( ^ω^)エアーがクオリティーを育てるようです

793: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:00:01.96 ID:S66Eubf20
  
噴出す鮮血が、視界を真っ赤に染めあげた。

喉頭に突き刺さっているであろう斧の感触はなく、
潰された声帯や、砕けた甲状軟骨を想像することもない。

ただ、自分にもこんなに綺麗な血が流れているんだな、
という感慨が全身を穏やかに包み込むばかりだった。

夜空に浮かぶ月のように優美な赤を眺めていると、
その向こう側に、気味の悪い笑みを浮かべる男の顔が霞んで見えた。

(*゚ー゚)(誰だろう。どこかで見た顔だな)

目頭から目尻まで細く弧を描く特徴的な目元や、猫のようにひしゃげた口に見覚えがあった。

(*゚ー゚)(ああ、ブーン君か)

そう口に出したつもりだったが、出てきた声は老婆のように嗄れた聞き取りにくいものだった。

( ^ω^)「おっおっ、しぃは犯人じゃ」

犯人ってなんだろう。私にはよくわからない。

というよりも、なにも考えられない。
全身から力が抜け、小さな頭の中で脳が揺蕩う。

私はわずかに首を振り、目を閉じた。赤が黒に染まった。



794: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:02:08.92 ID:S66Eubf20
  
(*゚ー゚)「あれ、私ったら、なにしてたんだろ」

目やにを削ぎ落としながら、上半身を持ち上げた。

雲ひとつない青空に、黄色い太陽がぼんやりと浮かんでいた。
温かい南風が、火照った頬を優しく撫でていく。

(*゚ー゚)「あっ、洗濯物を干してたんだっけ。いつの間に居眠りなんかしたんだろう」

立ち上がるのと同時に悲鳴をあげた。
足元に大量の血液が水溜りをつくっていた。

(*゚ー゚)「うわあ、真っ赤だ。真っ赤……」

赤い水溜りをきっかけにして、振り下ろされる斧の映像が浮かび、
続いて、喉頭に熱湯をかけられたような熱さが広がった。

噴き出る赤――赤といえば、あの人は私の乳首が好きだったっけ。

そうだ、そうなんだ。

自慢じゃないが、私の乳首は桃色だ。
乳輪も小さいし、乳頭も小指の爪くらいで手頃な大きさをしている。



795: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:03:02.60 ID:S66Eubf20
  
ぺろぺろしてもらうと、とても気持ちがいい。
大きな胸にそっと手を添えられながら、
あの人の猫みたいにざらざらした舌が這い回る感触を思い出した。

(*゚ー゚)「ああ、早く帰ってこないかな」

顔が上気するのを感じる。血液が頭に上って、頬が染った。
少し厚めだけど肉感的な唇が、意思とは関係なく開いていった。

そこから漏れる甘い吐息で、あの人の耳を刺激するんだ。
「くすぐったいぞゴラァ」なんていわれるけど、本当は嬉しいんだってわかってる。

(*゚ー゚)「んんっ」

両手を股間に伸ばす。

あれ、いつジーンズを脱いだっけ?
そんなこと、どうでもいいや。気持ちいい。

Tシャツが破けているけれど、気にはならない。
乳首が硬くそそり立って、小さいながらも存していた。



797: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:04:05.09 ID:S66Eubf20
  
胸を優しく撫で、乳首を摘む。優しく、そうっと、左右に揺する。
右手を股間に固定したまま、左手を徐々にあげていった。

乳首から胸へ、胸から鎖骨へと指の腹で擦りながら、指が細い喉に触れる。

(*゚ー゚)「あっ」

全身を支配していた快楽が消え去り、驚愕が取ってかわる。
見開かれた瞳の中で、小さな恐怖と深い憎悪が燃えあがった。

徐々に近づく冷たい斧の刃によって肌が引き裂かれ、
揺れる視界に映る不気味な笑顔が、飛び散る鮮血に重なった。

