ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:12:53.49 ID:qGqCsten0
  
第二十五話『デッドヒート、クー&ショボンVS怪人チーター男!』

〜前回までのあらすじ〜

ミ,,゚Д゚彡「OH,SHIT! 何てこった!」

(`・ω・´)「HUH? どうしたんだい、FUSA?」

ミ,,゚Д゚彡「OH〜、見てくれよSYAKIN。
     朝食のオムライスを食べようと思ったら、服にケチャップをぶちまけちまった」

(`・ω・´)「WOW! それは一大事だ!」

ミ,,゚Д゚彡「だろう? 今日は俺の愛しいMY CATとデートだってのに、これじゃ嫌われちまうぜ」

(`・ω・´)「IT’S NO PROBLEM!
      そんな時の強い味方、強力洗剤液『MECHAKIREI』を使えば、
      どんな汚れだって一発さ!」

ミ,,゚Д゚彡「『MECHAKIREI』?
     何なんだい、それは? 俺には初耳だよ!」



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:15:42.79 ID:qGqCsten0
  
(`・ω・´)「言葉で説明する前に、まずは効能をその目で実感してもらおうじゃないか!
      さあFUSA、その汚れたシャツを貸してくれ」

ミ,,゚Д゚彡「OK。 だけど本当に大丈夫なのかい?」

(`・ω・´)「DON’T MIND。 いいから任せておけって。
     おおっと! うっかり更に醤油をこぼしてしまった!!」

ミ,,゚Д゚彡「JEZUS! 何てことをしてくれるんだSYAKIN!」

(`・ω・´)「SORRY SORRY、手が滑ってしまったんだ。
      おおっと! 今度はソースまで!!」

ミ,,゚Д゚彡「OH MY GOD! 何てこった!
     これじゃもうこのシャツは二度と着られやしない!」

(`・ω・´)「BUT! こんなによごれた服でも、この『MECHAKIREI』を使えば大丈夫!
      この『MECHAKIREI』を汚れた部分につけてこすってみると……」

ミ,,゚Д゚彡「UNBLEAVABLE! あんなについていた汚れがみるみる消えていく!!」

(`・ω・´)「『THAT’S RIGHT! これが『MECHAKIREI』の底力さ!!
     服だけじゃない。 カーテンやカーペットの汚れにも、今と同じようにして使えば、たちまちにピカピカだ!
     こんなGREATなITEMが、今なら一本たったの1980円!
     更に今回は特別サービスとして、一本購入して頂いた方には更にもう一本プレゼント!!」

ミ,,゚Д゚彡「WOW! 何て太っ腹なんだ! これはもう買うしかない!!」

(`・ω・´)「ご注文は下記の電話番号0120−××ー××××まで!
      代金は商品の発送をもって引き換えとさせて頂きます」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:17:06.00 ID:qGqCsten0
  
ミ,,゚Д゚彡「WAIT! SYAKIN、ちょっと待ってくれ!」

(`・ω・´)「WHAT? どうしたんだい、FUSA?」

ミ,,゚Д゚彡「シャツの汚れが落ちたのはいいんだけど、柄や色まで一緒に消えちまった!
     こりゃ一体どういうこった?」

(`・ω・´)「OH SORRY。
      どうやら効き目が強すぎたみたいだ。
      これぞまさに、日本で言う『過ぎたるはなお及ばざるが如し』ってやつだな!」

ミ,,゚Д゚彡「HAHAHAHAHA! こりゃあ一本取られたぜ!」

(`・ω・´)「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:17:52.96 ID:qGqCsten0
  


            *  以下、何事も無かったかのように再開  *


東京都奥多摩方面、深夜12時――
殆ど車の通らない道路を、一台の赤いスポーツカーが走っていた。

男「どうだい、この車の乗り心地は?」
女「最高ねー。 やっぱり外車は違うわ」
車の中、二人の男女が他愛も無い会話をしながら微笑む。
これから先に待ち受ける運命など知る由も無く。

