ξ゚听)ξツンが感情を喰うようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 01:59:35.47 ID:X1QePH8cO
  
19 何故



( 'A`)「要は、俺ら全員で喰えばいいんすね?
     そうすりゃ、餌も力も消えると」

(´・ω・`)「まぁ、そうなんだけど……。
      2つ生まれてしまう結果が、問題なんだ」

ミ,,゚Д゚彡「結果?」

(´・ω・`)「あぁ、一つは突然力が無くなる事。
      依存している人は、特に問題だ。
      もう一つは、感情を無くすという計画が成功する事だ」

从 ゚∀从「なにが問題なんだ?」

(´・ω・`)「僕らが元に戻る代償が、誰かの廃人化なんだよ。
      それは絶対に避けたい事態だ」

从 ゚∀从「……いいんじゃね?」

ミ,,;゚Д゚彡「よくねーよ……」


もはや集会場のようになった、ドクオの病室。
クーはまだ到着していないようだ。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:01:11.23 ID:X1QePH8cO
  
( *゚ー゚)「……何とかならないの?」

(´・ω・`)「結論から言えば、できる。
      ただそれには……餌全員の力が必要だ」

ミ,,゚Д゚彡「なら簡単だな」

( *゚ー゚)「そうですね、最初からそのつもりでしたし」

从 ゚∀从「?」


あっさりと問題の解決策を思いついた2人。
全員が視線をフサギコに集めた。


ミ,,゚Д゚彡「アイツらを説得すればいいんだろ?
      もう餌の力なんか必要無い、そう思わせれば万事解決だ」

(´・ω・`)「そうだけど……彼らは癖が強いからなぁ」

( *゚ー゚)「ギコ君は、私とフサギコさんで説得するわ。
     ジョルジュ君とペニサスさんは……」

( 'A`)「俺がやります。
     説得じゃなくて、決着っすけど」


寝たままのドクオが言う。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:03:18.23 ID:X1QePH8cO
  
ボロボロの身体で、まだ喧嘩をする事。
それは男の中で、凄く格好良いものなのだろう。
止める事なくショボンが続く。


(´・ω・`)「うん、僕も付き合うよ。
      感情爆発……押さえれるか判らないけど」

ミ,,゚Д゚彡「なら安心だな。頑張れよ」


ただ、両手にヒビが入り、更には頭を縫った男。
たった1日で、回復するわけが無い。


从 ゚∀从「……殴るくらいなら俺がやるよ。
     ドクオは、お前は寝てろって」

( 'A`)「……高岡、俺なら大丈夫だ」


俯いていたハインが、急に立ち上がった。
両手を大げさに振りながら大声で叫ぶ。


从#゚∀从「俺から見れば大丈夫じゃないんだよ!!
     お前死にてぇのかよ!!」

( 'A`)「俺は……自分で終わらせたいんだよ」



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:05:36.70 ID:X1QePH8cO
  
从♯゚∀从「……ッ!! またそれかよ……!!
      もう勝手にしろよ、この馬鹿野郎!!」


座っていた椅子に怒りをぶつけ、蹴り飛ばす。
そのままハインは、病室を出ていってしまった。


( *゚ー゚)「……ドクオ君」

( 'A`)「はい?」

( *゚ー゚)「馬鹿」

(;'A`)「……え?」


ハインを追うように、しぃも出ていく。
蹴り転がされた椅子が、コロコロとベッドに近づいた。


(´・ω・`)「馬鹿」

ミ,,゚Д゚彡「馬鹿」

J( 'ー`)し「馬鹿」

(;'A`)「カーチャン居たのかよ!」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:08:28.96 ID:X1QePH8cO
  
J( 'ー`)し「今北産業」

( 'A`)「俺の
     着替え
     持ってきて」

J( 'ー`)し「把握」


いつのまにか居たカーチャンも、病室をいそいそと出ていく。

正直、何故しぃが怒ったのか、男共は判っていなかった。
その場を重たい沈黙が包み込んだ。



――――



川 ゚ -゚)「……」


私は何が出来る?

私は誰を救える?

私は何故救おうとする?

私は何故生きている?



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:11:57.18 ID:X1QePH8cO
  
川 ゚ -゚)「私は……」


気付けば、病院に着いていた。
そのままゆっくりと、病院に入る。
もう夜。院内に人は少なかった。


川 ゚ -゚)「……高岡」


……高岡は、私を救ってくれた。
強い言葉で、私を生かしてくれた。
……何の為? 彼女は私に、何故生きろと言ってくれた?

