( ^ω^)と(*゚ー゚)は恋人同士のようです
- 5: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:06:08.88 ID:jAE4ajhu0
――私には見える。
見えるといっても……
この世のものではないものや――
――未来、過去
そんなものではない。
私に見えるものは――
( ゚д゚ )は見えるようです
- 6: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:06:45.54 ID:jAE4ajhu0
- ――私には見える。
最初は何かわからなかった。
物心がついたころだっただろうか……
堰を切ったように、ソレは見え出した。
「なんだよ……これ」
「気持ち……わりぃ……」
そう――
――私には見える。
その人のたどってきた人生のオーラが――
- 7: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:07:15.78 ID:jAE4ajhu0
- 私の名前はコッチ=ミルナ。
年は29歳。
この流行に流される町、ガバンでアクセサリーショップをしている。
ちなみに、既婚だ。
誰に紹介しているのか少しわからなかったが……お客様がいらっしゃったようだ。
( ゚д゚ )「いらっしゃいませ。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。こっちみんな。」
まあ、いつものことなので愛嬌です。
( ゚д゚ )「す、すみません。目つきが悪いといつも言われてしまうもので……。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。すまんな。ついつい……。」
- 8: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:08:08.63 ID:jAE4ajhu0
このお客様――
一目でわかる。
何か、大きな罪を抱えている。
黒く、ゆがんだオーラが体からでている。
しかし、何か違和感が――
( ゚д゚ )「お客様、今日は一体どういったアクセサリーをお求めで?」
ミ,,゚Д゚彡「いや、なんというか……見てもらえばわかるんだが、こういうのには疎くてな。」
( ゚д゚ )「ということは、送られるお相手は決めてらっしゃるのですが、どういったものを渡せばいいかわからない、といったことですか?」
- 9: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:08:52.73 ID:jAE4ajhu0
ミ,,゚Д゚彡「そ……そうなんだ。でだ……その……。」
腕を組み少しうつむく。
ミ,,゚Д゚彡「妻に……送りたいんだ……。」
――やはり。
このお客様、光を持っている。
闇と、光のオーラを持っている。
( ゚д゚ )「奥様……ですか。何かのご記念に?」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。婚約指輪なんだが……若いころに渡せなくてな……。その恩返し、というか、いまさらな話なんだが――。」
( ゚д゚ )「素敵なことです。さぞ奥様を愛していらっしゃる――。」
- 10: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:09:18.70 ID:jAE4ajhu0
- ( ゚д゚ )「お客様の奥様のお写真等はございませんか?」
ミ,,゚Д゚彡「写真――か。」
そういうと、懐に手を突っ込み、クシャクシャになっていて、年月の経過により黄ばんでいるであろう写真が一枚でてきた。
そこには、若きころのお客様と、お客様に寄り添う一人の女性の姿があった。
ミ,,゚Д゚彡「写真といっても、こんなふるい写真しかないんだ……。」
( ゚д゚ )「お客様、いいご婦人とご一緒になられましたね。」
( ゚д゚ )「この方のオーラは、明るく、まぶしい――。」
ミ,,゚Д゚彡「……オーラ?」
( ゚д゚ )「ああいえ。この方は、非常に明るくて、我慢強い。そんな気がします。」
- 11: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:11:57.91 ID:jAE4ajhu0
ミ,,゚Д゚彡「ああ。こいつは、馬鹿みたいに明るくてな……俺がまいってしまうくらいだ。」
( ゚д゚ )「よほどと伺えます。」
ミ,,゚Д゚彡「それで……指輪のほうなんだが……。」
( ゚д゚ )「はい。こちらのほうでイメージは把握しております。」
( ゚д゚ )「あとは指の大きさなのですが――。」
ミ,,゚Д゚彡「4号。」
( ゚д゚ )「4号――ですね。」
ミ,,゚Д゚彡「そう。4号だ。」
- 12: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:12:21.07 ID:jAE4ajhu0
- ( ゚д゚ )「かしこまりました。ではお客様の指をおはかりして、こちらで作らせていただきます。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ――。すまないな。」
( ゚д゚ )「では、こちらのサイズで――。」
( ゚д゚ )「では、お名前を。」
ミ,,゚Д゚彡「ギコ――。ギコだ。」
( ゚д゚ )「かしこまりました。」
――そういって、ギコさんはお店を出て行かれた。
この二人を見届けよう、そうきめるのは近い未来でした。
- 14: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:15:44.39 ID:jAE4ajhu0
「すいません。」
( ゚д゚ )「いらっしゃいませ。」
「――いや、お客様じゃないんですモナ。」
( ゚д゚ )「はあ。どういったご用で?」
( ´∀`)「この男――。ギコという男を捜しているモナ。」
――このときです。
私が、お二人を見届けようと決めたのは――。
その男が差し出したのは、間違いなくこの前のお客様、フサギコさんでした。
写真からでるオーラは、真っ黒で。
ギコさんが見えないほど――。
- 15: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:16:19.29 ID:jAE4ajhu0
( ´∀`)「申し遅れたモナ。私、ガバン警察の刑事、モナーだモナ。」
そういって、モナーさんは警察手帳を取り出した。
( ゚д゚ )「警察の……かたですか。この方は、一体何を――?」
( ´∀`)「この男は……脱獄囚なんだモナ。」
( ゚д゚ )「脱獄……?」
( ´∀`)「そうですモナ……今世間にはおおやけにすると、町中はパニックになるんですモナ……。」
( ´∀`)「なにせ……大量殺人犯なんだからモナ……。」
- 16: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:17:00.63 ID:jAE4ajhu0
――この人は、本当のことをいっているのでしょうか?
