ドクオは正義のヒーローになれないようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:44:13.84 ID:ynUJs3fD0
第二部 第九話『希望の残骸』

〜前回までのあらすじ〜

あの邪気眼ブーン系小説の格ゲーの続編、ついに登場!
様々な新要素を搭載して、今再び君達の心を熱く燃やす!!



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:45:59.75 ID:MQ22mHMg0
・燃え上がれ! ヒートゲージ!

今作から、ヒロイックゲージの他にもう一つのゲージが追加!
ヒロイックゲージを使用する度に、ヒートゲージが上昇する!
ヒロイックゲージを惜しむ必要など全く無い!
どんどん消費して、ガンガンヒートゲージを溜めるんだ!
そのヒートゲージを消費することで使用できる特殊動作、
ヒートアクションが闘いを更に熱くするッ!!

・喰らわせろ! エリアルブラスト!!

( ▼w▼)「吹っ飛べェ!!」
イ从゚ ー゚ノi、「舞え……!」
( ^ω^)「どっか行っちまえお!!」

ヒートゲージを一定量消費することで、
長時間相手を無防備なまま上空へと打ち上げる攻撃が可能となる!
空中に放り上げて、落ちてくる相手に華麗な連続攻撃を叩き込め!!



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:46:45.92 ID:MQ22mHMg0
・突っ込め! アドバンスガード!!

川 ゚ -゚)「今だ!」
(=゚д゚)「止められるか!」
(´ー`)「行きますよ……!」

ヒートゲージを一定量消費して出来る、ガードしながらの前進動作!
多少の攻撃など物ともせずに、一気に相手との間合いを詰めろ!
そして接近した後は、渾身の一撃を食らわせてやるんだ!!

・ぶちのめせ! オーバーヒートキャンセル!!

( ▼w▼)「これで終わりだ! ネガティブレインボォォォォォォーーー!!!」
ミ,,゚(叉)「誘おうぞ! 舞え……! 散れ……! ――一閃!」
( ФωФ)「我輩最強の奥義にて果てるが良い!! 砕け散れぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

満タンまで溜まったヒートゲージを全て消費することで可能な、
最強最後のスーパーアクション!
その正体は、超必殺技から爆殺必殺技への連携!
どれだけ窮地に立たされても、一発逆転は充分に可能!
最後の最後まで、勝負を諦めるな!!



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:47:10.75 ID:MQ22mHMg0
・魅せる! 充実のイベント!!

( ФωФ)「今こそ、決着をつける時! 来るがいい、マスク仮面!!」
('A`)「望むところだ! 行くぞ、ロマネスク!!」

イ从゚ ー゚ノi、「何故じゃ! どうしてお主が……!」
( ´∀`)「始めようぜ、『銀獣』。 60年前の続きをなァ!!」

(´・ω・`)「どうかお手柔らかにね」
川 ゚ -゚)「冗談はよせ。 こちらこそ、手加減して欲しいくらいだ」

勿論演出面も大幅強化!
イベントシーンは当然のこと、バトル前デモも盛り沢山!
本編では実現しなかった掛け合いが、今ここに!!

・続々! 新キャラ追加!!

新キャラも多数追加!
新しい力! 新しい闘い!
光速で進化し続けるバトルに、君はついてこれるか!?



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:47:55.10 ID:MQ22mHMg0
新キャラ性能

( ゚∋゚)  クックル

見た目通りの、圧倒的なパワーと低い機動力が特徴のパワー型キャラ。
同じパワー型のロマネスクに比べ、攻撃力や防御力等の性能は一回り小さいが、
ガードが可能な分使い易さの面では上。
圧倒的な暴力で攻めまくれ!

必殺技

マッスルラリアット  ←タメ→ P
マッスルフライング  ↓タメ↑K
マッスルダンク  ↓タメ↑P
マッスルソバット  ←タメ→K
マウントポジション  接近時にレバー1回転P

超必殺技

マッスルカーニバル  →\↓/←×2 P
マイティストレングス  弱P強P弱K強K

爆殺必殺技

エリア51  接近時にレバー2回転P



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:48:31.39 ID:MQ22mHMg0
(*゚∀゚)   つー

一撃の重さより手数重視の、典型的なスピード型キャラ。
一発の威力の低さを、目にも止まらぬ連続攻撃で補うことが、
このキャラクター最大の持ち味と言える。
超スピードで相手を翻弄し、鋭い一撃を針の様に急所に叩き込め!

