ドクオは正義のヒーローになれないようです

98: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:17:20.92 ID:144VBvdz0
  
第十三話『死闘、ネガティブアバター対蝙蝠男!』

〜前回までのあらすじ〜

1947年、日本――
第二次世界大戦は日本の敗北という形で終結し、
人々は久し振りの平和の中、新しい時代を築こうとしていた。
だが――
世界の裏側では、闘いはまだ終わってなどいなかった!

イ从゚ ー゚ノi、「……全く。 ようやく日本軍が潰れたと思ったら、またこれか」
魔性の銀狼、銀。
その力を狙っていた日本軍が解体された今、新たな勢力の魔の手が彼女に襲い掛かる!
( ´∀`)「JOW日本支部特殊戦闘部隊、モナー。
      銀獣、お前の全て、このモナーが頂くモナ」
対峙するは、『死置き人』モナー!
月夜の下、二人の兵が激突する!

イ从゚ ー゚ノi、「必中必殺――
       成る程。 故の、『魔弾』ということか」
( ´∀`)「その通りモナ。 
      とくと味わえ、モナーが『魔弾』の妙味をな……!」
『死置き人』モナーの秘奥儀、『魔弾』の正体とは!?
その絶技の前に、銀に反撃の隙間はあるのか!?

( ´∀`)「その心臓ブチ抜いて、百舌鳥の早贄にしてやるモナ!」
ミ,,゚(叉)「大きく出たな、小僧! その台詞、今際の際にも言えるかな!?」
交錯する影と影!
果たして、最後に立っているのはどっちだ!?



99: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:18:28.27 ID:144VBvdz0
  


             *    以下、何事も無かったかのように再開    *


( ▼w▼)「うおおおおおおおッ!」
ネガティブアヴァターは蝙蝠男に向かって突進した。

ミ,,・・彡「ちッ!」
ネガティブアヴァターの右ストレートを、蝙蝠男が左の鉤爪で受け止める。
受け止めると同時に、蝙蝠男は口を開けてそこから衝撃超音波を放出した。

( ▼w▼)「があァッ!!」
至近距離からの衝撃超音波を受け、流石のネガティブアヴァターも無傷というわけにはいかなかった。
手で両耳を押さえながら、よろよろと後ろによろめく。

ミ,,・・彡「死ねぇッ!」
その隙をついて、蝙蝠男がネガティブアヴァターの心臓目掛けて右の鉤爪を突き出した。
( ▼w▼)「ギッ!」
よろめきながらも、ネガティブアヴァターは何とかその一撃を避けようとする。
しかし、それでも完全に回避することは出来ず、
左の肩口に蝙蝠男の鉤爪が深く食い込んだ。

ミ,,・・彡「ハハハッ……! どうだ!!
      死ィ――」
蝙蝠男が鉤爪を捻って更に肉を抉り込む。
迸る黒い溝川のような体液。
それが、返り血として蝙蝠男の体に降りかかった時――



100: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:19:07.25 ID:144VBvdz0
  
ミ,,・・彡「!? ――ッキ、なああああああああああああ!!?」
黒い体液が付着した部分から、煙と異臭が立ち込める。
ネガティブアヴァターの体液が、強酸のように蝙蝠男の体を溶かしていたのだ。

ミ,,・・彡「うおおおおおおおお!?」
慌てて蝙蝠男が突き刺していた鉤爪を引き抜く。
見ると、その鉤爪も見る影もないほどボロボロに腐蝕してしまっていた。

有り得ない。
蝙蝠男は戦慄する。
こんな化物と、どうやって闘えというのだ――

( ▼w▼)「がああああああああ!!」
今度はネガティブアヴァターの反撃の番だった。
右手で左の肩口から突き出していた棘のような外骨格を掴むと、一気に引きずり出す。
そこには、まるで骨で創ったかのような片刃の剣が握られていた。

( ▼w▼)「らああァッ!!」
ネガティブアヴァターが、その異形の剣で蝙蝠男に斬りかかる。
ミ,,・・彡「くッ!」
無事な方の左の鉤爪で、蝙蝠男がその一閃を受け止める。
弾ける火花。
その閃光が、一瞬二人の体を照らす。



101: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:19:39.08 ID:144VBvdz0
  

( ▼w▼)「るああァッ!!」
ネガティブアヴァターが空いている方の左手で、
今度は右肩の突起から同様に剣を引き抜いた。
続けざまに、その剣で蝙蝠男に斬りつける。

ミ,,・・彡「!! くぅッ!!!」
右手の腐蝕した鉤爪では防ぎきれないと判断し、
蝙蝠男が後ろに跳んでその斬撃を回避しようとした。

ネガティブアヴァターの異形の剣の先端が、蝙蝠男の皮膚を薄く切り裂きそこに紅い線が走る。

問題無い。
かすっただけだ。
戦闘に何の支障も――



102: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:19:59.14 ID:144VBvdz0
  
ミ,,・・彡「!!? ぐああああああああああああああ!!!」
未だかつて味わったことがない程の激痛に、蝙蝠男は悲鳴を上げた。
先程ネガティブアヴァターに斬られた所の傷から、
まるで赤熱化した金属でも押し当てられているかのように痛みが伝わってくる。

その原因は、ネガティブアヴァターの剣だった。
異形の剣の表面に付着している毒素が傷口から体内にに忍び込み、
痛覚神経をズタズタに引き裂いていたのだが――
しかしそれは、蝙蝠男には知る由も無いことだった。

