ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 22:54:27.65 ID:Od0SCCAw0
  
第十六話『因縁の対決、『魔弾』VS『銀獣』!』

〜前回までのあらすじ〜

『今夜12時誰かが死ぬ』

絶海の孤島に立てられた洋館。
誰も近寄らぬ筈のその館に、数奇な運命に導かれた者達が集まったとき、
惨劇の火蓋は切って落とされた!

川 ゚ -゚)「ふむ、どいつもこいつも一癖二癖ありそうな連中ばかりだな」
たまたま洋館に来訪した名探偵、クー。
一見無関係そうな他の客人達には、実は隠された共通点があった!

( ><)「ひ、人が死んでるんです!」
引き起こされる第一の殺人!
完全密室状態での、明らかな他殺死体!
およそ不可能な完全犯罪に隠されたトリックとは!?

(´・ω・`)「駄目です! 船のエンジンがかかりません!
     無線も破壊されています!」
お約束の脱出不可能な状況!
一週間は助けはやって来ない!



2: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 22:54:59.30 ID:Od0SCCAw0
  
ξ゚听)ξ「この中に殺人犯がいるかもしれないってこと!?」
一体誰が犯人なのか!?
疑心暗鬼の状況の中、人間関係が破壊されていく!

( ゚∀゚)「もう誰も信じられない!
    俺は助けが来るまで自分の部屋に閉じこもるからな!
    それが一番安全なんだ!」
勿論こいつが二人目の犠牲者だ!
全員にアリバイがある状況での殺人!
恐怖に怯える獲物達を、犯人は影で嘲笑う!

( ^ω^)「ま、まさか犯人はこれを利用して……ぎゃああああああああ!!」
不幸にもトリックに気付いてしまった者が、新たな犠牲者となった!
しかし、彼が最期に残したダイイングメッセージが、犯人を特定する決め手となる!!

川 ゚ -゚)「犯人は、この中にいる!」
名探偵の推理が、遂に犯人に辿りついた!
犯人の正体は!?
その動機とは!?

川 ゚ -゚)「犯人は……お前だ!!」
名探偵の人差し指の先にいる人物とは!?
驚愕のトリックと、恐るべき事件背景が、今、明らかになる!!

本格推理サスペンス、『かまいたちのブーン』。
果たして、君たちはこの謎を解き明かすことが出来るかな!?



5: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 22:59:29.93 ID:Od0SCCAw0
  

             *   以下、何事も無かったかのように再開    *


('A`)「なん――だ、お前らは……?」
突然現れた見ず知らずの連中に、俺はすっかり平静を失っていた。

(,,゚Д゚)「誰だ、手前らは!?」
ギコにしてもそれは同様のようで、俺やドス女のことなどそっちのけで、
新たに出現した正体不明の者達にすっかり注意が向けられていた。

しかし、本当に一体何者なんだ、こいつらは。
一見して普通の人間のようだが――
そこから漂う雰囲気からは、今まで出会ってきた怪人と同等かそれ以上の圧力を感じる。
相当に手強い相手だということが、闘いの素人である俺にも手に取るように分かった。

川 ゚ -゚)「…………」
しかし、そいつらは俺やギコなど最初から眼中にないかのように一瞥もくれず、
ただ、ドス女にのみ警戒の矛先を向けていた。

俺達三人の中で、ドス女が一番注意すべき者なことを知っている。
ということは、ドス女と、何か関係がある連中なのか?

イ从゚ ー゚ノi、「何者じゃ、貴様らは?」
日本刀の柄に手をかけたままで、ドス女が四人に尋ねた。
演技な風でもない。
ということは、少なくともドス女は連中に心当たりが無いということになる。



8: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:04:23.46 ID:Od0SCCAw0
  
(´・ω・`)「……初めまして、『銀獣』さん」
『銀獣』――?
ドス女のことか?
何で、こいつらはそんな名前でドス女を呼んだのだ?

