( ^ω^)ブーンと('A`)ドクオがうたかたの唄のようです

  
1: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:46:57.69 ID:7oGIcQ8N0
  

美婦という屋号の団子屋で、ブーンとドクオと言う二人の侍が下品な声で下品な話をしている。
団子を頬張りつつ、今日の夜について話し合う姿はまさに駄目侍そのものだ。
この二人は幼い頃からの友達であり気心の知れた中だった。

( ^ω^)「うひひひ、ドクオ今日は暇かお?」

 ('A`)「あーん、暇にきまってるじゃねぇか」

( ^ω^)「じゃあ、給金も出たことだしいくかお?」

 ('A`)「いいねいいね。」

( ^ω^)「じゃあ、日が沈んだらここで待ち合わせだお。」

 ('A`)「よしきた。」



      ( ^ω^)ブーンと('A`)ドクオがうたかたの唄のようです



  
2: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:48:15.00 ID:7oGIcQ8N0
  

二人が話しているとき、女の嬌声が大通りの道に響いた。
その方向を見てみると刀を持った男が女を人質にして喚いている。

 ( ^Д^)「どけぇ、俺はこの国で一番えらいんだ。」

目が尋常ではないし、言うこともおかしい。
どうやら阿片をやっているようだ。
通りの人々は慌てて近くの建物に入っていく。
広かった通りが、さらに広くなり男は喚き続ける。



  
3: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:48:53.96 ID:7oGIcQ8N0
  

(;^ω^)「ちょ、こんなときにヤバスだお。」

 (;'A`)「阿片野郎とはやりあいたくないぜ。」

ξ;゚听)ξ「そんなこと言ってないで早く助けに行きなさいよ。一応侍でしょ。」

 (;'A`)「阿片吸ってる野郎はなにしでかすかわかんねんだよ。」

団子屋の娘が二人に助けるよう促す。
二人は怖気づきながらも建前上、助けに行かなくてはならない。
ブーンとドクオは嫌々立ち上がり男に向かって刀を抜いた。



  
4: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:49:23.37 ID:7oGIcQ8N0
  

(;^ω^)「おい、天下の往来で何しやがるお。さっさと女を離すお。」

 (;'A`)「そうだ、今なら罪を軽くしてやるぞ。」

二人は構えてはいるものの腰が引けている。
なんとか刀を交えずにことを終わらそうと必死で説得しようとするが
上手い文句が出てこない。
出てくるのは罪人にまったく通用しないと思われる言葉だけ。



  
5: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:50:01.88 ID:7oGIcQ8N0
  

 ( ^Д^)「なんだその口のきき方は。
      おれはなぁ、南に30里、東に10里、お天道様の方に上って3里
      二つの月を越えたところにある国の殿だぞ。無礼もんが。」

そう言うなり女を放して刀を頭上で振り回す。
そしてよたよたと歩いて二人の方へ近づいてきた。

(;^ω^)「チャンスだお。あいつマジでいかれてるお。」

 (;'A`)「これなら峰打ちで終わらせれるんじゃねぇの。」

(;^ω^)「僕が刀を受け止めるからドクオは腹に一発食らわしてやってお。」

 (;'A`)「おう。」



  
6: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:51:12.08 ID:7oGIcQ8N0
  

ひそひそと聞こえないように話す。確かに聞こえてはいなかっただろう。
だがその態度が勘にさわったのか男は歩くのをやめて、二人の方に突撃していった。

(;^ω^)「やべ、きたお。ドクオマジで頼むお。」

男の刀はまだ頭の上だ。この構えからは上段から振り下ろすしかない。
そのことに気をつければ大して怖がる相手ではない。
何よりブーンの役割はドクオのために刀を防ぐだけ。
それならば、頭を割られないように守るだけでいい。

 ( ^Д^)「くぉら、もっとシャキッとせんかシャキっと。」

意味不明なことを叫びながら片手に持った刀を勢い良く振り下ろす。
金属音が鳴り響く。



  
8: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:52:15.71 ID:7oGIcQ8N0
  

男は刀をまた頭上に持っていき、もう一度ブーンめがけて振り下ろそうとした瞬間。

 ( ^Д^)「ぐぇあ」

ドクオが横から力の限り男の腹を叩いた。
男は嘔吐しながらその場にうずくまる。

 ('A`)「ふん、俺を相手にしようとは百世紀はやいわ小童よ。」

ドクオが格好よく刀を振り回し鞘に収める。得意のポーズだ。
実際それほど腕前はよくないのだが、鞘に収める事だけは一丁前だった。
それを見て、隠れていた野次馬たちがドクオに拍手と賛辞の言葉を送る。

