( ^ω^)ブーンがリレー小説を企てているようです

117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/26(土) 05:08:00.64 ID:k2NTOCFp0
  
( ゚∀゚)「この世界は簡単に言えば『あの世』みたいなもんだ」
(´・ω・`)「あの世……? と、いうことは僕たちは――」
( ゚∀゚)「いやいや、焦るな。言っただろ、帰れるって」

いつまでも核心に触れない話の流れにイライラを募らせたドクオが、口を挟む。

('A`)「で、魂はどうやって集めるんだよ」
( ゚∀゚)「……それは、正直に言うとわからないんだ」
('A`)「は? 冗談」

口調は軽い物だったが、いつもの細いはずのドクオの眼が俄に開いてジョルジュを
睨みつけていた。空気が悪くなるのを感じたのか、慌ててブーンがフォローを入れた。

( ^ω^)「で、でも集めれば帰れるってことだお」
('A`)「そんなの条件次第だろーが」
( ´_ゝ`)「……個々の魂によって対応が違うんだ」

空気に流されることなく突然兄者が会話に飛び込んできた。突然の死角からの応答と、
その冷静な口調に、ドクオはばつが悪そうな顔色で口を噤んだ。

(´・ω・`)「あまり話が見えてこないな。そもそも君達はなんで……ぁΣ(*´゚Д゚`;)……ん……はぁぁぁああん!」



121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/26(土) 05:50:16.36 ID:m3anIbPrO
  
ショボンが妙に艶のある声をあげ、その場にへたり込む。
瞬間、彼の背中から静かに白いモヤのようなものが立ち上った。

( ´_ゝ`)「随分と早いな。どうした」

兄者がショボンの背中に向かって声を掛けると、モヤはゆっくりではあるが、明らかに人の形へとその姿を変えていった。
ブーンはしばらく惚けた表情でモヤを見つめていたが、そのままうつぶせに倒れたショボンを見て我に返ったのか、慌てて彼の元に駆け寄った。

(;^ω^)「ショボン! 大丈夫かお?」
(´-ω-`)「う、うん……。なんだか体にうまく力が入らないんだ。
とりあえずは大丈夫。しばらくこのままの態勢でいさせてくれ」
( ´_ゝ`)「安心してくれ、しばらく休めば元に戻る。
お前たちはまだ憑依に慣れていないからな。そりゃ反動も来るさ。
……時に弟者」

兄者が再びモヤに視線を移す。ブーンが気配を感じて振り返ると、そこには完全に人の姿を取り戻した弟者がいた。

( ´_ゝ`)「何故、突然出てきたんだ?」
(´<_` )「兄者たちの話は回りくどすぎる。これではいつまで経っても話が進まないぞ。
彼らに与えられた時間は少ないんだ。あとは俺に任せてくれないか」
( ´_ゝ`)「そうか。ならそうするがいいさ」
(´<_` )「ああ。……君たち、とりあえず周りを見てもらおうか」



125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/26(土) 07:33:59.56 ID:nEF6jmDw0
  
( ^ω^)「周りったって、真っ白で何も無いお」

(´<_` )「眼を閉じて、頭の中を空っぽにしてごらん」

ブーンたちは言われたとおりに、眼を閉じ、何も考えないようにした。
そして、再び眼を開いたその時――

(´・ω・`)'A`)^ω^)「!」

あたり一面に広がる草原。
ブーンたちはその草原の中に立っていた。

('e`)「ようこそ、わしらの世界『vip』へ」
(´・ω・`)「『vip』……」
(´<_` )「さて本格的にこの世界に入ったからにはいよいよ時間が無い」
(;'A`)「ど、どういうこと……?」

( ´_ゝ`)「この世界に居るのは君たちだけじゃない。
       魂を集める者は他にも居るということだ」

(´・ω・`)「それって――

ショボンが何かをしゃべろうとした、
しかしそれは突然現れた者に邪魔をされた

<ヽ`∀´> 「こんなところに魂が4つも、いただくニダ」



133:◆X5HsMAMEOw: 2006/08/26(土) 09:10:58.02 ID:rqTtvFUR0
  
(´<_` )「……もう来たのか」
( ´_ゝ`)「大丈夫だ。俺が行く」

兄者がそう言った途端、ドクオと兄者の体が重なり、一つとなる。
一陣の風が吹き抜けたかと思うと既に先程の男が此方に突進してきており、それは無防備なドクオへと向っていた。

だが。

('A`)「ふん」

ドクオの右腕が瞬間に出、向う男の一撃と相殺する。
そのままドクオは男の右腕に両手をかけ、そこから力の方向に捻り、顔面に膝を叩き込んで吹き飛ばした。
骨のひしゃげる鈍い音がした。
そのまま男は吹き飛ばされ、顔面を鼻血でいっぱいにして悶絶した。
普通の人間が食らったならば顔がぐちゃぐちゃになるほどの威力だろう。