確かに、あのかたからでる『色』は、黒く、ゆがんだものでした。
しかし、あの中に見えた『光』。
あれは、見間違いなどではありませんでした。
――何か、何かある。
- 17: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:17:48.95 ID:jAE4ajhu0
- ( ´∀`)「あいつは、何か事情があって、暴力団の事務所を壊滅に追い込んだんですモナ。
そして、ギコは、逮捕された後にも、なぜ事務所を潰したか、人を殺したか……そういった質問に一つも答えなかったんですモナ。」
( ゚д゚ )「そう……なんですか。わかりました……。」
( ´∀`)「もし見かけたら、ここに電話をくださいモナ。」
そういって、モナーはミルナへ電話番号がかかれたメモを渡した。
( ´∀`)「では、失礼しますモナ。」
( ゚д゚ )「はい。」
モナーは店を後にした。
- 18: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:18:22.68 ID:jAE4ajhu0
- ――もちろん、私には、モナーさんの『色』が見えた。
従業員に接客を任せて、ギコさんたちの指輪を製作する。
あの方たちにあった、一番の指輪を――。
私の指で、思い出になるモノを作りだす。
イメージを、指輪へとトレースする。
イメージを、かたちへ――。
( ゚д゚ )(……これが、私が作った、あの方たちへの思いの塊……)
私は、モノを作り上げるまでの課程を覚えていない。
夢中になっているのか、またはこの『見える』事の影響なのか――。
- 19: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:19:03.98 ID:jAE4ajhu0
- できたものは、小さくカットしたダイヤモンドを二つ埋め込んだ、シンプルな指輪が二つ。
ギコさんのほうには、少し輝きを抑える加工を。
ご婦人の方は、輝きを強める加工を。
お互いの光を、尊重するように――。
お互いの光を、愛するように――。
あとは、お客様がいらっしゃるのを待つだけ。
しかし、何かいやな予感が、私に湧き上がっていた。
- 20: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:19:40.14 ID:jAE4ajhu0
- 最初にギコさんがきてから5日。
私は、いつものようにお客様へのアクセサリーを販売、製作していた。
( ゚д゚ )「いらっしゃいませ――。」
ミ,,゚Д゚彡「もう……できてますかね?」
( ゚д゚ )「ああ。ギコ様。お待ちしておりました。」
――やはり、なにかから。
オーラが、黒い。
- 21: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:20:33.19 ID:jAE4ajhu0
- ( ゚д゚ )「では、そこに腰をかけてすこしお待ちください。」
ミ,,゚Д゚彡「ああ。悪いね。」
バックヤードに入り、保管庫からギコ夫妻のためにつくった指輪を取り出す。
入れ物も、少し凝って白い箱と黒い箱にした。
( ゚д゚ )「こちらになります――。」
ミ,,゚Д゚彡「――おお。これは素敵な指輪だ……。あいつもきっと喜んでくれる……。」
( ゚д゚ )「ありがとうございます。では、ご説明のほうをさせていただいてよろしいでしょうか?」
そういうと、ギコは少し苦い顔をした。
ミ,,゚Д゚彡「いや、申し訳ないんだが、今少し、時間がないんだ。」
――お客様の私情に口を出す、これは販売業としてはやってはいけないことだ。
本当なら、ここで軽く食い下がっていたが、なぜか……なぜかこの方はほうっておけなかった。
- 22: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:21:04.34 ID:jAE4ajhu0
- ( ゚д゚ )「――お客様。少しお伺いしたいことがあるのですが……。」
ミ,,゚Д゚彡「……なんだ?」
( ゚д゚ )「モナーさん、という方をご存知でしょうか?」
その名前を聞いたとき、ギコの目は上ずり、動悸が激しくなったように感じた。
――やはり、モナーという男。
あいつは、ギコさんを追っている。
警察なんかではない。
- 23: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:24:51.42 ID:jAE4ajhu0
- ミ,,゚Д゚彡「い……いや、知らないな……。」
私は続けた。
( ゚д゚ )「あなたは……追われている、違いますか?」
そういい、テーブルの下にしまわれていたフサギコの写真を取り出した。
ミ,,゚Д゚彡「!!!!」
( ゚д゚ )「このモナーという男、あなたを探している、といってここにきていました。
私は職業上、こういった私情に口を出してはいけません。しかし、私は、あなたを助けようとしています。」
ミ,,゚Д゚彡「……どういうことだ……?」
( ゚д゚ )「あなたを、奥様のところへいけるように――。」
- 24: 日本語教師(大阪府) :2007/04/25(水) 19:25:42.38 ID:jAE4ajhu0
- ( ゚д゚ )「よろしければ、詳しい事情をお話いただけませんか?こんな2回しかあっていない、信用できるかけらもない装飾商に。」
――なぜおせっかいなことをしたのか。
私は、このギコさんと、奥様の関係がうらやましかったのかもしれない。
写真を見ただけでわかる。
その愛を――。
信頼を――。
ミ,,゚Д゚彡「……。私のことに首を突っ込むと、あなたも危険になる……。」
( ゚д゚ )「こう見えても、いろんな橋は渡ってきています。」
ギコは、苦い顔をした。
そして、話し始めた――。
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