ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:28:58.29 ID:SWZQJ8aF0

第三十二話『許されざる者』

〜前回までのあらすじ〜

最強の格闘技とは何だ!?

空手、テコンドー、中国拳法、柔道、ボクシング、骨法、散打、
プロレス、カポエラ、ジークンドー、サンボ……

どれもに優れた面があり、どれもが強さを秘めている。

しかし……
しかし!

何の制約も無い殺し合いの場合、
果たして最後に生き残っているものはどれなのか!?
最強の格闘技は本当に存在するのか!?

その答えを明らかにする為、
今、血に飢えた狼達が野試合(ストリートファイト)に放たれる!!

( ^ω^)(,,゚Д゚)( ´_ゝ`)(`・ω・´)「俺の格闘技こそが最強だ!!」
超大手道場師範代、プロのファイター、街中の喧嘩自慢……
地位も名誉も関係無い。
路上では、力こそが唯一にして絶対の掟(ルール)なのだ!



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:30:49.95 ID:SWZQJ8aF0

ミ,,゚Д゚彡「どいつもこいつも、甘い野郎だぜ……」
歴戦の猛者達が死闘を繰り広げる中、不敵な笑みを浮かべる一人の男!

特定の流派、流儀を持たず、勝つ為ならば何でもする戦闘法。
裏業、禁じ手一切無し!
故にその武道に名は冠せられず、
ただ『闇道』なる通り名だけが語り継がれる!

( ^^ω)「俺の一本背負いで投げ殺してやる――
     な、何だ、この胴着は!!
     こんなに簡単に破れるなんて――!」
ミ,,゚Д゚彡「掴んで引っ張ったらすぐに破れるように出来ている胴着だ。
    お前ら柔道家は、相手が胴着を着てればすぐに組み付いてくるからな。
    そういう奴らとやる時用の胴着だよ。
    襟に刃物仕込んでないだけありがたく思うんだな」



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:32:31.37 ID:SWZQJ8aF0

( ,'3 )「どうだ! このスリーパーホールドからは逃れられまい!」
ミ,,゚Д゚彡「阿呆かお前。 こんなに体を密着させて、これをどうやって避けるんだ?」
( ,'3 )「!! 貴様! ナイフで極めている腕を刺すなんて……!!」

乱れ飛ぶ反則技の嵐!
ルールも誇りも無用のこの男に、格闘技はどう闘うのか!?

ミ,,゚Д゚彡「卑怯で結構。
    だが、その卑怯に負けるような格闘技に、
    最強を名乗る資格があるのか?」

最強の格闘技とは何か!?
今、その答えが明らかにされる!!

現代格闘浪漫『餓AA伝』!!
近日公開!!!



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:34:22.66 ID:SWZQJ8aF0

       *  以下、何事も無かったかのように再開  *


人を助けることは良い事である。
その考えは、間違っていない筈だ。

人助けは、正義だ。
それは、間違っていない筈だ。

ならば――
人助けの為ならば、何をやってもいいのだろうか。
正義の為にに犯した罪は、何によって裁かれるのか。

別の正義によって裁かれるのか。
それとも――悪が裁くのか。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:36:44.79 ID:SWZQJ8aF0

( `ハ´)「よくぞここまで辿り着いたアルな。 朕は怪人シナ男。
     ここまで来たことを褒めてやるアル」
悪党を殺して、関係無い人間まで殺して、
そうまでして、俺は何を護ろうとしているのだろうか。
それは、命までをも犠牲にする価値があるものなのだろうか。

( `ハ´)「しかし! それもここまでアル!
     見よ、この体に巻きつけられた機械を!!
     これを壊せば、後ろの炉心に取り付けられた爆弾が爆発するアル!!」

俺は何の為に闘っているのだろう。
俺は何で、闘っているのだろう。

( `ハ´)「つまり! 貴様らは朕に一切手出し出来ないまま、ここで死ぬのアル!!」
何で闘っているんだろう。
何で闘っているんだろう。

( ▼w▼)「なら、その機械を壊さずにお前を殺せば良いってわけだな!!」
何で闘っているんだろう。
何で闘っているんだろう。

( `ハ´)「な!? そんな事、出来る筈が――!」
( ▼w▼)「あるのさ…… 生物だけを殺戮する方法がな!!
     ネガティブレインボオオオオオオオオオオオ!!!」
( `ハ´)「ギ…… ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

――いつまで、俺はこんなことを繰り返せばいいんだろう。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:38:48.07 ID:SWZQJ8aF0


シナ男を倒した俺達は、原子力発電所を抜け出し、
山道を通って駅まで向かうことにした。

もう少しすれば、自衛隊も中の怪人と戦闘員が死んでいることに気付き、
この事件は一応解決という判断が下されるのだろう。

……解決?
本当に、そうなのだろうか。

例え怪人達が斃れ、原子力発電所爆発という危機は去ったとしても――
死んだ者達は帰って来ない。
俺が殺した人達は、戻って来ない。

俺は――
何ということを、してしまったのか。
何で今、こうしておめおめと生きているのか。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:39:42.25 ID:SWZQJ8aF0

