ξ゚听)ξツンが感情を喰うようです
- 2: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:26:13.91 ID:Rn97QbmwO
- 17 スイカとみかん
雨。びしょ濡れのツン。
涙を流しながら鼻を赤くして、声を荒げて。
(;^ω^)「……何の事だお?」
ξ#;凵G)ξ「なんで一言、言ってくれないのよ!
アンタ何考えてんのよ! 感情撒いて、何が嬉しいのよ!」
濡れた手でブーンの服を掴み、大きく揺するツン。
乾いていたブーンの服が、雨で色が少し変わった
(;^ω^)「……なんで知ってるんだお?
誰かから聞いたのかお?」
ξ#;凵G)ξ「私が……恐怖を喰うからよ」
(;^ω^)「え……」
顔から焦りを見せ、固まるブーン。
ツンは彼から手を離し、涙を拭った。
- 3: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:28:12.94 ID:Rn97QbmwO
- ξ゚听)ξ「……なんで言わなかったのよ」
(;^ω^)「とりあえず家に入るお。
風邪ひいちゃうお」
ツンの腕を掴む。
彼の手がじんわりと濡れた
ξ#゚听)ξ「触んないでよ!
いいから聞かせなさいよ! なんで私に言わなかったのか!」
ブーンの腕を、全身を振るいながら跳ね除ける。
ブーンを睨み付けるツン、彼は申し訳なさそうに口を開ける。
( ^ω^)「言ったら……僕の事、嫌いになるお」
ξ#゚听)ξ「ならないわよ!
そんな事くらいで嫌いになる訳ないじゃない!
アンタはなんで、いつもいつも自分で結論出すのよ!」
ブーンはツンの目を見ることができない。
罪悪感、この出来事で2人の関係の終演
彼の頭の中は、ネガティブな考えで破裂しそうになった
- 4: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:30:26.44 ID:Rn97QbmwO
- ξ#゚听)ξ「アンタはいっつも私を馬鹿にしてんのよ!
自分を私より上に見てるのよ!
だからそんな考えしかできないの!」
本心では無いだろう。
彼女自身、ブーンが自分を思ってくれている事を判っている。
だけど彼女の中で、この雨の中走ってきた最中で
一つの結論が出来てしまっていた。
彼女はそれを、勢いのまま口に出す。
ξ#゚听)ξ「どうせ私を笑わせて、嬉しかったんでしょ!?
嬉しいから、続けてたんでしょ!?
あんたは無理矢理笑わせてんのよ!
そんな物で嬉しがるなんて、おかしいわよ!」
ツンの怒りの言葉が、雪崩の様にブーンを襲う。
彼は変わってしまったのかもしれない。
- 5: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:33:10.32 ID:Rn97QbmwO
- 自分に自信は無いのに、それでも自信がある『餌の力』
それを、ツンにより全否定されたから。
彼は、変わってしまった
(♯^ω^)「ツンは僕の気持ちを判ってないんだお!
ツンだって僕を下に見てるお!
自分の思い通りにならないと嫌なんだお!」
ξ#゚听)ξ「思ってないわよ、そんな事!
私はアンタの何なのよ! 自分の為に私を使わないでよ!」
ブーンが怒っても、ツンは動じない。
むしろ怒りは激しくなっていく。
ξ#゚听)ξ「私は絶対にこんな力消すからね!
アンタの態度で決心ついたわ!」
(♯^ω^)「ツンだって僕に言わなかったお!
自分を棚に上げるのは、ツンの癖だお!」
- 7: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:36:32.14 ID:Rn97QbmwO
- ξ#゚听)ξ「私の場合とアンタの場合は違うじゃない!
それくらい判りなさいよ馬鹿!」
(♯^ω^)「馬鹿ってなんだお!
この貧乳! まな板! ビートバン!」
思わぬブーンの反撃。
ツンは胸を押さえながら、一歩たじろいだ。
ξ#゚听)ξ「ひ……貧乳じゃないわよ!ばーか!」
(♯^ω^)「馬鹿って言う方が馬鹿だお!ひんぬー!」
一気にランクダウンした2人の口喧嘩。
そこに割って入る様に、クーのスクーターがやって来た。
- 10: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:39:42.24 ID:Rn97QbmwO
- ξ#゚听)ξ「ばーか! ばーか!」
(♯^ω^)「消しゴム女! テーブル女!」
川;゚ -゚)「……」
てっきり、修羅場になっているかと思っていたクー
だが実際は、小学生の口喧嘩だった。
川;゚ -゚)「まぁまぁ落ち着け。
17にもなって、そんな喧嘩するな」
一応止めた方がいいと判断したクーは、両手で2人を制しながら近づいた。
(♯^ω^)「丁度いいお! クーと比べてみるお!
