見よがしにクーに見せた。

川 ゚ -゚)「……成る程。 欲しければ、力尽くで奪えと?」
(=゚д゚)「お前達JOWの得意中の得意じゃないラギ?」
川 ゚ -゚)「言ってろ!!」
叫ぶと同時に、クーの拳銃が火を噴いた。

(=゚д゚)「ラギ!」
トラギコが闇の中へと身を隠しつつ、銃弾を避ける。
何も見えなくなった空間に更に銃弾が打ち込まれ、柱や機材に命中して火花を散らす。

(=゚д゚)「ラギィ!!」
闇の中から再びトラギコが姿を現したとき、彼の姿は先程までとはすっかり違っていた。
全身が金色の体毛に覆われ、そこに何本もの黒い線が入っている。
まさに、猛虎そのものの姿だった。

(=゚д゚)「ラギ!!」
トラギコが放たれる銃弾をかわしつつクーに接近し、
裏拳気味に右手でのパンチを放つ。
クーは後方に跳躍しつつその一撃をかわすと、空中からトラギコに向けて銃爪を何度も引き絞った。



13: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:51:33.46 ID:YUVRVeP30
  
(=゚д゚)「はッ! 拳銃なんかで怪人を――」
それ程のダメージにはならないと考えたのか、トラギコが銃弾を避けることもなく体で受ける。
が、それは大きな間違いだった。

(=゚д゚)「くあッ!?」
いつもなら、着弾と同時に再生が始まるはずなのに、
クーから受けた銃創からは血が止まることなく流れ続けた。

川 ゚ -゚)「――対怪人用薬品を弾頭に込めた特殊弾丸だ。
     こちらが、貴様らに何の対策もしていないとでも思ったか?」
マガジンを交換しながら、クーがトラギコに言った。

(=゚д゚)「……はッ! そりゃあそうラギね。
    なら、こっちも飛び道具を使わせて貰うラギ!!」
言うと、トラギコは右腕を大きく振りかぶり、
野球の投球フォームのように力強く腕を振り下ろした。



15: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:54:11.17 ID:YUVRVeP30
  
川 ゚ -゚)「!?」
その腕から、紅蓮の炎が放たれる。
川 ゚ -゚)「くッ!」
左に横っ飛びし、クーが辛うじてその炎の魔の手から逃れた。
振り向くと、さっきまでクーがいた位置の後ろにあった鉄筋製の柱が、
まるでアイスキャンデーのようにドロドロに溶けてしまっている。

(=゚д゚)「上手く避けたラギね。 だが、いつまで続くラギかね!!!」
トラギコが横に腕を凪ぐと、それに合わせてトラギコの前側180°に炎が荒れ狂う。
川 ゚ -゚)「!!!」
クーは近くにあった機材を足場に上方に跳び、赤色の脅威から身をかわす。
足場にした機材はあっという間に消し炭となり、その恐ろしい光景に冷や汗が伝うが、
今は恐怖を感じている場合ではない。
反撃に、上空からトラギコに向かって拳銃を撃ち込む。

(=゚д゚)「ラギ!」
しかし、その銃弾は炎によってトラギコに到着する前に蒸発した。

クーは愕然とする。
冗談ではない。
こんな化物、正面からではとても倒せない。



17: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:54:49.01 ID:YUVRVeP30
  
(=゚д゚)「……そろそろ、どう足掻いても無駄だと分かったラギか?」
トラギコが獰猛な笑みを浮かべながらクーに問う。
川 ゚ -゚)「…………」
クーは何も答えない。

(=゚д゚)「観念したみたいラギね。
    ま、せめてもの情けに苦しむ間もなく火葬してやるラギ」
トラギコがクーに向かって一歩踏み出した。

そう、正面からでは決して勝てない。
         ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
だがそれは、正面から闘えば、の話だ。



18: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 22:59:55.92 ID:YUVRVeP30
  
川 ゚ -゚)「出番だ、ツン」
クーがそう言うと同時に、廃工場の外から一人の少女が姿を現した。
ξ゚听)ξ「喰らえ!!」
少女が叫ぶ。
直後、トラギコの体は突風でも受けたかのように大きく吹き飛ばされた。

(=゚д゚)「がはッ!!」
口から血を吐きながら、トラギコがよろよろと立ち上がる。
(=゚д゚)「……!? 今のは――念動力!?」
ξ゚听)ξ「正解よ、トラ男さん」
再び、トラギコの体が目に見えない衝撃波を受けて宙を舞った。
壁に叩きつけられ、土煙を上げながら地面に倒れる。

川 ゚ -゚)「済まないな、トラ男。
     最初しばらくの間私が一人だけで闘っていたことから、仲間はいないと思っていただろう?
     その隙を、突かせて貰った」
ここに来て、形勢は逆転していた。
こういった万が一の状況に備えて、クーはツンを外に待機させていたのだ。

