ξ゚听)ξツンが感情を喰うようです
- 23: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:15:25.21 ID:xFlG7wyFO
- 1ヵ月前。私は忘れないよ
1ヵ月前。僕は忘れないお
世界が変わったあの日。私は忘れないよ
世界が変わったあの日。僕は忘れないお
私を見るだけでみんな笑顔になる。私は忘れないよ
僕を見るだけでみんな笑顔になる。僕は忘れないお
私が誰かを傷つけている事。私は…忘れないよ
僕が誰かを傷つけている事。僕は…忘れないお
- 24: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:17:06.42 ID:xFlG7wyFO
16 夜王子と月の姫
- 25: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:19:03.48 ID:xFlG7wyFO
- VIP小学校
公立の、至って普通の小学校だ
ツンと僕の、小学校
物心ついた時、ツンは僕の隣にいた。
薄ぼんやりと、頭にある記憶。
僕がツンと手を繋いでいるんだ
背は少しツンの方が高くて、僕は気が弱かった。
いじめっ子から、いつも守ってくれてた。
休みの日はお互いの家を行き来して
別に何をする訳でも無いのに、凄く楽しかった。
池に行って、ザリガニを釣ったり
山に行って、蜂の巣をつついたり
海に行って、クラゲで遊んだり
- 27: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:21:04.19 ID:xFlG7wyFO
- 全部僕が怪我を負った。痛かった。
でも……楽しかった
夏、いっしょに夏祭りに行った。たしか小学5年の時だ。
一緒に金魚すくいをやって、わたあめを食べて……
帰り道に迷ったんだ。
僕らの小さい体じゃ、街は広すぎた。
今考えれば全然たいした距離じゃない。
だけどあの時は、凄く恐かった。
ずっと……ツンの手を握ってた。
VIP中学
これまた何の変哲も無い中学校。
でも僕らの間に、小さな綻びが生まれた
- 28: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:23:21.24 ID:xFlG7wyFO
- ( ^ω^)「ツン!帰るお!」
ξ゚听)ξ「……ブーン」
( ^ω^)「お?」
思春期。性格。僕。ツン。
全部が絡んで、結果が生まれた。
思春期で男女が一緒に帰るなんてのは気恥ずかしくて、
個々の性格が色濃く出始め、彼女は僕にツンツンした。
僕の方は、あんまり変わってなかったと思う。
だからかな。
僕の子供っぽさ、たいして格好よくない顔、良くはない頭。
逆に、ツンは容姿端麗、文武両道。
本当に、逆だったのかも。
ξ゚听)ξ「明日から……別々に帰るわよ」
(;^ω^)「おぉ?」
- 30: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:25:12.08 ID:xFlG7wyFO
- 中学の1、2年の時、僕らは同じクラスにならなかった。
学校でたまに顔を合わせても、ツンは声を掛けてはくれなかった。
それがひどく、淋しかった。
決して友達が出来なかった訳じゃない。
部活は入ってなかったけど、勉強は全然できなかったけど
友人と過ごす日々は楽しかった。
ツンとは、家とか休みの日はたまに会ってた。
学校でのツンは完璧だった。
それが何故か、僕にはとても脆い物に感じられた。
僕は素直に、それを言ってみた。
- 31: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:27:03.87 ID:xFlG7wyFO
- ( ^ω^)「ツン、学校楽しいかお?」
ξ゚听)ξ「何よ……急に」
中2の夏。
ツンの家と、僕の家で小さなパーティーをやった。
バーベキューとか花火とか
凄く、凄く凄く楽しかった。
ツンの数年ぶりに見た気取らない笑顔。
それは、今でも僕の脳裏に焼き付いてる。
パーティーの終わり。
母さん達が片付けてる時、僕らは久しぶりに話した。
ツンの家のベランダ
二人で足をブラブラさせて、他愛もない話で盛り上がった。
なんか何度も言ってるけど、楽しかった。
うん、楽しかった。
- 33: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:29:07.85 ID:xFlG7wyFO
- ξ゚听)ξ「あんたは楽しいの?」
足をブラブラ、口を少し尖らせて。
涼しげな服装をしたツン、可愛かった。
