ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:47:22.40 ID:9SjTtenG0
  
第二十八話『激闘東京タワー、ブーン&ツンVS怪人カメレオン男! 〜その2〜』

〜ネタ切れ〜



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:48:43.30 ID:9SjTtenG0
  
深夜、東京タワー入り口――
そこに、ブーンとツンは到着していた。

( ^ω^)「…………」
入り口の扉は開けられていた。

閉まっているようならガラスを叩き割ってでも中に入ろうと思っていたが――
どうやら、器物損壊はせずに済んだようだ。

( ^ω^)「…………」
周囲を見回しながら、慎重に中に侵入する。

( ^ω^)「ツン、僕の後ろを離れちゃ駄目だお」
ξ゚听)ξ「わ、わかってるわよ、そんなこと!」
おっかなびっくりな様子で、ツンがブーンの後ろをついていく。

入り口が開けられていたということは――
誰かが、この中に入ってきているということだ。
いつ、どこで襲い掛かられてもおかしくはない。

ξ゚听)ξ「……エレベーターは動いてないみたいね」
ツンがエレベーターのボタンを何度押してみても、何の反応も返ってはこなかった。

( ^ω^)「別にいいお。 最初から、エレベーターに乗るつもりはなかったお」
エレベーターのような狭い空間に入っては、緊急事態の際にどこにも逃げられなくなる。
それに、乗っているときに吊り紐でも切られては一巻の終わりだ。
そんなエレベーターに乗ることは、自殺行為に等しかった。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:49:16.95 ID:9SjTtenG0
  
( ^ω^)「階段を登るしかないお」
階段へと続くドアを開け、一段一段登って行く。

ξ゚听)ξ「…………」
しばらく登ったところで、ツンは何気なく下を見てみた。

広がるは闇の中に広がる街の明かり。
夜になっても眠らない街。

恐らく――
さっきの放送で、下は大混乱になっている筈だ。

JOW諜報部が情報操作や統制を行ってはいるだろうが――
警察やマスコミも、そこまで無能でも無力でもない。

特に警察は、前回の件のこともあり、
それこそ血眼になって動こうとしてくる筈だ。
JOWの圧力も、いつまでも通じはしないだろう。

ましてや自衛隊までが出てくるようなことがあれば、更に収拾がつかなくなる。
そうなれば――混乱すればするだけ、連中の思う壺だ。
そんなことを、させてはならない。
それが、私達JOWの使命だ。

ξ゚听)ξ「…………」
ツンは拳を固く握った。
警察がこの東京タワーに到着するのを引き伸ばせる時間は、長くて一時間かそこら。
それまでに、ケリをつける必要がある。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:50:02.11 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「こんな時間にデートかな? お二人さん」
突然、上の方から二人に声がかかってきた。

ブーン達の頭上――
一人の怪人鉄骨の上に立って、二人を見下ろしている。

爬虫類を思わせる、鱗の様な皮膚と残忍そうなギョロ目。
明らかに人間の姿ではないことが、人目で判じられた。

( ^ω^)「――誰だお!」
ツンを庇うように、ブーンが怪人の前に立ち塞がる。

(@∀@)「怪人カメレオン男、とでも名乗っておこうか。
     そういう君達はJOWの手合いかな?」
ブーン達を見下ろしたまま、カメレオン男が訊ねる。

ξ゚听)ξ「……さっきのイカレた放送はあんたの仕業?」
カメレオン男からの質問には答えず、ツンが聞いた。

(@∀@)「そうだよ。 どうだい、ちゃんと映ってたかい?
     あれ、撮影したのも自分なんだよねー。
     だから、ちゃんと映ってたかどうか心配で……」
カメレオン男が言い切る前に、彼の居た場所付近一帯が爆散した。
ツンの念動力が、その場所を薙ぎ払ったのである。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:51:53.81 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「……ひどいなー。 喋ってる途中に仕掛けてくるんだもん」
しかし、カメレオン男は間一髪のタイミングでその攻撃から逃れていた。
念動力が命中する直前、舌を伸ばして遠くの鉄骨に絡ませ、
それを利用して別の場所へと移っていたのである。

(@∀@)「トラ男から聞いた通りだ。 凄まじい威力だね」
その長い舌を鉄骨に絡ませ、ぶらりと垂れ下がった状態で器用に口を動かして喋る。
喋り終えると、カメレオン男は舌を収縮させてその反動で鉄骨の上へと体を移動させた。