必殺技

地を這う蛇  ↓\→P
空翔ける鷹  →↓\P
滑空する鷲  空中で↓\→K
突進する猪  ↓/←K

超必殺技

噛み砕く獅子  ↓\→↓\→P
引き裂く虎  ↓\→↓\K

爆殺必殺技

蹂躙する獣  ↓/←/↓\→K



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:49:19.95 ID:MQ22mHMg0
从 ゚∀从   ハインリッヒ

当身で相手からの攻撃を捌きつつ、
隙をついて一撃を叩き込むトリッキーなキャラ。
当身技が強力な反面、自分から攻撃するのには向いていない為、
必然的に待ちの闘い方がメインとなる。
倒されない程度に、どこまで相手からの攻撃を我慢出来るかが勝利の鍵だ!

必殺技

ハインリッヒ式物理学NO.1  上段攻撃に対して↓/←P
ハインリッヒ式物理学NO.2  中断攻撃に対して↓\→K
ハインリッヒ式物理学NO.3  下段攻撃に対して→↓\P
ハインリッヒ式物理学NO.4  空中攻撃に対して→↓\K
ハインリッヒ式物理学NO.5  飛び道具に対して↓/←K
ハインリッヒ式物理学No.6  ←↓/P

超必殺技

ハインリッヒ式物理学NO.7  →↓\→↓\P
ハインリッヒ式物理学NO.0  あらゆる攻撃に対して↓\→↓\→K

爆殺必殺技

ハインリッヒ式物理学NO.∞  あらゆる攻撃に対して↓/←↓/←P



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:50:27.85 ID:MQ22mHMg0
(´・ω・`)   ショボン

カードを駆使する、一風変わった闘い方をするキャラ。
長く攻撃判定の残るカードを、攻撃の起点に使うか、
地雷のように設置して防御の要とするかは君次第。
変幻自在な必殺技で、相手を翻弄しろ!

必殺技

ハングドマン  ↓\→P
チャリオット  →↓\P
エンペラー  →↓\K
マジシャン  ↓/←P
ハーミット  ←↓/K
デス  ←/↓\→K

超必殺技

タワー  ↓\→\↓/←P
ジャッジメント  ↓\→\↓/←K

爆殺必殺技

ワールド  ←/↓\→×2K



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:51:09.57 ID:MQ22mHMg0
(’e’)  セントジョーンズ

瞬間移動によるトリッキーな移動と、
相手の能力にバッドステータスを与える他とは一線を隔した必殺技を使うキャラ。
必殺技で相手の移動や必殺技を封じ、
弱らせたところで一気に仕留めろ!

必殺技

瞬間移動  →↓\弱P、強P、弱K、強K(押した攻撃ボタンで移動場所が変動)
封印「足」  ↓\→K
封印「腕」  →↓\P
呪縛「崩鎧」  →\↓/←P
呪縛「奪力」  ←/↓\→K

超必殺技

刻印「死」  ↓/←/↓\→P
刻印「恐怖」  ↓/←/↓\→K

爆殺必殺技

禁忌「厄災」  ↓\→↓\→P



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:52:08.01 ID:MQ22mHMg0
( ´∀`)   モナー

セントジョーンズにより全盛時の力を取り戻したモナー。
必殺技が全体的に強化され、
欠点だった移動スピードも上昇している。
相手を寄せ付けない『魔弾』の嵐で、対戦相手を射ち殺せ!

必殺技
魔弾壱〜轟砲〜  ↓\→P
魔弾弐〜洛陽〜  →↓\K
魔弾参〜飛燕〜  ↓/←P
魔弾肆〜斜陽〜  空中で↓/←K

超必殺技
魔弾伍〜修羅〜  ↓\→↓\→P
魔弾零〜羅刹〜  ↓/←/↓\→K

爆殺必殺技
魔弾真〜死置〜(完全)  ←/↓\→×2P



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:53:05.65 ID:MQ22mHMg0
ノパ听)   素直ヒート

最強の暴力を有した、唯一無二の正義のヒーロー。
通常技が必殺技並みの威力と性能を持ち、
必殺技は他のキャラクターのそれを遥かに凌駕する。
北斗の拳の格ゲーのトキ並みの厨性能。
対人戦で使ったら、絶対に嫌われること間違い無し!

