ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:15:58.09 ID:yNqpyU680
第四十三話 『冬の嵐 その3』


( ФωФ)「生命維持装置の準備をしろ! すぐにだ!!」
基地に戻るなり、ロマネスクは部下の動物達にそう命令した。

犬や猫の動物達は、人間顔負けの器用さでテキパキと生命維持装置と呼ばれた
医療器械らしきものをセッティングしていく。

5分とせず用意は整い、ロマネスクは渡辺のおばあちゃんをそっと機械に寝かせた。

('A`)「助かるのか!? ロマネスク!」
( ФωФ)「黙っていろ!!」
ロマネスクが呼吸器を渡辺のおばあちゃんの口に当て、腕に点滴の針を刺す。

助かってくれ。
俺には、そう祈っているしか出来なかった。

从'ー'从「…………」
渡辺のおばあちゃんは相変わらず気を失ったまま目を閉じ、苦しそうに息をしている。

糞ッ。
何がマスク仮面だ。
何が正義のヒーローだ。

大層な名前を名乗ったところで、
大切な人一人護れなかったじゃないか……!



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:19:13.97 ID:yNqpyU680
('A`)「…………」
( ФωФ)「…………」
俺とロマネスクは、黙ったまま渡辺のおばあちゃんを見つめていた。

こんなことをしている場合じゃないことは分かっている。

今こうしている間にも、次々と人は傷つき、死んでいっており、
一刻も早くあの怪人どもを止めなければならない。

だが、
だけど。

今こうして、渡辺のおばあちゃんが死にそうになってるってのに、
どうしてそれを放っておいて行けるというんだ……!

正義のヒーローはみんなを助けなければならない。
それは理解出来る。

だけど、俺にとっては、
そんな漠然とした『みんな』という概念より、
渡辺のおばあちゃんの方が大切だったんだ。

これは、いけない考えなのだろうか。
命と命を天秤にかけ、
自分にとって大事な方を優先する。
それは、罪なのだろうか……



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:20:35.80 ID:yNqpyU680
从'ー'从「う…………」
と、渡辺のおばあちゃんが目を覚ました。

('A`)「おばあさん!!」
( ФωФ)「渡辺!!」
俺とロマネスクが、身を乗り出して渡辺のおばあちゃんの顔を覗き込む。

从'ー'从「あら……
     マスク仮面さん……に……ロマネスクさん……」
喋るのだって辛い筈なのだろうに――
渡辺のおばあちゃんは、それでも優しい笑みを浮かべて俺達に語りかけた。

('A`)「おばあちゃん、もう大丈夫だ。
   ロマネスクが、手当てしてくれてるから」
不安を悟られないように、努めて穏やかな顔と口調で俺はそう言った。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:23:37.39 ID:yNqpyU680
从'ー'从「あらまあ……
     そんな、ご迷惑をかけてしまって……」
( ФωФ)「気にする必要など無い。
      配下の命を護るは支配者たるものの務め。
      当たり前のことをしただけだ」
ロマネスクも俺と同じ気持ちなのだろう。
渡辺のおばあちゃんを動揺させないように、敢えて憮然とした態度で言い放つ。

('A`)「もう心配いらないからな。
   俺とロマネスクが、ここで一緒にいるから」
渡辺のおばあちゃんの手を握り、俺はそう言った。

そうだ。
俺にとっては、他の誰より、渡辺のおばあちゃんが心配なんだ。
他のことに手を回す余裕なんて、無い。

これで、
これでいい筈なんだ……!



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:26:06.10 ID:yNqpyU680
从'ー'从「…………」
('A`)「――――!?」
しかし、渡辺のおばあちゃんは俺の手をゆっくりと振りほどいた。

そんな。
一体、どうして。

从'ー'从「……駄目ですよ。 マスク仮面さん、ロマネスクさん。
     あなた達は、こんなことをしている場合ではないでしょう……?」
静かに、しかし力の込められた声で、渡辺のおばあちゃんがそう告げた。

从'ー'从「……外では、今もまだ苦しんでいる人達がいる筈です。
     ……あなた達は、その人達を助けに行ってあげなさい」
('A`)「だけど――!」
渡辺のおばあちゃんを置いていける訳なんてない。

だって、
俺は他の人より渡辺のおばあちゃんの方が――



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:29:40.22 ID:yNqpyU680
从'ー'从「いけません。 あなたは、『正義のヒーロー』なのでしょう……?」
今まで見たことのないくらい厳しい目で、渡辺のおばあちゃんが俺を見据えた。

何だって、この人は、
自分がこんな状態だってのにそんな事を言えるんだ……!