('A`)「…………!」
足を止め、血が出るほど強く唇を噛み締めた。
口の中に、鉄の味が広がる。

イ从゚ ー゚ノi、「どうした、マスク仮面?
    早くここから逃げるぞ」
('A`)「……逃げて、どうするってんだ」
何の関係の無い者まで巻き込んで、今更逃げ延びようというのか。
そんなことが、許されるのか。

イ从゚ ー゚ノi、「何を言っておる!?
    ここで捕まってもよいのか!?」
('A`)「それが望みなんだよ!
   人殺しは、罰を受けるのが当然の報いだろうが!!」
そう言った瞬間、ドス女の手の平が俺の頬を打った。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:41:03.73 ID:SWZQJ8aF0

イ从゚ ー゚ノi、「ふざけるな! 貴様は罰を受ければそれで満足かもしれん!
    しかし、お前にはまだやることがあるじゃろうが!!
    お前が捕らえられて、誰が怪人達と闘うのじゃ!?」
('A`)「知ったことか!!
  もう嫌なんだよ!!
  殺して殺されて、また殺して――
  闘えば、これから先、また何の罪も無い人を殺してしまうかもしれない!!
  それが怖いんだよ!!
  もう嫌なんだ!!
  無関係な人を殺すなんて、俺には――!」
そう言いかけた瞬間、轟音と共に俺の目の前からドス女の姿が消失した。

いや――違う。
消えたんじゃない。
吹っ飛ばされたんだ。

――どうやって?



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:43:08.43 ID:SWZQJ8aF0

('A`)「!!!!!」
直後、その疑問の答えを俺は自身の体で思い知った。
体にぶつかってくる、とてつもない衝撃。

突風に煽られた洗濯物のように吹き飛ばされ、
木の幹に叩きつけられる。

('A`)「が……! ぐお……! がはっ……!」
あまりの威力に立ち上がることも出来ず、
俺は無様に地面の上を転げまわった。

脇腹に鈍い痛み。
どうやら、肋骨の何本かがイってしまったらしい。

('A`)「…………!」
ξ゚听)ξ「…………」
倒れたまま周囲を確認すると、木々の向こうに一人の少女が立っていた。

あの女、見覚えがある。
確か、JOWの――

今の攻撃は、あいつの仕業か……!



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:43:52.04 ID:SWZQJ8aF0

イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面!!」
流石の頑丈さというか、ドス女の方はもうある程度「ダメージから回復したようで、
俺の方へと駆けつけようとしていた。

が――その時、

川 ゚ -゚)「それ以上動くのは止めてもらうか」
気がついた時には、俺の頭に拳銃が突きつけられていた。
この女も――見覚えがある。
確か、クーとかいう女だ。

(´・ω・`)「いやはや、どうやら間に合ったみたいだね」
ドス女の後ろにいるのは――確か、ショボンとかいう男。
その手には、カードらしきものが握られている。

(´・ω・`)「吃驚したよ。 駆けつけたときには、既に事態が解決していたんだから。
    まあ、そのまま手ぶらで帰るわけにもいかなかったし――
    発電所の監視カメラを見せてもらったんだけど、
    その内容について、君達に聞きたいことがあるんだ。
    ――発電所内の死体の事も含めてね」
――しまった!
何でそんな簡単なことに頭が回らなかったんだ。
あんな重要な施設に――監視カメラがついてないわけ、ないじゃないか……!



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:46:13.75 ID:SWZQJ8aF0

イ从゚ ー゚ノi、「くっ……!」
川 ゚ -゚)「動くな」
クーが俺の頭に拳銃を当て、ドス女の所作を封じる。
俺が人質に取られている所為で、ドス女は動くことが出来なくなっていた。

(´・ω・`)「……抵抗するのはやめてもらおう。
    こちらも、ここで斬った張ったするつもりは無いし――
    何より、今この状態なら、こちらが圧倒的に有利だ。
    それとも、ここで変身して闘ってみるかい?」
ショボンがチラリと俺の方を向いた。
……全て、お見通しという訳か。

(´・ω・`)「……分かってくれたようだね。
    よし、ゆっくりとこちらについて来てもらおうか。
    向こうに僕達の車を停めてある」
俺が何も答えないことを投降の意味と介し、
ショボンが俺達を促した。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:47:52.83 ID:SWZQJ8aF0

(´・ω・`)「ブーン、ドクオ君を見張っておいてくれ。
    ……もし変身しそうになったら、どんな手段を使ってでもいい、阻止してくれ」
ショボンの言葉と共に、一人の少年が姿を見せた。

それは俺の憧れ。
俺のなりたかったもの。
理想の体現。
正義のヒーロー。

( ^ω^)「…………」
それが、俺を憎しみと侮蔑のこもった瞳で見つめていた。


〜第三十二話『許されざる者』 終
 次回、『ドクオ、JOWに囚われる!』乞うご期待!〜



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/21(月) 23:49:32.34 ID:SWZQJ8aF0

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