(;^ω^)「ド、ドクオ」
('A`)「凄いぞ…・・・・・・俺の中に力がみなぎる」

ドクオは無抵抗になった男に歩み寄り、止めをさそうとする。
が、男もそのままでは終われない。
男はドクオの攻撃に咄嗟に反応し、飛んできたドクオの右腕を掴み、そのまま顔面を引いてヘッドバットを食らわせる。
ドクオの額から流血し、視界が悪くなる。
その一瞬を逃さず、男の手刀がドクオにのびる。

が、その攻撃は虚しく受け止められたかと思うと、次の瞬間には鈍いと共に有り得ない方向に曲がっていた。
弟者と憑依した、ショボンの手によって。



137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/26(土) 11:15:31.37 ID:8FcY0CtL0
  
<;`∀´> 「うぎゃああああくぁwせdrftgyふじこlp;@:」
(´・ω・`)「うん、君の相手は一人じゃないんだ、すまない」

男の手首をつかみ、肘の可動範囲をまるっきり無視した方向へとひん曲げる。
水道の栓でもひねっているかのような軽い手つきだ。
が、そんな平然としたショボンの表情とは対照的に、男の顔色はキムチの唐辛子のようにみるみる真っ赤に染まっていく。

<;`∀´> 「ふぎいいいいいい、痛いニダ痛いニダ痛いニダ!!助けてオモニー!!!!」
(´・ω・`)「……いい加減うるさいよね」

ショボンのつぶやきに、その場に居た全員が心の中で同意する。
可愛いおにゃのこの泣き声ならばまだ聞いていてもかまわないが、というかむしろ聞いていたいものだが、エラの張った男が涙と涎を垂らしながら醜く泣き叫ぶ声など、できれば長く聞きたくはない。

場の総意を感じ取ってか否か、ショボンの動きは疾かった。
ねじり上げていた手を不意に放す。
思わずよろめく男を前に、拳を固める。
一瞬のタメの後に放たれたアッパーは、男の鋭角的な顎を綺麗にとらえた。

<;`∀´> 「……っがは……っ!!!」
(´・ω・`)「ドクオ、まかせた」
('A`)「把握」

男が吹っ飛ばされた先には、顔を血に染めたドクオが立ちはだかっていた。



157:ペットボトル&クロックアップ :2006/08/26(土) 14:53:56.02 ID:WrGVLoI+0
  
吹き飛んでくる男を前にじっと構え動かないドクオ

('A`)「……………食らえ」

上半身を限界まで捻り拳を引く、そして限界まで押し込んだバネを一気に開放するように

足、腿、腰、腕、拳

全ての力を体の中が駆け巡り一点に集約される。その『力』が男の背中を捕らえた。
憑依によって高められたドクオの身体能力により全身の力を込めた一撃は相手の背を砕き
物理法則を無視したかのように男が急激な方向転換をし文字通り「空の彼方」まで飛んでいく。

拳を打ち出した格好から暫く動かなかったドクオがゆっくりと姿勢を戻すのと同じくして
体から煙が立ち昇り人影を作っていく。

( ´_ゝ`)「処分完了だ」

('A`)「あーいってえ、とりあえず額をどうにかしてえ」

傷はそこまで深くないが、広く切れた為額から流れ出る血はそこそこ多い。

( ´_ゝ`)「俺は戦闘の能力はあるが治癒はない、物にも触れる事ができないから手当てもしてやれんぞ」

そして傷の手当てをするべく・・・・・



171:◆y7/jBFQ5SY :2006/08/26(土) 15:42:08.43 ID:EZ7PRv1x0
  
(’e’)「ふん、俺たちの出番だな」
(* ゚ω゚)「ちょ、待っ、まだ心の準備ぃぃぃひぃぃぃいいんん!!」

兄者・弟者と同じようにセントジョーンズもブーンの体に重なり、透過・収縮していく。
だが………ブーンは派手な音を立てて倒れたまま微動だにしない。

(;'A`)「おい、どうなってんだよ」
( ´_ゝ`)「むぅ、負荷が大きすぎたか…」
(´・ω・`)「負荷?」
(;´_ゝ`)「あぁ、いや…」

突然。ブーンが起き上がる。
その様は宙に垂れた糸に繰られる人形のようで、人らしい意思が感じられない。

(;'A`)「ぶ、ブーン?」
(  ω )「大丈夫」

ブーンは地面の草を数本千切り、ドクオの額にそっとあてる。

( 'A`)「あ、あれ…痛くねぇ」
(´・ω・`)「額の傷が…」
(´<_` )「物質の再構成。それが彼らの力」
( ´_ゝ`)「いきなり使いこなすとは、流石だな」
(  ω )「………」



