( ^ω^)ブーンがK-1のリングで亀田興穀選手と闘うようです
- 309:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 22:38:08.49 ID:OLl/UpDx0
- ブーンのK−1参戦が決まってから、3日後。
その日はドクオの試合がある日だった。
ドクオは決して弱いわけではない。
だがプロ戦績は8戦1勝7敗。
本番に弱い。
それがドクオの最大の弱点だった。
練習では、それなりの実力を出せた。
着実にポイントを稼ぐ手数の多さと、防御の正確さには定評があった。
それが試合となると、どうしても勝てない。
- 310:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 22:38:33.04 ID:OLl/UpDx0
- この試合が決定したとき、ドクオは密かに誓った。
もし、次で負けたら、引退しよう。
- 311:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 22:38:54.18 ID:OLl/UpDx0
- ドクオは己の才能の限界を感じていた。
常にそばにいるのはデビュー以来負け知らずのブーン。
その圧倒的プレッシャーを感じながら、ドクオはこれまで闘い続けてきた。
でも、それももう擦り切れそうだ・・・。
だがドクオには自信があった。
来る日も来る日も、化け物のようなブーンとスパーリングを重ねてきた。
時には嘔吐や失神もした。
何ラウンドもやって一発も当てられなかったこともあった。
キックボクサーとしては一流のブーンとあれだけ練習してきたんだ・・・
ドクオは大きく息を吐くと、グローブを顔の前で合せ、静かに勝利を祈った。
そして生涯で最後になるかも知れないリングへと足を運んだ。
- 313:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 22:45:19.74 ID:OLl/UpDx0
- リングの中は明るい。
まるで自分がスポットライトを浴びた映画の主人公になったような気がする。
ドクオはこの感覚が好きだった。
そしてこの感覚をずっと忘れずに覚えておこうと思った。
対戦相手はデビュー2戦目のルーキー。
目が鋭く光り、体中の筋肉が隅々まで引き締められている。
今時の髪型に、甘いマスク。
('A`)「あの体にあの顔・・・モテるだろうな・・・」
ドクオはひとりつぶやく。
- 314:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 22:47:44.05 ID:OLl/UpDx0
- (´・ω・`)「ドクオ!いいか!いままでやってきたことすべてぶつけろ!お前は強い!」
セコンドのショボンの声が、歓声にまじって聞こえてくる。
( ^ω^)「ドクオ!負けるなお!」
ξ゚听)ξ「ドクオー!!がんばれー!!!」
・・・ふたりの声。
目の前の観客席にいるはずなのに、なぜかもっと遠くから響いてくるような感じがする。
- 315:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 22:52:20.60 ID:OLl/UpDx0
- 天井を見上げる。
鉄筋にぶらさがっているライトがまぶしい。
リングでは選手は孤独だ。
試合が始まれば、周りの声など一切聞こえなくなる。
それでも、ふとした瞬間に感じる声援。
それさえあれば俺はどんな逆境でも乗り越えられる気がした。
ぎゅっと目をつぶって、口の中のマウスピースを転がす。
さあ、始まるぞ。
意外と冷静だな、俺。
そう思ったとき、ゴングが鳴った。
- 317:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:00:22.18 ID:OLl/UpDx0
- 相手は高く上げたガードの隙間からこちらの様子をうかがっている。
カウンター狙いか・・・。
ドクオは相手の周りをゆっくりと周りながら、出方を待った。
(´・ω・`)「相手を待つな!!積極的にいけ!!」
おっといけない、そうだった、俺はいつでも相手が動いてから、自分が動く。
そして後手後手になり、結局負けてしまう。
('A`) 「ありがとな、ショボン!」
ドクオはそう叫ぶと同時に、一気に間合いを詰め、軽く左のジャブで誘った。
ドクオのジャブに反応し、相手は右ストレートを返してきた。
ドクオはさっと顔を左に動かし、相手のパンチを交わすと、全体重をのせた右アッパーを放った。
- 322:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:05:15.04 ID:OLl/UpDx0
- ドクオのグローブが相手の整った鼻筋をとらえる。