必殺技

すごいパンチ  ↓\→P
すごいキック  ↓\→K
すごいアッパー  →↓\P
すごい投げ  ←/↓\→K
すごい当身  あらゆる攻撃に対し→↓\K
すごいボンバー  空中で↓/←K

超必殺技

むっちゃすごいパンチ  ↓\→↓\→P
むっちゃすごいキック  ↓\→↓\→K

爆殺必殺技

スーパーウルトラハイパーグレートゴージャスミラクルネオファイナルインフィニティミリオン零式
↓/←/↓\→P



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:53:51.28 ID:MQ22mHMg0
加熱する厨バトル!
白熱する厨設定!
今世紀最大の邪気眼格ゲー、
『('A`)ドクオは正義のヒーローになれないようです 〜LIMITLESS HEAT〜』
COMING SOON!!



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:55:09.67 ID:MQ22mHMg0

         * 以下、何事も無かったかのように再開 *

('A`)「…………」
俺は何もしないまま、ただ深い絶望に沈んでいた。

何もしたくなかった。
何も考えたくなかった。
何も感じたくなかった。

――いや、もう俺が何をし、何を考え、何を感じようが無駄なのだ。
全ては、終わってしまったのだ。

核兵器の爆発で大勢の人々が死に、
核の冬で、更に多くの人々が死ぬだろう。

……いや、怪人以外の人間は、
全て絶滅するだろう。

人間だけじゃない。
動物も、植物も、一つ残らず。

それは、最早止めようがない。

例え俺がフォックス達をぶっ殺そうが、
それだけは、もうどうしようもないのだ。

もう、何をやっても無駄なのだ。
俺が闘うべき理由も、意味も、護るべきものすらも、
最早どこにも存在しない。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:56:07.26 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、( ФωФ)「マスク仮面!」
と、出入り口のドアが乱暴に開けられ、
ドス女とロマネスクが部屋の中になだれ込んできた。

イ从゚ ー゚ノi、「無事か!? フォックス達はどうした!?」
ドス女が膝をついてうなだれる俺の肩を掴み、大きく揺さぶる。

('A`)「…………」
俺は、ドス女からの問いに何も答えなかった。
答える気力が沸かなかった。

今ここで何があったか。
それをこいつらに伝えたところで、何が変わるというのだろう。

( ФωФ)「どうした!?
       黙ったままでは何も分からんだろうが!」
業を煮やしたのか、ロマネスクも俺の下に近付いてくる。

こいつらは、何をこんなに必死になっているのだろう。
もう、何をやったって意味が無いというのに。

('A`)「……終わりなんだよ、何もかも」
小さく、俺は答えた。

イ从゚ ー゚ノi、「何じゃと?」
ドス女が訝しげな顔で聞き返してくる。

('A`)「この世界は、もう――」
そして、俺はゆっくりと、ここで起こったことを話し始めた。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:57:09.53 ID:MQ22mHMg0



イ从゚ ー゚ノi、「――――!」
( ФωФ)「…………」
俺の話を聞いたドス女とロマネスクは、
一様に顔を強張らせたまま硬直した。

当然だ。
世界が現在進行形で終焉に向かっていってるなど、
すぐに受け入れられるわけがない。

イ从゚ ー゚ノi、「まさか――」
ドス女の言葉はそこで止まった。

まさかそんなことがある筈がない。
そう言おうとしたのだろう。

しかし、今この世界で起こっていることは、
起ころうとしていることは紛れも無い現実。
その事実は、変えようがない。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:58:00.78 ID:MQ22mHMg0
( ФωФ)「矢張り、か」
ロマネスクが舌打ちした。

('A`)「やっぱりって――お前、こうなることが分かってたのか?」
俺はロマネスクに訊ねた。

そういえばここに来る前に、
UFOの中でロマネスクは俺に何か言いかけていたけれど……

( ФωФ)「薄々と、ではあるがな。
       自分の信念を貫く為に邪魔になる者がいるのならば、
       殺すのが一番手っ取り早い。
       これと同じような思考回路の外道は今までに何人も見てきた。
       ……ここまで大規模なことを仕出かすのは、初めてだがな」
忌々しげに、ロマネスクは吐き捨てた。