(;^ω^)「ちょ、おまズリーお。なにいいとこ取りしてんだお。」

 ('A`)「さあ皆さん。もう大丈夫ですよ。」



  
9: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:53:04.60 ID:7oGIcQ8N0
  

少しして岡引がやってきたので
事情を説明して男を取り立てていってもらう。
また団子屋に戻り話を続ける二人。
さっきの騒ぎわ忘れたかのように大勢の人たちが行きかっていく。目の前を籠屋や魚売り、馬などが通り過ぎていった。

( ^ω^)「おーいツンちゃん。団子もう一皿追加だお。」

大声でツンを呼びつける。
店の奥から可愛らしい顔立ちの少女がお盆にお茶を載せて出てきた。

ξ゚听)ξ「はいはい、またお団子?いい加減にしたら。
       店としちゃ嬉しいけど食べ過ぎよ。」

( ^ω^)「気にすんなお。団子を腹いっぱい食べるのが小さい頃の夢だったんだお。
      それにさっきのでお腹すいたんだお。」

ξ゚听)ξ「まったく、一体いつまで子供の夢を叶えるのよ。
       それにさっきの騒ぎでも少ししか動いてないじゃない。」



  
10: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:53:37.80 ID:7oGIcQ8N0
  

あきれた顔をしながら、お茶を置いて山積みになった皿を片付ける。

ξ゚听)ξ「ドクオさんは?」

 ('A`)「俺はもういいや。団子は腹いっぱい食うもんじゃないしな。」

ξ゚听)ξ「あら、ならいつまでも座ってないで出て行ってよ。
      あんたたちが長居しても注文しない限り嬉しくないんだから。」

客に向かってぞんざいな態度を取るがいつものこと。
常連である二人に対して、ツンは遠慮のない言葉を浴びせる。
けど、こんなやり取りが三人は好きだった。のんびりとした雰囲気にちょっとした刺激。
ツンが店の奥に戻り団子を取りに行った。



  
11: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:54:21.04 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「しかしツンもなかなかいい尻してまんなあ。」

ツンの後姿を見ながら、いや尻を見ながら悦に浸る。
ブーンはツンの服を脱がす想像を試みた。
しかし、それは上手くいかなかった。

( ゚∀゚)「おいおい、やっぱり女は胸だろ。」

一人の男がブーンの妄想の旅を引きとめたからだ。



  
12: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:54:41.63 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「お、ジョルジュ。あいかわらずおっぱい命かお。」

( ゚∀゚)「たりめーだろ。女はおっぱいがすべて。おっぱいのない女は女にあらず。
      ゆえにツンは顔はいいものの女ではないな。」

 ('A`)「じゃあ俺行くわ。疲れたし夜に備えて一刻ほど寝てくる。」

( ^ω^)「僕はもう少し団子食べてくお。」

( ゚∀゚)「おう、じゃーな。」

ドクオが店を後にして茶色の地面を歩いていく。
櫛屋の前で止まり何かを買っていった。



  
13: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 00:55:46.28 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「そうだ、今日あそこに行くんだけどジョルジュも来るかお。」

人様のいるところでは、はっきりと言わずぼかすのが通例だった。
その方がなにやら背徳めいた気分もするし、いけない秘密を共有しているといった
妙な連帯感が生まれるからだ。

( ゚∀゚)「お前嫌がらせか。行きたくても行けねーよ。」

( ^ω^)「なんでおっぱい好きなのにあんな貧乳の奥さん娶ったんだお。」

( ゚∀゚)「んー、まあおっぱいよりも大事なもんがあるからな。
    おーい、ツンちゃん俺にも団子頂戴」

( ^ω^)「そんなもんかお。」



  
14: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:01:25.98 ID:7oGIcQ8N0
  
ジョルジュが妻を取るといったときは城内の皆が大きく目を開いた。
おっぱいがこの世のすべてだと言い張るジョルジュが貧乳の侍女と所帯をも持つと言うのだから。
殿様までジョルジュを呼び出しその理由を聞いたりしたぐらいだ。
まあそのことで大騒ぎになるほど、平和な町だった。

