( ^ω^)ブーンは盗賊のようです

3:◆63X1NcT632 :2006/07/12(水) 23:14:45.76 ID:hiUq6Qr40
  

ショボンのその言葉で辺りは氷ついた

(;^ω^)「そ、そうだったのかお…」

(´・ω・`)「さぁ、早く行こう。また氷っちゃうよ」

そういうとショボンは、さっそうと街へ向かっていった
ブーン達もそれに合わせてついていく

(´・ω・`)「さぁ、着いたよ。僕の街、スノーフリアに」

( ^ω^)「…ど、どうなってるんだお…」


ブーンは、その街の姿を見て驚きを隠せなかった
いや、目が街を見る前に
肌が雰囲気の違いに気づいていただろう



4:◆63X1NcT632 :2006/07/12(水) 23:20:41.86 ID:hiUq6Qr40
  

――暖かい
極寒の大陸の中、というのが嘘のように思えるほど
居心地の良い街だ
そして、もう一つ…

(;^ω^)「さっきまで氷っちゃうほど寒かったのに…
     今は気持ちの良いくらい暖かいお…」

ξ゚听)ξ「それもあるけど…何か
      もっと別の違和感を感じるわ…」

( ゚∀゚)「そういえば…」

(´・ω・`)「…この街に、住民はいない」

ショボンのその声に、そこにいた
全ての人間は、ハッとした

(;^ω^)「そうだお!!さっきから人っ子一人見えないお
     それに…音も聞こえない…」

ξ゚听)ξ「それなのに、家は壊れたところも無いし…
      どこからどうみても普通の街だわ」



7:◆63X1NcT632 :2006/07/12(水) 23:29:54.32 ID:hiUq6Qr40
  

( ゚д゚ )「ショボン君…この街はいったい…?」

(´・ω・`)「それについては、あそこの家で話そう」

ショボンの指す家の煙突からは煙が出ていた
おそらく先ほど、見えた煙はあそこからの物だろう

( ^ω^)「?…人がいるのかお?」

(´・ω・`)「行ってみれば分かる事さ」

一行は、足早にその家に向かった

コンコンッ

家の中に、扉をノックする音が広がる
すると家の中から、なにやら物音がする

( ^ω^)「やっぱり、人がいるお!」

ブーンが扉を開けようとしたら
突然、扉が勝手に開いた
よく見るとその扉の奥には人影が見える

     「おや…」



8:◆63X1NcT632 :2006/07/12(水) 23:37:00.75 ID:hiUq6Qr40
  

(´・ω・`)「お久しぶりです」

(*゚ー゚)「これは…久しい顔ですね…ショボン」

(*゚ー゚)「それと、こっちは…?」

( ^ω^)「ブーンですお」

(*゚ー゚)「客人ですか。とりあえず、中にどうぞ」

その女に言われ、ブーン達はその家の中で
円を作り、座った

( ゚д゚ )「それでは、説明して貰おうか、ショボン君」

(´・ω・`)「そうだね…どこから説明していこうか…」

( ^ω^)「なんでこの街はこんなに暖かいんだお?」

(´・ω・`)「それは、この街自体に特殊な魔法で結界が、かけてあるからだよ
      おかげでここは、一年間ずっと暖かいんだ」

ξ゚听)ξ「それじゃあ、この街に人がいないのは…?」



10:◆63X1NcT632 :2006/07/12(水) 23:46:50.12 ID:hiUq6Qr40
  

(*゚ー゚)「それは…私から説明しましょう」

(;´・ω・`)「しぃさん…ちょっと待ってください」

(*゚ー゚)「何か問題でも…?」

(;´・ω・`)「…いえ…どうぞ」


(*゚ー゚)「では…その昔…この街はごく普通で平和な街でした」
     しかし…ある日突然、この街を包んでいる、結界が無くなってしまったのです」

( ^ω^)「でも、今は結界が張ってあるお?」

(*゚ー゚)「それは後から再び結界を張りなおしたからです」

(*゚ー゚)「結界は寒さ以外に、外に生息しているモンスターの侵入も防いでいました
     しかし、結界が解けてしまったので、
     街はモンスターが簡単に出入りできるようになってしまいました」