グシッと鈍い音が響き、相手の顔が苦痛に歪む。
さらにドクオは左フックで追い打ちをかけた。
が、相手は素早くバックステップし、ドクオの追撃を逃れる。
('A`)「逃がすか!!」
ドクオは腰を素早く回転させ、相手の側頭部めがけてハイキックを打った。
- 324:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:09:46.70 ID:OLl/UpDx0
- ドクオのハイキックはわずかに相手の鼻先をかすめ、体制が崩れたドクオに、相手の右ストレートがヒットする。
('A`)「ぐおっ・・・」
(´・ω・`)「ガードを固めて、相手にくっつけ!!!」
追撃をくらうまいと必死で相手に抱きつくドクオ。
しかし相手はからみつきてきたドクオの腕を払うと、ドクオの後頭部をぐっと押さえつけ、
膝蹴りをドクオの顔面めがけて打った。
- 326:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:13:31.60 ID:OLl/UpDx0
- (´・ω・`)「ああっ!!!」
膝蹴りを顔面にくらったドクオはたまらずリングに倒れこむ。
ダウンだ。
(´・ω・`)「ドクオ!立てるか!?大丈夫か!?」
レフリーのカウントが進む。
('A`)「へへ・・こんなのブーンの飛び膝に比べたら、痛くもかゆくもないぜ・・・」
立ち上がるドクオ。
ダウンは取られたものの、続行だ。
- 327:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:17:04.31 ID:OLl/UpDx0
- (´・ω・`)「ドクオ!回復するまでクリンチするんだ!無理するな!!」
('A`)「へへ・・・俺も打たれ強くなったもんさ・・・」
ヘラヘラ笑うドクオに相手は、チャンスと見て、一気に攻撃をしかけてくる。
ドクオはがっちりガードを固め、亀のように背を丸めた。
ガードの上から相手の攻撃が容赦なく突き抜けてくる。
('A`)「これで・・・負けたら、もう二度とここには立てないのか・・・」
(´・ω・`)「ドクオクリンチだ!相手にくっつけ!」
- 328:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:24:21.06 ID:OLl/UpDx0
- 辛い練習を思い出す。
地獄のようなスパーリング。
何度も辞めたいと思った。
なんでこんなに自分の体を痛めつけなきゃいけないんだとも思った。
( ^ω^)「コーナーに追い詰められて、ラッシュくらったら無理にくっつこうとせず、隙みてアッパーや膝打ってくといいお」
確かブーンがそんなことを言ってたっけ・・・。
('A`)「今はブーンに賭けてみるぜ!!」
- 331:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:28:15.23 ID:OLl/UpDx0
- 打ちつかれた相手が一瞬、間を置いたその隙をドクオは見事に捕らえた。
全身をバネのように伸ばし、膝蹴りを相手のボディに叩き込む。
('A`)「もう一発・・・!」
うずくまった相手を両手で起こし、左右のフック、ストレートを打ち込んでいく。
劣勢から一気に攻勢へ出た。
(´・ω・`)「よし!!!いけ!!!」
- 333:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:36:16.40 ID:OLl/UpDx0
- ('A`)「ここで決める!!倒れてくれ!!」
一撃一撃に祈りを込め、打ち込んでいく。
だが相手も負けじと反撃してくる。
1ラウンドから壮絶な打ち合いとなった・
('A`)「くっ・・・最初の膝が結構効いてる・・・うまく力が入らない・・・」
ドクオがはなったゆるいミドルキックをキャッチした相手は、バランスを失ったドクオに再びストレートを打ち込む。
ガツンとドクオの脳が揺さぶられ、膝がガクガクと震える。
('A`)「ぐ・・・やばい・・・相手はどこだ・・・」
グラついたドクオに相手がとどめをさそうと拳を振りかぶった瞬間、
1ラウンド終了をしらせるゴングが鳴った。
- 335:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:41:59.52 ID:OLl/UpDx0
- (´・ω・`)「今のところ互角だ。ポイントでは少し向こうが優勢だが、こんなのすぐ取り返せる。気にせずいけ」
ショボンがドクオの首筋に氷嚢を当てながら言う。
(´・ω・`)「もっと足をつかって動け。無理に打ち合うな。そして止まるな」
('A`)「おお・・・」
(´・ω・`)「お前の間合いで戦うんだ。無理に詰めようとするな」
('A`)「おk・・・」
セコンドアウト!