( 0ш0)「変身……!」
ブーンは右腕に取り付けられたブレスレット型の変身装置のボタンを押した。
直後、彼の体が発光し、白い装甲に包まれた戦士へとその姿を変える。

(@∀@)「ハッ、そっちもその気になったようだね!
     だが――」
カメレオン男がぐらりと体を後ろに傾け、そのまま鉄骨の下へと落ちていった。

( 0ш0)「なッ!!?」
突然のその不可解な行動に驚き、ブーンが慌ててカメレオン男が落ちていった方を見下ろす。
しかし、落ちていった筈のカメレオン男の姿はどこにも見当たらなかった。

馬鹿な。
一体、どこへ――



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:54:34.81 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「こっちだよ」
( 0ш0)「!!?」
ブーンの背後から、突然カメレオン男の声がした。

仰天してブーンが振り返ろうとした瞬間、カメレオン男が足で彼の背中を蹴りつける。
その衝撃を受け、ブーンの体は階段の手すりから外へと投げ出された。

( 0ш0)「う、うわああああ!!」
当然足場の無くなったブーンの体は、重力という名の死神に引っ張られて地上という地獄に誘われる。
この高さから落ちれば、いくら変身していたとしても命の保障は無い。

( 0ш0)「くッ!!」
落ちる寸前、ブーンは右手で手近にあった鉄骨を掴み、
何とか一大事を免れた。
右腕一本で体を支えた状態で、鉄骨に垂れ下がる。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:54:56.75 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「落ちなかったか。 まあ、それぐらい粘ってくれないとこちらも張り合いが無い」
カメレオン男が、片腕で垂れ下がるブーンの真上にまで来ていた。

ξ゚听)ξ「ブーン!!」
ツンがカメレオン男に念動力を放とうとして、止めた。

カメレオン男とブーンの距離が近過ぎたからだ。
この状態では、ブーンまで巻き込んでしまう。

( 0ш0)「ツン! 逃げるお!!」
ブーンは叫んだ。

迂闊だった。
ブーンは奥歯を噛み締める。

カメレオン男というのなら、カメレオンのように擬態で姿を消すことも当然出来る筈だ。
それで、さっきも姿を消してから自分の背後にまで回りこんだのだ。
怪人の名前を聞いた時、どうして、すぐそこまで思いつかなかったのか。

姿の見える相手ならともか、く相手の位置が捕捉出来なければ、
ツンを敵の攻撃から護りきることは難しい。
もし、彼女の身に何かあったら……!



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:55:24.43 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「安心したまえ。 そこのお嬢さんには、まだ手を出さないよ」
カメレオン男が意外な言葉を口にした。
しかし、それが騎士道精神から出たものではないことは、
彼の邪悪な瞳の輝きから明らかだった。

(@∀@)「今殺したってつまらないからね。
     これから君をいたぶって、戦闘不能の状況にしてから、ゆっくりと楽しませてもらうよ。
     そうだな――
     動けなくなった君の前で一本ずつ手足を切り落として、
     ダルマにしてから犯すっていうのはどうかな?
     楽しいぞ、きっと」
( 0ш0)「下種野郎が……!」
ブーンがもう片方の手を鉄骨にかけ、逆上がりの要領で鉄骨の上へと体を押し上げた。
押し上げると同時に、振り上げた足でカメレオン男を蹴りつける。
しかし、その攻撃は空しく宙を切るだけだった。

( 0ш0)「くッ……!」
気付いた時、カメレオン男の姿は既に消えてしまっていた。
きょろきょろと必死に辺りを見回すが、影も形も発見出来ない。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:56:17.46 ID:9SjTtenG0
  