もし彼女の立場だったら……私は何も出来なかったろう。

彼女は私の、持っていない物を持っている。

私の弱い心は、また彼女を頼ろうとした。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:13:18.79 ID:X1QePH8cO
  
从 ゚∀从「……クー?」

川 ゚ -゚)「……高岡」

从 ゚∀从「どうした……目赤いぞ?」


高岡……君も、目が赤い……。


川 ゚ -゚)「……どうしたんだ、高岡」

从 ゚∀从「……なんでもねぇよ」

川 ゚ -゚)「話してくれ、力になれるかもしれない」


力に……なりたい。

ヒートにもツンにもブーンにも渡辺にも、誰にも力になれなかった私が……


何故、そこまで誰かの力になろうとする?


教えてくれ、私に何が出来る?



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:14:20.53 ID:X1QePH8cO
  
从 ゚∀从「……お前には」


やめてくれ、言わないでくれ

私に、何かさせてくれ……


从 ゚∀从「……関係ないだろ?」


川 ゚ -゚)「……そうだよな、私には関係ない。
     だけど……私は君に何かしてあげたいんだ」

从 ゚∀从「……恩を売った覚えはねぇよ。
     俺があの時、お前に言った事はよぉ……
     俺が生きる上での、大事にしたい事だ」


……だから?


从 ゚∀从「だから、お前にその生き方を強要させる為に言ったんじゃない。
     お前に生きて欲しかったけど、お前を救ったわけじゃない」


……だから?



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:16:53.90 ID:X1QePH8cO
  
从 ゚∀从「……だから、お前が俺に出来る事はない。
     ……俺は、俺なんだ。お前じゃない。
     お前の考えは、俺の考えを変えたりはしない」

川 ゚ -゚)「……」


君は、私を救ったんじゃないんだな。
君はただ、自分の生き方を、こうありたいという生き方を、
ただ私に話しただけだったんだな。

なら私は……君じゃない私は、君の生き方は出来ないんだな。


私は誰も、救えないんだな。


川 ゚ -゚)「……ありがとう、高岡。
     私に小さな希望を見せてくれた。
     ……私は誰かを救って、自分の存在を確かめたかったんだな。
     君のように、生きてみたかったんだな」


でもそれは、無理なんだ。
一度死を決め、再び生きようとした私。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:18:29.26 ID:X1QePH8cO
  
生きる為に、誰の為に、何の為に。

生きる為に、自分の為に、生きる意味の為に。

私は誰かを救いたかった。

誰かが私を、私を必要だと思ってほしかった。


川 ; -;)「ただの……自己満足だ」

从 ゚∀从「……クー、俺はお前を救ったんじゃない。
     ただお前と一緒に、少しでも長く居たいと思ったんだ」

川 ; -;)「なら私に話してくれ!
      私に何か、私に何かをさせてくれ!
      じゃないと私は……生きれそうも無い」


从 ゚∀从「……ごめん、今は……今は無理だ」


彼の事を、高岡は考えている。
だから私を、他の人間の事を考える余裕は、高岡には無いんだ。

そんな事は判っていながら、私は一人勝手に頼った。

傷つく事を知りながら、彼女を頼った。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:21:14.83 ID:X1QePH8cO
  
もしかしたら……いや、高岡ならきっと……

きっと私を助けてくれる。

それが叶わなくて、私は怒りでも無い感情を抱いた。
自分への嫌悪、自分への怒り、高岡への……怒り。

情けない


从 ∀从「……ごめん」


君が私を生かした理由は、私と居ると楽しいから。

つまり、自分の為。


私が今君を助けたいと思った理由は、私でも君になにかしてあげたかったから。

つまり、自分の為。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:23:10.45 ID:X1QePH8cO
  
助ける、救うっていうのは……
自分を守るためなのか?
私はそんな下らない事をしたかったのか?

私は何故、生きている?