 (*゚ー゚)「あっ、いたいた。ジョルジュさん。こんなとこで団子食べてないで早く家に帰りましょうよ。」

流行の黄色い服を着た貧乳の女性がジョルジュの服を引っ張る。
まるで子供がお祭りのときにお面をねだるように。
その姿を見て、頬を緩めたジョルジュは席を立つ。



  
15: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:02:07.17 ID:7oGIcQ8N0
  

( ゚∀゚)「そうかい、注文したばっかだけどな。まあいいや、ブーンにやるよ。俺帰るわ。」

( ^ω^)「あいかわらずべったりだお。侍とはもっと迄とすべきだお。」

( ゚∀゚)「おれにとっちゃこれでいいの。じゃ行くかしぃ。」

ジョルジュとしぃが帰っていく。
仲睦まじい姿を見て少し羨ましいとも思ったが
あんなのでは立派な侍にはなれんと強がってみせた。



  
16: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:03:22.16 ID:7oGIcQ8N0
  

ξ゚听)ξ「はいお待ちど。まったく本当にべたべたねあの二人。」

( ^ω^)「まったくだお。あんなんじゃ、いざというときに侍としての誇りより妻を取る男だお。」

ξ゚听)ξ「へぇ、じゃあブーンには侍としても誇りがあるって言うの?」

( ^ω^)「当たり前だお。僕はなにより侍の誇りを優先するお。」

ξ゚听)ξ「はいはい、立派なことですね。はいお団子。」

(;^ω^)「信じてないおね。」

ξ゚听)ξ「あたりまえでしょ、一体何年あんた達にお団子運んでると思ってんのよ。」

その日その日を楽しく。それがブーンのモットーだった。
その中には当然立派な侍たれという言葉はなかった。



  
17: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:04:08.61 ID:7oGIcQ8N0
  

そして夕刻。
ブーンはまたもや団子を食べに店にいく。
それと今日の秘め事について。
美婦屋に着くとドクオがすでに来ていた。

( ^ω^)「おいすー、今日は早いおね。」

 ('A`)「たりめーだろ、今日は奮発して素直太夫と遊ぶんだ。
    興奮してじっとしてらんねぇよ。」

素直太夫というのはこれから二人が向かう遊郭の女だ。
この素直太夫という遊女は遊郭でも1,2を争う人気で、当然線香代も生半価なものではない。
しかしそれに見合うだけの価値はあった。
三味線、舞その他すべてにおいて、遊女のなかでもトップクラスであり
またその顔も気品が漂っており笑い顔を見たものは美しさのあまり気絶してしまうと言われている。



  
18: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:06:16.21 ID:7oGIcQ8N0
  

( ^ω^)「まじかお、じゃあ僕もちょっと奮発しちゃおうかお。」

 ('A`)「ああそうだ、もしよかったらお前も一緒に遊ぶか。
    どうせ抱けやしねぇから一緒に遊んだ方が安くつくだろ。」

( ^ω^)「いいおいいお。じゃあそうして浮いた金で夜鷹でも買うお。」

 ('A`)「お前もなかなかわかってるじゃねぇか。
    ああいう女は抱くよりも、存在そのものを楽しむんだ。」



  
19: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:08:44.26 ID:7oGIcQ8N0
  

二人は遊郭のある地域に入り、その怪しげな雰囲気を満喫していた。

( ^ω^)「うひひひ、やっぱりこの空気はいいですなぁ。」

 ('A`)「まったくでブーンさん。ここには昼の町にはない、いやらしい匂いが充満してますなぁ」

卑猥な話をしつつ、目当ての遊郭へと歩いていった。
そして、VIPと外来語で書かれた看板の真下にたどり着き使用人に声をかける。

( ^ω^)「今日は素直太夫はいるかお。」

 (,,゚Д゚)「素直太夫だぁ、あんたら金持ってんのかよ。」

使用人が二人を見てその風体からランクを判断する。
だがどうみても二人は素直太夫と遊べるほどの金を持っているとは思えなかった。



  
21: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:12:02.66 ID:7oGIcQ8N0
  

 ('A`)「これだけじゃ駄目か。」

ドクオが通常の線香代なら何本も買える金を見せた。
これで、素直太夫と遊べるだろうと思っていたのだ。
しかし、使用人は訝しげに金とドクオとを見比べ
何かを思いついたように口を開いた。