(´・ω・`)「おっと、こちらの自己紹介がまだでしたね。
      僕達は――」
イ从゚ ー゚ノi、「名乗らんでもよいぞ」
しょぼくれ顔の言葉を、ドス女が遮った。

イ从゚ ー゚ノi、「儂のことを『銀獣』と呼んだのは、後にも先にも一つだけじゃ。
      のう―― 『JOW』、絶対正義執行機関」
絶対正義――執行機関?
何だそりゃ。
だとしたら、こいつらは正義のヒーローだとでもいうのか?

川 ゚ -゚)「……知っているのなら、話は早い。
     『銀獣』、ここにこうして私達が来たのは他でもない。
     最近の怪人騒動について、知っていることがあるなら話してもらう。
     そして――」
イ从゚ ー゚ノi、「我々に協力してもらう。
       断るなら、力ずくでも、じゃろう?」
川 ゚ -゚)「…………」
澄ました顔の女は、肯定の言葉も否定の言葉も口にはしなかったが、
ドス女の言う通りの考えを持っていることは明らかだった。



10: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:07:01.67 ID:Od0SCCAw0
  
イ从゚ ー゚ノi、「ふん。 図星、か。
      変わらぬな。 お主らのやり方は、60年前から何一つ変わっておらぬ」
嘲るように、ドス女は言った。

だが――ドス女とそのJOWとやらの関係は、一体どんなものなのだろう。
見た感じ、決して良好なものではなさそうだが、
60年前というドス女の言葉から、かなり古くからの因縁があることが予想出来るのだが……

(´・ω・`)「酷い言われ様だね。
      別に僕達だって、手荒な真似は好きなんかじゃないよ。
      可能な限り、平和的解決を望んでるんだけどね」
但し、相手にその気が無いのなら話は別だけど、としょぼくれ顔の男は続ける。

何が、手荒な真似は好きじゃない、だ。
4人で取り囲んでおいて、面の皮が厚いにも程がある。

(,,゚Д゚)「おい、JOWってのは何なんだ!?
    職業柄ヤバい組織の情報を見ることはあるが、そんな名前見たことも聞いたこともねえぞ!?」
ギコが、ドス女と4人との会話に横槍を入れる。

(´・ω・`)「ああ、そういえば『銀獣』の他にもまだ人がいたんだったね。
      君こそ、誰だい?」
しょぼくれ顔が質問に質問で返す。
テストだったら0点だ。



12: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:09:17.32 ID:Od0SCCAw0
  
(,,゚Д゚)「VIP署刑事第一課のギコだ!」
『銀獣』その他の『その他』に数えられたことが不満だったのか、
ギコがことさら大きな声で答える。

(´・ω・`)「そうか、警察か。 だけど、これは君のような一般人が関わっていい問題じゃないよ。
      悪いことは言わない。 平凡な日常を大切にしたいなら今すぐここから帰って、
      見たこと聞いたこと全て忘れることだ。
      君だって、命は惜しいだろう?」
(,,゚Д゚)「なッ……!」
しょぼくれ顔の突き放したような返答にギコが絶句する。
その表情は、怒りと反抗心に満ち溢れていた。

(´・ω・`)「話を戻そうか。 『銀獣』、君は、最近の事件について何か知らないかい?」
ギコを完全に無視して、しょぼくれ顔がドス女に尋ねた。

イ从゚ ー゚ノi、「全く知らぬ、と言って、お主らは納得するか?」
川 ゚ -゚)「悪いが、出来ないな」
イ从゚ ー゚ノi、「じゃろう? しかし、実際儂は何も知らぬ。
       さあ困った。
       お主らは儂に『知っている』と答えようとさせ、
       儂は『知らない』としか答えることが出来ぬ。
       このままでは永遠に平行線のままじゃな」
ドス女がおどけたように答える。
その仕草に、澄ました顔の女はむっとした感じで、
川 ゚ -゚)「そうか、ならば仕方が無いな。
     だが、こちらもそうですか、はいさようなら、では済ませられないんだ。
     何より、お前と怪人とが、共闘しないまでも私達の敵となる可能性は否定出来ない。
     このまま、ここからただで返す訳にはいかないな」
澄ました顔の女の周囲に、張り詰めた空気が立ち上っていく。