从'ー'从「……さあ、行きなさい。
     私のことは大丈夫だから……」
('A`)「…………」
それでも俺は、その場から足を動かすことが出来なかった。

行けば、
もう二度と生きている渡辺のおばあちゃんには会えない気がしたから。

( ФωФ)「分かった。 行ってくる」
ロマネスクがきっぱりと言い放ち、渡辺のおばあちゃんに背を向けた。

('A`)「ロマネスク……!」
俺はロマネスクを引きとめようとした。

( ФωФ)「何をやっている。 来い、マスク仮面。
      お前は、行って、闘わねばならない」
('A`)「…………!」
分かってる。
そんなことは分かっているんだ。

でも。
でも……!



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:32:07.58 ID:yNqpyU680
从'ー'从「行きなさい。 マスク仮面さん」
渡辺のおばあちゃんが、にっこりと微笑んでそう言った。
これ以上無いくらい、透明な笑顔。
それが、俺の心を突き動かす。

('A`)「ごめん……おばあちゃん……!」
俺は心を決めた。

行って、闘い、一秒でも早く全てを終わらせて渡辺のおばあちゃんの所まで戻ってくる。
それが、今俺がやらなければならないことだ。

( ФωФ)「渡辺」
と、ロマネスクが渡辺のおばあちゃんに向き直った。

( ФωФ)「我輩がこの星を征服した暁には、お前にこの日本を領土として与え、
       そこの統治を任せるつもりだ。
       それまで、死ぬことは許さん。
       これは命令だ」
強く、ロマネスクはそう言った。
死なないでくれ。
その思いを言葉に込めて。

从'ー'从「分かりました…… ロマネスクさんも、どうかご無事で……」
( ФωФ)「フン、我輩を誰だと思っている。
      この宇宙大魔王が、こんな辺鄙な星の征服如きで不覚を取るか」
ロマネスクは笑い、今度こそ渡辺のおばあちゃんに背を向けた。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:34:05.85 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「ヴィヴィアン・ザ・ナイチンゲール。
      渡辺のことは任せたぞ」
ロマネスクが生命維持装置を操作する猫に向かってそう言った。
ヴィヴィアンと呼ばれた猫とその部下らしきネズミ達が、一斉にロマネスクに向かって頷く。

( ФωФ)「渡辺、すぐ戻る。
      それまでここでのんびりと待っていろ」
ロマネスクが最後に、渡辺のおばあちゃんにそう告げた。

( ФωФ)「行くぞ、マスク仮面!!」
('A`)「応!!」
俺とロマネスクは、一斉に駆け出した。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:35:20.88 ID:yNqpyU680



( ФωФ)「マスク仮面」
('A`)「?」
基地の出入り口の手前で、急にロマネスクは足を止めた。

( ФωФ)「我輩は『漢祭り』で東京湾の戦艦を叩く。
      お前は、国会議事堂に向かって敵の首魁を討て」
('A`)「ああ」
それぞれ別々に動く、ということか。

少し心細い気もするが、仕方が無い。

今は一刻を争うのだ。
仲良しこよしで固まって動けば、それだけ時間をロスする。
一人で、やるしかない。

( ФωФ)「恐らく、今までとは比較にならない位厳しい闘いになるだろう。
      ……できるな?」
('A`)「出来るさ! どんなことをしてでも歯車王とかいう奴をぶっ倒して……!」
( ФωФ)「そういうことではない。
      切り捨てる覚悟があるのか、と訊いている」
('A`)「?」
ロマネスクの言わんとすることがいまいち理解出来ず、俺は首を傾げた。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:38:21.62 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「我輩達は神でも悪魔でもない。
      全ての人々を護ることなど出来はしない。
      さっきの渡辺が良い例だ。
      人間一人すら、満足に助けることすら難しい」
('A`)「…………」
渡辺のおばあちゃんを護れなかった。
その事実が、再び俺にのしかかる。

