( ^ω^)と(*゚ー゚)は恋人同士のようです
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:20:03.96 ID:WEgfL5/y0
( ^ω^)と(*゚ー゚)は恋人同士のようです
サイドストーリー
――少し淡い光が差すこの裏路地。
流行の町、ガバンには、いろいろな人たちがいる。
このお話の主人公、荒巻スカルチノフも、その中の一人。
ガバンの時を刻む一人。
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:20:44.50 ID:WEgfL5/y0
今日も、荒巻は自分が料理、接客をこなす店『リリー』の開店準備をする。
――といっても、こんな裏にある店なのであまり客は来ない。
事実、娯楽ではじめた店であるし、儲かる儲からないはあまり眼中には無かった。
『OPEN』と書かれた看板を表に掛け、荒巻の一日が始まる。
想い出が欲しい人を、今日も待つ。
/ ,' 3は不思議なハンバーグをつくるようです
前編「王女が愛したハンバーグ」
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:24:48.92 ID:WEgfL5/y0
荒巻は、今こそこのような小さな洋食屋を切り盛りしているが、5年ほど前までは、ある一国の王宮シェフをつとめるほどであった。
当時は、料理雑誌などに載るほど有名になったのだが、荒巻はそれを良くは思っていなかった。
ただ、料理を作りよろこんで欲しい、そう考えていたのである。
その信念、観念があってか、荒巻の腕が王宮で認められるのもそう時間はかからなかった。
荒巻は、いつものように、王宮の厨房で調理に励んでいた。
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:28:23.31 ID:WEgfL5/y0
/ ,’ 3「……。」
黙々と、絵を描きあげるように料理を完成させていく。
「うんうん。荒巻は頑張るよね。」
荒巻は後ろを振り返ると、一人の少女が立っていた。
ミセ*゚ー゚)リ「おはよう。荒巻。」
/ ,' 3「ああ。ミセリ様でしたか。おはようございます。」
ミセリは、この王国の、王女にあたる人物。
歳は当時の荒巻、25歳より一回り若く、19歳である。
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:32:37.28 ID:WEgfL5/y0
ミセ*゚ー゚)リ「今日もおいしい料理、期待していますね。」
/ ,' 3「はい。ご期待にそえられるよう、努力します。」
ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ……お部屋で待っていますね。」
少し笑みを含んだ顔で言うと、ミセリは厨房から出て行った。
/ ,' 3「……。」
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:33:19.71 ID:WEgfL5/y0
荒巻は、いわゆるミセリの『お世話係』であった。
料理はもちろん、必要であれば勉強や、典型的な箱入り娘であったミセリに外の世界のことを話していた。
もちろん、このようなポジションにすぐつけたのは、王宮側に認めてもらえたということなのであろうが、どうにも荒巻はミセリの奔放さに振り回されていた。
/ ,’ 3「お嬢様。朝食をお持ちしました。」
いつものように、ミセリの舌にあわせた料理を作る。
この国は、日本のように濃い味を好まないようだ。ここにきてからは、マヨネーズやソースなど使ったことがなかった。
今日は、近海でとれる魚からとった出汁を使った、日本でいう薄味のスープだ。
最初は、この国にあわせた味、風味を把握するのに戸惑った。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:34:03.19 ID:WEgfL5/y0
ミセ*゚ー゚)リ「うん。おいしいです!いつもありがとう、荒巻。」
/ ,' 3「いえ、当たり前のことをさせていただいているだけです。」
ミセ*゚ー゚)リ「……。荒巻?あたしと二人のときは、そんなに固くならないでください。」
/ ,' 3「は、はい。」
ミセ*゚ー゚)リ「あたしは、お世話係の荒巻より、一人のお友達として接して欲しいんです。」
――ミセリお嬢様がこう思うのも無理は無いと思っていた。
生まれてずっと屋敷に閉じ込められて育ったのだ。本や映像でしか外の世界を知らない。
閉じ込められているからにはもちろん、友達もいない。
今であるからこそ、たまにミセリお嬢様を外にお連れできるというものの……。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/19(土) 21:34:45.38 ID:WEgfL5/y0
ここに来た当初、ミセリお嬢様の気性は荒く、文字通り、手に負えなかった。
私は困っていた。
しかし、その問題を解決してくれたのが、私の能力。
人を選ぶが、想い出を見せる事ができるハンバーグを作れる能力。
いつからからだろうか。
私に備えついていた能力。
/ ,' 3は不思議なハンバーグをつくるようです
前編「王女が愛したハンバーグ」 完
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