( ФωФ)「兎も角、こうしてはいられん。 すぐにここを出るぞ。
       急いでフォックス達の逃げた先を探さねば」
イ从゚ ー゚ノi、「……そうじゃな」
ドス女とロマネスクが、踵を返して部屋を出ようとした。

しかし、俺はそんな二人を他所に、その場から動こうとしなかった。
――動けなかった。



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:58:45.62 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、「どうした? 早くせぬか、マスク仮面」
ドス女が俺を促す。
だが、それでも俺の足は一歩も動かなかったのだ。

('A`)「……めようよ」
イ从゚ ー゚ノi、「?」
か細い俺の呟きに、ドス女が反応する。

('A`)「もう、やめようよ。
   これ以上闘ったって、意味ないだろ……」
ぽつりと、俺は呟いた。
それが、俺の本音だった。

もうやめたい。
いや寧ろ、やめるしかない。
俺達の闘いは、ここで終わりだ。



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 20:59:27.29 ID:MQ22mHMg0
( ФωФ)「な――」
ロマネスクの表情がみるみる激昂していく。

(#ФωФ)「貴様! 本気で言って――」
ロマネスクが俺を殴ろうと右腕を振りかぶった。
こいつの性格からして、こうなるのはまあ当然だろう。

次の瞬間確実に襲ってくるであろう痛みと衝撃に備え、
俺はぎゅっと目を瞑った。

が――

イ从#゚ ー゚ノi、「――この、大馬鹿者がッ!!」
ロマネスクより先に、ドス女の拳が俺の顔面に命中した。

('A`)「がッ!」
拳の勢いに吹き飛ばされ、情けなく地面を転がった。
口の中に、血特有の鉄の味が広がる。

イ从#゚ ー゚ノi、「お主、本気でそう思っているのか!?
        本気で、諦めてしまってういるのか!?
        答えろ!!!」
倒れた俺を無理矢理ひきずり起こし、ドス女が顔を近づけてきた。

殴られた頬が、痛い。
そういえば、こいつに殴られるのも、久し振りだ。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:00:06.63 ID:MQ22mHMg0
('A`)「……本気だよ。
   だって、もう終わりじゃないか。
   例えフォックスを倒したって、何億もの人間が死んだ事実は変わらないし、
   核の冬だって止められない。
   何をやったって、お終いじゃないか……」
イ从#゚ ー゚ノi、「…………!」
襟首を掴んだまま、ドス女はもう一度俺を殴った。

今度は、痛みも何も感じなかった。
痛いと感じる心が、麻痺してしまっていたのだ。

イ从#゚ ー゚ノi、「ふざけるな!
        お主、ここでやめてしまうつもりか!?
        全て投げ出して、逃げ出すつもりなのか!?
        お主は、これまで何の為に闘ってきたのじゃ!?」
牙を剥き出しにして、ドス女が憤慨する。
それでも、俺の心には何も響いてこなかった。



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:00:44.91 ID:MQ22mHMg0
イ从#゚ ー゚ノi、「途中でやめるなど、この儂が許さぬぞ!
        いいか!? お主が逃げれば、全て無駄になってしまうのじゃぞ!?
        お主が護り続けてきたもの、お主が殺してきたもの、
        お主に信念を託してきたもの、全ての命が。
        お主は――ギコや、トラ男や、渡辺の命を、無駄にするつもりなのか!?」
――その言葉が、冷え切っていた俺の心を、一気に揺り動かした。

ギコ刑事。
怪人トラ男。
原子力発電所で殺してしまった人達。
渡辺のおばあちゃん。

それらの顔が、一気に俺の頭を駆け巡る。

――だけど。
ああ、だけど――



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:01:23.58 ID:MQ22mHMg0
(;A;)「だからって、どうすりゃいいって言うんだよ!?
    俺達に、これ以上何が出来るっていうんだ!?
    フォックスをぶっ倒せば、何とかなるっていうのか!?」
俺は叫んだ。