14: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:13:52.95 ID:Od0SCCAw0
  


('A`)「ふざけんなよ、お前ら!」
今まで喋らなかった分、いつも以上に大きな声で俺は叫んだ。

('A`)「ドス女は何も知らないって言ってるじゃねえか!
   俺だって、何がなんだかわかんねえんだ!
   お前らの都合がどうかは知らねえが、勝手なそっちの思い込みで話を進めんな!」
今まで話を聞いていて分かった。
こいつらは、最初からこちらの話などまともに聞くつもりはない。
自分達の望む答えが得られなかったら、嘘を言っていると決め付けるだけだ。

('A`)「おい、そこの少年!
   お前、この前言ったよな?
   自分は正義のヒーローだって!
   これが、こんなのが正義のヒーローの仕事なのか!?
   おい、答えろよ!」
( ^ω^)「ぼ、僕は――」
俺の問いかけに、少年は言葉を詰まらせた。
心なしか、その顔は迷っているようにも見えた。

ξ゚听)ξ「何も知らないくせに何偉そうなこと言ってるのよ!
      このまま怪人騒動を放置したらどうなるか分かってるの!?
      それにあなた、そこの『銀獣』がどんな奴か、知ってるわけ!?」
性格のキツそうな女が、生意気な口調で俺に喋りかけてきた。

('A`)「ああ、知ってるね!
   少なくとも、悪い奴じゃないってことは、お前達よりよっぽどな!
   ドス女が昔何をしたかは知らねえが、怪人なんぞの手助けなんかするわけねえだろうが!」
俺はツンツン女に負けないくらいの勢いで反論した



16: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:17:05.72 ID:Od0SCCAw0
  
ξ゚听)ξ「馬っ鹿じゃないの!?
      自分が騙されてるとか、少しは考えないわけ?
      大体、関係無い人間が口を出さないで――」
(´・ω・`)「いや、彼は無関係な人間じゃないよ、ツン」
しょぼくれ顔がツンツン女を制するように言った。

(´・ω・`)「君のその手に持ってるのは、『マスク仮面』のスーツだね?
      その服を着た者が、怪人騒動に関わってるらしいことを知っているんだが……
      どうだい、君、何か知っていないかい?」
心の中まで見抜かれそうな視線を投げかけながら、しょぼくれ顔が尋ねてきた。

――どうする。
『知らない』、と答えたところで、ドス女同様信用されないのは目に見えている。

それに……
俺の内側に眠る力のことをこいつらが知ったら、最悪の場合こいつらは俺を殺しにかかるだろう。

迂闊に、何かを答えるわけにはいかない。



17: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:21:41.22 ID:Od0SCCAw0
  
イ从゚ ー゚ノi、「その男は何も知らぬよ。
       たまたま、事件に巻き込まれただけじゃ。
       第一見てみろ、このチンケな姿を。
       こんなクサレ男が、何か重大なことをしでかすとでも思うか?」
……庇ってくれているのは分かる。
それは分かる。
だが、妙に腹が立つのは何でだろう。

(´・ω・`)「それもそうだな……」
てめえも納得してんじゃねえよ。

イ从゚ ー゚ノi、「話はそれだけか? だったら帰らせてもらうぞ」
ドス女が俺の腕を引き、その場を一緒に立ち去ろうとする。



19: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:24:29.23 ID:Od0SCCAw0
  
川 ゚ -゚)「させない、と言った筈だ!」
澄まし顔の女が、最早敵意を隠そうともせずに、俺達の前に立ち塞がった。
その両手には、サブマシンガンのようなものが握られている。