( ^ω^)「楽しいお! この前なんて……」
ξ゚听)ξ「私はつまんない」
( ^ω^)「……お?」
遠くの夜景を見るツン。
見るじゃなくて、眺めるか。どうも焦点はどこにもあっていないようだった
ξ゚听)ξ「毎日友達におべっかして、授業は毎日ちゃんとやって……」
ξ゚‐゚)ξ「そんなの……面白い訳ないわよ」
( ^ω^)「ツン……」
- 34: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:31:07.00 ID:xFlG7wyFO
- 僕はてすりを掴み、一気に立ち上がった。
そして、ツンに手を差し出す。
( ^ω^)「行こうお」
ξ゚听)ξ「ぇ?」
僕はツンを連れて、自転車に飛び乗った。
真っ暗な夜道を、夏の夜道を2人乗りで走った。
ξ;゚听)ξ「ちょっと! どこ行くのよ!」
(;^ω^)「ツンを!笑わせるんだお!」
夢中で走った。足はパンパンで、汗もじっとりかいた。
(;^ω^)「おぉ……見えたぉぉぉ」
30分程走って、やっと目的の場所を見つけた。
- 35: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:33:04.31 ID:xFlG7wyFO
- (;^ω^)「ツンは……本が好きだったおね!」
ξ゚听)ξ「う、うん」
漕ぐ、漕ぐ。あそこに1秒でも早く着け、と。
(;^ω^)「星の王子様!大好きだったおね!」
ξ;凵G)ξ「……うん」
(;^ω^)「あそこから!星が!いっぱい見れるんだお!」
ξ;凵G)ξ「……うん!」
海の端っこ。砂浜の上
そこにツンの手を引っ張って、2人で寝転んだ。
( ^ω^)「もう……手取っていいお」
僕はツンにさせていた目隠しをとらせる。
ξ゚听)ξ「……」
- 36: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:34:36.61 ID:xFlG7wyFO
- ( ^ω^)「どう……かお……?」
満天の、星空。
ξ;凵G)ξ「すごい……綺麗だよ」
ツンは泣いていた。静かに、泣いていた
(;^ω^)「お!? どっかスリ剥いたかお!?」
ξ;凵G)ξ「違うの……嬉しいの」
ξ;凵G)ξ「ブーンの気持ちが、嬉しいのぉ……」
泣きながら必死に空を見るツン
( ^ω^)「ツン……笑ってお。
僕は、ツンの……」
ツンと居ると楽しいから
ツンと居ると嬉しいから
- 37: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:36:28.73 ID:xFlG7wyFO
- ( ;ω;)「哀しい顔なんか……見たくないんだお」
ξう凵G)ξ「ば、ばっかじゃないの!
あんたに簡単に見せる程、私の笑顔は安くないんだからね!」
ツンが涙を拭いながら、僕に背を向ける。
砂浜に寝転がる僕達
そして振り向いた、ツンの……笑顔。
ξ*゚ー゚)ξ「ありがと、ブーン」
星空より何倍も、何万倍も綺麗な笑顔。
( ;ω;)「おぉぉぉぉん……」
ξ;゚听)ξ「な、なんでアンタが泣いてんのよ!」
( ;ω;)「だってお……だっておぉぉ」
- 38: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:38:05.54 ID:xFlG7wyFO
- 僕は泣いた。
嬉しくて、ずっと泣いた。
家に帰るまで、ずっとツンの手を握っていた。
僕が七夕で願ったからか、中学3年生の時僕らは同じクラスになった。
嬉しくなって、ついつい七夕や流れ星でお願いした事をツンに言ってしまった。
思いっきり馬鹿にされたなぁ……。
やっぱりツンツンしてるけど、そんな中にも昔の優しさがあって
僕はツンの事が好きになっていた。
中学3年の夏
僕とツン、あとクーと誰かでよく遊んでた
僕の思い出。
そこにはいつもツンが居た
確かクーに、いつ告白するんだ?って言われたな
- 39: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:40:05.82 ID:xFlG7wyFO
- 告白したら友情が〜って言ったら、言い訳するなって怒られたな。
僕自身、自分に自信がない。
クーは僕と居る時のツンは、学校とは違うって言うけど……
僕は……ツンが笑ってればいいのかもしれない
1月
正月は家でダラダラしてた。
ツンの着物姿は凄い綺麗だった
僕はなおさら、彼女を遠い者に感じた。
2月、高校受験のシーズン
僕は公立のVIP高校、クーも同じようだ
ただツンだけは、私立のラウンジ高校を受けるみたいだった。
隣街のラウンジと、僕らの街のVIP
