ドクオは正義のヒーローになれないようです

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:06:56.14 ID:1DppGPIr0
第二部 第十二話『LAST IGNITION』

〜推奨BGM:WILD ARMS 2nd IGNITIONの終盤フィールド曲〜

('A`)「……そういやさ、あんなこともあったよな」
イ从゚ ー゚ノi、「ああ――そうじゃな」
俺達は、取りとめもなく昔話に花を咲かせていた。

どれだけ話しても、話が尽きることはなかった。
どれだけ話しても、話足りなかった。

――だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。

もうすぐ、夜が明ける。
そうなれば、最後の闘いが始まるのだ。



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:07:40.22 ID:1DppGPIr0
( ФωФ)「ここに居たか」
と、ロマネスクが後ろから声をかけてきた。

ロマネスクが来た。
ということは、いよいよか。

( ФωФ)「ジョナサンから、準備が出来たとの連絡があった。
       昔話の続きは、帰ってから存分にやるんだな」
帰ってきてから。
ロマネスクは、そう言った。

それは、絶対に勝つという決意の現われ。
強靭な、確固たる意思。

('A`)「ああ――分かってる」
大丈夫だ。
俺達は、きっと勝てる。
これっぽっちも負ける気がしない。

俺がいて、ロマネスクがいて、ドス女がいる。
これだけの面子が揃って、負ける筈がない……!



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:08:33.06 ID:1DppGPIr0
( ФωФ)「『漢祭り』は整備し直しておいた。
        が、飛行には問題無いが、ミサイル等の武装は、
        クックルの攻撃で使用不能になっていて、こちらは修理する時間は無かった。
        アジト付近に着陸したら、一気に攻め込むぞ」
最後の最後まで肉弾戦か。

だけど、それでいい。
それが、一番俺達らしいやり方だ。

('A`)「…………」
俺は拳を固めた。
握った手が、微かに震えている。

怖くないと言えば嘘になる、
逃げ出したいという気持ちもどこかにある。

だけど、そんな弱い感情を打ち消してなお余りある力が、
体の奥から湧き出てくる。
ロマネスクが、ドス女が、力を与えてくれる。

――いける。

これなら、俺は最後まで闘うことが出来る……!



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:09:38.47 ID:1DppGPIr0
イ从゚ ー゚ノi、「マスク仮面」
と、ドス女が俺に告げた。

イ从゚ ー゚ノi、「お主の闘いじゃ。 お主が、この闘いの始まりを告げろ。
       一つ、気合の入るのを頼むぞ」
ドス女が微笑む。

( ФωФ)「…………」
ロマネスクも、黙ったままこちらを見つめてくる。

しょうがない。
こういうのはキャラじゃないが、
ここまでお膳立てされて断っては男が廃る。
だったら、とびっきりのをやってやろうじゃないか。



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:10:47.30 ID:1DppGPIr0
('A`)「……みんな」
少し間を置いて、俺は静かに口を開いた。

('A`)「今まで、本当にありがとう。
   ロマネスクやドス女がいなければ、俺一人だけじゃ、
   ここまで闘ってこれなかったと思う。
   勝手かもしれないけど、あと少しだけ、俺に力を貸してくれ」
二人の顔を見回して言った。

イ从゚ ー゚ノi、「言われるまでもない。
       儂は、最初からそのつもりじゃ」
ドス女が力強く頷く。

( ФωФ)「勘違いするな。
       今は、たまたま利害が一致しているから共闘しているだけだ。
       この闘いが終われば、次の相手はお前だ」
そう悪態をつきながらも、
ロマネスクも頷いてくれた。

ありがとう、ロマネスク、ドス女。
あなた達に出会えて、本当に良かった。
心から、そう思う。



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:11:36.26 ID:1DppGPIr0
――さあ、湿っぽいのはここまでだ。

悩む時間は終わった。
うじうじする時間は終わった。

後悔するのは、今まで充分過ぎる程やってきた。
残りは、一気に駆け抜けるのみ。

俺は、胸一杯に息を吸い込んで、



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:12:54.53 ID:1DppGPIr0
(#'A`)「みんな!! 俺達は勝つ!!
    必ず、生きて戻ってくる!!
    俺達は、あんな奴らになんか、絶対に負けない!!!」
有らん限りの力で、声を張り上げた。

どこまでも届くように。
天国にいる渡辺のおばあちゃんにも、聞こえるように。

(#'A`)「作戦だの戦術だの戦略だの、
    不利だの無理だの非合理だの、
    そんな小難しいことなんぞ知ったことか!!
    邪魔する奴は片っ端から薙ぎ倒せ!!
    そして、フォックスの糞野朗を宇宙の果てまでぶっ飛ばしてやれ!!!」
地平線の向こうから、夜明けを告げる太陽が昇ってきた。
空が、徐々に燃えるような赤色に染まっていく。

終わっていくこの世界の、一日の始まり。
――いや、断じて終わらせなどしない。
俺達は、その為にここにいるのだ。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:13:36.02 ID:1DppGPIr0
そういえば、赤色といえば。
あの、本物の正義のヒーロー、素直ヒートもどこかで見ていてくれているだろうか。

安心してくれ、素直ヒート。
あなたからマントを受け継いだ以上、無様な姿なんて見せやしない。

それに――
あなたの友達のロマネスクが、一緒に闘ってくれる。

だから、大丈夫だ。
絶対に、勝てる。



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:14:23.37 ID:1DppGPIr0
(#'A`)「やってやろうぜ、みんな!!!
    泣いても笑ってもこれが最後だ!!!
    ――行くぜ!!!!!」
叫ぶと同時に、俺達は『漢祭り』に向かって駆け出した。

見ていろ、フォックス。
これが俺達からの、反撃の狼煙だ。


〜第二部 第十二話『LAST IGNITION』 終
 次回、『それぞれの闘い』乞うご期待!〜



85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/12/02(日) 19:15:11.25 ID:1DppGPIr0
この番組は

宇理炎
焔薙
闇那其

の提供でお送りしました。



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