(´・ω・`)「荒事は嫌いだけど、これも仕事だからね」
しょぼくれ顔の男の手には、何やらカードみたいなものがあった。
この状況、カード遊びをするわけではないだろう。
ならば、何らかの武器として使われる筈だ。

ξ゚听)ξ「…………!」
ツンツン女は真っ直ぐにドス女を睨む。
ただ睨んでいるだけの筈なのに、
その視線からはまるで大砲でも突きつけられているかのような脅威が感じられた。

( ^ω^)「…………」
少年は、黙ったまま立ち尽くしていた。
まるで、何をするべきか分からないかのように。

イ从゚ ー゚ノi、「……そうか。 ならば力ずくでもここを通らせて貰うぞ!」
ドス女が鞘から日本刀を引き抜き――



22: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:27:52.47 ID:Od0SCCAw0
  
('A`)「!!!」
突然、俺はドス女に突き飛ばされてその場に尻餅をついた。
直後に、何かが飛来するような、風を切る音。
その更に数瞬後、何かがぶつかったような鈍い音が響き渡る。

イ从゚ ー゚ノi、「…………!」
気が付くと、ドス女は両手と口で、それぞれ矢を受け止めていた。
この矢は、一体?
今の風切音は、この矢のものか?
だが、一体どこから――

(´ー`)「全く……気になって様子を覗いてみれば、矢張り揉め事になっていましたか」
俺やドス女のいるところから数十メートル離れたところに――
一人の老紳士が立っていた。
その手には、頑丈そうな金属製の大弓。
今のは、この老人の仕業なのか?

イ从゚ ー゚ノi、「今の『魔弾』、矢張りお主だったのだな、『死置き人』」
矢をその場に捨てながら、ドス女が懐かしそうな表情で言った。
てか、ドス女は、あの老人を知っているのか?



23: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:28:30.36 ID:Od0SCCAw0
  
(´ー`)「私の所の若者がご迷惑をかけたようで、どうも済みませんでした。
     しかし『銀獣』、あなたもあんな受け答えをしては場が険悪になるに決まっているではありませんか。
     昔の知人からの助言として言わせて貰いますが、もう少し言葉を選んで話をするべきだと思いますよ」
苦笑しながら老人が言葉を続ける。
しかし、その目は全く笑っていない。

イ从゚ ー゚ノi、「儂の性格じゃ、諦めろ。
       しかし――『魔弾』を撃ち込んで止めるというのも、どうかと思うがな」
ドス女が老人に皮肉で返した。

(´ー`)「あなたは、あれぐらいでは死なないでしょう?」
当たり前のように老人が言い切る。
イ从゚ ー゚ノi、「ふん、まあな」
ドス女が短く答えた。



27: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:31:16.72 ID:Od0SCCAw0
  
イ从゚ ー゚ノi、「……それにしても、老いたな、『死置き人』」
どこか悲しげな口調で、ドス女が言った。
(´ー`)「あなたが変わらないだけですよ、『銀獣』」
自嘲気味に、老人が答える。

イ从゚ ー゚ノi、「それで、どうするのじゃ?
       お主がわざわざこうして仲裁に入ったということは、
       このまま帰してくれるのかな?」
(´ー`)「そうしたいのは山々ですが……
     私も、立場上あなたを見逃すわけにはいかないのですよ。
     そこで、どうでしょう?
     ここで、私と一対一で闘ってはくれませんか?
     もし私があなたに勝てたら、大人しくついてくる、ということで」
済まなそうな表情で、老人はそう言った。

(´ー`)「皆さんも、それでいいですね?」
川 ゚ -゚)「…………」
ξ゚听)ξ「…………」
(´・ω・`)「…………」
( ^ω^)「…………」
他の四人が、黙示の肯定という形で答える。