スイカとみかんの差があるお!」
ξ#゚听)ξ「誰がみかんよ! リンゴくらいよ!」
川;゚ -゚)「落ち着け2人とも、なんで喧嘩してるのか判らん」
- 13: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:42:10.63 ID:Rn97QbmwO
- とりあえずツンの両肩を掴み、彼女の家まで退避させるクー。
ツンは払い除ける事もせず、ブーンに言葉をぶん投げる。
ξ#゚听)ξ「絶対消すからね!
その後で謝ったって許さないんだからね!」
指をブーンに指しながら、クーに押され後退するツン。
さながら、退場をさせられたレスラーの様だ。
(♯^ω^)「誰が謝るかお!」
踵を返して家に戻るブーン。
力強くドアを閉めると、辺りは雨の音しかしなくなった。
――――
ツンの家の玄関。
ツンは肩で息をしながら、びしょ濡れの身体で家に上る。
- 15: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:44:06.06 ID:Rn97QbmwO
- 川;゚ -゚)「とりあえず風呂にでも入れ。
少し落ち着いた方がいい」
ξ#゚听)ξ「……そうするわ」
ふぅ……まったく。
おっと、メット被りっぱなしだった
ξ゚听)ξ「……クー」
川 ゚ -゚)「む、何だ」
銀色のハーフメットを取ると、雨水が滴り落ちた。
ξ゚听)ξ「一緒に入るわよ、お風呂。
ついでに確かめてやるんだから」
川;゚ -゚)「確かめる?」
ξ#゚听)ξ「いいから来なさい!」
- 18: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:45:45.73 ID:Rn97QbmwO
- 私の腕を掴み、引っ張るツン
磨かれたフローリングの廊下に、雨水の線が出来る。
そのまま洗面所まで行くと、風呂を沸かすパネルをいじった。
ξ゚听)ξ「よし、脱ぎなさい」
川;゚ -゚)「……いつ百合に目覚めたんだ、ツン」
腕組みをしながら、私に服を脱ぐよう要求するツン。
というか命令に近い。
身体は小さいが、威圧感は無駄にあるツン。
まぁこのままだと風邪を引くしな……
川 ゚ -゚)「よいしょ」
ξ゚听)ξ「……」
ξう听)ξ「……」
ξ;゚д゚)ξ「……!」
- 20: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:48:24.51 ID:Rn97QbmwO
- 雨で濡れたTシャツを一気に脱いだ。
少しベタベタして気持ちが………ツン
川;゚ -゚)「見すぎだ。
本当にそっちに目覚めたのか」
ξ )ξ「クー、あんた……」
俯きながら、プルプルと震うツン。
凄く、嫌な予感がします
ξ#゚听)ξ「着痩せする人間かァー!!」
ツンは叫びながら、私の胸を鷲掴みにしてきた。
――――
(;゚_ゝ゚)「アッー」
- 23: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:50:27.57 ID:Rn97QbmwO
- ( ´_ゝ`)「という間に夕方か。
ん? 19時? じゃあ夜か。
そういえば小学3年生の時、クラスでキャンプみたいなのあったじゃん。
カレー作ったりするヤツな。その時先生に、今何時?って聞かれたんだよ。
時計見たら18時40分くらいで。それで俺、19時ですって言ったのよ。
そしたらその女教師 時計見て、なんだ18時30分じゃん。って言ったのよ。
軽くキレ気味にね。
小3だぜ?なんか変なトラウマ残ったわ。
最初っからてめぇで見ろやアバズレが。
あれ以来、教師なんか信用できねぇ……」
長いよ。
彼の土曜日は、ほとんど独り言で埋まっていた。
外は朝から雨が降り続けている。
雨だから外に出てないっていう言い訳が通じるのは、中学生までである。
( ´_ゝ`)「弟者……遅いなぁ」
「ただいまー」
- 25: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:52:23.69 ID:Rn97QbmwO
- 下の階からと思われる声。
男は指でブチブチ抜いてた眉毛を捨てると、ドアに近づいた。
顔はニヤニヤと、笑っている
( *´,_ゝ`)「やっと帰ってきたか。
しょうがない、俺が遊んでやるk
「おじゃまします〜」
下の階から女の子の声が聞こえた瞬間、男はドアノブを掴んだまま固まった。
- 27: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:54:22.58 ID:Rn97QbmwO
- ――――
( *゚ー゚)「女の勘ってやつかなぁ」
ミ,,゚Д゚彡「……ギコ」
住宅街に、車が1台。
傘を閉じながら、家に入ろうとしている男を見つめている。
しぃと、フサギコと、ギコ。
