ξ゚听)ξツンが感情を喰うようです
- 3: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:23:50.05 ID:1M33gsXeO
- 13 プーさん
透明なビニール傘が2つ、人通りの少ない街を歩く
目指す場所は町外れにポツンと立つ喫茶店。
「餌」の話しをする為だ。
从 ゚∀从「なんでバス使わねーんだよぉ」
ドクオが現在入院しているVIP総合病院
バーボンハウスを中心とすると、病院は右端に位置する。
バーボンハウスの左側にツン達の通う高校、高校の上にハインの家
様はスクーターやらバスやらを乗る距離を、2人は歩いているのだ。
しかも雨、秋の雨は冷たく寒い。
その為、ハインはぐちぐちと文句を呟いていた。
从 ゚∀从「足痛ぇ…だりぃ〜…」
( *゚ー゚)「たまには散歩もいいじゃない」
- 4: 外資系会社勤務(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:25:47.46 ID:1M33gsXeO
- 涼しい顔でしぃが言う。
背筋を正しく足取り軽く、しぃは歩く
从;゚∀从「なんで雨降ってんのに歩かなきゃ…」
30分程歩いた結果、ハインの速度は亀より遅くなった。
逆に文句は雨が如く出続けた。
止まらない文句に、しぃはシカトを決め込み歩き続ける。
从 ゚∀从「だりぃ〜つまんね〜あ゙ぁ゙〜…」
数分後、やっと桃源郷を見つけたしぃが口を開く。
( *゚ー゚)「あ、見えたわよ」
肩を胸まで落としダラダラ歩くハイン。
それを余所に、しぃは遠くに見えたバーボンハウスに駆け足で近付く。
从;゚∀从「やっ〜と付いたかぁ…」
- 5: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:27:48.17 ID:1M33gsXeO
- ため息と言葉を吐き、高岡も夢の国ガンダーラに近付いた
その足取りはさっきとは見違えたが、
ドアの前で立ち尽くしたしぃを見て歩みを遅める。
よく見れば、しぃはドアを少し開け、中を覗き込む形で固まっていた。
その顔は『驚きすぎて固まる』表情、正にそのものだった。
从 ゚∀从「どした?早く入れよ」
( *゚д゚)「……」
別人になったしぃ。
彼女が開けたドアから高岡もバーボンハウスを覗く
从;゚∀从「な…!これはー!」
- 6: 外資系会社勤務(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:30:06.46 ID:1M33gsXeO
- ミ,,*゚Д゚彡「うふふふふふ」
(*´・ω・`)「プーさんカワユスなぁ」
ミ,,*゚Д゚彡「おい俺にもおっきいプーさん貸せよぅ」
(*´・ω・`)「いーやーだーよー」
ミ,,*゚Д゚彡「うふふ」
(*´・ω・`)「うふふふふふ」
( *゚д゚)从 ゚д从
( *゚д゚)パд从从
(*゚д゚ )从゚д从
川 ゚ -゚)「こっち見んな」
中ではいい年こいた大人が、プーさんのぬいぐるみで遊んでいた。
- 8: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:32:40.91 ID:1M33gsXeO
- 空席だらけの店内には、何故か至る所にプーさんが居た。
空席の椅子の上にはプーさんが座り、テーブルの上ではプーさんが四つん這い。
窓際にもプーさんプーさんプーさん…。大小様々なプーさんが店を占領していた。
( *゚ー゚)「え…何これ?」
从 ゚∀从「ツン…何やってんだ?」
ツンは腕1杯に抱えたプーさんを、店内にせっせと並べていた。
ハインは呆然としながらも、ツンに話し掛ける。
ξ゚听)ξ「いやぁ暇だったからさぁ…」
植木にプーさんを無理矢理掴ませる。
黄色と赤のコントラストは、茶色の店内を明るいモノに変えていった。
ξ゚听)ξ「バーボンハウスを
プーさんハウスにしようと思って」
ミ,,*゚Д゚彡「うふふふふふふふふ」
- 10: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:34:20.27 ID:1M33gsXeO
――――
(´・ω・`)「えー、さて…」
バーボンハウスこと、プーさんハウスに集まった6人の男女
彼らは感情を喰う。
それに対する様に、感情を撒く人間。
それが餌だ。
(´・ω・`)「まずは…基本から話そうか」
カウンター内にショボン、カウンター席に5人が座る。
空いてる席にはプーさんが、皆ショボンの方を見ていた。
(´・ω・`)「餌は7人。喜怒哀楽嫉憎恐だ
彼らは自分の周りに感情を撒く。
霧を撒き、吸った者に感情を与えるイメージかな」
- 11: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:35:54.94 ID:1M33gsXeO
- ショボンは実に淡々と語り出す。
立ちっぱなしだが、両手はカウンターに置いている。
川 ゚ -゚)ノ「しつもーん」
(´・ω・`)「質問タイムは最後に設ける
今は僕が知っている事を全て話そう」
クーが真っすぐに伸ばした手を下ろす
若干眉をしかめ不満そうな顔をしたが、気にせずショボンは話す。
(´・ω・`)「餌が感情を撒くのは意味がある。
撒かないと、感情が溢れるんだ。
もし感情を撒く事なく、箱から溢れれば…」
全員が固唾を飲む。
(´・ω・`)「…わからない」
プーさんがズッコケた気がした。
- 12: 外資系会社勤務(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:38:29.83 ID:1M33gsXeO
- (´・ω・`)「まぁ良くない事は確か、だ。
