( ^ω^)は帰宅部に入部するようです

6: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:03:14.96 ID:SsNtXMTZ0
  


第一話


ここはニュー速市立VIP高校。
今は春の日差しが柔らかく、放課後を過ごす
生徒の顔もみな晴れ晴れとしている。
・・・ただ一人を除いては。



( ´ω`)「はぁ・・・もう帰るかお」

彼の名は内藤ホライゾン。
中学時代はいじめられる事こそ無いものの、
空気として扱われてきていた。
同中からの進学者がいないVIP高校に来た今こそ
変わらなければ、変わらなければ!
彼の強い意志は自己紹介で裏目に出る事になった。



7: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:04:10.66 ID:SsNtXMTZ0
  
〜回想シーン〜

( <●><●>) 「えぇ、じゃ次は内藤ホライゾン君
       自己紹介をお願いします」

( ^ω^)「(ここで笑いを取れば僕の高校生活はバラ色だお!
       大丈夫だお、ちゃんと練習どおりにやれば・・・)」


( ^ω^)「どうも!天国中学から来ました内藤ホライゾンだお!
       趣味はブーンする事だお、みんなよろしくお願いしますだお!」


( <●><●>) 「内藤君、ブーンって何ですか?
       私でも分からない事だと言う事は分かってます。」

( ^ω^)「(よし、チャンスだお!)」


( ^ω^)「え?知らないんですかお?ブーンっていえばそりゃ・・・」



8: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:04:46.53 ID:SsNtXMTZ0
  
⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二( ^ω^)ニニ二⊃
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  )
       ヽ_,*、_ノ  ブーン
   ///     
 ///  




ヽ=P=/
(><) (^ω^ )
 (  )Vノ )
  | |  | |       ( <●><●>) 「・・・次は中島君、
                      自己紹介お願いするんです」


〜回想シーン終わり〜



9: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:05:28.08 ID:SsNtXMTZ0
  
この瞬間、彼の高校生活は中学と同じ道をたどることが決まった。
誰とも話すことのない生活、つまらない授業、
更にもう一つ彼に友達ができない要素として、
クラブに入っていないという事があった。これでは他クラスにパイプを作る事もできない。
彼は壊れる寸前であった。


( ´ω`)「早く自転車置き場行くお」

( ´ω`)「今日も自転車ぎゅうぎゅうだお・・・」

今日はどうやって自転車を取り出そうかと考えてみると、
誰かが声をかけてきた。

('A`) 「あのさ、内藤君だよね?ちょっといいかな」

いかにも不健康そうな体つき、
中肉中背の内藤が殴る程度でも吹っ飛んでいきそうだ。
彼の校章は僕と内藤と同じ赤色。つまり同じ一年生だ。


( ´ω`)「な、なんだお?」

('A`) 「君、クラブ入ってないよね?」

( ´ω`)「そ、そうだお。それがどうしたんだお?」

('A`) 「うちのクラブ、見学していかないかい?」



11: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:06:24.87 ID:SsNtXMTZ0
  

( ´ω`)「・・・」


( -ω-)


( ^ω^)おっおっお!


クラブに勧誘される。僕が今必要とされている。
ただそれだけ、ただそれだけのことが、
水を熱望していた枯草を蘇らせるには十分な栄養であった。

( ^ω^)「是非見学させていただくお!
       いやこちらからお願いしするお!」

('A`) 「あ、あぁ、じゃあ早速部室に行こうか」

('A`) 「(陰気な奴かと思ってたけど結構明るい奴なのかもな。
    それにしてもショボンさんこういう仕事だけは俺に押し付けるんだから)」



12: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:06:57.00 ID:SsNtXMTZ0
  
( ^ω^)「おっお!まず名前を教えて欲しいお」

('A`) 「俺の名前はドクオ、まぁ適当に呼んでくれよ」

( ^ω^)「じゃあドックン!早速質問だけど
       ドックンは達の部は何部なんだお?」

(;'A`)「ド、ドックン!?」

( ^ω^)「そうだお、もうドックンと僕は友達だお!
       友達だからあだ名で呼び合うんだお!
       僕の事はブーンって読んで欲しいお」

(;'A`)「お、おぉ」

なるほど、こいつが今まで一人でいた理由がよく分かった。
なんでも自分勝手に、良い方に良い方に一人歩きする。
こいつを勧誘して大丈夫なんだろうか?
しかし、ショボンさんが目をつけた奴だ、きっと大丈夫だ。

