( ^ω^)ブーンは盗賊のようです

16:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:32:01.25 ID:V9ZTf1mg0
  

川 ゚ -゚)「しかし、よかったのですか?」

巨大な座席に腰掛、葉巻を吸う男に
女は話しかけた

(  )「…ショボンの事か?」

川 ゚ -゚)「はい。あの男は、恐らくあれを取り戻しに
     何かしら行動を取ると思われます」

(  )「だろうな」

川 ゚ -゚)「では、何故…?」

(  )「それは、軍の中に置いといても同じ事だろう。
    それならばこれ以上、余計な情報を持っていかれない為にも軍を追放した」

川 ゚ -゚)「それならば随時、監視をつけあの男の力を利用しても良かったのでは?」

(  )「確かに、あいつには利用できるだけの力がある。だが…」



17:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:33:41.26 ID:V9ZTf1mg0
  

(  )「あの計画を問題なく進めるためにはあいつは邪魔だった、それだけだ。」

川 ゚ -゚)「はぁ…」

(  )「…それで、あの計画は進んでるのか?」

川 ゚ -゚)「はい。今のところ問題なく進んでおります」

(  )「そうか」

男は、ゆっくりと座席を立つと
ガラス越しに街を見下ろした

彡 ^ω^)「…」

その男の顔は、老いてはいるが
ブーンと瓜二つだった




( ^ω^)「…頭が痛くなるお」



18:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:35:02.32 ID:V9ZTf1mg0
  

奥まで、続く長い通路
高い天井まで敷き詰められた本
その中心でブーンは唖然と立ち尽くしていた

('A`)「おーい、大丈夫かー」

( ^ω^)「…ダイジョウブ、ダイジョウブデース」

('A`)「ほんとに本が嫌いなのな」

ブーン達は船を降り、ユークリッドの街まで辿りついていた
国立図書館まで辿りついた後、広すぎるこの本棚を
一人一人で探す事になったのだった

( ^ω^)「一週間かかっても見つからない気がするお」

('A`)「そういうな、こう考えるんだ。これだけ多いなら
    かならず都市の事が書いてある本は見つかると考えるんだ」



19:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:36:55.72 ID:V9ZTf1mg0
  

( ^ω^)「そんなポジティブな思想、僕には出来ないとです」

('A`)「もういい、とにかく探せ」

ドクオはそういうと本棚の手の届くところにある
本を一冊一冊確かめていった

( ^ω^)「まぁここで立ってても変わらないお…探すお…」

ブーンもまたドクオと同じよう
一冊ずつ手に取って行った

('A`)「ところでさ。お前のカーチャンの形見って、どんな形してるんだ?」

ドクオは本を見つめながら、ブーンに話しかけた

( ^ω^)「おっおっ、そういえば話してなかったお」

(;'A`)「そういう大事な事は早く話しとけよ」

( ^ω^)「えっと、これくらいの大きさの赤い宝石のついたペンダントだったお」

('A`)「…それって…もしかしてあの遺跡にあった宝石の事じゃあ…?」



20:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:38:50.94 ID:V9ZTf1mg0
  

( ^ω^)「違うお、あれよりもうちょっと大きかったお」

('A`)「ふーん…」

( ^ω^)「じゃあ、本を探すお」



――そして五時間後…



図書館の入り口で、疲れ果て
座るブーン達

( ´ω`)「ぜ、全然見つからなかったお…」

('A`)「もうマンドクセ…」

(;゚∀゚)「あったか?」



21:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:40:01.24 ID:V9ZTf1mg0
  

ξ゚听)ξ「ぜん、ぜん…駄目ね」

<;`∀´>「まったく…駄目だったニダ」

(;´・ω・`)「さ、さすがにこんなに本を見てたら疲れたよ」

(;゚д゚ )「さすが、国一番の図書館といったところか…」

( ´ω`)「どうするお…」

川д川「あの…」

( ´ω`)「お?」

そんなブーン達に、話しかける
髪の長い一人の女性がいた

川д川「本を…探してるんですか?」

( ´ω`)「そうだお、半日かけたけどまったく見つからなかったお…」