(;A;)「俺だって、諦めたくなんかない!
    ギコさんや、トラ男や、発電所で殺してしまった人や、渡辺のおばあさんの命を、
    無駄になんかしたくない!!
    だけど、どうすりゃいいってんだ!!
    フォックスがまた核兵器を使えば、もっと人が死ぬ!!
    止めようにも、フォックスの居場所すらわからない!!
    例えフォックスを止めたところで、核の冬は止められはしない!!
    なあ、どうすればいいんだ!!
    一体どうすれば、みんな助かるっていうんだよ!!?」
俺だって嫌だった。
このまま諦めてしまうことなんて、したくなかった。

だけど、分からないんだ。
皆を助ける方法が。
世界を救う方法が。
これっぽちも分からないんだ……!



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:02:49.57 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、「……ドクオ」
と、ドス女は襟を掴んでいた手から力を抜いた。

イ从゚ ー゚ノi、「……儂も、同じじゃ。
       どうすれば、この世界を救うことが出来るのかなど、皆目見当もつかぬ。
       今だって、絶望に押し潰されそうじゃ。
       何もかも放り出して逃げ出してしまいたいと、心の底では思っておる。
       事実、以前の儂じゃったら、逃げ出しておったじゃろう」
静かに、ドス女は語り出した。

('A`)「…………」
――落ち着いて見てみると、
ドス女の手は、小さく震えている。

……俺は、何を一人で悲劇の主人公ぶっていたんだ。
怖いのは、逃げ出したいのは、こいつだって、ロマネスクだって一緒なんじゃないか。

イ从゚ ー゚ノi、「――じゃが、今は違う。
       そんな絶望や恐怖を押さえつけて、抗おうとする力が湧いてくる。
       まだ、希望を捨てずにいられる。
       その力は、ドクオ、お主がくれたものなのじゃぞ?」
俺が――くれたものだって?

そんな馬鹿な。
俺は、こいつに助けてもらってばっかで、
何一つ、与えてなんか――



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:03:38.12 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、「これまでの闘いで、お主は何度も傷ついてきた。
       心も体もボロボロになって、倒れそうになったこともあった。
       じゃが、お主はその度に、何度でも立ち上がってきたではないか。
       闘い、立ち向かい、儂を助けに来てくれたではないか。
       お主はそれを何でもないことと思っておるかもしれんが――
       儂はそんなお主の姿を見て、変わることが出来た。
       こうなりたいと思ったのじゃ。
       その為に役立つなら、この呪われた肉体も受け入れることが出来ると思えた」
違う。
違うんだ、ドス女。

俺は別に、そんな立派な奴じゃない。
ただ、馬鹿で、何も分からなくて――
がむしゃらに突っ走ってただけだ。

イ从゚ ー゚ノi、「そう。 馬鹿で、がむしゃらなのが、お主の唯一の取り得じゃろう?
       ならば最後までそれを貫いて見せぬか。
       儂の知っているドクオは、この程度でへこたれるような男ではないじゃろう?」
('A`)「…………」
俺は黙ったまま、何も答えられなかった。

諦めたくない。
その気持ちに、偽りは無い。

だけど、今回ばかりは、
気力や努力でどうこう出来る問題ではないのだ。



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:04:19.90 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、「……確かに、もう手立ては残されてないのかもしれぬ。
       可能性は殆ど残されてないのかもしれぬ。
       じゃが、儂らはまだ、生きている。
       生きて、闘うことが出来る。
       ならば、最後まで闘わなければならぬ。
       お主は『正義のヒーロー』を目指しているのじゃろう?
       なのに、『正義のヒーロー』が、真っ先に希望を捨ててしまってどうする。
       『正義のヒーロー』は、力持たぬ者達の希望なのじゃぞ?
       それを、お前は見捨てるつもりか?」
('A`)「…………!」
――忘れていた。
俺が、『正義のヒーロー』になろうとしていた、理由。

それは、助けたかったから。
助けられたかったから。

辛いとき、苦しい時、やって来なかった正義のヒーロー。
その苦しみを誰より知っているから。

二度と――
そんな思いをしたり、誰かがそんな思いをするのは嫌だから。

だから俺は、『正義のヒーロー』になりたかったのだ。



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:05:04.06 ID:MQ22mHMg0
('A`)「……ごめん、ドス女。 俺は――」
俺は、もう少しで間違えてしまうところだった。