(*゚ー゚)「……ブーン」

両手で髪の毛を掴み、奥歯を噛みしめる。額に青筋が浮き上がった。

(*゚ー゚)「ぶうううううんんんんん」



800: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:04:57.53 ID:S66Eubf20
  
布団を振り落とし、物干し竿を掴む。
全裸のまま表通りに飛び出し、左右を見渡した。

蘇る記憶。私は歌を口ずさんでいた。口ずさみながら、洗濯物を干していた。

ふらふらっと現れたブーン。
昔から嫌いだった同級生。だって、気持ち悪かったから。

思い出すたびに吐き気のこみ上げる思い出がある。

忘れ物をとりに教室に入ろうとした私が見た、信じられない光景。
人気のない教室で、一心不乱にリコーダーを舐めるブーンがいた。

顔に笑みを貼りつけ、涎を垂らしながら舌を突き出している。
私のリコーダーが、汚い唾液に侵されていた。

しまいにはリコーダーをお尻の穴に入れて、気色の悪い喘ぎ声を漏らしはじめた。

次の日にあった音楽の授業を、私は新しく買ったリコーダーで受けた。
ブーンがリコーダーを口に含んだ時の顔は、未だに鮮明に思い出せる。

取り替えておいたんだ。
私のリコーダーと、ブーンのリコーダーを。
拭いておいたから、見ただけじゃわからなかっただろうけど。

またある時は私の座布団に顔をうずめ、置きっぱなしの体育着を被り、
椅子の足を舐め、机に抱きつき、陰茎を擦りつけ、不気味な笑顔が、涎が、声が……。



802: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:05:52.59 ID:S66Eubf20
  
文句をいわなかったのは、猫を被っていたから。

誰にでも優しく、心配りの上手な少女、それが私。
弱いものに手を差し伸べ、いつも笑顔を絶やさない可憐な少女、それが私。
なにかされるたびに復讐はしたけれど、私は真面目で心優しい少女を演じていた。

だけど、私の丈夫な堪忍袋の尾だって、いつかは切れるんだ。
そして、被っていた猫から顔を出したくなるときが必ずおとずれる。

いまだ。

殺してやる、殺してやる、殺してやる。

心臓を抉り出して咀嚼してやる。
乳首を引き千切り、鎖骨を叩き折り、歯を突き立ててのど笛を噛み砕き、
眼球を抉り出し、鼻腔を広げ、睾丸を踏み潰しながら
穴の開いた眼窩に指を突っ込んで脳みそを掻き出してやる。
開かれた腹に塩をぶち込んで、塩もみして売りさばいてやる。

内臓は高く売れるだろう。家計も助かって一石二鳥だ。



803: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:06:39.51 ID:S66Eubf20
  
(*゚ー゚)「どこだどこだどこだどこだどこだ」

がむしゃらに振り回す頭によって、長い髪の毛が上下左右に揺れる。
激しく揺れる髪の毛の隙間から、小さな家が見えた。

ドクオの家だ。あいつも気持ちが悪い。

人の足をじろじろ見つめやがって。知っているんだ、私は知っている。
お前が私をおかずにしているのを。

殺してやる、まずはお前からだ。
いいや、もしかしたらブーンもいるんじゃないか。
そうだ、いるにきまっている。いるんだろう?
変態同士が仲良く集まって、気持ちの悪い相談をしているんだろう?

両手を力強く振り、足で地面を蹴飛ばす。

お前の大好きな足で向かってるぞ。しこしこしこしこ。
しかもパンツを履いてないじゃないか。しこしこしこ。
こりゃあサービスが過ぎたかも知れないな。しこしこ。



806: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:07:36.22 ID:S66Eubf20
  
無用心にも、窓が大きく開け放たれていた。
そうだ、いいじゃないか。お前も待っていたんだな、ドクオ。
私に殺されるのを、気持ち悪い顔で待ってたんだろう?
ドクオ、ドクオ、どおうくううおおおお。