('A`)「(それにしても・・・ともだち、か)」


('∀`)「(悪くない・・・な)」

ドクオもまたこの学校にクラブ以外の
居場所を見つけていないのであった。



14: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:07:32.11 ID:SsNtXMTZ0
  
('∀`)「よし、じゃブーン部室まで急ぐぞ、着いて来い!」

( ^ω^)「おっおドックン早いお!!待ってお」


(;^ω^)「(それにしてもドックンの笑った顔キモいお)」


それぞれ別の事を思いながらブーンたちは部室に到着した。



('A`)「ここが俺たちの城だ」



部室棟の一番に端にある小さな小屋、元は倉庫だったらしい。
そのボロ小屋の扉に、部のプレートが申し訳なさそうにぶら下がっていた。



15: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:07:58.33 ID:SsNtXMTZ0
  






                     「 帰 宅 部 」



16: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:08:24.67 ID:SsNtXMTZ0
  

( ^ω^)「おっお!これはどういうことだお?」

('A`)「見ての通り、ここは帰宅部さ、正真正銘のな」

( ^ω^)「本当にあったのかお・・・」

不思議と驚きは無かった、何故かこの小屋には自分を
羽ばたかせてくれる何か不思議な力があるような気がした。


(´・ω・`)「ドクオ、遅かったじゃないか、ちゃんと連れてきたかい?」

小屋からしょぼくれた顔の生徒が顔を出した。
校章の色は青、一つ上の先輩になる。


('A`)「サーセンwwwちゃんと連れてきましたお、
   期待のエースを」


( ^ω^)「・・・僕が期待のエースなのかお!?」



17: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:09:13.98 ID:SsNtXMTZ0
  
(´・ω・`)「あぁ、そうだ。どうせもう入部する気なんだろ?
      入部届書くから自己紹介してくれ」

( ^ω^)「よく分かりましたお!僕の名前は内藤ホライゾン!
       趣味は・・・」

ここでブーンの口は止まった、今ブーンの趣味を暴露してしまったら
終わりだ、また一人ぼっちに戻ってしまう。変えよう、無難な趣味に・・・


( ^ω^)「趣味は・・・うびらーですお」


     /⌒ヽ
     ( ^ω^ )  うびらー
     /     ヽ
     し、__X__,ノJ

      /´⌒⌒ヽ
    l⌒    ⌒l  うびらー
   ⊂ (   ) ⊃
      `ー´



18: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:10:06.13 ID:SsNtXMTZ0
  
(´・ω・`)「・・・」

(´・ω・`)「あぁ、そうかい。帰っていいよ。とんだ見込み違いだったよ」

しょぼくれた彼は一転して軽蔑するような目で僕を見た。


(;^ω^)「そ、それはどういうことですかお!?」

(´・ω・`)「分からないのかい?
      僕はね、登校初日から国家権力の御用になった
      新入生がいるって聞いた時、うれしかったんだよ。
      その子が帰宅部に入ってくれれば僕たちは全国も夢じゃない。
      世界中に帰宅部を広める事ができるってね、そう思った」

(;^ω^)「そっ、それはっ!」

(´・ω・`)「言い訳は聞きたくないよ、君は自分の身を守る為
      自分のポリシーを曲げた。それは帰宅部として
      一番ダメな事なんだ。帰れ!」

( ´ω`)「すいませんでしたお、帰りますお」

今のは夢だったんだ、忘れよう。また明日から憂鬱な毎日だ。
今日はちょっとスパイスがあっただけでも喜ばなくちゃな。
ブーンは自傷気味に笑う。



20: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:10:45.77 ID:SsNtXMTZ0
  

('A`)「しょぼんさん、いいんですか。逃した魚は大きいっすよ」

(´・ω・`)「誰もこのままでいいなんて思ってないさ」

そういうと彼はブーンの背中に向かって叫んだ。


(´・ω・`)「おい、内藤ホライゾン、いや『ブーン』!!」   

( ´ω`)「・・・」

彼はこちらを向いた、今しかない。


(´・ω・`)「自己紹介をしてなかったな!僕の名はショボン!
      そして趣味は!」



21: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:11:44.95 ID:SsNtXMTZ0
  
⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二(´・ω・`)ニニ二⊃
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  ) ブーン
       ヽ_,秘、_ノ  
   ///     
 ///  


(´・ω・`)「ブーンする事さ!もう一度聞こう!お前の趣味は!」


( ´ω`)「ショボンさん・・・」

今、決めた。僕の居場所は、僕の居場所は・・・
ここしか・・・ない!