いいや。
いつだって、間違えっぱなしだ。

そんな俺を、ロマネスクや、ドス女が支えてくれている。
だから、俺はやっていける。
そう。
例え、どんな時だって。

イ从゚ ー゚ノi、「もう、大丈夫なようじゃな」
そう言って、ドス女は少しだけ微笑んだ。

……どこかで、笑顔はそれだけで人を強くするといった言葉を聞いた気がする。
それがいつだったか、誰の言葉だったかは覚えていないが――
成る程、その言葉はけだし名言だ。

笑えるってことは、それだけで素晴らしいことだ。

だったら、こんなどうしようもない時だからこそ、
精々目一杯笑ってやろう。

見ていろ、フォックス。
お前は全て思い通りにいっているつもりなんだろうが、
まだ、終わってなんかいない。

俺達は、まだ生きている。
まだ、闘うことが出来る……!



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:06:23.28 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、「……とは言え、これからどうするか。
       正直、何をすればいいのか全く思いつかぬ」
('A`)「……だな。 フォックスの居場所も分かんねえし……」
ポジティブな気分になったのはいいが、
現状は全く好転していない。

どころか、今こうしている間にも、
どんどん状況は悪くなっていっている。

……どうすれば――

( ФωФ)「……手が、無いこともない」
と、今まで蚊帳の外だったロマネスクが突然口を開いた。

('A`)イ从゚ ー゚ノi、「!?」
俺とドス女の視線が、一気にロマネスクへと集まる。

( ФωФ)「以前、宇宙征服の為銀河を流浪していた時に――
       イスカンダルとかいう星で、放射能除去装置(コスモクリーナーD)とかいう機械を見たことがある。
       時間と材料さえあれば、作れる筈だ」
……さらば地球よ、旅立つ船は?



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:07:30.54 ID:MQ22mHMg0
( ФωФ)「これがあれば、残留放射能という点に限っては、解決する筈だ。
       ――だが、問題がある」
ロマネスクが、重い、響く声で言った。

( ФωФ)「放射能はどうにか出来ても、核兵器そのものをどうにか出来るという訳ではないということだ。
       もしフォックスが更に核兵器を使用し、全ての生物が滅びれば、そんな機械など何の役にも立たん。
       いや、全生物を一度に滅ぼさずとも、巻き上げられた粉塵が地表の大部分を覆い、核の冬が訪れれば、
       それだけで生態系は壊滅的な打撃を受ける。
       先程、フォックスがどれだけ核兵器を使用したかは知らんが――
       これ以上核兵器を使用されるようなことがあれば、それだけ、状況は悪化するということだ。
       そして、その止めるべきフォックスの所在は、現在掴めていない」
ロマネスクは苦虫を噛み潰すような表情で告げた。

さっきフォックスはどれだけの都市を攻撃していたろうか。

ワシントン、ロンドン、ベルリン、モスクワ、北京、ニューヨーク、ソウル――
他にも、何箇所かは犠牲になっているだろう。

そして、その核兵器は、致命的な傷跡を地球に刻み込んでいる。
これ以上の核兵器の使用は、確実に世界の終焉をもたらすと言っても過言ではなかった。



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:08:47.43 ID:MQ22mHMg0
('A`)「……させるかよ!」
そんなこと、させるものか。

やっと見つけた、一筋の光。
それは、最早希望とすら呼べない、儚く脆い残骸なのかもしれない。

終わっていく世界。

だけど、そんな世界だからこそ、その希望を絶やす訳にはいかない。
最後まで諦めずに――
いいや、最後なんてやって来させてはいけない。
絶対に、この手で明日という続きを勝ち取るんだ……!

('A`)「絶対、奴らに好き勝手させるものか!
   例えどこに隠れていようと、すぐに見つけ出してやる!!」
俺は拳を握り固めた。

そうだ。
まだ世界は終わってなどいない。
終わっている途中なだけだ。

途中ならば、それを止めさえすればいいだけ……!