ラウンジ高は電車で行けるし、大して離れるわけじゃない。
そうなんだけど、僕は、物悲しくて。
- 40: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:42:02.88 ID:xFlG7wyFO
- 僕のワガママで彼女の将来を狭める事。
そんな事は、あっちゃいけないんだ。
だけど、僕は……
( ^ω^)「ツンは、どこに行ってもツンだお?」
中学の帰り道、2人で歩いた夕方の道
僕は、気付いたらそんな言葉を言ってた。
ξ゚听)ξ「……私だってVIPに行きたいわよ。
あんた達といつまでも、馬鹿やってたいわよ」
( ^ω^)「僕ならいつでも暇だお、相談なr
ξ゚听)ξ「馬鹿にしてんの? 私を」
空気が一瞬固まった。
僕はただ、ツンの為になにかしてあげたかった。
して……あげる……
- 41: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:44:06.59 ID:xFlG7wyFO
- ξ゚听)ξ「……私なら大丈夫だから。
あんたも受験勉強しなさいよ」
(;^ω^)「お……勉強は嫌だお」
ラウンジとVIP
ツンと僕
近づいた距離が、少しづつ離れていた
私立ラウンジ高等学校 一般入試日
僕は、その会場に来ていた。
ツンに内緒で、ラウンジを受けた。
親から貰っていた小遣いで受験。
必死に縄を掴んだ。
ξ゚听)ξ「……なにやってんのよ」
( `ω´)「受験だお!」
- 42: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:46:12.39 ID:xFlG7wyFO
- ξ;゚听)ξ「ここラウンジよ?」
( `ω´)「VIPなんかスベリ止めだお!」
ξ゚听)ξ「……」
受かる受かる受かる受かる受かる!!
あれだけ願を懸けたんだ!
勉強はしてないけど……大丈夫だ!
( ´ω`)「……」
ξ;゚听)ξ「まぁ……ドンマイ」
その後、スベリ止め……いや本線のVIP高校の受験
ツンも受けてた。まぁ近場には2つしかないし
3月に、ラウンジ受験の合格者発表の日
僕はツンと一緒に、それを見に来ていた。
- 43: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:48:49.89 ID:xFlG7wyFO
- ( ^ω^)「……来る必要が無い気がするお」
ξ゚听)ξ「まぁ見るだけいいじゃない」
受験をした後も、ツンには変わりが無い。
まぁスッキリしたんだろう。
そう思ってた。
( ^ω^)「ツンの番号は?」
ξ゚听)ξ「072よ」
( ^ω^)「オナニー…オナニー……」
白い紙に、黒い数字の羅列。
指で少しづつ確認していく。
- 44: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:51:33.41 ID:xFlG7wyFO
067
068
069
070
073
074
( ゚ω゚)「お……?」
- 45: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:54:27.94 ID:xFlG7wyFO
- あれ? 072がない? ツンの番号が……無い?
ξ゚听)ξ「落ちちゃったか……残念」
(;^ω^)「お!? んなわきゃないお!」
僕は必死に番号を捜す
何度も何度も、何度も捜す
ξ゚听)ξ「もういいわよ、明日VIPの発表でしょ?
とっとと帰るわよ?」
( ^ω^)「……うん」
周りは中々騒がしい
受かった人、多いのかな
ξ゚听)ξ「ほら、早くしなさい」
( ^ω^)「……ツンはショックじゃないのかお?」
- 46: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 19:59:01.50 ID:xFlG7wyFO
- 一応僕の番号も捜したけど、普通に無くてワロタ
ξ゚听)ξ「ショックねぇ……別に?」
あっけらかんとしたツン
正直拍子抜けしている。
ξ゚听)ξ「まぁ、ブーンと同じ学校行けるだろうし……」
ξ////)ξ「ぶぇ、ぶぇっつにアンタと同じ高校行きたいわけじゃないんだからぬぇっ!?」
( ^ω^)「……VIP高校」
受かってなかったら、終わりかもしれんね……
公立VIP高等学校 一般入試発表日
普通に、受かっていた。
よかった……これでツンと……
- 47: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:02:02.87 ID:xFlG7wyFO
それでいいのか?