プールに飛び込むように両手を掲げて部屋に転がり込む。

何度か回転して、体育の授業で習った前回り受身で綺麗に着地した。
十点、十点、十点、十点、十点、十点、十点、審査員から拍手喝采の嵐だ。

(*゚ー゚)「いてえ!」

叫びながら床を睨みつける。
散らばった同人誌の上に、微笑んでいる少女が横たわっていた。

(*゚ー゚)「ふぃふぃふぃ、フィギュアかああっ!」

物干し竿を叩きつける。
崩壊する微笑、飛び散るシリコン、ドクオはロリコン。

(*゚ー゚)「はあはあはあはあはあはあはあはあ、
ドクオ……トラップとはやってくれるじゃないかっ」



808: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:09:51.73 ID:S66Eubf20
  
叫びながら物干し竿を振り回し続ける。

砕けるディスプレイ、潰れる筐体、割れるテレビ、倒れる本棚、
飛び散る少女漫画、DVDケース、エロゲの箱、フィギュア、フィギュア、フィギュア。

(*゚ー゚)「ははははははははははははははははははははははは」

笑い声が止まない。愉快だ。こんなに気持ちがいいのは、いつ以来だ?

不良をそそのかし、ブーンを田んぼに落とさせたときか?
ドクオを体育館の裏に呼び出し、不良たちにフルボッコさせたときか?
担任と一発やる振りをして、金をせびったときか?
ブーンの机に、学校に来るんじゃねーよ、と彫り、
ドクオの机に犬の糞を置いたとき以来か?

いや、ブーンのトマト畑を荒らしたとき以来だろう。
あれには興奮した。

たわわに実ったトマトを潰す感触が堪らなかった。
飛び散る果汁が全身を濡らし、私の汗と混じって甘美な匂いを発していた。

(*゚ー゚)「あら? ドクオちゃん、そんなところに寝転んでどうしたのかしら?」

私の目が、汚い部屋の隅に転がる醜い豚を捉える。



812: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:10:51.87 ID:S66Eubf20
  
(*゚ー゚)「ドクオちゃーん。どうしたの? ねぇねぇ、どうしたんでちゅか〜」

(*゚ー゚)「どっくん? 寝てるの? 眠いの? しぃちゃんでしゅよ〜」

(*゚ー゚)「ほらほら、おっぱい、おっぱいが揺れてまちゅよ〜」

(*゚ー゚)「とっとと起きろや、童貞野郎!」

物干し竿を振り下ろす。
この私を無視するなんて、百万年早いんだよクソが。

へこむ頭部がドクオの気持ち悪い顔に拍車をかける。
飛び出した眼球を踏み潰しながら、腹を蹴りつけた。
潰れた鼻から骨が突き出し、裂けた唇から半壊した口内が見えた。

息を激しく吐きながら、手を止める。
眼前に、潰れた肉だるまのような姿のドクオが転がっていた。



813: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:11:12.33 ID:S66Eubf20
  
しかし、気に入らない。
意外に美味しそうだなんて思った自分が情けない。

不覚というやつだ。そう、不覚だ。
野良犬を目の前に座らせて、オナニーをしたとき以上の不覚だ。
あのときの私はどうかしていた。

まさか、興奮した犬に挿入されるとは思っていなかった。
あわてて抜いたからよかったものの、私の卓越した反射神経がなければ、
膣が破裂するまで精液を注ぎ込まれていたに違いない。

(*゚ー゚)「嫌なこと思い出させやがって……」

思い出を消し去るには、潰すしかない。もっと、もっと。

(*゚ー゚)「もっともっともっともっともっともっともっともっともっと」



815: 造反組(山梨県) :2007/04/14(土) 20:11:54.65 ID:S66Eubf20
  
ふとここまで書いて、この先の展開をまったく思いつかないことに気がついた。

ドクオを殴り続けたのちにブーンを襲いにいくのであろうが、
すでにアイディアは尽き、目新しさを提供することができそうもないのである。

このまま続けても同じような展開が続くばかりではないか。

私はその事実を認め、愕然とし、畏怖すら覚えた。
よって唐突ながらここで物語を終えることにした。
続きを読者の想像力にお任せするのが残念でならない。

眩い光が部屋に溢れ、しぃは異世界へと飛ばされてしまうのだ。

異世界に飛ばされた彼女を待ち受ける困難とは一体。


( ^ω^)「それじゃ、予告をはじめるお!」



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