川д川「どんな本を探してるんですか?」

( ´ω`)「えーっと…シベリアって都市に関する本を探してるんだお」

川д川「シベリア…ですか。ちょっと待っててください」



22:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:42:30.63 ID:V9ZTf1mg0
  

そういうと女性は、図書館へと向かい
少し時間を置いて大量の本を抱えて戻ってきた

川д川「よ…い…しょ…っと。これで全部ですね。」

( ^ω^)「え?こ、これって?」

川д川「ここにある、シベリアに関する事が書かれた全ての本です。」

(;^ω^)「え!?あの広い図書館からこれを探して?」

川д川「いいえ、私あの図書館の中の本を全て覚えているんです」

( ^ω^)「…」

( ^ω^)「…へぇー」

('A`)「リアクション薄いな…」

( ^ω^)「なんか凄すぎて驚けないお」



23:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:44:26.27 ID:V9ZTf1mg0
  

川д川「内容とまで言われると、無理ですが、どの本がどこにあったか
     というのなら分かるので…」

ξ゚听)ξ「本の虫って奴ね…ほんとにいるもんなのね」

( ^ω^)「でもなんでこんなによくしてくれるんだお?」

川д川「本の事で人が困ってる時は、助けてあげたくなるのが私の性格なんです
     気にしないでください。」

( ^ω^)「有難うだお!恩にきるお!!」

川д川「それでは…」

そういうと女性は、そこから静かに去っていった

(´・ω・`)「親切な人がいるもんだね」

( ゚∀゚)「これならなんとかなるな。よし、探すぞ!」

そして、その女性が持ってきた本を
全員でしらみつぶしに読んでいった



24:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:46:57.58 ID:V9ZTf1mg0
  

( ゚∀゚)「…詳しく書いてある本…あったか?」

ξ゚听)ξ「あの本と同じような事が書いてある事ばっかりで…」

( ^ω^)「特に、重要な事は書いてないお」

('A`)「あとは…この一冊だけだな」

(´・ω・`)「って言っても…これって」

 【勇者と姫】

(;^ω^)「どっからどうみても絵本だお」

('A`)「でもまぁ…一応覗いとくか…」

むかしむかしあるところに…
という絵本や昔話で良くある始まり方で本は書かれていた
ブーンは淡々とその本を読んでいく

( ^ω^)「――そして悪魔にやられそうになった勇者をかばい姫は死んでしまいました」

('A`)「急展開だな」



25:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:50:19.21 ID:V9ZTf1mg0
  

( ^ω^)「―勇者は、姫が殺された悲しみを悪魔にぶつけました。悪魔は勇者の剣で倒されました」

ξ゚听)ξ「ふーん、それで?」

( ^ω^)「―しかし、姫は戻ってきません。死んだ人は、二度とこの世に戻ってこれないからです」

(´・ω・`)「だろうね」

( ^ω^)「―しかし勇者は、どうにか姫を生き返らそうと禁じられている法に触れてしまいました」

< `∀´>「それでそれで?」



28:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 22:58:34.46 ID:V9ZTf1mg0
  

( ^ω^)「―その禁じられてる法、というのは人を生き返らせる事の出来る方法の事です」

( ゚∀゚)「ほーう」

( ^ω^)「勇者は、伝えられた伝説の通り赤い宝石を持ち、神殿の祭壇に
     姫の亡骸と共に向かいました」

(;'A`)「ゴクリ…」

( ^ω^)「―勇者は、願いました。姫を生き返らせて欲しい。と」

ξ゚听)ξ「…」

( ^ω^)「―すると、宝石は凄まじい光を放ちました。
     勇者は、あまりの事で目を閉じてしまいます」

(´・ω・`)「…」

( ^ω^)「―勇者は、ゆっくり目を開けます。そこには――」

( ゚∀゚)「そこには…?」



30:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 23:06:06.45 ID:V9ZTf1mg0
  

( ^ω^)「―光につつまれてしっかりと地面に立つ姫の姿が…
      勇者は、姫を抱きました。そして大きな声で泣きました。
      その後二人は、無事結婚して平和に暮らしましたとさ。終わり」