クー……僕は、何もしてないお
ツンが普通に受からないと?
言わないでお
彼女は
「うわあああああああああ!!」
僕は、なにがしたいんだお……?
- 49: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:06:35.54 ID:xFlG7wyFO
- ξ゚听)ξ「もう中学も終わりか……」
川 ゚ -゚)「まぁ高校も同じ面子だし、大して変わらんよ」
( ^ω^)「……うん」
VIP中学卒業式の日、3人で花を持っての帰り道
僕らは気付けば海に居た
川 ゚ -゚)「ブーン、ツン。
君達は話さなきゃいけない事があるだろう?」
クーが潮風で目に入る黒髪を、かきあげながら言った。
ξ゚听)ξ「え? 別に……」
( ^ω^)「ツン……ラウンジ高校、わざと落ちたのかお?」
ξ゚听)ξ「……なによ、あんた達。
私がVIP高校に行くの嫌なの?」
- 52: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:09:53.74 ID:xFlG7wyFO
- 川 ゚ -゚)「そういう事を言ってるんじゃない。
君は本当にそれでいいのか、そう言ってるんだ」
( ^ω^)「僕はツンが……逃げてる様に見えるお」
ξ#゚听)ξ「なによそれ!! 私を馬鹿にしてんの!?
全部私が決めた事なのよ!?
なんでアンタにそんな事言われなくちゃいけないのよ!!」
(♯^ω^)「馬鹿にしてるのはツンの方だお!?
無理矢理喜ばされても、嬉しくなんかないお!!」
ξ#゚听)ξ「そんなつもりじゃないわよ!
私は……あんた達とVIPに行きたかったの!」
川 ゚ -゚)「気持ちは嬉しいがな。
君には君の道があるだろう?
ブーンだって、それを思ってラウンジを受けたんだ」
ξ#゚听)ξ「それが馬鹿にしてんのよ!
なんでアンタはいつも私に無理すんのよ!
私だって……考えてるわよ! アンタの事!」
- 53: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:11:34.80 ID:xFlG7wyFO
- ( ^ω^)「……ツンには、幸せになってもらいたいんだお」
つい言ってしまった言葉
ツンの勢いは、止まらなかった
ξ#゚听)ξ「アンタと居る事が私の幸せよ!」
( ゚ω゚)
川 ゚ー゚)「告白か、ツンよ」
ξ゚听)ξ「……へ?」
川 ゚ー゚)「今の台詞は、ブーンが好きだ!と聞こえたが」
( *^ω^)「……ツン」
ξ;゚听)ξ「そ、そんな意味じゃないわよ!
アンタも頬赤らめてんじゃないわよ!」
- 54: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:13:13.32 ID:xFlG7wyFO
- (;^ω^)「ツンが……僕をごぼぁ!」
幸せに浸っていたら殴られた。
クーがにやにやしながら見てる……
川 ゚ー゚)「それでは私は失礼するよ。
カッポォーの邪魔は野暮だからな、ふふふ」
ξ#゚听)ξ「アンタ、ハメたわね!待ちなさい!」
クーが、ふっはっは!とか言いながら帰っていった。
( ^ω^)「ツン」
ξ;゚听)ξ「な、なによ……」
( ^ω^)「VIP高校に行っても仲良くしようお!」
手を、差し出す。
握手をするための、右手。
- 55: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:15:20.80 ID:xFlG7wyFO
- ξ゚听)ξ「……まぁ、仕方なくよ? 忘れるないでよ」
ツンが僕の手を取り、握手。
ブンブンとその腕を振り、そのままツンの手を掴んで帰った。
VIP高校に入学。
僕とツンは同じクラスになった。
クーは違うクラスになって、次第に話す機会が減っていた。
帰る時クーとたまたま会って、少し話した時は驚いたな
川 ゚ -゚)「告白したのか?」
だもんなぁ。まぁやんやりと否定はした
実際告白してないしね。ほぼ毎日、一緒に帰ってはいたけど
1年目は何もかも新鮮だった
それなりに仲が良い人もできたし
- 56: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:17:05.74 ID:xFlG7wyFO
- 2年への進学の時、クーが突然学校を辞めた。