私を……必要と……してよ……




 クゥゥゥゥゥゥゥウ!!!!11



川 ; -;)「な、なんだぁ!?」

ノハ*゚听)「クー! 会いたかったぞぉ!」


ヒート……

ごめん……ぶっちゃけ……


川 ;ー;)「忘れてた」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:24:26.00 ID:X1QePH8cO
  
ノハ;゚听)「な!泣いてるのかクー!」


私の元に駆け寄り、抱きついてきたヒート。
身長は殆ど違わない筈だが、何故かヒートが小さく思えた。


从 ゚∀从「……しぃ呼んでくる」


しぃさん……そうか、怒りが……


川 ゚ -゚)「必要ない、大丈夫だ」


あれ?涙が止まった


ノハ*゚听)「クー!大丈夫か!?」

川 ゚ -゚)「あ、あぁ大丈夫だ」


大丈夫か?なんの話しだ
ちゃんと要点を言え



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:26:29.08 ID:X1QePH8cO
  
川 ゚ -゚)「ヒート、今までどこに居たんだ?」

ノハ*゚听)「えーと……そう!ペニサスって女に……」


煩い


川 ゚ -゚)「ペニサスが……何だ?」

从 ゚∀从「……はぁ」

川#゚ -゚)「どこに行く!」

从 ゚∀从「しぃ呼んでくるんだよ……」

川#゚ -゚)「必要ないと言ったろう!? でしゃばるな!!」

从 ゚∀从「だめだこりゃ……」

川#゚ -゚)「待て!」

ノハ;゚听)「クー?どうした?」



……あれだけ助けたいと願っていても。


私は怒りに飲まれてしまった。



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:28:37.97 ID:X1QePH8cO
  



――――



从 ゚∀从「おーい」

( *゚ー゚)「あ、どこ行ってたの? 探したのよ」

从 ゚∀从「入り口の方に、ヒートってのが来てる。
     クーも居るから、行ってやってくれ」


ドクオの病室がある3F
入院している患者達の部屋から、テレビの小さな音が聞こえる。
電気は点いてるが、人が居ない淋しい廊下。

そこにハインとしぃ


( *゚ー゚)「ヒートちゃんが……うん、すぐ行くわ。
     ハインちゃんは大丈夫?」

从 ゚∀从「大丈夫だから早く行けよ……」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:30:19.16 ID:X1QePH8cO
  
用件を吐き捨てるように告げると、ドクオの病室とは反対の方に歩いていくハイン。
しぃは呼び止めようとも思ったが、気掛かりでもあったクーの元へ向かった。


( *゚ー゚)「思い詰めちゃ駄目よ?
     何よりアナタらしくないわ」

从 ゚∀从「……俺らしいって何だよ。
     俺だって、いつもヘラヘラしてる訳じゃねぇんだよ……」


背中を向けながら、ハインが呟く。
眉にシワを寄せ、壁ぎわに置いてある長椅子を見ている。


( *゚ー゚)「一人で考えても、いい答えなんか出ないわ。
     ドクオ君を思うなら、彼の事も考えてあげなさい。
     ……私が言えるのは、それだけよ」


少しハインを見つめ、しぃは1Fへと向かった。

ハインはしぃが居なくなったのを背中で感じると、怒りに任せて長椅子を蹴る。



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:33:22.52 ID:X1QePH8cO
  
从; ∀从「いっ!」


勢いあまり、スネを椅子にぶつけてしまう。
片膝をつき、しばらく痛みでうずくまる。
2秒程の後、そのまま長椅子に倒れこんだ。


从 ∀从「……なにやってんだろーな、俺は」


自嘲するように呟く。
誰もそれに答える者はいない。



生まれて兄弟もおらず、12の時に親を亡くし。
ただ一人、ぼんやりと行き続けてきた。

夢も無く、友人もおらず。
家に帰っても、おかえりの声は無い。
何を憎むでもなし、ただぼんやりと、空虚を見つめて生きてきた。

なんとなく受け、受かった高校で、無駄に目につく男が居た。
男は入学式の時に、女を一目見やると、



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:35:03.23 ID:X1QePH8cO
  

「よろしく」

そう言ってきた。
男の意図など知る由も無く、その場はシカトを決め込んだ。

帰り道で、男を見た。
他校と思われる制服を着た、数人の不良。
男は抵抗するでもなしに、不良に殴られていた。

女は自然と、男を助けていた。
何を思って助けたのか、彼女自身判っていなかった。

次の日、顔を腫らした男が、自分に礼を言ってきた。
女は礼に答えず、聞き返す。

「なんで抵抗しなかった?」

男は至極当然の様に

「喧嘩したら退学になる」

そう言った。
女はすぐさま、男の腫れた頬を殴った。

さらに挑発を加え、蹴りも入れた。
女にとってその模範的な答えは、なによりの挑発だった。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:37:36.42 ID:X1QePH8cO
  