98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:09:25.78 ID:MQ22mHMg0
(’e’)「素晴らしい。
   こんな絶望的な状況下でも、まだ抗う意思を失わないとは。
   流石は、私が見込んだ人達だ」
('A`)イ从゚ ー゚ノi、( ФωФ)「!!?」
突然、俺達の背後に一人の男が現れた。

セントジョーンズ……!
怪人を生み出した張本人にして――諸悪の根源。

イ从゚ ー゚ノi、「るおォォォッ!!」
すぐさま、ドス女が抜刀してセントジョーンズに斬りかかった。

イ从゚ ー゚ノi、「ッ!!」
が、斬りつける直前、セントジョーンズの姿は掻き消え、
再びドス女の背後へと瞬間移動する。

(’e’)「やれやれ。 久し振りの再開だというのに、相変わらずだな、君は」
セントジョーンズがそう言って肩をすくめた。



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:10:09.32 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面! ロマネスク!
       そいつを絶対に逃がすな!!
       ここでの話をフォックスに伝えられたら、何もかも終わりじゃ!!」
ドス女が必死に叫ぶ。

ドス女の言う通りだ。
恐らくフォックスは、世界の全てを破壊し尽くすのに充分な量の核兵器を所有している筈。

なのに、まだそれを全て使い切らずに個別にしているのは、
多分いつでも世界を滅ぼせるという余裕と驕りから。

だが、もしフォックスが放射能除去装置のことを知ったらどうなるか。
答えは一つ。
そんな装置が役に立たなくなるくらい、徹底的に核兵器で世界を破壊する。
つまりそれは、ゲームオーバーになるということだった。

('A`)( ФωФ)「…………!」
俺とロマネスクで、セントジョーンズの前に立ちはだかった。

ドス女から聞いたこいつの能力は、テレポーテーション。
その能力で一度に移動出来る距離は、およそ十数メートル。

この部屋から逃げ出されたら、もうこいつに追いつく手段は無い。
ここで、何としても斃さなければ……!



107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:10:52.82 ID:MQ22mHMg0
(’e’)「そう怖い顔をしないでくれ給え。
   別に、私は今聞いたことをフォックスに教えるつもりはないよ」
そう言って、セントジョーンズは皮肉気に微笑んだ。

イ从゚ ー゚ノi、「信用出来るか……!」
ドス女が刀を構えなおしてセントジョーンズを睨む。

そりゃそうだ。
あれだけフォックスに協力しておいて、
今更こんなことを言われても信じられる訳が無い。

(’e’)「信じる信じないは君達の勝手だがね。
    だけど、今の君達では私をここで捉えることは出来ないと分かっている筈だろう?」
('A`)「くッ……!」
悔しいが、こいつの言う通りだった。
こいつに能力を使われたら、もうお手上げだ。

(’e’)「そうそう、忘れるところだった。
    わざわざここまで来たのは他でもない。
    君達にプレゼントをしようと思ってね」
そう言って、セントジョーンズは一枚の紙切れを俺に投げ渡してきた。



109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:11:58.45 ID:MQ22mHMg0
('A`)「……?」
受け取って、注意深く中を確認してみると、
何やら地図の一箇所に赤ペンで丸がつけられていた。

……これは、一体?
何の地図なんだ?

(’e’)「フォックスの隠れ家はそこにある。
    私の計算なら核兵器による影響は、放射能除去装置さえあれば、
    まだぎりぎり生物が絶滅する前に環境の修繕が可能なレベルの破壊だ。
    フォックスが次に核兵器を使うのが先か、君達がそれを止めるのが先か、
    物見遊山と洒落込ませてもらうよ」
('A`)「!!?」
フォックスの言葉に俺は一瞬耳を疑った。

フォックスの隠れ家って――
何でこいつはそんなことを!?



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:12:38.43 ID:MQ22mHMg0
イ从゚ ー゚ノi、「こんな見え透いた罠に、ひっかかるとでも?」
ドス女が吐き捨てるように言った。

(’e’)「さっきも言っただろう。
    信じるか信じないかは君達の勝手さ。
    このまま世界が滅びるのを見物するのも悪くないが――
    それだけではちっとも面白くない。
    結末の安易に予測出来るマンネリドラマなど、娯楽としては失敗だ。
    だからこうして、自分から予測不可能な状況を作り出すことにしたわけさ。
    そうでないと、退屈だろう?」
イ从゚ ー゚ノi、「…………!」
ドス女が顔を強張らせる。
俺もまた同様。

退屈だから。
それだけの理由で、こいつはフォックスを売ったのか?