ツン――
JOW日本支部の長官の娘であると同時に、特殊戦闘部隊の切り札。
生まれながらのPK能力者で、その威力は見ての通りである。

とはいえ、戦闘技術は全くの素人のため、
手練との一対一の勝負では勝ち目は薄い。
しかし、戦闘のプロフェッショナルであるクーが壁役になることによりその欠点は補われ、
最強の砲台としての力を遺憾なく無く発揮できるのだ。



19: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 23:05:37.39 ID:YUVRVeP30
  
ξ゚听)ξ「止めぇ!!」
ツンが再度念動力を放つ。
不可視の一撃が、音も無くトラギコに襲い掛かる。

(=゚д゚)「舐めるなァッ!!!」
しかし、トラギコも只の怪人ではなかった。
渾身の力を込めた炎を放ち、衝撃波を相殺する。
どころか、相殺するだけでは炎の勢いは止められず、
相殺し切れなかった炎がクーとツンに襲い掛かる。

川 ゚ -゚)「ツン!」
クーがツンを抱きかかえながら炎を回避した。
ξ゚听)ξ「キャアッ!」
二人は地面を転がり、クーがツンを支えながら立ち上がる。

何という男なのか。
あのツンの念動力以上の火炎を操るとは……!



23: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 23:12:02.40 ID:YUVRVeP30
  
川 ゚ -゚)「……ツン!」
クーが何かを思いついたような顔で、ツンに目配せする。
ξ゚听)ξ「……? ……! 分かったわ!」
ツンは一瞬思考し、すぐにクーの言わんとすることが分かったのか頷きを返す。

ξ゚听)ξ「これならッ!」
ツンが念動力を飛ばす。



22: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 23:10:24.79 ID:YUVRVeP30
  
しかし、その一撃はトラギコのいる場所とは全く別の所に着弾しただけだった。

(=゚д゚)「……?
    どこを狙って――」
トラギコが口を開こうとした瞬間、ガラガラと、彼の頭上から不吉な音が聞こえ始めた。
(=゚д゚)「!? まさか!!」
彼が気付いたときには、既に遅かった。

地下実験室の爆発や、先程からの闘いで、
ただでさえ老朽化している廃工場は更に脆くなっている。
その廃工場を何とか支えていた支柱を、ツンの念動力で破壊したのだ。
そして、当然その結果――

(=゚д゚)「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
廃工場の天井が、トラギコ目掛けて落ちてくる。
出入り口の近くにいたクーとツンは、即座に廃工場から脱出出来たが、
奥にいたトラギコはそうはいかない。
大量の瓦礫が彼に降り注ぎ、瞬く間にトラギコは生き埋めとなった。



25: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 23:17:00.86 ID:YUVRVeP30
  




川 ゚ -゚)「…………」
廃工場が瓦解する音が止み、辺りを静寂が包んでいた。

ξ゚听)ξ「……やったの?」
川 ゚ -゚)「多分、な……」
瓦礫の中から、トラギコが出てくる様子は無い。
それを確認し、クーはようやく胸を撫で下ろした。

ξ゚听)ξ「あんな怪人がいるなんて……」
ツンも何度か怪人や戦闘員と闘う機会はあったが、
あそこまで強力な怪人に会ったのは初めてのことだった。
それはクーにしても同様で、思い返すだけで身震いする。

川 ゚ -゚)「……どうやら、相手は思っている以上に強大な組織のようだ。
     こちらも、相応の準備をしなければならないな」
クーは自分に言い聞かせるように呟く。

そう、あんな手合いがいると分かった以上、楽観視は出来ない。
罪無き世の人々に、これ以上の被害を出さない為にも、
ここで、自分達が止めなければならない。
何故なら、自分達は正義の味方の組織なのだから。



27: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 23:20:31.35 ID:YUVRVeP30
  




(=゚д゚)「あ〜〜〜、痛ってぇ……」
クーとツンが立ち去ってからしばらくしてから、
瓦礫の山の中からトラギコが這い出てきた。

(=゚д゚)「糞ッ。 久々に手酷くやられちまったラギ。
    全く、あのへんてこなヒーローもどきをここに連れてきた途端、
    ここの実験施設が壊滅したり、その後始末させられたりと、最近ついてないラギ」
体についた汚れを手で落としながら、トラギコは愚痴を漏らした。
ポケットに手を入れ、中の情報記録素子が無事なことを確かめ、ほっと安堵する。

(=゚д゚)「それにしても、あんな女共がいるとは……
    矢張り侮れないラギね、JOW」
トラギコの目に闘志が宿る。

今回は、決着がつかなかったとはいえ自分の負けだろう。
しかし、次はこうはいかない。

あのスカした女と生意気な女……
二人への対抗心を、トラギコは静かに燃やすのだった。


〜第十話『激突、素直クール対怪人トラ男!』 終
 次回、『誰が為に闘う』 乞うご期待!〜



28: ゲーデル(チリ) :2007/04/02(月) 23:21:39.70 ID:YUVRVeP30
  
この番組は、

コミックメガストア
コミック天魔
コミック桃姫
コミックLO
コミックドルフィン

の提供でお送りしました



戻る第十一話