( 0ш0)「ぐうッ!!」
直後、乾いた音と共にブーンの右肩を激しい痛みが襲った。
姿を消したまま、カメレオン男が舌を鞭のようにしならせブーンの体を打ったのだ。

衝撃で再び鉄骨から落ちそうになるのを、
何とかバランスを保って持ち直す。

ξ゚听)ξ「ブーン!!」
ツンが念動力でブーンを支援しようにも――
居場所が分からなければ、攻撃のしようが無い。

せめて大まかな居場所だけでも分かれば、念動力を叩き込んでやれるのに。
ツンが悔しさから唇を噛む。

( 0ш0)「ぐああッ!!」
次々と、舌の鞭がブーンに襲い掛かった。

まずい。
このままでは、体力を削り取られてやられてしまう。
何か、何か策を考えなければ――



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:56:48.99 ID:9SjTtenG0
  
( 0ш0)「!!!!!」
攻撃を受けながら、ブーンは足に力を込めて跳躍した。

常人を遥かに超える高さでジャンプし、
ツンのいる階段の踊り場へと着地する。

ξ゚听)ξ「ブ、ブーン!?」
ツンが驚いて声をあげる。
しかし、ブーンは黙ったまま、
( 0ш0)「ツン、上に行くお!」
強引にツンを抱きかかえると、再び飛び上がった。

ξ゚听)ξ「き、きゃあああああああああああああ!!」
鉄骨を足場に次々と上へと駆け上がっていく状況に、ツンが堪らず悲鳴を漏らした。
しかし、ブーンはそんな彼女を意に介することなく、
猛スピードで東京タワーを上へ上へと登っていく。

(@∀@)「ハハハハ! 逃げても無駄だよ!」
姿を見せないまま、カメレオン男の声だけが下から二人を追いかけてきた。

それでもブーンは振り返りもせず、ひたすらに東京タワーを駆け上がっていく。
一心不乱に、脇目も振らず。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:57:17.68 ID:9SjTtenG0
  
( 0ш0)「…………!」
しかし、その逃避行もいつまでも続くことはなかった。
東京タワーの頂上まで辿りついた所で、ブーンが登るのを諦め足を止める。
いくら超人的な脚力を持っているとはいえ、翼でも無い限りこれ以上は上に行きようがない。

(@∀@)「どうやら鬼ごっこもここまでのようだねえぇ」
真下から、カメレオン男の声が聞こえてきた。

すぐそこまで、来ている。
1メートルか2メートルか――
手が届くぐらい、すぐ近くに。

( 0ш0)「くくッ……!」
思わず、ブーンは含み笑いを漏らした。

(@∀@)「何が可笑しい?」
カメレオン男が問う。
逃げ場を無くし、絶体絶命の状況になっている筈のブーンが、
何故、笑うことが出来るのか。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:59:01.24 ID:9SjTtenG0
  
( 0ш0)「お前、今僕達がもう逃げ場が無くなったと思ってるだろうお?
      けど、それは間違いだお。
      逃げ場が無くなったのはお前の方だお……」
(@∀@)「!? 何だ! 何を言っている!?」
( 0ш0)「その答えは、これだお!!!」
言うなり、ブーンは東京タワーの頂上から下へと飛び降りた。

ξ゚听)ξ「きゃああああああああああああああああああああ!!!!!」
ツンの叫び声と共に、二人の体が自由落下運動の法則に従い下へ下へと落下していく。

( 0ш0)「だあッ!!」
ある程度落下したところで、ブーンが近くの手すりを掴んで強制的に落下を中断させた。
自分の体重とツンの体重、そして落下速度による作用――
それらの衝撃全てを、片腕一本で押し込めたのだ。

ξ゚听)ξ「あ、あんた!! 一体何考えてんのよ!?」
訳の分からないまま上に行ったり下に行ったりさせられ、
ツンがついに不満を爆発させた。

(@∀@)「!? お前ら、一体何を――」
カメレオン男が上から二人を覗きこむ。

律儀に姿は消したままである為、ブーン達からその姿を見ることは出来ない。
だが――姿の見える見えないは、最早全く意味が無かった。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 17:59:57.94 ID:9SjTtenG0
  
( 0ш0)「ツン! 今だお!!」
ブーンが叫ぶ。

ξ゚听)ξ「……?  !!!」
何が今なのか。
ツンは一瞬考え、そしてすぐに理解した。

そうか、そういうことか。
ならば確かに、今しかない……!