撒かなくちゃいけないんだ、彼らからすればね。
ただ、好い事とは言えない。相手に感情を押し付けるんだから」
実際に、病院の時に起きた事。
ハインは悲しみを忘れ、怒った。他の面々は、無駄な悲しみを抱いた。
突然イライラする、そんな不愉快な事があるだろうか。
しかも、餌は悪くはないとう、この現状。
ショボンは少し声のトーンを落とし、続けた。
(´・ω・`)「実に不憫だね、僕らよりもさ。
まぁ利用している人も居るけど」
ξ゚听)ξ「そんな言い方…」
ツンが呟く様に言葉を漏らすも、ハインがすぐに言い返した。
从 ゚∀从「ドクオは憎しみの奴に、間接的にやられたんだぞ。
んな奴らに同情すんなよ」
- 14: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:41:31.57 ID:1M33gsXeO
- ( *゚ー゚)「全員が利用する訳じゃないわ……多分」
(´・ω・`)「…まぁ、そういう事だね。
とりあえず、質問どうぞ」
ショボンが平手をクーに差出し、言葉を促した。
川;゚ -゚)「うむ、え〜と…忘れた」
プーさんがズッコケた気がした。
( *゚ー゚)「じゃあ私から。 ショボンさんは何がしたかったんですか?」
ξ゚听)ξ「…どういう事ですか?」
ツンが不思議そうにしぃを見た。
その問いには、しぃの隣の人間から返ってきた。
ミ,,゚Д゚彡「こいつは餌側と繋がってたんだよ。
ヘイトレッドはその為の名さ」
フサギコが攻めるような目でショボンを見る。
全員の視線が、ショボンに集まった。
- 15: 外資系会社勤務(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:43:52.80 ID:1M33gsXeO
- (´・ω・`)「僕はこの力を継続したかった。
力が消える条件を充たさない様に、彼らを動かしたんだ」
ξ゚听)ξ「条件…?」
ツンが聞こうとするも、しぃが言葉を投げる。
( *゚ー゚)「具体的に何をしたんですか?
消える条件よりも、私はそっちが知りたい」
しぃは微笑をしながらも、真剣な目は崩す事なく聞く。
その目はショボンを責め立てるように、彼を見つめた。
(´・ω・`)「僕は顔を見せず、常に電話で連絡をした。
餌のリーダー格のギコ君にね。
フサギコの弟で、彼は恐怖を撒く」
ξ゚听)ξ「ギコ…確かウチの3年生に…」
( *゚ー゚)「1ヵ月前まで付き合ってたわ」
ξ;゚听)ξ「えぇぇぇ!?」
ツンだけが、大げさなリアクションをとった。
- 17: 外資系会社勤務(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:47:04.15 ID:1M33gsXeO
- 高岡は興味なさげにジュースを飲む。
まるでプーさんの肌のような黄色。
そう――オレンジジュース―――――
(´・ω・`)「そのギコ君に、コチラの情報を流した。
しぃさん、ハインちゃん、ドクオ君のね」
ξ゚听)ξ「あれ?私は?」
(´・ω・`)「ツンちゃんのは流してない。
恐怖は見つかってないと嘘を言ったよ」
ツンが小首を傾げた。
ショボンは一息つき、ゆっくりと話し出す。
(´・ω・`)「この力が消える条件はね、
誰か1人でも死ぬ事。
そして本来の役目を果たした時さ」
含みのある言い方をするショボン。
本来の役目、感情を喰う本質と感情を撒く本質。
それは――――
- 18: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:49:06.29 ID:1M33gsXeO
- (´・ω・`)「人から感情を完全に無くす事さ」
(´・ω・`)「しぃさんは怒の子を、どうやっておとなしくさせたんだい?」
怒の子、ヒートの事だ。
( *゚ー゚)「怒りを喰い続けて…よ」
しぃは少しトーンを落とし、言う。
病院時のクーとの一件のせいで、意識をしているのだろう。
(´・ω・`)「その子は、廃人の様になったろう?
餌の感情を喰い続けると、そうなる」
川 ゚ -゚)「確かに、あの時のヒートはおかしかった」
しぃの気を知ってか知らずか、クーは冷静に言い放った。
- 19: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:51:03.31 ID:1M33gsXeO
- (´・ω・`)「餌側の人はそうなる。
だけど普通の人は、そうとは違う。
他の感情があるからね」
ツン、クー、ハインが何かに気付いた様に顔を上げた。
しぃとフサギコに大した変化は無い事から、これから言う事を知っているのだろう。
(´・ω・`)「普通の人に、僕らが全員で感情を喰う。
すると、その人は何も感じなくなる。
逆に1つの感情を尖らせる事も、ね」
川 ゚ -゚)「…餌は?」
(´・ω・`)「文字通りさ。
僕ら『喰う』側の『餌』だよ」
至極冷静に告げるショボン。
重苦しい空気が流れる中、ハインが口を開いた。
- 21: チャイドル(コネチカット州) :2007/04/23(月) 20:53:02.73 ID:1M33gsXeO
- 从 ゚∀从「そういやぁ病院の時は、
哀しみを喰った訳でもないのに腹が膨れたもんなぁ」
ジュースの中の氷をストローで転がしながら、呟く様に言った。
ξ゚听)ξ「…ハイン、なんであの時私の哀しみを喰わなかったの?」
結果としては、哀の餌が来たからよかったものだ。
だがハインは、当たり前の様にツンに言い放つ。
从 ゚∀从「その哀しみはドクオに対する感情だろ?
そんな感情、俺が喰えるかよ」
彼女なりの正義なのだろう。
自分は全く間違っていない、ハインの目はそう言っていた。
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