( ^ω^)「僕の趣味は、僕の趣味は!!」



22: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:12:16.98 ID:SsNtXMTZ0
  

⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二( ^ω^)ニニ二⊃
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  )
       ヽ_,*、_ノ  ブーン
   ///     
 ///  

( ^ω^)「ブーンすることですお!!」


(´・ω・`)b「よーし、入部を許可しよう!!
       君は今日から帰宅部員だ!」


部室棟中から悲鳴が起こる、よく聞けばサイレンの音が近づいてきている。
国家権力というものはいつも横暴である。



23: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:12:47.40 ID:SsNtXMTZ0
  
ヽ=P=/
( ><)「通報があったんです!現場はどこなんですか!ん?
      なんだか部室棟が騒がしいんです!行ってみるんです!」



24: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:13:07.26 ID:SsNtXMTZ0
  
部室棟・帰宅部室前

⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二( ^ω^)ニニ二⊃
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  )
       ヽ_,*、_ノ  ブーン
   ///     
 ///  
       ⊂⌒ヽ          (⌒⊃
         \ \  /⌒ヽ  / /
        ⊂二二二(  'A`)ニニ二⊃
            \ \_∩_/ /
             (  (::)(::)  )
              ヽ_,*、_ノ  ブーン
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                      \\\
⊂⌒ヽ          (⌒⊃
  \ \  /⌒ヽ  / /
 ⊂二二二(´・ω・`)ニニ二⊃
     \ \_∩_/ /
      (  (::)(::)  ) ブーン
       ヽ_,秘、_ノ  
   ///     
 ///  

( ^ω^)('A`)(´・ω・`)「い・け・な・い パラダイスー♪」



26: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:13:33.97 ID:SsNtXMTZ0
  


ヽ=P=/
( ><)「・・・」



28: 扇子(大阪府) :2007/03/16(金) 21:14:07.38 ID:SsNtXMTZ0
  
  _                                   n
 |三| ナ ヽ ┼┐l     ┼ __ ―   _|__  | -- |   |-  ゝ |!
 ノ l__,  d、 ノ ノ  つ  | 、__ (_ (_ │(__ Lノ d- つ o


                /      /,_ュ_>、     \
              /       | ヽ  ン' |        \
               l      ,. 、 -‐l ゚i(○)i!゚ l- 、,,_       ヽ
             \  /      ヽ、`'''゙ ノノ   `'ヽ、    /
                `| __,..   -_‐ ニニニ ‐_- 、 _  l ,.-'゙
                   〈.r '' ´          ` '' -={}
                 /:::!`ァ- 、..,,____,,,.. -、,''゙ソ:::ヘ
              /:::::l ゙ ,.r=  `  ´ ァ=-、 ` l::::_ィ
                  〈ヽ|  '゙  ノ  i  丶       l/,' |
.   , ‐ 、         | 〉!       l            l | リ
.   ヽ.   ヽ         ヽ`|      l   _         k/
.      ヽ   ヽ       l」   ,    `    ヽ   l-゙
        ヽ.  ',     / ̄〉 ヘ  ' 、ー――一ァ   /
        ',   '、, べ、 l   ヽ   ヽニニニシ   /
        ゙, /  _ ヽ!    lヽ   -―-   /l
.         У_. イ ヽ  〉  _,| ` 、       /  l_
         ノ ´_,. ‐ ヽヽ/;  / ヽ    ; ̄ ̄   ,.イ l
          |       ヽ | Lノ   \_  ヽ  _,.ィ´   L_
        |   `´〉  /  ! l      フー/     / `〈_` ' ‐ 、
        _」    ゝ,l_|  l ヽ     / ̄ ̄ヘ    /    ` ' - 、`tォ、,_


こうして、史上最強の帰宅チームが完成したのであった。

第一話 おわり



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