(´ー`)「よろしいみたいですね。
     ならば……」
老人が背中に背負っている矢筒に右手を伸ばし、中の矢を掴む



28: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:33:31.12 ID:Od0SCCAw0
  
イ从゚ ー゚ノi、「はッ――」
ドス女が短く笑う。
イ从゚ ー゚ノi、「矢張りそう来たか。
       お主こそ、全く変わっておらぬな。
       好々爺の仮面を被っていまがら――
       その実、儂と闘いたくて闘いたくて仕方がないのじゃろう?」
(´ー`)「ご冗談を……
     ただの、年寄りの冷や水に過ぎませんよ」
イ从゚ ー゚ノi、「嘘をつくな。
       口では誤魔化しても、目の奥が本音を語っておるぞ?」
ドス女が日本刀を抜き、右手で逆手に持って構える。

イ从゚ ー゚ノi、「では始めるか、『魔弾』!
       共に踊ろうぞ!
       60年前のあの時のように!
       あの熱い夜のように!!」
ドス女が姿勢を低くし、老人目掛けて一気に駆け出した。

(´ー`)「どうぞお手柔らかに」
老人が、右手に5本の矢を持つ。



30: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:33:59.94 ID:Od0SCCAw0
  
イ从゚ ー゚ノi、「!!!!!」
そして、次の瞬間には5本の矢がドス女に向かって放たれていた。
5本それぞれが全く別の軌跡を描き――
しかし、そのどれもが正確にドス女の急所目掛けて吸い込まれるように飛んでいく。

一本は眉間に。
一本は喉に。
一本は心臓に。
一本は鳩尾に。
一本は肝臓に。

まるで誘導ミサイルのように、高速で動いている筈のドス女を微塵のずれもなく射抜こうとする。
それはあたかも、ドス女が自ら矢に当たりに行っているようにさえ見えた。

イ从゚ ー゚ノi、「ちィッ!」
しかし、ドス女もその攻撃をただ素直に喰らいはしない。
命中する寸前に、全ての矢を刀で叩き落とす。

イ从゚ ー゚ノi、「…………!!」
だが、叩き落とした直後に再び新しい矢が飛んでくる。
前進しようとするのを止め、矢を防御するドス女。
その矢を防いだと思ったら、また新しい矢が雨のように降り注ぐ。

そして、その矢のどれもが必中必殺。

あの老人、何て化物だ。
これでは老人に近づくどころか――
少し気を抜いただけで蜂の巣だ



35: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:37:19.50 ID:Od0SCCAw0
  
イ从゚ ー゚ノi、「は――ははははははははははは!」
そんな絶体絶命の状況にも関わらず、ドス女は楽しそうに笑った。

イ从゚ ー゚ノi、「楽しいな、『死置き人』!
       まるで、昔に戻ったみたいではないか、なあ!!」
(´ー`)「…………」
老人は何も答えない。

ミ,,゚(叉)「ならば――こちらもそろそろ本気を出すとするか!」
ドス女の姿が一瞬にして人狼のそれへと変わる。
と同時に、防御に裂いていた力を前進の力へと向ける。

ミ,,゚(叉)「!!!」
当然、前進するという行動を取る分防御が手薄になり、
矢の何本かがドス女の肩や足に突き刺さる。

しかし――
最低限急所は防御しつつ、致命傷だけは避けながら、
ドス女は矢の雨の中を掻い潜り一気に距離を詰めた。

(;´ー`)「くッ!」
今度は、老人が守備に回るターンだった。
ドス女が振るおうとする日本刀目掛けて矢を放ち、
刀身に矢を命中させて強引にドス女の攻撃を中断させる。

それは確かに恐るべき神業なのだが――
所詮は、悪足掻き。
明らかに、老人はドス女の猛攻に圧され始めていた。



37: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:38:31.14 ID:Od0SCCAw0
  
ミ,,゚(叉)「どうした、『死置き人』!
     こんなものではないじゃろう!
     昔のお前は、この程度ではなかったじゃろう!!
     もっと、力があった筈じゃ!!
     もっともっともっともっともっと――」
叫びながら、ドス女が刃と共に言葉をぶつける。
さながら、懇願するように。
さながら、祈るように。