( ФωФ)「解せんな。 フォックスと貴様は、仲間ではないのか?」
ロマネスクが訊ねる。

(’e’)「誤解があるな。
   確かにフォックスには協力させてもらったが、別に仲間という訳ではないよ。
   フォックスなら、私の退屈しのぎに大いに役立ってもらえると思ったから、手を貸したまでさ。
   そして実際、素晴らしい結果を私に見せてくれた。
   だが、まだ足りない。 まだ私が満足するには足りない。
   最後の希望に縋りつき、巨悪と闘う正義のヒーロー。
   この最高の見世物を見てこそ、私の退屈は充足される」
そう言って、セントジョーンズは陶酔するような表情を浮かべた。



118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:13:55.36 ID:MQ22mHMg0
('A`)「ふざけるなッ! 俺達は、手前を満足させる為に闘ってきた訳じゃねぇッ!!」
俺の中で、怒りという感情が爆発した。

退屈だったから、だと!?

そんな理由で、お前は今回の惨劇に加担したというのか。

ギコさんも――
渡辺のおばあちゃんも――
巻き込まれて死んだ人々も――

そんな下らない理由で、殺されたというのか!?

(’e’)「別に、君達の闘う理由などどうでもいい。
    こっちは、勝手に見物させてもらうだけだからな。
    しかし、理由はどうあれ、私のプレゼントは君達の役に立つことに間違いは無い。
    そうだろう?」
勝利者の笑みで、セントジョーンズは俺達に微笑みかけた。

('A`)「…………!」
反論出来なかった。

事実、セントジョーンズのくれた地図がなければ、
フォックスを止めることは不可能に近かっただろう。

だが、こんな奴に闘いをどうこういじくられるのは、
我慢出来ないくらい不快なことだった。



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:14:39.96 ID:MQ22mHMg0
(’e’)「さて、そろそろ戻らねば怪しまれそうだ。
    では諸君、御機嫌よう。
    最後の闘いの舞台で、待っているよ」
それだけ言い残し、セントジョーンズは姿を消した。

いつでも逃げられる。
だから、平然と俺達の目の前に姿を現したのだろう。

( ФωФ)「……極めて不愉快ではあるが、今のところ、これが最後の生命線なようだな」
そう言って、ロマネスクは地図を拾い上げた。

イ从゚ ー゚ノi、「舐めおって……!」
ドス女が歯を食いしばる。
その顔には、隠すことが出来ない程の怒気が漂っていた。

だけど、それは俺も同じ。
あんな下種野朗を、許しておける訳が無い……!

('A`)「上等だ! 見てろ、フォックス、セントジョーンズ!!
   お前らの野望、全部俺達が打ち砕いてやる!!!」
どこかに居るであろうフォックスとセントジョーンズに向かって、
あらん限りの声で叫ぶ。

これが、俺達からの、反撃開始の合図だった。


〜第二部 第九話『希望の残骸』 終
 次回、『決戦前夜 〜夜更け〜』乞うご期待!〜



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:15:01.94 ID:MQ22mHMg0
この番組は

空想科学世界ガリバーボーイ
魔神英雄伝ワタル
魔動王グランゾート
覇王大系リューナイト

の提供でお送りしました。



134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/20(火) 21:16:32.51 ID:MQ22mHMg0
おまけ


ノパ听)   素直ヒート(ヤンデレ)

番外編に出てくるダークサイドに堕ちた素直ヒート。
本編以上の凶悪さで、対戦相手に襲い掛かる。
なおこのキャラの攻撃がヒットしたとき、
特別に血飛沫のダメージエフェクトが出る。

必殺技

あの女の臭いがする……  ↓\→P
この泥棒猫!  ↓\→K
あんたさえいなくなれば!  →↓\P
どうしてあんな薄汚い雌豚なんかと……  ←/↓\→K
指一本無くさないと分かんないのかな?  あらゆる攻撃に対し→↓\K
どうしてそんな悲しいこと言うの?  空中で↓/←K

超必殺技

おいしいよねだって……  ↓\→↓\→P
ここがあの女のハウスね  ↓\→↓\→K

爆殺必殺技

お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!! ↓/←/↓\→P



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