ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 22:56:55.92 ID:xYm7SsAn0

第三十三話『ドクオ、JOWに囚われる!』

〜前回までのあらすじ〜

物語りも進んできたので作中の用語解説

『鉄鍋の醤』
少年チャンピオンに連載されていた料理バトル漫画。
料理バトル漫画といえば、ミスター味っ子や中華一番を連想される人が多いと思うが、
この鉄鍋の醤はそれら既存の漫画とは一線を画している。
その理由は、主人公秋山醤の極悪さ。
相手に勝つ為なら手段を選ばず、場合によっては毒すら使う。
その既存の主人公像から大きく逸脱した性格が評判を集め、人気の要因となった。
個人的には泥沼場外乱闘反則戦と呼ぶに相応しい、
醤と五行のバトルがベストバウト。
本編には一切登場しません。

『ビキニカラテ』
知る人ぞ知る、超極上格ゲー。
内容はビキニ水着を着た外人のおねーちゃん達が殴り合う。
ただそれだけ。
必殺技としては、自分のおっぱいを揉んだり、
おっぱいビームを出したり、股間から虹を出したりするものがある。
念の為言っておきますが、作者は決して狂ってはいません。
本編には一切登場しません。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 22:58:31.68 ID:xYm7SsAn0

『大妹』
巨乳高身長の妹と、低身長の兄があまあまちゅっちゅする和六里ハル作の成人漫画。
巨乳!
巨乳!
巨乳!
あとは妹ではなく姉だったら完璧だったのに……
本屋で購入するにはかなり抵抗のある表紙だが、
それに打ち勝ってこそ真の勇者(オタ)。
取り敢えず作者はおいしくいただきました。
本編には一切登場しません。

『超天使』
ほっちゃん超天使。
本編には一切登場しません。

『下ネタ』
性的な事柄を用いて相手を笑わせるギャグの総称。
子供はうんこしっこなどの排泄物が、
大人はちんこまんこが大好きな傾向が強い。
江頭2:50など、自分の性器を露出して笑いを取る芸人も少なくない。
その性質上嫌いな人も多いが、大好物の人もいる。
作者は大好きですちんこ。
本編には一切登場しません多分。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:00:15.26 ID:xYm7SsAn0

『SHUFFLE!』
Navel(ネーブル)ブランドのエロゲー。
ゲームとしても中々の出来ではあるが、その真価はアニメ版にこそある。
ヒロインの一人に楓というキャラクターがいるのだが、
物語後半でこのキャラが突如暴走。
主人公を想うあまり精神が壊れていき、
虚ろな目で空の鍋をおたまでかき混ぜる、
主人公と良い雰囲気になっていた別ヒロインに詰め寄り「死んじゃえばいいんだ!」
と叫ぶ等、ぶっ飛んだ言動が視聴者の度肝を抜いた。
本編には一切登場しません。

『マンコナイフ』
コミックREX連載の、『シンシア・ザ・ミッション』という漫画に出てきたシチュエーション。
詳細としては、女殺し屋がその陰部をナイフで刺されたという、
よく少年誌で連載出来たなとしか言えないような内容。
その余りに強烈なシーンが一部カルトな話題を呼んだ。
取り敢えず読んでみよう。
本編には一切登場しません。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:02:57.24 ID:xYm7SsAn0


       *  以下、何事も無かったかのように再開  *


JOW日本支部長官室――
フォックスと初代モナーとが、室内に佇んでいた。

爪'ー`)「変身能力を持つ青年と、『銀獣』とを捕獲したようだな」
葉巻をくゆらせ、背中を向けたままでフォックスが初代モナーに言った。

(´ー`)「はい。
    青年の方は、ここの特別防護室で最大レベルでの監視を、
    『銀獣』の方は別室の牢屋に確保しております」
直立不動の体勢のまま、初代モナーが答える。

爪'ー`)「『銀獣』……か。
    会いにいかなくてもよいのかな、モナー?」
(´ー`)「今この状況で会っても、嫌われるだけですので……
    暫くは、距離を置いておくことにします」
苦笑を浮かべ、初代モナーはそう言った。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:04:40.46 ID:xYm7SsAn0

(´ー`)「そういえばご主人様、アメリカ本部のK氏ですが、
    今しがたこちらに到着したとのことです」
爪'ー`)「そうか。 ならば丁重にお出迎えしてくれ。
    あれの機嫌を損ねるようなことになったら、あっという間にこの建物が瓦礫の山になってしまうからな」
(´ー`)「はっ。 仰せの通りに」
初代モナーが一礼し、部屋を出ようとする。