真面目すぎる答えは、彼女に怒りを与えた。
自分によろしくと言いながら、喧嘩もできない男。

彼女が踏み躙るように男を殴っていた時、当然男が殴り返した。

「調子に乗るな」

真面目な人間ではない、男の本質を、女は見た。

その件以来、女は男を誘い始めた。
始めは目立つ事を嫌がっていた男。
だが次第に、女の気取らぬ魅力に惹かれていった。



从 ∀从「……」


ハインは、浅い眠りに落ちた。
自分を癒すように、寝息をたてていた



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:39:58.89 ID:X1QePH8cO
  
――――



(´・ω・`)「まぁ……彼女達は17とか18、無理もないさ」

ミ,,゚Д゚彡「……過酷すぎるね、そんな青春」

(;'A`)「俺、まだ16なんすけど……」

ミ,,゚Д゚彡「お前はいいじゃねぇか。
      喧嘩の毎日だろ? 最高だよ」

(´・ω・`)「男なら誰でも、力で生きる不良に憧れるものさ」

( 'A`)「……最初は違ったんすけどね」

ミ,,゚Д゚彡「最初?」

( 'A`)「はい、高校入った時は……」


そこまで言って、ドクオは口を閉じた。


ミ,,゚Д゚彡「なんだよ……言いたくねぇのか?」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:42:48.84 ID:X1QePH8cO
  
( 'A`)「なんつーか……高岡との、思い出っていうか……」

(´・ω・`)「……なかなか臭い男だね、君も」

ミ,,゚Д゚彡「萎えた」

(;'A`)「いいじゃないすか! 俺だって色々あるんすよ!」


ふ〜んと言いながら、フサギコが携帯を取り出す。
少しいじると、ドクオに携帯を放り投げた。


ミ,,゚Д゚彡「ジョルジュに掛けた。
      喧嘩の場所、言えよ」

(;'A`)「えぇ!?」

(;´・ω・`)「ここ病院……」


困惑しながらも、ドクオは胸元に放られた携帯を耳にあてた。
相手の方はすでに出ていたようで、イラついた「もしもし」が聞こえる。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:47:01.57 ID:X1QePH8cO
  
( 'A`)「……ジョルジュか?」

「……誰だ」

( 'A`)「ドクオだよ、怪我大丈夫か?」

「何の用だ」

( 'A`)「……明日10時に、無銭敷に来い。
     ケリつけようぜ」

「……わかった、首洗っt


ジョルジュが言い終わる前に通話を終了し、フサギコに携帯を手渡す。


(´・ω・`)「むせんじきってどこ?」

ミ,,゚Д゚彡「VIP川あるだろ? あそこの河川敷だ。
      金の無い不良は、あそこに集まんだよ。
      朝まで馬鹿騒ぎしたり、喧嘩したり……懐かしいなぁ」


携帯をゆっくりと折畳み、内ポケットに戻すフサギコ。
その目は思い出を見るように、ぼんやりと窓を見つめる。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:50:41.06 ID:X1QePH8cO
  
(;´・ω・`)「河川敷で喧嘩とか……。
       昭和じゃないんだから」

( 'A`)「基本っすよね?」

ミ,,゚Д゚彡「あぁ、基本だ」

(;´・ω・`)(わからん……)



――――



( *゚ー゚)「少しは落ち着いた?」

川 ゚ -゚)「あぁ……すまない」

ノパ听)「腹減ったぞぉ!」


病院の外、苗木のあるレンガに腰をかける3人。
少し雨で濡れたが、中でヒートが大声を出すよりはマシだった。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:52:31.59 ID:X1QePH8cO
  
川 ゚ -゚)「……ヒート」

ノハ*゚听)「なんだ!なにか奢ってくれるのか!?」

川 ゚ -゚)「……後でハンバーグ奢るから、今は話を聞いてくれ」

ノハ*゚听)「わかった!」


嬉しそうに右横のクーを見るヒート。
家には帰ってないのか、一人だけ制服だ。


川 ゚ -゚)「私はお前を、腹の立つ奴だ、としか思っていなかった。
     だけどさっきお前が来た時、凄く嬉しかった」

ノハ*゚听)「私もあの時、クーが居て嬉しかったぞ!」


あの時とは、病院の事だろう。

自分に辛く当たっていた姉、それが颯爽と登場。
力付くでしぃを排除した、姉。

ヒートは嬉しかったのだろう。
それを思っているのか、さっきからご機嫌だ。


川  - )「私は、駄目な人間だ。
     今のヒートとは、2人だけでは普通に話も出来ない」



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:54:22.16 ID:X1QePH8cO
  
ノパ听)「クーの何処が駄目なんだ?
     アタシから見れば完璧超人だぞ!」

(;゚ー゚)(この子は……怒りの餌と最悪の相性ね)