ミ,,゚(叉)「そこまでか!?
     この程度の矢が、『魔弾』だと!?
     もう疲れたとでも言うのか!?
     闘え!!
     牙を剥き、反撃してみせろ!!」
……きっと、あの老人が若かった頃は、ドス女と良い勝負をしていたのだろう。
しかし――人は老い、朽ちる。
いつまでも、最盛期の力を維持することなど出来ない。
実際のところ、あの高齢でドス女とあそこまで闘えているのが奇跡なくらいなのだ。

ミ,,゚(叉)「お前も、儂の横を通り過ぎていくのか!?
     お前も、過去の記憶となってしまうのか!?
     お前も、儂を――独り残して置いて逝ってしまうのか!?」
慟哭のようなドス女の叫び声が響き渡る。

無理なんだよ、ドス女。
人間は、歳を取る。
お前のように、永遠に生きることは、出来ないんだ。



38: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:39:07.64 ID:Od0SCCAw0
  
(;´ー`)「くぅッ!!」
ついに、老人は矢を放つことが出来なくなった。
そこに袈裟斬り襲い掛かる白刃。
老人は辛うじて弓でその一撃を受け止めたが、ドス女の膂力を凌ぎ切れずに吹き飛ばされる。

(;´ー`)「矢張り、寄る年波には勝てませんか……」
最早、老人には立ち上がる力すら残されていなかった。

イ从゚ ー゚ノi、「…………」
狼化を解除し、ドス女が倒れた老人を静かに見下ろす。
今にも泣き出しそうなくらい、悲しいそうな顔で。

(;´ー`)「……止めを刺しなさい。
      それが、私達の間での礼儀だった筈です」
覚悟しきった表情で、老人が重い声で告げた。
そうするのが、当然とでも言うかのように。

イ从゚ ー゚ノi、「……老いたな、モナー」
しなしの沈黙の後、
ドス女が日本刀を握り直し――



39: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:39:39.00 ID:Od0SCCAw0
  
川 ゚ -゚)「…………!」
(´・ω・`)「…………!」
直後、澄まし顔の女としょぼくれ顔の男が動いていた。
澄まし顔の女がサブマシンガンの銃口を、
しょぼくれ顔がカードを、
それぞれドス女に突きつける。

川 ゚ -゚)「ご隠居、大丈夫ですか!?」
(´・ω・`)「……一対一、という約束を破って申し訳ないけど、
      ご隠居を見殺しには出来ないのでね」
二人が鋭い顔つきで、ドス女の行動を封じる。

('A`)「ドス女!」
俺は、ドス女に駆け寄ろうとした。


『我らと重なれ』


心の奥底で、声がする。

今、この力を使えば、ドス女を助けられるかもしれない。
ならば――



42: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:40:31.76 ID:Od0SCCAw0
  
イ从゚ ー゚ノi、「止めろ、マスク仮面」
ドス女が、そう言って俺の動きを止めた。

('A`)「でも……!」
俺は食い下がろうとしたが、ドス女はゆるゆると頭を横に振り、
イ从゚ ー゚ノi、「儂の負けじゃ。
       ――結局、儂は何一つ、あの頃から変われてはいなかった。
       そんな化物では、人間には勝てぬ」
ドス女は澄まし顔の女としょぼくれ顔をそれぞれ見て、
そして、最期に老人を見つめて言った。

イ从゚ ー゚ノi、「負けた以上、ここは大人しくついて行こう。
       じゃが、あとの二人は無関係じゃ。 見逃してやってくれ」
ドス女は、そう告げるのだった。


〜第十六話『因縁の対決、『魔弾』VS『銀獣』!』 終
 次回、『理想と現実の狭間で』乞うご期待!〜



43: 元祖広告荒らし(チリ) :2007/04/11(水) 23:41:03.41 ID:Od0SCCAw0
  
この番組は

OH! スーパーミルクちゃん
練馬大根ブラザーズ
エーアガイツ

の提供でお送りしました。



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