ドクオは正義のヒーローになれないようです

1:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:13:32.30 ID:ojKg+qU/0
  
第二十三話『正義のヒーローの義務』

〜前回までのあらすじ〜

あの邪気眼ブーン系小説、ついに格闘ゲーム化!
生首AA達が、今、最強の座を懸けて闘いを開始する!
飛び交う中二病センスの台詞と必殺技!
果たして、優勝は誰の手に!?



2:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:14:38.31 ID:ojKg+qU/0
  
・貯めろ! ヒロイックゲージ!!

攻撃をヒットさせたり喰らう度に、ヒロイックゲージが増加する!
このヒロイックゲージを消費することで、様々な特殊行動が可能となり、
攻撃と防御の幅を、更に広げることが出来るようになる!
勿論、一発逆転の超必殺技も使えるぞ!!


・繋げ! ナイフエッジコンボ!!

ヒロイックゲージを消費することで、
必殺技から更に通常技へとコンボを叩き込むことが出来るようになる!
休む暇なく攻め続け、相手に反撃の隙を与えるな!!


・砕け! ガードブレイクアタック!!

ヒロイックゲージを消費することで、
相手のガードゲージを大幅に減少させる一撃を加えるのが
このガードブレイクアタックだ!
守ってばかりの亀野郎は、こいつでぶん殴ってやれ!!



3:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:15:13.34 ID:ojKg+qU/0
  
・弾け! シールドバッシュ!!

相手からの攻撃をガード中、
ヒロイックゲージを消費することで、
相手を弾いて強制的にコンボを中断させることが出来る!
弾かれた相手はのけぞり状態になる為、その隙を突いての反撃も可能!
こいつでピンチをチャンスに変えるんだ!!


・耐えろ! アイアンボディ!!

ヒロイックゲージを消費することで、
一定時間攻撃を喰らってものけぞらない状態になることが出来る!
飛び込んだ時の対空技対策に、肉を切らせて骨を絶つカウンターに、
その用途は自由自在!
待ちガイルもこれでノープロブレム!!


・決めろ! 爆殺必殺技!!

難しい条件をクリアすることで、
超必殺技を遥かに超える威力の爆殺必殺技を使うことが出来る!
この技で相手を倒せば、ライダーキックを受けた怪人のように相手が爆発する演出が入る!
故の爆殺必殺技!!
使用できる状況は限られてくるが、ヒーローなら何としてもこの技で決めるんだ!!



6:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:17:54.42 ID:ojKg+qU/0
  
キャラ性能

('A`) ( ▼w▼) ドクオ(ネガティブアヴァター、怪人毒男)

本編の主人公。
使用出来る技はどれもこれも癖のあるものばかりだが、その威力はトップクラス。
移動スピード、防御力もそれなりにある為、いきなり窮地に立たされることも少ない。
特徴の有り過ぎる必殺技を、どのように使いこなすかが勝利の鍵だ。

必殺技
ポイゾニックミスト  ↓\→P
ペインブレイド  ↓/←P
ペインブレイド(対空)  →↓\P
ヴェノムコンビネーション  ←/↓\→K
ブラックラッシュ  ←↓/K

超必殺技
カオスデストラクション  ↓/←/↓\→P
ダークマター  ↓\→↓\→K

爆殺必殺技
ネガティブレインボウ  ↓/←/↓\→P



7:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:18:25.36 ID:ojKg+qU/0
  
イ从゚ ー゚ノi、 ミ,,゚(叉)  ドス女(銀獣)

スピードとパワーを兼ね備えた、
流れるような連続技が持ち味の攻撃特化型キャラ。
その反面、一旦受けに回ると弱い為、いかにして闘いの主導権を握り続けるかが重要となる。
また人狼に変身することで、爆発的なパワーアップが可能。

必殺技
剣戟・三日月  ↓\→P
剣戟・月光  ↓/←P×3
剣戟・半月  →↓\P
剣戟・明鏡  ↓/←K
剣戟・虫之音  →↓\K

超必殺技
剣戟・十六夜  ↓\→\↓/←P
剣戟・白夜  ↓\→↓\→P
人狼化  弱P弱K強P強K

爆殺必殺技
剣戟・望月  →\↓/←×2P



8:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:18:55.56 ID:ojKg+qU/0
  
( ^ω^) ( 0ш0)  ブーン(ブーン仮面)