男「そういえばさー…… 最近、この辺りって出るらしいよ?」
女「出るって、何が?」
女が不安そうに訊ねる。

男「幽霊さ。 ほら、最近この道路で死亡事故が連発してるってニュースよく見るだろ?
  あれって、実は幽霊の仕業らしいぜ?」
女「えー!? やだ、冗談でしょ!?
  知ってて何でこんなとこ通るのよ!」
男「だーいじょうぶだって。 ただの噂だよ、噂。
  幽霊なんているわけがないって」
女「そ、そうよね。 もう、変なこと言って驚かさないで――」
そう言いかけた所で、女の顔が急に強張った。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:18:24.21 ID:qGqCsten0
  
男「ん? どうしたんだい?」
女「あ、あ、あ、あれ――」
女が震えながら運転席側の窓の外を指差す。

男「――――?」
男が訝しげに窓の外を見ると――

男「!!!?」
男は、見た。
窓の外、自分達の車と並んで何かが走っている。

馬鹿な。
ありえない。
だって、この車は今時速80キロ位で走ってて――

/ ・゚Д゚)「今晩は、お二人さん。 さようなら」
男・女「――――!」
次の瞬間、スポーツカーの中までが赤く染め上げられた。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:19:57.84 ID:qGqCsten0
  

           *            *            *

素直クールがJOW特殊戦闘部隊に入ったのは今から三年前になる。
彼女の志望動機は単純にして明快。
悪は殺す、ただそれだけだった。

彼女の家族は、テロリストによって幼かった彼女の目の前で殺された。
たまたまテロリスト達の人質にされ――そして、用が済んだら殺された。
テロリストは駆けつけたJOW隊員によって全員その場で殺されたが――
失われた命は、二度と戻っては来なかった。

その家族の理不尽な死は、彼女の人生を大きく変えた。
その日から、彼女は悪を徹底的に憎むようになり、
また、決して悪に屈することのない力を求め続けた。

だから、そんな彼女がJOWに入ることになったのは有る意味必然ともいえる。
JOWに入ってからも、彼女の信念は何一つ変わらなかった。

日々過剰とも言える訓練を繰り返し――
肉体改造施術を施してまで力を求め、
そしてその得た力で彼女の定義する『悪』を殺し続けた。

『悪』を殺す瞬間だけが、彼女の至福であり――
彼女の存在理由の全てであった。

JOWは『正義』。
だからそこに所属していれば、殺すべき対象である『悪』には事欠かない。
だからこそ、JOWはまさに彼女にとって天職とも言える場所だった。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:20:32.61 ID:qGqCsten0
  

            *            *            *

JOW日本支部食堂。
その席の一つで、クーとショボンが二人で遅めの昼食を取っていた。

「奥多摩地方での死亡事故が今日で16件となり、警視庁では今一度安全運転の励行を――」
ニュースキャスターが流暢な声で今日のニュースを読み上げていく。
そんなニュースなど興味が無いといった様子で、クーとショボンは運ばれてきたナポリタンをフォークでつつく。

川 ゚ -゚)「……矢張り、怪人の仕業なのだろうな」
(´・ω・`)「十中八九ね。
      警察には情報を差し止めてもらってるが、
      今までのどの死体にも事故死では考えられない外傷があった」
器用にパスタをフォークに巻きつけながらショボンが答える。
クーは黙ったままパスタを一口口に入れ、咀嚼し飲み込んでから再びショボンに視線を戻す。

川 ゚ -゚)「……連中も、ついに本気になったということか」
VIP署襲撃事件から既に一週間――
あれから、怪人関連と思われる事件が立て続けに増え、
その内容も明らかに凶悪化していっていた。

(´・ω・`)「どうなんだろうね。 本気になったって言ったって、今更って感じだし――
      ひょっとしたら、今までわざと手を抜いていたのかも」
そう言ってショボンがウィンナーを口に放り込んだ。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:21:42.52 ID:qGqCsten0
  
川 ゚ -゚)「手を抜いていた……
     もしそうだと過程するならば、手を抜く必要が無くなった理由は何だ?
     あいつらは一体、何を企んでいる?」
(´・ω・`)「さあね。 一つだけ確かなことは、これから先、もっと犠牲が出るってことさ」
川 ゚ -゚)「…………」
クーは唇を噛む。