( ゚∀゚)「…」

ξ゚听)ξ「へぇー」

('A`)「…これって?」

( ゚д゚ )「もしかして…あの伝承の事か?」

( ゚∀゚)「願いが叶う…ってのは本当だったって事か?」

( ^ω^)「でもこれは絵本だお」

(´・ω・`)「…まさか、あれが…?」

( ^ω^)「あれ?」



31:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 23:13:14.15 ID:V9ZTf1mg0
  

(´・ω・`)「あぁ、君達と出合ったあの遺跡で見つけたあれだよ」

ξ;゚听)ξ「え?あれが!?」

(´・ω・`)「あぁ。しかし…あれは…」

(´・ω・`)「…まさかそんな力が…?」

( ゚∀゚)「でもあれは、既に軍に持ってかれて…」

( ^ω^)「そうだお。どうするんだお?」

(´・ω・`)「軍が、あそこまで必死になってたって事はもしかしたら
      この事を既に知ってるかもしれないね」

( ゚д゚ )「ふむ…赤い宝石に軍か…なかなか興味深いな…」

( ^ω^)「…誰か生き返らせたい人がいるって事かお?」

(´・ω・`)「その辺の事は、知らないな。」

ξ゚听)ξ「でも、あんたあれを必要以上に欲しがってたわよね?
       あんた、なんか知ってるんじゃないの?」



33:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 23:22:29.74 ID:V9ZTf1mg0
  

('A`)「まてまて、話がこんがらがってきたぞ。
    とりあえず、なんであんたがこの事を知ってたかを教えてもらおうか」

(´・ω・`)「…仕方ないか…」

(´・ω・`)「僕は、とある本を読んであの宝石の事を知ったんだ。
      しかし、そこにはこう書かれていた。
      【魔力を増幅される事が出来る秘石】とね」

ξ゚听)ξ「じゃあ、そのためにあれが欲しかったの?」

(´・ω・`)「………あぁ。」

ξ゚听)ξ「あやしいわね。まぁいいわ。そういう事にしときましょう」

(´・ω・`)「とにかく、魔力を増幅させる事と、儀式に使う事は
      少し関係があるように見えるけどね。」

( ゚д゚ )「しかし、魔力を増幅させると言ってもそれだけでは
     全ての願いを叶えられるほどの魔力を生み出せるだろうか?」

(´・ω・`)「あぁ、僕もそこが気になってたんだ」

( ^ω^)「頭がこんがらがってきたお…」

('A`)「とにかくだ。願いを叶えられる、叶えられないは置いとくとして
    軍の持ってる宝石が、それに必要な宝石の可能性があるんだろ?」



35:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 23:31:08.09 ID:V9ZTf1mg0
  

(´・ω・`)「あぁ、共通点がいくつかあるしね」

( ゚∀゚)「それじゃあ、とにかくそれを奪い返せばいいって事だな?」

(´・ω・`)「そうだね」

('A`)「軍が、それを知ってるって事はきっとシベリアに向かうはずだな
   つまり、そこで奪えば…」

( ^ω^)「よくわかんないけど、シベリアに行けばいいって事かお?」

('A`)「そういう事だ」

( ゚∀゚)「ようやく、目的がはっきりしてきたな…」

(´・ω・`)「…シベリアか…しかしあそこは…」

( ゚∀゚)「あぁ、飛行船では行けないし、雪が酷くて普通の登山でも無理だろう」

(;^ω^)「え?じゃあどうするんだお?」



36:◆63X1NcT632 :2006/07/08(土) 23:35:37.71 ID:V9ZTf1mg0
  

( ゚д゚ )「…なるほどな、それなら何とかなるかもしれないぞ」

( ^ω^)「え?!ほんとかお!?」

( ゚д゚ )「あぁ、私にちょっと考えがある」

( ゚д゚ )「ここから東に行ったところにある所に、私の知り合いがいるんだ」

( ゚д゚ )「おそらく世界最高の機械技術を持つ男がな」





十一話  終わり



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