(,,゚Д゚)「ああ、あんたら知らないんだな。
     つい最近になって素直太夫の線香代は急に跳ね上がってな
     この金の三倍は持ってこねえと素直太夫と遊べねぇよ。」

(;^ω^)「ちょ、そんなこと言わないで頼むお。」

(,,゚Д゚)「無理だね。素直太夫と馴染みになろうと越後屋さんや
     3丁目の呉服屋さんが頑張ってるんだ。
     あんたらに安くしたら面子ってもんがなくなっちまうだろ。」

 ('A`)「そうなのか、越後屋やその呉服屋はこの町の名士じゃねぇか。
    そんなやつらがいたんじゃな。」



  
22: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:15:35.44 ID:7oGIcQ8N0
  

VIPのまえで話していると、中からふくよかな体をした男が出てきた。

 (´・ω・`)「どうかしたのかい、ごねる客がいるなら用心棒の先生呼んでくるけど。」

(,,゚Д゚)「あっショボンさん。ごねるって程のことじゃないです。
     この二人が素直太夫と遊びたいって言うもんですからちょっとワケを話してたんです。」

 (´・ω・`)「ああ、そういうことか。最近多いからね。
       と言うわけなんだ君たち。悪いけど諦めてくれないかな。」

ゆっくりとそれでいて威厳のある声で二人に話しかけるショボン。
どうやら偉い立場にいるようだ。しかしこれ以上話しても遊べやしないだろう。



  
26: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:18:34.91 ID:7oGIcQ8N0
  

それに用心棒もすぐ近くにいるようだ。ごねて恥をさらすこともあるまい。

( ´ω`)「わかったお。」

 ('A`)「しゃあねぇな。他当たるわ。時間取らして悪かったな。」

 (´・ω・`)「いやいや、こっちこそ悪かったね。ところでどうだい。
        他にもいい子いるんだけど遊んでいかないかい。
        素直太夫には及ばないけど三味線も上手い子いるよ。」

 ('A`)「いや、いいや。素直太夫と遊ぼうと気張ってきたんだがなんか抜けちまった。」

ブーンとドクオはVIPの看板を背にして歩き出そうとした。
二人とも肩を落として、まるで遊郭の不幸を一身に背負ったかのように見えた。
だが、そのとき幼い遊女見習いと思える女が声をかけた。

 ('、`*川「あっ、この人この人。」



  
27: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:20:02.75 ID:7oGIcQ8N0
  

そう言うとVIPの中に駆け込んでいき、大声でショボンに話しはじめた。

「あの二人が今日助けてくれたんだよ。」

「おやおやそうかい、じゃあお礼しないとな。」

その声を聞いていたブーンとドクオは、頬を緩ませもしかしたらの可能性を考えた。
そう、もしかしたらとはさっきの女が今日人質に取られた女で
それを助けた二人に姐気分である素直太夫がお礼をしてくれることだ。
またそれでなくても何かしらの御礼をしてくれることは確かのようだ、
二人はさっきとはうって違って、期待を足にこめながらゆっくりと歩いた。

 (*'A`)「なあ、もしかしたらこんなことねぇかな。」

(*^ω^)「あるおあるお、それでなくてもきっとなにかあるお。」



  
28: 殲10(愛知県) :2007/04/25(水) 01:21:03.42 ID:7oGIcQ8N0
  

追いつけられるように、わざとゆっくり歩いたのだがその必要はなかった。
ショボンが大声で二人を呼んだからだ。

 (´・ω・`)「おーい、そこのお二人さん。ちょっとまって。
       素直太夫が遊んでくれるってよ。」

周りがいっせいにブーンとドクオの方を振り向いた。
あの素直太夫が遊ぶ相手を選んだのだ。
素直太夫の名は他の遊郭でも名が売れている。
そのおかげで一体どんな人と遊ぶのか興味をもたれている。
そして、その相手はお世辞にも金持ちとはいえそうにない二人だった。

 (*'A`)「きたんじゃね、これ。俺らのことだよな。」

(*^ω^)「もしやもしや…、まさかまさか。」

馬鹿げた期待をしていたことが、すぐに振り向いたら見透かされそうだったので
あえて前を見続けて歩く二人。
本の少し目だけを動かしてみるがやっぱり自分たちを見ているんだなと確信する。



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