ミ,,・・彡「ぬううううう!!」
蝙蝠男は作戦を変えた。

ここは、一旦退却するべきだ。
まず、衝撃超音波であの狼女を殺す。
もしそのことで目の前の黒い化物が動揺するようなら、その隙を突いて逃げる。
それしかない。

ミ,,・・彡「喰らええぇぇッ!!」
銀に向けて、必殺の衝撃超音波が放たれた。



104: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:21:51.86 ID:144VBvdz0
  






イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面――」
銀は、ネガティブアヴァターと蝙蝠男との闘いを呆然と見守っていた。

ドクオのあの姿――
かつて、廃工場の地下施設で見たものだ。

そしてこの力。
矢張り、あそこのあの惨状は、ドクオがもたらしたものなのか。

イ从゚ ー゚ノi、「――――!!」
そこで、銀は恐ろしい考えに辿り着く。

あの地下施設には、毒ガスでやられたらしい死体がいくつも倒れていた。
ならばもしここで、あれと同じような兵器が使われたら……!



105: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:22:14.21 ID:144VBvdz0
  
イ从゚ ー゚ノi、「…………!」
そんなことをさせてはならない。
今ここで、毒ガスなどを使えば、付近の何人の人間が犠牲になるか。
そして、ドクオにはそのことで、一生消えない十字架を背負うことになってしまう。

これ以上、ドクオを暴走させてはならない。

イ从゚ ー゚ノi、「くッ……!」
だが――
どれだけ力を込めようとしても、銀の体は縫い止められたように動かなかった。
先程の衝撃超音波のダメージが、まだ銀の体に深い爪痕を残しているのだ。

イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面……!」
体が鉛のように重く、びくともしない。

何故、動けない。
自分は、人間以上の身体能力を持った妖ではないのか。

イ从゚ ー゚ノi、「…………!!」
その時、銀の瞳に蝙蝠男が衝撃超音波を放とうとしているのが映った。
まずい。
今、もう一度あれを喰らえば生きている保障はない。

ミ,,・・彡「喰らええぇぇッ!!」
空気が揺れ、目に見えない衝撃がこちらに向かってくるのが分かる。
駄目だ、死――



106: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:23:49.08 ID:144VBvdz0
  

                *            *             *

( ▼w▼)「ぐうううゥッ……!」
頭が割れるような痛みが俺を苛む。

間一髪の所で、ドス女への衝撃超音波での一撃を庇うことが出来た。
俺は、確かに護ることが出来たのだ。

イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面……!」
ドス女が力の無い声で俺の名を呼ぶ。

大丈夫だ。
俺が闘える限り、ドス女には指一本だって触れさせやしない。
だから――
だから、これ以上今の俺の姿を見ないでくれ……!

ミ,,・・彡「ヒッ――!」
反転して、蝙蝠男が逃げ出そうとする。
させない。
ここまでやっておいて、
今更おめおめ生きて帰ることが出来るなどと思っているのか。



108: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:24:35.55 ID:144VBvdz0
  
( ▼w▼)「らあァッ!!」
左手の剣を、蝙蝠男目掛けて投げつける。
吸い込まれるように、剣が蝙蝠男の背中の中心へと突き刺さった。

ミ,,・・彡「ぎひィッ!!」
哀れなくらい情けない悲鳴を上げて、蝙蝠男がその場で膝をつく。
当然、その機会を逃がしなどはしない。

( ▼w▼)「うおおおおおおおおおおおおおッ!!!」
蝙蝠男の所まで駆け寄り、その首を右手の剣で斬り落とす。
恐怖に強張った表情のまま、蝙蝠男の頭部が宙を舞い、
その頭部をさらに四つに分断する。

脳漿と血を撒き散らしながら頭の破片が地面にばら撒かれ、
そのまま、蝙蝠男は動かなくなった。



109: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:25:59.23 ID:144VBvdz0
  

               *             *            *

頭部を完全に破壊され、蝙蝠男は絶命した。

( ▼w▼)「…………」
闇黒の外装を纏った怪人だけが、暗闇の中一人で立ち尽くしている。
恐ろしい筈のその姿には――
何故か、張り裂けるような悲しさが漂っていた。

イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面……」
銀が、よろよろとネガティブアヴァターのもとへと歩いていく。

( ▼w▼)「…………!」
しかし、ネガティブアヴァターはそれを拒絶するかのように後ろに下がった。
まるで、自分にはそんな資格はないとでも言うように。



111: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:26:55.08 ID:144VBvdz0
  
イ从゚ ー゚ノi、「――――!」
銀は、見た。
ネガティブアヴァターの瞳から、血の涙が流れていることに。

蝙蝠男を灼いた黒い体液ではない、赤い涙。
人間の、血の色の涙だった。

( ▼w▼)「――――」
と、ネガティブアヴァターが急にがくんと膝を折り、その場に倒れそうになる。

イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面!」
とっさに銀が抱きとめたとき、その姿は、既に元のドクオの姿へと戻っていた。

イ从゚ ー゚ノi、「ドクオ……」
銀の腕の中で気を失うドクオの頬には、赤い涙が伝っていた。

〜第十三話『死闘、ネガティブアバター対蝙蝠男!』 終
 次回、『JOW、ドクオと接触す』乞うご期待!〜



112: か・い・か・ん(チリ) :2007/04/06(金) 16:27:56.59 ID:144VBvdz0
  
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