( ФωФ)「全ての者を護る――
      響きだけは素晴らしいが、そんなことは不可能であり、
      不可能なことを目標にするのは、理想ではなくただの逃避だ。
      一人の腕で護れる範囲など、たかが知れている。
      それは分かるな?」
('A`)「…………」
俺は何も答えなかった。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:40:28.83 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「あの女――銀と言ったか。
      お前は、恐らくその女を一番に護りたいのだろう。
      それは別に構わん。
      だが――その女と同時に、他の者全てを助けようなどとは思わないことだ。
      二兎を追う者は結局は一兎も得ることなく全てを台無しにする。
      そしてその後残るのは、後悔だけだぞ?」
ドス女――
あいつも、今頃どこかで闘っているのだろうか。

あいつなら大丈夫だろう。
そう思うと同時に、もしものことがあったらと、たまらなく不安になる。

……本当は今すぐにだって、全てを投げ捨ててあいつを探しに行きたい。
だが、それは出来ない。
そんなことをやったら、渡辺のおばあちゃんを裏切ることになる。

渡辺のおばあちゃんは、
自分を省みずに俺に他の人達を助けろと言ってくれた。
その想いを、無視することなど出来はしない……!



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:42:53.32 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「いいか。 お前のすべきことは、一秒でも早く首魁を斃してケリをつけることだ。
      それが、結局は一番犠牲を防ぐことが出来る。
      全てを助けようとすれば、その間に別の場所で更なる犠牲が出る。
      それが、あの銀という女でない保証などどこにも無い。
      お前は選ばなければならない。
      誰を助け、誰を助けないのかを。
      人間の命を切り捨てる、お前にはそれが出来るのか?」
ロマネスクは正面から俺を見据え、そう言った。

( ФωФ)「『みんな』の為に闘う――
      そんな漠然とした理由で闘うと言うのなら、お前は来るな。
      足手まといなだけだ」
('A`)「俺は……」
俺はゆっくりと口を開いた。

('A`)「……俺は、出来る。
   俺にとっては、ドス女や、渡辺のおばあちゃんの命が他の人の命より重い。
   さっきだって、渡辺のおばあちゃんを助けることだけで頭が一杯で、
   他の人のことになんて頭が回らなかった。
   もしドス女や渡辺のおばあちゃんが危なかったら、
   他の誰をも見殺しにしてでも助けに行く。
   俺にとっての『みんな』とは、そんな狭い範囲の人達だ」
そう、俺にとっては、自分の大切な人達が、俺の全てだった。
それを護る為なら、何だってやるし、誰だって殺す。



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:45:34.78 ID:yNqpyU680
('A`)「――だけど、もし俺の目の前で、誰かが俺に助けを求めたら、俺はそいつを助ける」
きっぱりと、俺は言い放った。

( ФωФ)「それはお前が正義のヒーローだからか?」
ロマネスクが訊ねた。

('A`)「違う! 正義のヒーローだからなんかじゃない!
   俺が、俺だからだ!!」
俺は叫んだ。

('A`)「俺が苦しかった時、助けを求めていた時――
   正義のヒーローは来てくれなかった。
   誰も、俺を助けに来てはくれなかった。
   他の誰かに傷つけられるより、何より――
   助けに来てくれない、それが一番辛かった」
……結局、俺の前に正義のヒーローは現れなかった。
正義のヒーローは、俺を助けなかった。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:48:07.04 ID:yNqpyU680
('A`)「だけど!
   ドス女が助けに来てくれて、俺は嬉しかったんだ!!
   今まで生きていて良かった、誰かが助けに来てくれて、本当に良かったって――
   心の底から、そう思ったんだ!!
   苦しい時、誰かに助けてもらえることが、
   こんなに素晴らしいことだったって、初めて知ったんだ!!」
あの時――
俺の前に助けに来てくれたのが、俺にとってどれだけの救いになったことか。
どれだけ嬉しかったことか。

その時の気持ちがあるから、
こうやって、今俺は闘うことが出来る。

('A`)「だから俺は苦しんで、助けを求めている人を護る!
   俺と同じ思いなんて、誰にもさせたくないから、
   あの時の嬉しさが、忘れられないから!!
   偽善でも、独善でも、独りよがりな自己満足でもいい!
   助けが来ない苦しみを、俺は誰より知ってるから――
   だから、そんな人達を見捨てるなんて、俺には出来ない!!!」
そう、それが、俺の闘う理由だった。

正義のヒーローなんかじゃなくたっていい。
誰かが自分を助けてくれる。
その嬉しさを、その喜びを分かち合えたらいいなと思う気持ちは、
きっと間違っていないと思うから――



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:50:20.96 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「フ――フハハハハハハハハ!」
突然、ロマネスクは笑い出す。
その顔は、どこか満足そうにも見えた。

( ФωФ)「フン――
      随分自分勝手な正義のヒーローも居たものだ。
      ならば好きにやってみるがいい。
      その想いでどこまでやれるのか、試してみるがいい」
――と、
ロマネスクはいきなり赤いマントを俺に投げ渡した。

燃えるような、真紅のマント。

これは……
ロマネスクの基地に大事そうに飾っていたマントか?