使いやすい必殺技の揃った万能型キャラ。
目だった弱点も無いが、これといった長所も無いため、
ややもすると中途半端に取られがちだが、
裏を返せばいかなる状況でも互角以上に闘えるということである。
あらゆる状況を瞬時に判断し、上手く立ち回ることが出来れば最強も夢じゃない。

必殺技
ブーンパンチ  ↓\→P
ブーンキック  ↓\→K
ブーンエアーキック  空中↓\→K
ブーンジャンピングアッパー  →↓\P
ブーンショット  ↓/←P

超必殺技
ブーンブラスター  ↓/←/↓\→P
ブーンクラッシャー  →\↓/←→K

爆殺必殺技
ブーンファイナルキック  ↓\→↓\→K



9:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:19:54.89 ID:ojKg+qU/0
  
(´ー`)  初代モナー

必中必殺の魔弾を操る、大砲型遠距離攻撃タイプ。
魔弾はどれもこれも破壊力抜群だが、出がけにやや隙があるので
一定の距離を保ちながら闘うことが必要となる。
また当然その戦闘スタイルから、接近戦に持ち込まれるとかなり弱く、
移動速度、防御力共に低めなので注意が必要。

必殺技
魔弾壱〜轟砲〜  ↓\→P
魔弾弐〜洛陽〜  →↓\K
魔弾参〜飛燕〜  ↓/←P
魔弾肆〜斜陽〜  空中↓/←K

超必殺技
魔弾伍〜修羅〜  ↓\→↓\→P
魔弾零〜羅刹〜  ↓/←/↓\→K

爆殺必殺技
魔弾真〜死置〜(不完全)  ←/↓\→×2P



10:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:20:39.76 ID:ojKg+qU/0
  
川 ゚ -゚)  素直クール

銃器を使って闘うキャラ。
初代モナーが一撃必殺の大砲なら、こちらはスピードと手数で押すタイプの遠距離攻撃型。
攻撃に隙は少ないが、初代モナー同様防御力は低いので、
接近された際には注意が必要。
しかし上手く闘えば、相手を寄せ付けないまま勝利することも可能である。

必殺技
コルトガバメント  ↓\→P
デザートイーグル  ←/↓\→P
イングラムM11  →↓\K
レミントンM870  ↓/←P
ドラグノフ  →\↓/←K

超必殺技
パンツァーファウスト  ↓\→↓\→P
ジャッカル  ↓\→↓\→K

爆殺必殺技
パニッシャー  →↓\→↓\P



11:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:21:13.84 ID:ojKg+qU/0
  
(=゚д゚)  トラギコ(怪人トラ男)

圧倒的な火力で相手を焼き尽くす攻撃型キャラ。
やや移動スピードは遅いものの、それを補って余りある攻撃力を誇る。
ただし、必殺技は高威力な反面発動後の隙も大きいので注意が必要。
いかにして確実に攻撃をヒットさせるかが鍵であるため、
見た目に反してテクニカルなキャラである。

必殺技
燃えろォ!  ↓\→P
焼き尽くせ!  →↓\P
消し飛べ!  ↓/←P
┗まだまだァ!  消し飛べヒット後に↓\→K
  ┗こいつはオマケだ!   まだまだァ!ヒット後に  ↓/←P
捉えた!  接近時に←/↓\→P
舐めるなァ!  ガード中に→↓\K

超必殺技
喰らいやがれ!!  ↓/←/↓\→P
やりやがったな!!  ガード中に↓\→\↓/←P

爆殺必殺技
これで終わりだ!!!  ↓\→↓\→P



14:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:22:52.35 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)  杉浦ロマネスク

全キャラ中一番の攻撃力と防御力を併せ持つ、超規格外キャラ。
欠点としてガード行動が取れないという弱点があるが、
常時アイアンボディ状態である為、そんな欠点を感じさせない攻めが可能。
一発喰らっても二発返せば勝てる。
そんな男らしい闘い方が好きなら是非このキャラを使ってみよう。

必殺技
大魔王パンチ  ↓\→P
帝王キック   →↓\K
全開フルスイング  ←/↓\→P
豪快ツイスター  接近時に→\↓/←P
青春ボディランゲージ  接近時にレバー1回転P

超必殺技
悩殺ダンディズム  接近時に←/↓\→×2P
熱血ヒロイズム  ↓\→↓\→P

爆殺必殺技
悪の美学  接近時にレバー2回転P



15:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 20:23:27.41 ID:ojKg+qU/0
  
( ´∀`)  ?????