自分達がこうしている間にも、怪人達は着々と悪巧みを練り、
罪も無い人々が犠牲になっていっている。

自分達は――
何と無力なのだろう。
こんな不甲斐ない様で、何が正義の味方だというのか。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:22:32.14 ID:qGqCsten0
  
(´・ω・`)「……今は、焦っていても仕方が無い。
      連中が何を企んでいるのかは知らないが――
      何をして来ようと、徹底的に叩いて潰してやるまでだ。
      その為にも、今は、十分にその為の準備をしておく必要がある」
川 ゚ -゚)「……そうかもしれない。 だが、ただ相手の出方を待つだけでは埒が開かない。
     こちらからも、打って出ないとな」
クーがナポリタンを平らげ、席を立った。

今からやろうとすることも、所詮は対処療法。
火が起こってからの火消しに過ぎない。
それでも、何もしないわけにはいかなかった。

(´・ω・`)「奥多摩に行くのかい?
      よければ手伝うけど?」
川 ゚ -゚)「いや、いい。 一人で大丈夫だ。
     それに、他にも何かがあった時、お前はそちらに対応して欲しいからな」
ショボンの申し出を断り、クーが食堂を出て行こうとする。

(´・ω・`)「何かあったらすぐに連絡してくれ。
      すぐに応援に駆けつけるから」
川 ゚ -゚)「ああ――
     ありがとう」
クーは振り返らず、軽く右手を上げてショボンに礼を言ってその場を去った。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:23:00.04 ID:qGqCsten0
  





深夜12時――
赤いスポーツカーに乗った男女が殺された同じ時間、同じ場所を、一台のバイクが走っていた。

ドゥカティMS2R1000。
その赤い機体が、闇の中を高速で走り抜けていく。

フルフェイスのヘルメットを被っている為、ライダーの顔は分からないが、
ヘルメットからはみ出た長い髪と、ライダースーツのボディラインからどうやら女性であることが判別出来る。

と――
山間から突然飛び出してきた影が、そのバイクの横を併走し始めた。

バイクはゆうに時速100キロを超えている速度で走っているというのに――
その影は、信じられないことに足で走っている状態でバイクの右横に並んでいたのだ。

/ ・゚Д゚)「…………」
月明かりを受け、影の姿が露になった。
黄色の体毛に、黒い斑点。
その姿は、まさしくチーターと人間が融合したようなものであった。

/ ・゚Д゚)「今晩は、お嬢さん。 そして――」
チーター男が鉤爪を伸ばしたその時――



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:23:44.31 ID:qGqCsten0
  
川 ゚ -゚)「さようならだ」
チーター男の言葉を遮って、ライダーの手に握られていた拳銃が火を噴いた。

/ ・゚Д゚)「うおお!?」
至近距離から発砲されたにも関わらず、
チーター男は超人的な反射神経で何とかその銃弾を回避した。
目標を外れた銃弾が、ガードレールに当たって火花を散らす。

川 ゚ -゚)「チッ、外したか――」
ドゥカティのライダー――クーは忌々しげに舌打ちすると、
バイクを大きく傾けてカーブを曲がった。
その後ろから、体勢を立て直したチーター男が追いかけてくる。

/ ・゚Д゚)「危ねえ危ねえ……
     もうちょっとでモロに喰らう所だったぜ。
     やっと来たか、JOW」
あっという間にクーの乗るバイクに追いつき――
チーター男が軽い声でクーに話しかけてきた。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:24:31.54 ID:qGqCsten0
  
川 ゚ -゚)「それ以上無駄口を叩くな。
     お前が喋っていいのは、私の質問に対する答えだけだ。
     答えろ。 お前達の目的は何だ?」
バイクのアクセルを更に捻り、クーがチーター男に訊ねる。

/ ・゚Д゚)「さあね。 今ここでストリップしてくれりゃあ、答えてやってもいいぜ?」
川 ゚ -゚)「……そうか。
     ならば、拷問にかけてからゆっくりと聞き出してやろう」
クーがバイクに取り付けていた銃のホルダーから再び拳銃を抜いて、
チーター男目掛けて発砲する。