2人は黒の車を降りると、雨を気にせず彼に近づく。
短くそろえた髪、彫りの深い顔とガッシリした身体。
男は閉じかけのビニール傘を開き、ゆっくりと道路に出た。
(,,゚Д゚)「しぃに、兄貴……」
多少驚いた素振りの後、2人を見やった。
雨音の中、フサギコの声が響く
- 29: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:56:20.61 ID:Rn97QbmwO
- ミ,,゚Д゚彡「ペニサスから聞いたろ? 俺達の事。
昨日は帰ってなかったしな」
( *゚ー゚)「もう、やめにしよう? 無意味だよ」
フサギコが懐から煙草を取出し、雨に濡れぬ様丸くなって火をつける。
右手を口に近付け、一息吸う。
白い煙が、ギコの目には不思議と良く見えた。
(,,゚Д゚)「俺は兄貴とは違う道を行く。
女にヘラヘラするような、そんな人間になりたくねぇんだよ」
しぃの心配そうな顔。
雨に濡れた髪が、美しくギコには見えた。
だから敢えて、自分の兄にのみ返答した。
ミ,,゚Д゚彡「いつまでも、猿山の大将なんかやってんなよ。
恐怖心で無理矢理 下に付かせるなんて、糞ガキのする事だ」
言葉の合間に煙を吸い、冷静にフサギコが言った。
彼の目は、ギコの目を捕えて離さない。
- 31: 2ch中毒(コネチカット州) :2007/04/29(日) 01:58:03.20 ID:Rn97QbmwO
- ギコは淡々と語る兄の目を、視界から出したかった。
だが屈すれば負け、逃げれば負け。
心底に刻まれたプライドで、ギコはフサギコを睨み返した。
( *゚ー゚)「……ごめんね、私が、悪かったの。
あの時、ギコ君に……」
フサギコとは反対に、しぃは雨に濡れたアスファルトを見る。
小さな言葉は、ただ謝罪の言葉。
自分を責めるように、ゆっくり言うが
(,,#゚Д゚)「うるせぇ! 俺の事はもうほっとけ!
説教はもう、うんざりなんだよ!」
謝罪はギコに遮られた。
わざと、ギコが遮った。
聞きたくなかったから、単純な理由で
- 33: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 02:00:04.58 ID:Rn97QbmwO
- ミ,,#゚Д゚彡「いつまでも駄々こねてんじゃねぇぞゴラァ!」
煙草を横に放り投げ、ギコに近付き掴み掛かる。
フサギコの迫力はかなりのものだった。
それにギコは負けじと、黒いスーツを両手で掴む。
(,,#゚Д゚)「うっせぇよ!
いつまでも上から見てんじゃねぇよゴラァ!」
ミ,,#゚Д゚彡「兄貴の俺が、弟の心配して何が悪い!
てめぇいつから そんな馬鹿になったんだよ!」
(,,#゚Д゚)「俺はずっと兄貴の下だったんだよ!
てめぇの気紛れな兄貴ぶりには、もうウンザリなんだよ!」
ミ,,#゚Д゚彡「……!」
鉄拳制裁。
気持ちいいくらいに、フサギコの右手がギコの頬を打った。
口から空気を漏らし、ギコが浅い水たまりに飛び込む。
3秒程の、沈黙。
ゆっくりとギコが、起き上がる。
雨が、彼の口から流れる血を薄くした。
- 35: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 02:02:14.36 ID:Rn97QbmwO
- (,, Д )「……反論できなくなったら暴力かよ
昔っからだもんな、癖なんじゃねーのか?」
左手で口を拭い、赤い唾を吐き捨てた。
( #゚ー゚)「フサギコさん!」
しぃが2人の間の、フサギコの丁度正面に立った。
そのまま、右手で頬を張った。
彼女のビンタにより、斜め下を向いた顔。
濡れた前髪で、彼の表情は見えなかった。
( #゚ー゚)「ギコ君もよ!
フサギコさんは、いつもあなたの事を考えてるわ!?」
(,, Д )「……どうだかね」
赤くなった右頬を押さえ、ギコは自分の家に向かう。
足取りは重たい。
- 38: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 02:05:38.74 ID:Rn97QbmwO
- ( * ー )「ギコ君、私はこの力を消すわ。
どれだけ邪魔をしても、絶対に消すわ」
遠い背中に向かって言った。
決して大きくない声、ギコは反応する事なく歩いていく。
( *;‐;)「絶対に消すから! あなたを救うから!」
扉の閉まる音が聞こえ、視界からギコは居なくなった。
( *;ー;)「絶対……!」
――――
- 41: 踊り子(コネチカット州) :2007/04/29(日) 02:06:38.35 ID:Rn97QbmwO
- ξ;凵G)ξ「……スイカだった」
川;゚ -゚)「……」
ξ;凵G)ξ「そして私は……みかん」
ツンは浴槽に体育座りをし、そのまま頭を沈めていった。
ぶくぶくと泡が浮かんでは、消えていった
戻る/18へ