ξ゚听)ξツンが感情を喰うようです

230: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:07:14.75 ID:wTdb+QriO
  
9 面白可笑しく笑って



ツンが図書室から出た時、ドクオが意識を失った時。



从 ;∀从「ギャハハハハハハ!勝ったぜぇー!!」


高岡は爆笑していた。

クーが生きる事を決めた後、5時間に及びファミコンをしていた2人
高岡の負けず嫌いっぷりにより勃発した長期戦
クーの精神力は、高岡のプライドの強固さにより崩れ去っていた


川;゚ -゚)「何回やったのか…判らん」

从 ;∀从「ギャハハハハ!」


涙目、というか泣きながら腹を抱えて笑う高岡
対するクーはすっかり疲れ切っていた。
負けてやるという考えの無いクーも、十分プライドは高いようだ



232: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:10:10.60 ID:wTdb+QriO
  
川;゚ -゚)「18時…5時間近くか…
     どうりでお腹が空くわけだ…」


5時間で1勝
高岡が自ら迎え入れた舞台で、だ。


从う∀从「ヒー…ヒー…」

川;゚ -゚)「そんなに嬉しかったのか」


泣き笑いで声も出せずに涙を拭う高岡
クーはファミコンのスイッチを切り、テレビも消す



从 ゚∀从「はー…。疲れたぁ」

川 ゚ -゚)「……高岡」


クーが俯きながら、泣き疲れた女を小さな声で呼ぶ
高岡は寝転がりながらも、クーに注意を向けた



236: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:12:12.03 ID:wTdb+QriO
  
川 ゚ -゚)「…ありがとう」

从 ゚∀从「ん…クー、お前家族は?」

川 ゚ -゚)「両親と、双子の妹がいる」

从 ゚∀从「双子ねぇ…仲悪ぃのか?」


高岡が腕と足を組みながら聞いた
数時間前に出会った年上の人間に、ここまでラフなのは彼女の性格所以だろう。


川 ゚ -゚)「仲は…良くはないな
     双子とはいえ対照的なんだ」


クーは俯いたまま、呟くように話す
彼女の顔からは、高岡でなくても寂しい感情は分かるだろう


川 ゚ -゚)「…高岡は?この家には、君しか住んでなさそうだが」


若干の沈黙でクーが再び口を開けた
高岡の方は見ず、だが


从 ゚∀从「ここは…てか学費云々は親戚が払ってくれてる」



239: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:14:13.24 ID:wTdb+QriO
  
川 ゚ -゚)「親戚?」

从 ゚∀从「あぁ、どっかの社長だってよ
     金は援助してくれてる
     たまに一緒に住もうって言われるけど、断ってんだ。
     その人は優しいし、嫌いじゃないけど…一人がいいんだ」


ぼんやりと宙を見ながら話す高岡


从 ゚∀从「両親は事故で2人とも死んだ。
     兄弟もいねぇし、親戚も都会だ」


オレンジの日が差し込む
高岡の汚い部屋は静まりかえる

少し間を置き、高岡が口を開く


从 ゚∀从「…俺も、一人さ」


仰向けになりながら、高くはない天井を見て話す高岡。
クーは高岡の方を見る事はないが、高岡は続ける



241: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:16:50.30 ID:wTdb+QriO
  
从 ゚∀从「なんつーかさ…アホくさいっての?
     馬鹿真面目に勉強してる奴ら見てっとよ…
     お前と同じ様な事も考えたね。下らない未来しか無いなら…」


高岡が身を起こし、今までより大きく。
気持ちを今までより込めて、言う。


从 ゚∀从「とことん、とことん適当に生きてやんだよ俺は
     真面目な奴を面白可笑しく笑ってやんだよ。
     だから…殴りかかってやったんだよ……」

川;゚ -゚)「な、殴…誰を」


クーが振り替える
高岡は、笑っていた。


从 ゚∀从「入学早々、前の席の男殴った。
     そいつ馬鹿みてぇに背デケェんだよ
     したら そいつ…殴り返してきやがった」


ギャハハと嬉しそうに笑う高岡
クーもつられて笑顔になる



244: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:18:31.27 ID:wTdb+QriO
  
川 ゚ー゚)「ふっ…確かに馬鹿だな。
     高岡も、ソイツもな」

从 ゚∀从「それ以来ツルんでんだよ、ソイツと
     今日はあの野郎、ずっと寝てやがったから置いて…ん?」


高岡の声は、彼女の携帯の歌により遮られた
ちなみに15の夜。メールの時は卒業だ

高岡は足元の携帯を取り、開くと耳元に当てた


从 ゚∀从「なんだ?」


クーはファミコンのコントローラーに、その紐を巻きつけている

だが、途中で手が止まった
高岡が眉間にシワを寄せ、立ち上がったからである


从;゚∀从「ハァ!? なんで…ドクオが!?」

川 ゚ -゚)「…?」


クーは、声を張り上げた高岡を見上げる



246: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:20:42.91 ID:wTdb+QriO
  
从;゚∀从「あぁ…すぐ行く、じゃな」


高岡は携帯を切り、右手のソレを見つめる
彼女の顔には焦りが見て取れる

2、3秒後、不意に口を開く


从;゚∀从「さっき行ってた奴が…病院に運ばれた」

川;゚ -゚)「何!? 何処の!?」


クーも立ち上がり、高岡を見る


从;゚∀从「VIP病院…ちょっと行ってくるわ」

川;゚ -゚)「下に私の原付ならあるぞ?」

从 ゚∀从「運転できん…2ケツで頼む」


違法である


从;゚∀从「…頼む」

川 ゚ -゚)「…わかった」



247: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:22:30.97 ID:wTdb+QriO
  


――――



ξ;゚听)ξ「しぃさん!!」

( *゚ー゚)「ツンちゃん、静かに」


帰り道、しぃさんからの電話でドクオ君が病院に運ばれたと聞いた

VIP総合病院、白くて大きな病院
私も何度か来た事はある。
でも…こんな形では初めてだ


( *゚ー゚)「今手術中よ…」


しぃさんは椅子に座りながら、前方に視線を指す
そこには大きい扉、上には赤地に白字で『手術中』


ξ゚听)ξ「…あれ?その子は?」

しぃさんの横には、女の子が座っている
俯き加減で、ちょこんと。



249: まなかな(コネチカット州) :2007/04/19(木) 00:25:59.61 ID:wTdb+QriO
  
( *゚ー゚)「えぇ…ちょっと、ね」

ξ゚听)ξ「……」


しぃさんから恐怖が見える。
それほど様態は悪いのだろうか…


ξ゚听)ξ「ドクオ君…」



――――



从 ゚∀从「そいえば何でスクーターなんかあんだよ!」

川 ゚ -゚)「コレで自殺場所を探してたんだ!」


黒スクーターに二人乗り、当然俺はノーヘル。

しかもかなり飛ばしてる
何げにクーは飛ばし屋だったか…


いつの間にかオレンジの日は暮れ始め、夜がやってくる
走るバイクからは、街の光の線が流れ星の様に見えた



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