( ФωФ)「それを纏うがいい。
      お前には、その資格がある」
('A`)「でも、これは――」
あんなに大切に保管していたものを、俺が使うなんて、
ロマネスクはそれで構わないのか?



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:51:56.67 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「構わん。
      それは、正義のヒーローが身に付けて初めて意味があるものだ。
      我輩が後生大事に持っていたところで何の意味も無い。
      それは恐らく、お前の手に渡るために今まで存在していたのだろう」
ロマネスクが言った。

正義のヒーロー――
それが一体どういうものなのか、俺にはまだよく分からない。

だけど、以前これを纏っていた人は、
きっと本物の正義のヒーローだったのだろう。
手に取っただけで、それが伝わってきた。

('A`)「……分かった、使わせてもらう。
   ――ありがとう」
俺は正義のヒーローなんかじゃない。

だけど、そんな俺にロマネスクはこのマントを託してくれた。
ならば俺は、それに応えなければならないだろう。
そう、例え、俺が正義のヒーローではないのだとしても。



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:54:19.97 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「……最後に、これだけは言っておく。
      お前が本当に護りたいもの、護るべきものを忘れるな。
      何を護るのか分からないまま闘っても、誰も護れはしない。
      そして、必ずしも護れるとは限らない。
      お前はさっき助けを求めるものを護ると言ったが、
      全てを護ることなど出来ないのだと、それだけは理解し、覚悟しておけ
('A`)「……分かってる。
   どちらを切り捨てるか選べないいまま、両方を失うようなことだけはしない」
現実はテレビやゲームではない。

全てが助かり、上手くいくような夢のような解決なんて存在しないし、
奇跡なんてものも起こらない。

犠牲は、必ず出る。

誰も犠牲にならない世界。
そんなものはありえない。

誰かが犠牲になるからこそ、
俺はこうして生きているのだし、
闘うことが出来る。

犠牲があるからこそ、
どこかで幸福が生まれているのだ。

誰かを殺して、別の誰かを生かす。
世界中で、その取捨選択が行われている。



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:55:26.55 ID:yNqpyU680
だけど――
犠牲が避けられないのなら避けられないなりに、、
その中で最善の方法を探すことは出来る筈だ。
それだけは、出切る筈だ。

――原子力発電所で、俺は何の罪も無い人を殺した。
他の誰かを生かす為に、別の誰かを犠牲にした。

――あの時はああするしかないと思っていたけれど、
あの時の判断は、きっと間違いだったのだろう。

もっと、何か別の方法があったかもしれない。
今も、その後悔で押し潰されそうになる。

だからこそ、今回は間違えてはならない。
あの時殺した人達の死を無駄にしない為にも、
俺は最善の方法を全力で探さなければならない。

そんなもので俺の罪が消えるとは思っていない。
だけど、それでも俺はそうしなければならないんだ……!



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/07/07(土) 22:56:26.53 ID:yNqpyU680
( ФωФ)「……大丈夫なようだな」
ロマネスクが頷き、ポケットからリモコンのようなものを取り出して何やら操作した。
程なくして、あのUFO『漢祭り』がロマネスクの横に着陸する。

( ФωФ)「では行くぞ、マスク仮面!
      我輩がお前を斃すまで、他の誰かに斃されるなよ!!」
ロマネスクがUFOに乗り込み、東京湾に向けて出発した。

……分かってる。
お前は、こんな俺を正義のヒーローと言ってくれた。

その信頼に応える為にも、
俺は必ず生きて戻ってくる。

だから――
お前も、無事でいてくれ。

('A`)「…………」
ロマネスクから渡された赤いマントを背中に羽織った。
それだけで、体中から力が湧いてくるような感じがする。
これが、正義のヒーローの力というものなのか。

('A`)「――行くぜ!!!」
煉獄の街へと向かって、俺は走り出した。


〜第四十三話『冬の嵐 その3』 終
 次回、『冬の嵐 その4』乞うご期待!〜



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