レフリーの声がかかり2ラウンド目が始まる。
(´・ω・`)「よし行け!練習でしたことをすべてぶつけろ!!」
- 339:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:47:33.13 ID:OLl/UpDx0
- 2ラウンド開始早々、相手は一気に攻めてきた。
('A`)「ここで決めるつもりか・・・」
ドクオは相手に詰められないよう、前蹴りやミドルで牽制しながら、チャンスをうかがう。
('A`)「俺もここで決めさせてもらうぜ・・・これ以上くらうとこたえるんでな」
相手の目はじっとドクオを捕らえている。
('A`)「さあ、飛び込んで来い・・・ブーン直伝の技で倒してやる」
ドクオは距離を保ちながら、じわじわとプレシャーをかけていく。
- 340:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:49:02.31 ID:OLl/UpDx0
- ( ^ω^)「お・・・?ドクオはあの技やる気だお・・・タイミングが命だお・・・外すなお・・・」
ξ゚听)ξ「ああ・・・ハラハラする・・・」
- 341:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:53:23.65 ID:OLl/UpDx0
- くっと肩で入れたフェイントに相手反応し、ガードがあがる。
ガードがあがり空いたわき腹に、左のボディを入れる。
これは軽く素早く打つんだったよな・・・
ボデイを打たれた相手のガードが反射的に下がる。
ジャブで相手のアゴをあげて・・・
左ジャブが的確にアゴをとらえ、一瞬相手の顔が上がった。
('A`)( ^ω^)「今だ!(お)」
- 344:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/07(月) 23:59:47.29 ID:OPIKxCV80
- 不用意に上がった相手のアゴめがけ、思いっきり飛び膝蹴りを見舞う。
だが1ラウンド序盤でダウンを喫したドクオのダメ−ジは思いのほか重かった。
脳へのダメージは往々にして足腰にくる。
ドクオの宙に浮いた足腰での踏み切は十分とはいえず、スピードもなくキレもなかった。
( ^ω^)(´・ω・`)「危ない!!」
ドクオの飛び膝をギリギリでかわした相手はお返しといわんばかりの豪華な右フックを打ち込んだ。
( ^ω^)(´・ω・`)「ドクオ!!!」
- 347:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/08(火) 00:03:21.57 ID:NOf0Z6TO0
- ('A`)「ぐっ・・・」
ドクオは前のめりに倒れた。
ショボンとリングドクターがあわててかけよってくる。
ドクオが最後のリングで見た物、それは自分を倒した勝者のはじけんばかりの笑顔だった。
ドクオは気を失った。
- 352:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/08(火) 00:14:09.43 ID:NOf0Z6TO0
- ( ^ω^)「ドクオ・・・よく頑張ったお」
(´・ω・`)「おつかれさま。いい試合だったよ」
ξ゚听)ξ「大丈夫?」
気が付いたときドクオは控え室の簡易ベッドの上だった。
('A`)「だめだったか・・・」
(´・ω・`)「気にするな。次につながる試合だった。次は絶対勝てるぞ」
( ^ω^)「そうだお。最後の飛び膝いいとこまでいってたお」
('A`)「・・・・」
なぜか悲しさはなかった。
むしろやりきったんだという思いが、ドクオをすがすがしく毅然とさせていた。
- 356:1 ◆piEfblYWC. :2006/08/08(火) 00:18:04.41 ID:NOf0Z6TO0
- (´・ω・`)「いちおう検査しに行くからな、ブーンとツンは先に帰ってくれ」
( ^ω^)「わかったお。ドクオ帰ったらメールくれお。ご飯いくお」
ξ゚听)ξ「わたしも行くんだからね」
('A`)「おお・・・・」
ドクオはショボンに支えられながら、タクシーに乗り込み病院へと向かった
('A`)(辞めるって言いそびれれちまったな・・・まあいいやまたいい機会があるだろう)
357名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします投稿日: 2006/08/08(火) 00:20:48.41 ID:FFar2UhS0
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