必殺技
UNKNOWN

超必殺技
UNKNOWN

爆殺必殺技
UNKNOWN



70:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:16:26.56 ID:ojKg+qU/0
  


      *  以下、何事も無かったかのように再開  *


トラ男から放たれた炎が、夜の闇を照らすように燃え上がり続けていた。
(=゚д゚)「ハ……! ハハハハハ!
    ハハハハハハハハハッッ!!」
トラ男が勝利を確信したかのように笑い続ける。

ありえない。
何て威力の炎だ。
こんな――
こんな隠し玉があったなんて。

('A`)「ロマネスク!!」
俺は叫んだ。

が、どこかでもうロマネスクは生きていないだろうと諦めていた。
いくらロマネスクが化物とはいえ、こんな炎を喰らって生きている筈が――



72:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:18:10.70 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」
だが、ロマネスクは俺が思っていた以上の化物だった。

あれだけの業火に包まれながら、なおもロマネスクは生きていた。
煉獄の如き炎を突き破り――
さながら弾丸のように、トラ男目掛けて突進する。

(=゚д゚)「――!? なあッ!?」
完全に意表をつかれた様子で、トラ男が驚愕した。

当然だ。
あの炎を受けて、それでも反撃してくる奴がいるなんて、
どこの誰が考える!?

( ФωФ)「帝王キィィィィィィィィック!!!」
無防備状態だったトラ男の胴体に、大砲のようなロマネスクの蹴りが直撃した。

(=゚д゚)「ガハッッ!!」
メキィ、メキィと、骨が何本か折れる音がこちらまで聞こえ、
トラ男の体は再び宙を舞った。

まるでピンポン玉のように、十メートル近く跳ね上がってから、
トラ男の体が地面に落下する。



74:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:19:01.62 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「凄まじい威力ではあったが……所詮は曲芸だな。
       子供だましの手品など、何発喰らおうが仔細無い。
       我輩を倒せるのは、魂のこもった拳のみよ!!」
そう言って、ロマネスクは手でゲンコツを作って見せた。

この馬鹿何言ってやがる。
お前みたいな化物、素手なんかで殺せるか。
ミサイル……いや、核爆弾でも使わなければ無理だろ。

(=゚д゚)「ゴホッ……! グハッ!」
血を吐きながら、トラ男が苦悶の表情を浮かべてのたうちまわる。
あのロマネスクの攻撃を受けてまだ生きているというのだから、
こいつもとんでもない化物だ。

( ФωФ)「フン、まだ息があったか。
       下郎にしては存外にしぶとい奴だ」
ロマネスクがつかつかとトラ男に歩み寄り、
襟首を掴んで無理矢理引きずり起こした。

( ФωФ)「だがここまでだ。
       せめてこの宇宙大魔王じきじきに手を下されたことを誇りに思い、大人しく眠るがいい!」
そう言ってロマネスクが拳を固めた瞬間、トラ男の両手がロマネスクの頭を掴んだ。

(=゚д゚)「眠るのは……手前ラギィィィィィィィィィィ!!!」
直後、トラ男の両手から炎が上がり、大爆発を引き起こす。
轟く爆音。
吹き荒れる爆炎。
焔の赤色が、その場の全てを支配する。



75:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:22:47.11 ID:ojKg+qU/0
  
(=゚д゚)「うおおおおッ!」
トラ男が爆風を受けて吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

自分で引き起こしたこととはいえ、
あの超至近距離からあれだけの爆発を受けて無事でいられる筈もなく、
全身が――特に両腕が、無残に焼け爛れていた。

(=゚д゚)「様ァ見ろラギ……
    いくら何でも、あれを喰らえば……」
全身に酷い怪我を負いながら、それでもトラ男は笑っていた。
今度こそ決着がついたという安心感が、その表情に見え隠れする。

('A`)「ロマネスクーーーーーー!!!」
恐らく、今のはトラ男が全身全霊を込めた一撃だったのだろう。
それを受けては、いくらロマネスクといえど……!



77:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:23:23.24 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「ク……クハハハハ……
       下郎にしては……中々にやるではないか……」
だが――それでもロマネスクは生きていた。
とはいえ、今回ばかりは流石にノーダメージというわけにはいかない。

トラ男と同じか――それ以上の火傷を負い、
満身創痍の状態である。

( ФωФ)「さあ、続きだ……
       まさか、もう終わりと思ってなどいるまい……」
しかし、そんな瀕死の状況にも関わらず、なおもロマネスクは闘う為に立っていた。

有り得ない。
一体、何だ。
何が、こいつをそこまでに動かしている。

(=゚д゚)「化物が……!」
トラ男が呻くように呟いた。
その顔には、ロマネスクに対する恐怖が張り付いている。

攻撃しても、攻撃しても、攻撃しても――死なない。
その怪人すら遥かに凌駕した異常なまでの生命力を前に、トラ男は愕然としていた。



78:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:23:58.67 ID:ojKg+qU/0
  
('A`)「!!!」
と、耳を裂くようなサイレンの音が、こちらに向かって近づいてきた。

まずい、パトカーだ。
今の騒ぎを聞きつけて、誰かが通報したのか。

(=゚д゚)「チッ……!」
舌打ちして、トラ男がこの場から逃げ去るべく跳躍した。

( ФωФ)「待て! 逃げるのか!!」
('A`)「馬鹿、俺達も逃げるぞ!
   こんな状態で警察に捕まったらやばいだろ!!」
トラ男を追いかけようとするロマネスクを引き止め、俺達も公園を逃げ出す。
後には、焦土と化した公園だけが残されていた。



81:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:25:14.35 ID:ojKg+qU/0
  



('A`)「……もう大丈夫みたいだな」
公園から離れた河川敷の鉄橋の下で、俺とロマネスクは警察をやり過ごしていた。
パトカーの音も次第に少なくなり始め、一応ではあるが事態は沈静化してきているらしい

( ФωФ)「全く、何で宇宙大魔王たる我輩が警察如きから逃げ隠れせねばならんのだ……」
ロマネスクが何か言っているが無視。
お前は平気でも、こっちはやばいんだっつの。

('A`)「…………」
( ФωФ)「…………」
二人の間に沈黙が流れた。

正義のヒーローもどきと悪の帝王もどき、
何度も思うが珍妙な取り合わせだ。

('A`)「……あー、その、えっと……」
しばし迷った挙句、俺は意を決してロマネスクに言った。
('A`)「その、助けてくれてありがとう……」
お礼を言い、深く頭を下げる。
こいつがいなければ、俺はトラ男に連れ去られて怪人として虐殺を繰り返していただろう。
それもこれも、こいつが傷だらけになりながら闘ってくれたお陰だ。

( ФωФ)「フンッ、勘違いするな。 別にお前を助けた訳ではない。
       我輩の得物を横取りしようとしたあいつが許せなかっただけだ」
うわあ……ロマネスクさんの中、すごいツンデレナリ……
だけど、全然嬉しくないツンデレだ……



82:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:25:51.01 ID:ojKg+qU/0
  
('A`)「……てかさ、俺はもうお前の宿敵の資格は無かったんじゃないのか?」
俺はロマネスクに尋ねた。

( ФωФ)「最初は我輩もそう思っていた。
       が、他に正義のヒーローの当ても無かったのでな。
       不本意ではあるがお前が一人前に育つまで待つことにした」
ロマネスクが不遜な顔つきで答える。

('A`)「……んなこと言ったって、俺の手はもう……」
俺は、もう人を殺している。
手を、血で汚してしまっている。
そんな俺に、正義のヒーローを名乗る資格など無い。

( ФωФ)「……まだ、人を殺したことについて悩んでいるのか?」
('A`)「…………」
俺は、何も答えない。



83:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:26:28.79 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「……昔、この星に来る前、我輩はとある別の星を征服しようとしたことがある」
と、ロマネスクが唐突に口を開き始めた。

( ФωФ)「その星は、一つの国が世界全体を支配していてな。
       その国の国王は、その世界での正義そのものだった」
ロマネスクは目を閉じ、過去を思い出すようにして続けた。

( ФωФ)「その国王に逆らう者、邪魔になる者は全て虐殺されていた。
       軍隊を使って、数の少ない、弱い者達を一方的にな。
       何の罪も無い者が、気紛れや戯れに殺されていることすらあった。
       それで、その国王は何と言っていたと思う?
       『我こそが正義。 故に我に逆らうものは全て悪。
        ならばこの殺戮も正義の名の下赦される』とな」
('A`)「…………」
( ФωФ)「確かに、その国王は正義だった。
       誰もが国王を正義と認め、それに反対する者は全て死んでいったのだからな。
       完璧な、一点の曇りも無い正義だった」
ロマネスクが嘲るように言った。



84:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:26:52.47 ID:ojKg+qU/0
  
('A`)「違う!」
俺は叫んだ。
('A`)「そんなものは、正義じゃない!
   そんなものは……」
それは、違う。
そんなものは、俺が目指していた正義じゃない。
俺が憧れていた正義じゃない。

例え、その世界の全てがその国王を正義と認めていたのだとしても、
そんなものは絶対に……

( ФωФ)「何故違う? 現実に、世界が国王を正義と肯定していたのだぞ?
       今の貴様より、よっぽど正義に近いのではないかな?」
('A`)「違う! 確かに、俺は正義のヒーローなんかじゃない。
   でも、その国王も、絶対に正義なんかじゃない!
   正義なら、どうして人が死んだり、傷ついたりしなくちゃ、その正義を維持出来ないんだ!
   皆が幸せに、笑って生きる為に、正義はあるんじゃないのか!?
   そんな正義……間違ってる……!」
間違っている。
そんなの絶対に、間違っている。



85:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:27:38.54 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「ク……クハハ、クハハハハハハハハ」
突然、ロマネスクは笑い出した。

('A`)「何がおかしい!」
( ФωФ)「……いや、何でもない。
       矢張り、貴様こそが我輩の宿敵だったようだ」
('A`)「?」
急に笑い出したと思ったら、こいつはいきなり何を言っているんだ。

( ФωФ)「貴様は今言ったな、間違っている、と。
       自分の手を血で汚していながら、確かにそう言うことが出来た。
       それでいい。 それこそが、正義のヒーローの義務だ」
('A`)「…………?」
正義のヒーローの、義務……?

( ФωФ)「……誰かが傷つかねばならない正義など間違っている、その通りだ。
      だからこそ、貴様は誰かを傷つけ、その正義を貫いたことを悩んでいるのだろう?」
('A`)「…………」
( ФωФ)「だがな、世界は正義だけで出来てはいない。
      誰かを無意味に傷つけるような外道が、世の中には必ず生まれる。
      だからこそ、牙を持たぬ人々の為に、自らの手を汚してでも闘う者が必要になる」
('A`)「だけど! だからって……!」
だからって、人を殺していいわけが無い。
そんな理由で自分を肯定したら、それこそさっきの国王と同じだ。



90:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:29:37.92 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「……そう、いいわけがない。
       だからこそ、貴様は正義のヒーローであらねばならない。
       己の信じた正義の為に、何かを犠牲にしたのなら、
       何があっても、最後までその正義を貫かねばならん。
       犠牲が無駄ではなかったことを、証明し続けなければならん。
       犠牲にした以上のものを、救わなければならん。
       例え、自分で自分を許せなくなっても。
       それが、正義のヒーローの義務だ」
('A`)「正義のヒーローの、義務……」
( ФωФ)「貴様が何をもって正義のヒーローを目指したのかは分からんが、
       正義のヒーローとは元来、そういった割に合わない存在だ。
       ……だからこそ、悪の帝王たる我輩が倒す価値があるのだがな」
……そうか。
ロマネスクも、俺と一緒だったんだ。

形や経緯は全然違うけれど、こいつも俺も、正義のヒーローを信じている。
ロマネスクは正義のヒーローを倒して悪になる為。
俺は、正義のヒーローに救われる為に。

( ФωФ)「お前は国王とは違う。 自分のしたことを悩み、後悔することが出来るのだからな。
       それがあれば、国王のような外道に堕ちることもあるまい」
ロマネスクが諭すように告げる。



93:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:30:44.79 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「……ちなみにさっきの国王は、我輩が直々にぶち殺した。
      勿論、正義としてでも悪としてでもなく、最低最悪の外道としてな」
('A`)「それで、その星を征服したのか?」
( ФωФ)「いや、国王を殺した後、我輩が新たな支配者になろうとしはしたんだがな。
      何故か救国の英雄だの正義の神だの祭り上げられたんで嫌になってやめた。
      我輩が求めるのは悪としての征服であり、正義としての統治ではないからな」
……やっぱこいつ、実は良い人(宇宙人?)じゃないんだろうか。
それじゃただ、暴君から人民を解放しただけじゃねえか。
94:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:31:28.04 ID:ojKg+qU/0   
('A`)「……そういえば、どうしてお前は悪を目指してるんだ?」
すっかり聞くのを忘れてしまっていた。
どうしてこいつは、そこまでして悪にこだわるのだろう。

根っからの悪人というわけでもない。
どころか、考え方は寧ろ善人に近い。
それなのに、どうして。

( ФωФ)「決まっている。 格好良いからだ。
      格好良い正義のヒーローを倒せば、もっと格好良い悪になるのは自明の理であろう?」
('A`)「何ですと!?」
格好良いからって、あんた……

それだけの理由で、
悪の帝王を目指していたのか!?



97:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:31:52.49 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「何を驚いている。 理由など、その程度で十分ではないか。
      世界平和だの、人類愛だの、七つの大罪だの、暴虐の圧政だの、
      そんな小難し過ぎて漠然としたものの為に闘える者など居はしない。
      正義のヒーローにしても、悪の帝王にしても、
      闘う理由の根源は、ごくごく身近な極めて個人的なものだ。
      正義も悪も、その為の過程としての手段の一つにしか過ぎない。
      貴様とて、何かの為に正義という手段を選んだのだろう?」
('A`)「…………」
そうだ。
かつて俺は、救われたかった。
だから自分を護る為、救う為に、正義のヒーローを目指した。

……だけど、今は違う。
確かに今だって、救われたいとは思っている。
だけど、それだけじゃない。
他にも、護りたいものが出来た。
それだけじゃ、ない。



98:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:32:35.40 ID:ojKg+qU/0
  
( ФωФ)「少しはふっきれたようだな」
ロマネスクが俺の顔を見て言った。

('A`)「…………」
ふっきれた――
本当に、そうなのだろうか。

正直、今でも自分が正しいとは思っていない。
人を殺した。
理由はどうあれ、それが許されることなどない。

一生、背負い、償い続けていかなければいけない十字架。
そして、その十字架は、これからもきっと数が増えていく。

( ФωФ)「……今は一人で立つことが出来ないのなら、他の誰かに支えて貰え。
       支え合うことが、正義のヒーローの強さだろう?
       そして、貴様のすぐ傍には、支えてくれる者がいる筈だ」
ロマネスクが不意に視線を移す。
つられて、俺もその方向に顔を動かした。
そこに居たのは――



104:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:33:21.45 ID:ojKg+qU/0
  
イ从゚ ー゚ノi、「…………」
ドス女が、そこに居た。

額に汗をかき、息を切らして――
ここまで、駆けつけて来たというのか。

どうして。
俺は、こいつに、あんな酷いことを言ってしまったのに――

( ФωФ)「では、我輩はそろそろ去るとしよう。
       ではな、マスク仮面。
       鍛錬を続け、一日も早く真の正義のヒーローになれ。
       その時こそ、雌雄を決する時だ」
そう言うと、ロマネスクはぼろぼろになったマントを翻し、
( ФωФ)「去らばだ!!」
そう言い残し、夜の闇へと消えていった。

……ありがとう、ロマネスク。
俺なんかの為に、闘ってくれて。

こんなこと言ったら怒るかもしれないけれど――
あなたは、俺が憧れていたマスク仮面に、とてもよく似ていた。



105:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:33:45.89 ID:ojKg+qU/0
  
イ从゚ ー゚ノi、「…………」
('A`)「…………」
ドス女と俺だけが、その場に取り残された。

俺は、ドス女の顔を直視することが出来なかった。
だってそうだろう?

あんな――
あんな、酷いことを言っておいて、
今更、どの面下げて顔を合わせればいいっていうんだ。

イ从゚ ー゚ノi、「…………」
ドス女が、ゆっくりと俺に近づいて来る。
俺は動かないまま、隠すように顔を伏せて突っ立っていた。

イ从゚ ー゚ノi、「…………」
('A`)「…………!」
ドス女が俺の目の前まで近づき、黙って俺の手を取った。
手の平から、暖かさと柔らかさが伝わってくる。

イ从゚ ー゚ノi、「……一緒に帰るぞ、マスク仮面」
俺は、何も言わないで一つ頷いた。


〜第二十三話『正義のヒーローの義務』 終
 次回、『二人ぼっちの夜』乞うご期待!〜



106:カメコ(チリ) :2007/04/29(日) 23:34:13.43 ID:ojKg+qU/0
  
この番組は、

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堕落天使

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