( 0ш0)「怪人カメレオン男、お前の負けだお。
      確かに僕達にはお前の姿が見えない。
      だが――どこにいるかは、把握したお。
      東京タワーの頂上の、そんな狭い場所にいて――
      どこに逃げ隠れ出来る場所があるんだお?」
姿が見えない。
ならば、見えなくても、居場所が分かるような状況に追い込めば良い。
ブーンが東京タワーの頂上まで移動したのは、逃げる為ではない。
そこにカメレオン男を追い込む為だったのだ。

(@∀@)「しま――」
ξ゚听)ξ「喰らえええええええええええええええ!!!」
カメレオン男が慌てた時には、遅かった。

東京タワーの頂上付近の空間が一斉に歪曲し――
その場にあった全てを根こそぎ吹き飛ばす。
爆音と共に、東京タワーの頂上辺りの鉄骨が空中に舞い散った。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 18:00:42.98 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「がはあああああああああああああ!!」
念動力の直撃を受け、下半身が吹き飛ばされた状態でカメレオン男が宙を舞っていた。

それを見て、ブーンが勝負の決着を確信したのかふっと気を緩める。
だが、その油断が命取りだった。

ξ゚听)ξ「!? きゃあッ!」
カメレオン男が最後の力を振り絞り、その舌をツンの腕へと巻きつけた。
( 0ш0)「ツン!!」
ツンの体がカメレオン男と共に下に落ちそうになるのを、
ブーンが必死に抱きかかえて食い止める。

しまった!
まさか、まだこんな力が残っていたとは……!

(@∀@)「こうなれば、お前だけでも道連れだああああああああああ!!!」
擬態能力をする余力はもう残っていないのか完全に姿を見せた状態で、
カメレオン男が亡者の様な目を二人に向ける。
その表情は、自らの死を目前にした狂気をはらんでいた。

( 0ш0)「ぐぅッ!!」
ブーンが片腕でツンを抱きかかえ、もう片方の手で鉄骨を掴んだまま耐え続けていた。

まずい。
今までのカメレオン男の攻撃と、さっきの鉄骨を掴んでの落下の阻止で、
腕に力が入らなくなってきている。
このままじゃ、ツンが――!



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 18:01:25.96 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「!!?」
その時、風を切るような音と共に、地上から何かがブーン達の所へ飛来してきた。
直後、ツンの腕に巻きつけられたカメレオン男の舌が、その飛来した何かによって分断される。

(@∀@)「!? !!? !!!?」
ツンという支えを失い、カメレオン男の体が地面へと落下を開始した。
訳が分からないといった様子で、カメレオン男が何かが飛んできた方を見る。
そこには――

(´ー`)「――――命中(あた)った」
白髪の老人が――
地上で、大きな弓をこちらに向けて構えていた。

馬鹿な――
あんな距離から、正確に自分の舌を――

カメレオン男が、丸い目を更に丸くさせて驚愕する。

直後、更なる矢がカメレオン男に襲い掛かった。
脳天に、両肺に、心臓に――
一発も外れることなく4本の矢が次々と突き刺さり、カメレオン男の急所を串刺しにする。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 18:03:12.72 ID:9SjTtenG0
  
(@∀@)「があああああああああ!!!」
カメレオン男が絶叫を上げる。

だが――
攻撃はそれだけではなかった。
カメレオン男が、刺さっている矢に何かが括り付けられていることに気が付く。

これは――手榴弾?
まさか、そん――

(@∀@)「うわああああああああああああああああああ!!!!!」
カメレオン男の叫び声は、爆音と紅蓮の炎の中に吸い込まれていった。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 18:03:38.73 ID:9SjTtenG0
  



( 0ш0)「…………」
ξ゚听)ξ「…………」
鉄骨にぶら下がった状態で、二人はカメレオン男が爆発するのを見ていた。

あの矢――
初代モナーの魔弾か。
どうやら、彼が自分達を助けてくれたようだ。

ξ゚听)ξ「……終わったみたいね」
ツンが誰に言うでもなく呟く。

しかし、ブーンは静かに首を横に振り、
( 0ш0)「……違うお」
ξ゚听)ξ「…………?」
( 0ш0)「これから、始まるんだお」
そう、全ては――
この時から、全ての歯車は動き出していたのだった。


〜第二十八話『激闘東京タワー、ブーン&ツンVS怪人カメレオン男! 〜その2〜』 終
 次回、『嵐の前の静けさ』乞うご期待!〜



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 18:04:43.91 ID:9SjTtenG0
  
この番組は、

学園ソドム
夜勤病棟
陵辱 〜好きですか?〜
絶望 〜青い果実の散華〜

の提供でお送りしました。



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