174:◆X5HsMAMEOw :2006/08/26(土) 16:04:32.41 ID:rqTtvFUR0
  
最中、ブーンはセントジョーンズと分離したかと思うと、その場に派手に倒れこんだ。

('A`)「お、おいブーン」
(’e’)「体に負荷がかかっただけだ。心配ない」
(´・ω・`)「体に負荷? 僕やドクオはなんともないようだけど?」

ブーンが倒れて困惑するドクオとショボン。
そんな二人に答えを話したのは、弟者であった。

(´<_` )「魂を憑依した際に現れる効果はそれぞれによって違う。
      例えば俺や兄者は憑依者の身体能力を上げるが、セントジョーンズは憑依者の体を借り、物質の再構成をする。
      その他にも色々とタイプがあるのだが、身体能力向上以外は人間の体には負荷が大きく、最初のうちは意識を失いやすい」
('A`)「なるほど。だから俺やショボンは何ともないのか」

(´・ω・`)「それはそうと……あの男はどうなったんだい? 負けると消えるんだっけ?」
( ´_ゝ`)「ああ、あいつなら……」

兄者はそういうと、草原にいつの間にか落ちていたアタッシュケースを拾い上げた。
薄汚れたその鞄は、先程の男のものに相違ないだろう。

( ´_ゝ`)「憑依者を【消した】ことによって、魂はこの鞄に還される。
      つまるところ、そうやって魂を集めて、自分の物にしていくんだ」

兄者はアタッシュケースを開き、中から魂を引きずり出し、ドクオの鞄に引きずり込む。
物理的に鞄の中にそれ以上の大きさの物を入れる事は不可能なのだろうが、魂は難なく鞄に入っていった。



182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/26(土) 16:42:32.46 ID:nEF6jmDw0
  
('A`)「いま手に入ったこの魂を憑依させることも出来るのか?」

( ´_ゝ`)「ああ……だがすぐに出すのはやめておいた方がいい」
(´・ω・`)「どういうこと?」

(´<_` )「君たちがアタッシュケースを開けたときに元々入っていた魂――
      つまり俺達兄弟や、セントジョーンズさん、ジョルジュなんかは
      それぞれ所有者として契約が結ばれているんだが……」

( ´_ゝ`)「新しく手に入れた魂は契約が結ばれていない。
      憑依させてお前らの力量を超えていたら身も心も奪われる」

(´・ω・`)「どうすれば新しく契約を結べるの?」

(’e’)「それはそれぞれの魂との交渉しだいじゃな。
    すぐに契約を結んでもらえる場合もあれば、己の力を示さなきゃならぬ場合もある」

ドクオとショボンが説明を受けているとブーンが目覚めた。

( ^ω^)「お?」
('A`)「ブーン気がついたか……」

( ^ω^)「今起北産業」

(´・ω・`)「・憑依者を倒すと、そいつの持ってた魂が手に入る。
      ・新しく手に入った魂は契約が結ばれていないので乗っ取られる場合がある
      ・契約を結ぶにはそれぞれの魂の出した条件をクリアする必要がある」



189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/26(土) 17:14:44.04 ID:m3anIbPrO
  
(;^ω^)「おっおっ……まだ頭が痛いけど、一応は把握したお」

眠そうに頭を振るブーン。
と、ドクオが唐突に口を開いた。

('A`)「……そういえばさ」
(´<_` )「なんだい」
('A`)「あんたたち、まだブーンの問いには答えてなかったよな。
あの女は誰なんだ?」

そう。
彼らがこの世界に飛んできて、初めて出会ったあの女性。
名前も素性も、顔すらも分からなかったが、彼女がこの世界において何らかのキーパーソンであろうことは誰の目にも明らかだ。
この先、また彼女の助けが必要になるかもしれない。

( ゚∀゚)「うーん、そうだな……簡単に言うと『始祖』だな」
('A`)「しそ?」
(´<_` )「ああ。ここに最初に飛ばされてきた人間……ファーストジャンパー。
それが彼女の肩書きだ」
(´・ω・`)「待ってよ。なら『始祖』ってのはおかしくないかい?
この世界には、元から貴方たちのような存在がいたんだろ?」
( ´_ゝ`)「おいおい。
……わりと勘のいいお前たちのことだから、とっくに気付いていると思ったんだがな」
( ^ω^)「どういうことだお?」
(;´・ω・`)「……!! ひょっとして……」



199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/26(土) 17:54:12.24 ID:4EpQ8HtA0
  
(;´・ω・`)「ひょっとして…!!」

( ^ω^)('A`)(俺達はワケワカラン…)

(;´・ω・`)「あの人が君達を作り出したのか!?」

( ´_ゝ`)「ちょっと違うな」

(´<_` )「あの人が最初の魂なんだ」

(’e’)「わしらは元々、ここで死んだ者だ」

( ´_ゝ`)「あの人が最初の犠牲者ってわけだ」

(´<_` )「ここで死んだものは、あの世には逝けない…しかし、元の世界に返れるわけでもない」

(;´・ω・`)「だから、『狭間の者』か…!!」

(’e’)「そういうわけじゃな」

(;^ω^)('A`;)「わけ分かんないおー」 「ネー」

( ´_ゝ`)「さて、そろそろ行くぞ、他のやつが来るかもしれない」


僕達は、再びジャングルの中を当てもなく歩き出した……



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