爪'ー`)「ああそうだ、モナー」
思い出したように、フォックスが初代モナーに声をかけた。

(´ー`)「何でございましょうか、ご主人様」
爪'ー`)「『銀獣』の件だが……矢張り様子を見に行った方がいいと思うぞ。
    ジョルジュが、いらぬ悪戯をするかもしれん」
(´ー`)「…………!」
初代モナーが表情を強張らせる。
しかし彼はそれ以上何を言うでもなく、黙って長官室から出て行くのであった。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:05:58.16 ID:xYm7SsAn0


          *          *          *


気がついた時には、俺は牢獄の中に入れられていた。
JOWに捕らえられた後、俺は変な注射を打たれて気を失ったところまでは覚えているのだが……
どうやら、意識の無い間にここまで連れて来られたらしい。

ここがどこなのかは分からないが……
恐らく、JOWの関連施設か何かだろう。

('A`)「…………」
体を動かそうとしたが、動かない。

ゆっくりと現状を確認すると、
足と腕と胴体とが金属製の拘束具で固定された状態で、
イエスキリストのように磔にされている。

……まあ、俺の変身能力を知ったのなら、
これぐらいは当然の措置といったところか。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:07:12.06 ID:xYm7SsAn0

('A`)「…………」
俺は、これからどうなるのだろうか。

あのJOWが、俺の秘密を知ってただで済ますとは思えない。
現に、こうやって拘束されているのが何よりの証拠だ。

このまま一生この牢獄に閉じ込められ、人体実験を受け続けるか――
それとも、近いうちに殺されるか。
どちらにしても、決して良い待遇とは言えない扱いを受けるだろう。

変身して逃げるか。
そうも考えたが、すぐにやめた。

JOWがそんなことに何の対策もしていないなんて考えられないし――
運良く逃げ出したところで、すぐに発見されるのがオチだ。

何より――
逃げ出して、どうするというのだ。

無関係な人間を殺して――
自由に生きるなんて、許されるのか。
それなら、ここで死ぬのが唯一の償いなのではないのか。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:08:27.24 ID:xYm7SsAn0

(´・ω・`)「やあ、よく眠れたかい?」
突然牢獄の扉が開き、二人の男が入ってきた。

ショボンと、ブーン。
俺の様子を見に来た、といったところか。

('A`)「ここは……」
(´・ω・`)「JOW日本支部だよ」
俺が質問すると同時に、ショボンが答えた。

(´・ω・`)「しかし、思った以上に早く目覚めたね。
     象でも三日は眠り続ける麻酔を打った筈なのに。
     矢張り、化物には効果が薄いということかな?」
('A`)「俺は……!」
化物なんかじゃない、と言おうとしたが、それ以上言えなかった。

化物なんかじゃない?
何を都合のいい事を。

あんな姿と力を持っていて――
何の罪も無い人を殺して、化物じゃないなんて。
そんな言い訳が通用する筈ないじゃないか。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:09:54.42 ID:xYm7SsAn0

( ^ω^)「…………」
と、ブーンが無言のまま俺の前に歩いて来た。
直後――

(#^ω^)「…………!」
最初に感じたのは、痛みではなく衝撃だった。
ブーンが俺の顔をいきなり殴りつけ――
身動きの取れない俺は、もろにそれを喰らってしまう。

殴られた拍子に口の中を切ってしまったのか、
血の味が口の中に広がっていく。

(#^ω^)「普通の人が死んでたお……!」
俺の胸倉を掴み、ブーンが俺に詰め寄った。

俺は何も答えられず、
黙ってブーンから視線を逸らす。

(#^ω^)「どうして無関係な人まで殺す必要があったんだお!
      どうして他の方法を考えなかったんだお!」
ブーンが激昂し、俺にそう問い詰めた。

俺は何も言い返せなかった。
ブーンの言う通りだ。
どうして、他の手段を思いつけられなかったのだろう。
どうして、俺はあんなことをしてしまったのだろう。

失われた命は――
二度と、戻らないというのに。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:11:17.07 ID:xYm7SsAn0

(#^ω^)「何か答えたらどうなんだお!
     答えろ! 答えろォ!!」
ブーンが俺の襟元を握ったまま、何度も俺の胸倉を揺さぶる。

俺は何も答えられなかった。
何を言っても、言い訳にしかならないと思ったから。

(´・ω・`)「そこまでにするんだ、ブーン」
と、ショボンがブーンの肩に手をかけ、ブーンを諌めた。
ブーンは黙ったまま、不満そうな顔で俺の襟元から手を離す。

(´・ω・`)「ブーンが乱暴してしまってすまないね。
     ……まあ、僕もブーンと同じ気持ちではあるけど」
ショボンが冷ややかな目で俺をねめつけた。

(´・ω・`)「これからの君の処遇をまた伝えに来るよ。
     それまで、自分のしたことの愚かさを充分噛み締めてるといい」
それだけ言い残すと、ショボンとブーンは牢獄から出て行った。