大声と、天然。
彼女は素直に生きる人間で、それが餌とは相反している。

だがヒートは、それを苦にせず生きる。
その姿が、クーには眩しすぎた。


川  - )「ヒートは、私の事が好きか?」

ノハ*゚听)「大好きだ!」

川  - )「私は大嫌いだ」


む、と一言漏らすヒート。
素直なクーの、素直な答え。

そして、素直なヒートの、素直な答え。


ノパ听)「それでもアタシは、クーが好きだ!
     また会えた時、アタシは凄い嬉しかった!」



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:56:16.46 ID:X1QePH8cO
  
川 ゚ -゚)「……一ヵ月前に、君は私の家に来た。
     一ヵ月前、それは……」

( *゚ー゚)「……私達と、餌の力が現れ始めた時ね」

川 ゚ -゚)「あぁ、だがそれを言い訳にはしたくない。
     ヒート、すまなかった。
     君は淋しかったんだよな?
     父親から見離され、私が……姉の私が……」


川  - )「しっかりしなきゃ……いけなかったのに……」


クーの嗚咽が、痛々しい程夜空に響いた。


ノパ听)「なんで泣いてるんだ?
     クーが姉で、クーと双子で、アタシは嬉しいぞ?」

川  - )「……私は君に、何もしてやれない」

ノパ听)「アタシだって何もできん!
     クーは深く考えすぎなんだ!
     だがそれがいい!」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 02:58:29.46 ID:X1QePH8cO
  
支離滅裂な言葉を吐きながら、ヒートは自分の思いをクーにぶつける。


ノパ听)「アタシはアタシだ! 誰でもない!
     クーはクーで、それでいいんだ!
     足りない分はぁ、愛と根性だぁぁあ!!」


バッと飛び退くように立ち上がり、月に吠えるヒート。


川 ゚ -゚)「……ヒート」

ノハ*゚听)「なんだぁ!」

川 ゚ -゚)「うるさい」

ノハ;゚听)「ショック!」


がっくりと四つんばいになるヒート。
クーはゆっくりと立ち上がり、ヒートに手を指し伸ばしながら、言った。



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 03:00:55.93 ID:X1QePH8cO
  
川 ゚ー゚)「だが、嬉しいよ。
     ありがとう、ヒート。
     絶対に、餌の力を無くしてやるからな」


微笑むクーに、ヒートも満面の笑みで答える。


ノハ*゚听)「餌ってなんだ?」



――――



从 う∀从「ん……寝ちまったか……」

J( 'ー`)し「おはよう」

从;゚∀从「うわぁ!」


いつのまにか椅子に横になり、眠っていたハイン。
目を覚ませば、目の前にはおばさんの顔があった。



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 03:02:10.44 ID:X1QePH8cO
  
J( 'ー`)し「そんな驚かないでもいいじゃない」

从;゚∀从「あ、ごめんなさい……」

J( 'ー`)し「隣、いいかしら?
     もう座ってるけど」

从;゚∀从「……」


ドクオの母親、またの名をカーチャン。

ハインはよくドクオの家に行って、晩ご飯を3人で食べたりしていた。
ハインとドクオの仲を、カーチャンは嬉しく思い、
母親の居ないハインを、自分の娘の様に接してきた。


J( 'ー`)し「ハインちゃんは、ドクオの何処がいいの?」

从 ゚∀从「……何だよ、いきなり」

J( 'ー`)し「なんとなくよ。
      まさか、好きじゃない! とは言わないわよね?」

从 ゚∀从「……好きとか、わかんねーよ。
     俺はただ、アイツには無茶してほしくないんだ」

J( 'ー`)し「私もそうよ、一人息子だしね。
      だけどね、私はあの子の意見は尊重してあげたいの」



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 03:04:06.77 ID:X1QePH8cO
  
从 ゚∀从「……本当に死ぬかもしれないのに?」

J( 'ー`)し「それでもあの子が後悔しないなら……構わないわ」


ハインは、カーチャンの目は見れなかった。
その年齢が刻まれた、強い目を。

自分とは違う目が、そこにはあった。


从 ゚∀从「俺は……」



――――




69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/05/06(日) 03:05:22.76 ID:X1QePH8cO
  
日曜日



天気は快晴だ。



青い空には、白い雲が浮かんでいる。



14人の人間の



感情がぶつかる日。



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