理由は知らない。
たまにメールして、元気だけどひきこもってると聞いた
夏は3人で花火見に行ったりしたし
ツンと居ると、やっぱり楽しかった。
そして、あの日。
朝起きたら、違和感を覚えた。
母さんがニコニコ、父さんもニコニコ。
ツンも、笑った。
不思議だった。僕がなにをした訳じゃないのに、みんな笑ってた
決して僕を馬鹿にしてるとかじゃない。
本心から『楽しい』。
そういう感じだった
- 58: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:18:23.63 ID:xFlG7wyFO
- 他人が笑顔になるのは嬉しい。
でも僕は、ツンが笑顔になってくれる事が
何倍も、何万倍も嬉しかった。
みんなが笑顔になる日から、1週間ほど経った
突然、3年生に呼び止められた。
恐い、一言で言えばそれ。
3年生のギコさん
同じくジョルジュさん
僕と同学年の、伊藤さん
全員僕と同じだけど、少し違った。
同じなのは、みんな同じ日に変化が起きた事。
違うのは……
僕以外の人の場合は、みんなが笑顔じゃない事。
- 59: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:19:19.86 ID:xFlG7wyFO
- ギコさんは恐怖。
ギコさんはそれを使って、3年生では一番上の存在みたいだ
番長っていうのかな、確かにギコさんは恐かった。
でも、優しくしてくれた。
それが嬉しかった。
ジョルジュさんは憎しみって言ってた。
見た目は恐いジョルジュさんだけど、やっぱり僕には少し甘かったかな。
ジュース奢ってくれたし
伊藤さんは悲しみ
僕なんか彼女の前に立つと、ボロボロ泣いてしまう。
なにが哀しいかも判らずに。
ごめんね……って言いながら頭撫でてくれたな……
同じ年の筈なんだが、精神的に年上っぽい。
- 61: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:21:03.66 ID:xFlG7wyFO
- 僕ら4人は放課後、生徒会室に集まっていた。
作戦会議といか……そんな感じ。
そこで知った事。
僕らの他に後3人、同じ力を持つ人が居る事。
そして、反対の力を持つ人達も居る事。
ヘイトレッド
憎しみの感情を喰う、ってギコさんが言ってた。
まぁ、よく意味判らなかったけどね。
とにかくヘイトレッドさんが言うには、この力は無くなる可能性の方が大きいという事。
消えるのは嫌だった。
もしかしたら、ツンから笑顔が消えるかもしれない。
僕は自分に自信が無くなっていた。
だから、ギコさんに協力の姿勢をとった。
- 62: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:22:28.64 ID:xFlG7wyFO
- あの日は驚いたな。
ジョルジュさんが、ドクオっていう1年生を半殺しにした時。
ギコさんと生徒会室でダラダラして、そろそろ帰ろうかという時だった。
とりあえず逃げる。それがギコさんの提案
たぶんヘイトレッドが来るから、だそうだ。
急いでツンにメールして、
ジョルジュさんに殴りかかったギコさんを必死に止めて、
伊藤さんが居なかったな。
- 63: 国連職員(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:24:24.54 ID:xFlG7wyFO
- そして、今日。
ツンに呼ばれ、彼女の家に行った。
クーが居たのには軽く驚いたけど、それより驚いたのは
僕がツンにあげたパジャマを、クーが着ていた事。
我ながら少し引いた
その後はゲーセンに行って、プーさんの人形を取りまくった。
UFOキャッチャーは昔から得意だった。
あんな大量にゲットできるとは思わなかったけど。
全部クーとツンにあげて、帰路に着いた。
雨は段々と強くなって、どこか物悲しくなった。
- 64: ボーカル(コネチカット州) :2007/04/27(金) 20:26:04.09 ID:xFlG7wyFO
- そして――――
ξ#;凵G)ξ「どういうつもりなのよ!」
僕の力が、ツンにばれた。
ツンと、僕。
何かが、変わる気がした。
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