( ゚∀゚)「街に戦える人はいなかったのか?」

(*゚ー゚)「元々、結界に頼っていたため戦闘が出来る人はいませんでした」

( ^ω^)「だったら結界を張りなおせば良かったはずだお」

(*゚ー゚)「それが、出来なかったのです」



12:◆63X1NcT632 :2006/07/12(水) 23:55:12.52 ID:hiUq6Qr40
  

(*゚ー゚)「結界を張る為に必要な、魔石が突然無くなってしまったからです」

( ゚∀゚)「魔石は、そんな事にも使えるのか…」

( ゚д゚ )「しかし、突然何故…?」

(*゚ー゚)「原因は、分かりませんでした。
     とにかく、街の人々は、もうどうする事も出来ないと見切り
     この街を捨てて皆、行ってしまいました」

(*゚ー゚)「―そして、今に至ります」

一時の静寂
それを疑問を思ったブーンが破る

( ^ω^)「どういう事だお?今は結界が張ってあるお
      魔石は、無くなったんじゃないのかお?」

(*゚ー゚)「…皆が出て行ってすぐに、私はとある人に魔石を渡されたのです」
     その魔石は、正真正銘、この街にあったものでした」

< `∀´>「そいつが、魔石を奪い隠していた…って事ニダ…?」

(*゚ー゚)「そうです」

(*゚ー゚)「そして…それを隠していたのが…
     まだ子供だった、ショボンだったのです」

(;^ω^)「!!!」



15:◆63X1NcT632 :2006/07/13(木) 00:05:32.65 ID:dhXLM+o80
  

(´・ω・`)「そういう事だよ」

(;^ω^)「なんでそんな事をしたんだお!!」

(´・ω・`)「……しょうがないか…」

(´・ω・`)「僕は、街の人間が憎くて憎くてしょうがなかったんだよ」

( ゚д゚ )「何故だい?」

(´・ω・`)「…ちょっと長くなるけど…」



16:◆63X1NcT632 :2006/07/13(木) 00:06:42.46 ID:dhXLM+o80
  

(´・ω・`)「僕は、子供の時から魔法の能力に特化していてね
      しかし、まだ子供。そんな力は当然使いこなせない。
      そして…僕は、ある日魔法を暴走させてしまったんだよ」

(´・ω・`)「その日から僕は街の人から恐れられるようになった
      全ての人が僕を拒み、拒絶し、僕等家族の家を街の奥へと隔離した」

(´・ω・`)「そんな奴らに、僕は復讐したかったんだろうね
      思い立った僕は魔石を隠し、結界を解いた」

(´・ω・`)「予想通りだったよ。街の人間は、戸惑い慌て騒いだ。
      爽快だったね。今まで僕を苦しめてきた罪だと思って僕はずっと魔石を隠し続けた」

(´・ω・`)「けど…そのおかげである夜、一匹のモンスターが街に侵入して来たんだ
      夜だったから街の人間は、まったく気づかなかっただろうね。
      そして、モンスターはそのまま街の奥にあった僕の家まで来た」

(´・ω・`)「気づいた時には、すでにもう遅かった。
      母さんも…父さんも…モンスターに殺されたよ」
 
( ^ω^)「…!」



17:◆63X1NcT632 :2006/07/13(木) 00:11:53.81 ID:dhXLM+o80
  

(´・ω・`)「物音に気づいた僕は、その音の元へと向かった
      …絶望したね。目の前で唯一、僕を見捨てないでいてくれた両親が死んでるんだからね」

(´・ω・`)「僕は、感情が抑えられなくなって、また魔法が暴走したよ
      僕の家は、モンスターと両親ごと、溶けない氷に包まれた
      僕は、そんな家の前で、絶望に明け暮れ倒れたよ」

(´・ω・`)「そして、その事件をキッカケに、街の人間は、僕とモンスターを恐れて
      僕をこの街に隔離して、この街を出て行ったんだ」

(´・ω・`)「…まぁこんなところかな…その後、しぃさんが街に残って僕の世話をしてくれたんだ
      魔石も、その時に返した。そして――今に至るって事だよ」

( ^ω^)「…」

( ;ω;)ブワッ!!!!