――俺の犯してしまった罪。
到底、償い切れぬ重み。
それが、今更のようにのしかかってくる。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:12:52.82 ID:xYm7SsAn0

……そういえば、ドス女はどうなったのだろうか。
あいつのことだから、そう簡単にくたばるようなことは無いと思うが――
それでも、安心は出来ない。

だけど、今の俺に何が出来るのか。
無様に捕らえられ、闘う意味も無くして、何を護れるというのか。

肝心な時に、自分の大切なものさえ守れない。
何て、惨めな姿なのだろう。
……これが、正義のヒーローを目指した人間の末路なのか。

あまりに滑稽な自分の姿に、最早笑うことすら出来なかった。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:14:16.95 ID:xYm7SsAn0


           *           *           *


イ从゚ ー゚ノi、「…………」
ドクオが捕らえられている牢獄とは別の部屋に、銀は収容されていた。

ここに捕らえられてから、もう一日近くが経過している。
ドクオは――果たして無事なのだろうか。
銀にはそれだけが気がかりだった。

JOWも馬鹿ではない。
何も分からないうちにすぐ殺す、というようなことは無い筈だが――
それでも、安全が保障されているわけではない。

何とかここを抜け出してドクオを救出しなければ……
そう考えてはいるが、下手に動けば逆にドクオを窮地に立たせてしまうことになりかねない。
そうして何も出来ないまま、ただ時間だけが過ぎてしまっていた。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:15:44.16 ID:xYm7SsAn0

イ从゚ ー゚ノi、「…………」
自分の所為だ。
銀は、そう後悔していた。

自分が、早い段階で無理矢理にでもドクオをこの件から遠ざけていれば、
こんなことにはならなかった。

ドクオが危険な目に遭うことも無かったし――
ドクオを、人殺しにせずに済んだ。

自分が、ドクオを追い詰め、傷つけてしまった。
その後悔が、銀を苛んでいた。

どうして――
どうして、早くドクオの元を去らなかったのだろうか。

人間と化物が一緒に暮らしても、碌なことにはなりはしない。
そんな事、分かりきっていた筈なのに――



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:17:09.01 ID:xYm7SsAn0

( ゚∀゚)「よお。 お前が『銀獣』か」
突然、銀の居る牢屋に何人かの男が入ってきた。
その中のリーダー格のような男が、品定めするような目で銀を見る。

( ゚∀゚)「ふーん。 話に聞いていた以上の美人だなあ。
    こりゃ、色々楽しめそうだ」
言いながら、男が下卑た笑みを覗かせる。
銀は、そんな男から生理的な嫌悪感を感じずにはいられなかった。

イ从゚ ー゚ノi、「誰じゃ、貴様は。 用が無いなら去ね」
男を睨みつけ、銀が吐き捨てるように言った。
男はそんな銀の様子など意に介さないかの様子で、
( ゚∀゚)「そんなにつれない態度取るなよー。
    俺はジョルジュってんだ。 で、後ろのは俺の部下」
ジョルジュの後ろにいる男達も、ジョルジュと同じくらいの下品な笑みを浮かべていた。

クズどもが。
銀は彼らの思惑を察知し、心の中で舌打ちした。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:18:40.10 ID:xYm7SsAn0

( ゚∀゚)「その顔を見ると、俺達が何の用でここに来たか大体気付いたようだな」
イ从゚ ー゚ノi、「下種どもめ……! 素手であろうと、貴様ら如き皆殺しにするのは訳無いぞ?」
銀が牙を剥き出しにし、ジョルジュ達を威嚇する。

( ゚∀゚)「いいねーいいねー。 気の強い女は好きだよ。
    特に、そういうのを無理矢理犯すのはねえ」
イ从゚ ー゚ノi、「貴様らが、儂を力ずくでどうこう出来るとでも?」
ジョルジュ達を睨んだまま、銀は言った。

( ゚∀゚)「まあね。 一つ良い事を教えてやるよ。
    俺は牢獄の管理を任されててね、ここの中は基本的に俺が自由に出来るんだ。
    当然、お前の連れのドクオとかいう男が入ってる牢獄と――
    その中に収容されてる奴の処遇もね」
イ从゚ ー゚ノi、「…………ッ!」
( ゚∀゚)「物を考える頭があるなら分かるよな?
    ここで俺達に逆らえば、ドクオとかいう男がどうなるか……」
ジョルジュの笑みが、一層醜悪なものに変化していった。


〜第三十三話『ドクオ、JOWに囚われる!』 終
 次回、『参上、宇宙大魔王!』乞うご期待!〜



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/23(水) 23:19:47.57 ID:xYm7SsAn0

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