/ ・゚Д゚)「おおっと!」
チーター男はその場から跳躍すると、道路脇の山の斜面を駆けながら弾丸を回避した。

川 ゚ -゚)「くッ……!」
矢張り片手で、しかも高速でバイクを運転しながらの状態での射撃では思うように命中しない。

バイクを止めて闘うという手も無いことは無いが――
これだけの速度で動ける怪人を、果たしてバイクから降りた状態で捉えることが出来るだろうか?
今更ながら、ショボンに応援を頼んでおくべきだったとクーは後悔する。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:24:56.68 ID:qGqCsten0
  
川 ゚ -゚)「糞ッ!」
拳銃の弾倉が空になり、銃口から弾が発射されなくなる。
クーは乱暴に拳銃を投げ捨てると、今度はサブマシンガンを取り出してチーター男に向けて乱射する。

連続する銃声とノズルフラッシュ。
フルオートで放たれた弾丸が次々とチーター男に襲い掛かる。

しかし、結果は同じ。
別の場所に開く穴の数が増えただけで、チーター男にはかすりもしない。

/ ・゚Д゚)「その程度か。 なら、そろそろ死にな」
弾丸の雨をかい潜り、チーター男がクーのバイクに接近した。

川 ゚ -゚)「しまっ――!」
クーが慌ててバイクを横に移動させようとしたが、もう遅かった。
薙ぎ払うように振るわれたチーター男の腕が、バイクの右側面にぶち当たる。

クーの体に直接攻撃が命中することはなかったが――
しかし、そんなことはこの状態では全く意味の無いことだった。

バイクに当たろうが体に当たろうが、
それだけで車体のバランスが崩れるのには十分過ぎる。
そしてこのスピードでバイクが転倒すれば、致命傷は免れない。

川 ゚ -゚)「!!!!!」
チーター男の一撃でバイクが大きく傾き、反動でクーの体が空中へと投げ出される。

まずい。
この速度で地面に叩きつけられたら、死――



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:26:01.34 ID:qGqCsten0
  
川 ゚ -゚)「!?」
と、地面に落下する寸前、クーの体が空中で何かに引っ張られたかのように静止する。
直後、彼女の体は地面ではなく何者かのバイクの後部にお尻から着地した。

落ちなかった?
一体、どうして――

(´・ω・`)「間に合ったようだね」
クーを受け止めたのはショボンだった。

車体に『ホモ祭り』『クソミソ』などというステッカーの貼られた、
趣味の悪いハーレーダビットソンに跨り――
ショボンは前方を走るチーター男を細目で見据えた。

川 ゚ -゚)「ショ、ショボン? どうしてここに――」
(´・ω・`)「何となく胸騒ぎがしたんでね。
      やっぱり応援に駆けつけて正解だった」
後ろに跨るクーには振り返らず、ショボンが答えた。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:26:38.54 ID:qGqCsten0
  
(´・ω・`)「さて、すまないがクー、ちょっと運転を代わってもらえないか?
      この怪人は、僕が相手をしよう」
川 ゚ -゚)「あ、ああ」
高速で走行中にも関わらず、ショボンとクーは慣れた動作で前後の位置を入れ替わった。
ハンドルを握る必要のなくなり両手の自由になったショボンが、
何かを取り出そうと右手を懐の中に入れる。

/ ・゚Д゚)「何だ、仲間が来たのか。
     可哀想なこった。 わざわざ死ににここまでやって来るとはよ」
チーター男が少し走る速度を落とし、ショボンの横までやって来る。

(´・ω・`)「その言葉、そっくりそのまま君に返すよ。
      悪いがこれも仕事でね。 君をここで斃させてもらう」
ショボンが右手を懐から抜き出す。
そこには、何枚かのカードが握られていた。


〜第二十五話『デッドヒート、クー&ショボンVS怪人チーター男!』 終
 次回、『デッドヒート、クー&ショボンVS怪人チーター男! その2』乞うご期待!〜



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/02(水) 23:27:18.33 ID:qGqCsten0
  
この番組は、

薔薇族
アドン
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さぶ

の提供でお送りしました。



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