(;゚∀゚)「またか!」

( :ω;)「ショ、ショボンにそんな過去があったなんて…」

(´・ω・`)「まぁね。まぁ今はどうも思って無いけどね」

( ;ω;)「…じゃあ…ショボンはどうして旅をしてるんだお?」



18:◆63X1NcT632 :2006/07/13(木) 00:15:51.58 ID:dhXLM+o80
  

(´・ω・`)「…今も溶けずに残っている、僕の家を包んでいる氷を溶かすためだよ
      どんな炎を当てても、僕が意思を命じても溶けることのない氷
      あの氷を溶かして、両親をちゃんとした墓に埋めてあげたいんだ」

(´・ω・`)「それには…あれが必要なんだ…どんな願いも叶うという…ね」

ξ゚听)ξ「あんた…やっぱりあれについて知ってたのね。あの宝石の事について…」

(´・ω・`)「それを言ったら、この事がバレてたからね。こんな事話したくないし黙っていた」

ξ゚听)ξ「…」

( ゚∀゚)「あれを異常なまでに欲しがってたのも…両親を思って…か…」

( ^ω^)「…分かったお!あれを奪えたら、ショボンにあれをあげるお!!」

(´・ω・`)「!!」

( ^ω^)「ツンもそれでいいお?」

( ゚∀゚)「そういえば…最初にシベリアに行きたがってたのはお前だろ?
     お前にも、願い事があったんじゃないのか?」



19:◆63X1NcT632 :2006/07/13(木) 00:19:34.75 ID:dhXLM+o80
  

ξ゚听)ξ「…いいわ。元々、あそこに行きたかったのもただの興味だしね」

( ゚∀゚)「…そうか」

( ^ω^)「という事だお。ショボン。僕等はショボンに協力するお。
      一緒にあの宝石を取り戻すお!」

(´・ω・`)「…いいのかい?」

( ^ω^)「当然だお」

(´・ω・`)「君は…ほんとに、お人よしだね…」

(´・ω・`)「……ありがとう…」


('A`)「で、大事な事忘れてないか?」

( ^ω^)「あ、そうだったお。弟者さんを探さないとだお」

(*゚ー゚)「弟者…さんですか?」



20:◆63X1NcT632 :2006/07/13(木) 00:25:32.59 ID:dhXLM+o80
  

( ^ω^)「この大陸に、魔石を探しに来て戻ってこないらしいんだお」

(*゚ー゚)「確かに…数週間前に、尋ねてきた人がいました
     その人が弟者さんかどうかは分かりませんが、
     魔石の原料がある場所を教えてあげたら、そこへ向かっていきましたよ」

( ^ω^)「それは…?」

(*゚ー゚)「この街から北に見える山、カルピス山へ。」

( ^ω^)「それじゃあ、そのカルピス山とやらへ早く向かうお!!」

(´・ω・`)「少しは落ち着け。元々、この街には防寒服を取りに来たんだろ?
      ちゃんと準備はしてかないとね」

( ^ω^)「おっおっ、把握してるお」

ブーン達は、弟者のいると思われる山へ向かう事になった
各々が、準備をしている中で、うやむやな空気に包まれていた二人がいた

( ゚∀゚)「さっきの、ただ興味があるだけ、ってのは嘘だろ?
     本当は何か叶えたい事があったんじゃないのか?」

ξ゚听)ξ「…」




十四話    終わり



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