( ^ω^)の全てが終わったようです

78:1 :2006/07/26(水) 00:20:15.97 ID:j3+PSWWs0
  
コトリと何かが抜け落ちた
   それは我もが気づかぬうちに
      全ての事を狂わせ始める
        我が過ごすは平面世界
          何かを狂わすは背面世界
            故に事実に気づけぬ内に
              過ごした時間はただただ道化


【第4話 醜】



79:1 :2006/07/26(水) 00:20:59.27 ID:j3+PSWWs0
  
J( 'ー`)し「ブーン。朝ですよ〜」
下の階からカーチャンの声が響く
たったそれだけの事なのに、一瞬にして自分の目が覚めてしまった。
いままではそんな事絶対になかったのに。
こんなに便利に目が覚めるなら、死んでしまったトーチャンに
少しばかり感謝をしなければいけない

そんな悪い事を考えてしまった。



80:1 :2006/07/26(水) 00:21:26.19 ID:j3+PSWWs0
  
下の階に下りるたびに鼻に入る香ばしい香り
ブーンが望んでいた変わらない日常
キッチンに入ると

J( 'ー`)し「おはよう、ブーン」
笑顔でカーチャンが料理を作っていた

( ^ω^)「おはようだお!」
ちょっとだけ遠回りをしてしまった、ブーンはそう思った。
だけどそれは必要な遠回りだったのかもしれない。
工程よりも結果が大事。

今が幸せならいいや、とブーンは笑顔で頂きます!を言う
カーチャンの笑みがこぼれる、自分の笑みもこぼれる

それだけで良かったのに



81:1 :2006/07/26(水) 00:21:51.89 ID:j3+PSWWs0
  
「一旦ここで休憩したいお・・・」
薄暗い部屋で、物語の佳境にさしかかったところで 
僕はそう告げた、目の前の少女に

ほら、だってその顔が見たかったから

不満そうに頬を膨らませるその顔を


「べ、別に楽しみなんかじゃないんだから!」
意地を張るその性格も、どんどん知って行けば知っていくだけ
僕は君に引かれているのが分かる。

「しかし・・いよいよクライマックスね。」
「そうだお・・・この日から全てが狂ったんだお」

「ふーん。あ、別に勘違いしないでよ?職業上こうやって
 話を聞いてるだけであって、あんたに興味があるとか
 そういった他意はないんだからね!」

慌てたように顔を背ける。
だけど、それが彼女の優しさだと僕はしっていた



82:1 :2006/07/26(水) 00:22:16.67 ID:j3+PSWWs0
  
「うん、わかってるお。僕もこうやって話てるのは
 僕が話したいからじゃなく、君に聞いて欲しいからだお」

「な、・・・なに言ってるのよバカ!」

ぷいっと彼女は顔を背けてしまった
綺麗な顔を余り見ることができなくなった、残念。

でも本当に残念なのは、この話がもうすぐ終わりを迎える事。
終を迎えたら、僕と君の別れ待ってる。

できればこの滑稽な空間でのこの時がいつまででも続けばいいな
そんな事を思っていた



83:1 :2006/07/26(水) 00:22:55.46 ID:j3+PSWWs0
  






────4Day────
     全ての世界は赤でした
       紅の世界は虚無と知った日






84:1 :2006/07/26(水) 00:23:42.94 ID:j3+PSWWs0
  
( ^ω^)「いってくるおー!」
玄関で靴を履きながら大声で叫ぶ
J( 'ー`)し「はいはい、いってらっしゃい」
台所から顔だけ出しながらカーチャンは微笑む

それを確認すると僕は、外へと飛び出した


青い空 白い雲 ちょっと曇ってる空だけど

( ^ω^)「いい天気だおー!いい日だお!絶対」

今の僕には全然気にならなかった



85:1 :2006/07/26(水) 00:25:46.24 ID:j3+PSWWs0
  
( ^ω^)「おいすー!」
いつものように扉を開けて挨拶する

一瞬、本当に一瞬だが教室の喧騒が止まった気がした

しかしすぐにいつもの騒がしい教室に戻る

僕はいつものようにカバンを置くと、ドクオ達の元へと向かう


( ^ω^)「おいすー!」
('A`)「・・・おいすーじゃねぇよ。お前なに学校休んでるわけ?」
(´・ω・`)「そうそう、ドクオなら分かるけど、君が無断欠席をするのは
 珍しいからね。何かあった?」
( ;^ω^)「え、あう、あ・・・」

ショボの隣でドクオがなにやら叫んでいる
だけど僕は、そんな事なんて気に出来ず
思いっきりドモってしまった。

本当のことを言ってもいいだろうか?しかし、人によって
カーチャンが取った行動は 異常者とて取られないだろうか?
そんなことはない、カーチャンは普通だ。でもそれは自分の心の中だけで
少しどこか、不安があった
この二人なら、言ってもいいかもしれないだけど・・・

昔誰かが言ってたっけ"必要な嘘"と"不必要な嘘"があるって。
大丈夫、これは"必要な嘘"だから。



86:1 :2006/07/26(水) 00:26:11.59 ID:j3+PSWWs0
  
( ;^ω^)「ちょっと、家のほうでごたごたがあったんだお。
 それに、僕も体調がちょっと悪くて、連絡が出来なかったんだお」
('A`)「・・・」
(´・ω・`)「・・・」

その言葉に、二人は顔を見合わせる。どこか困ったように
でも、それだけだった
その言葉の裏を確実に二人は感じ取っている
でも、それ以上聞くことは無かった

('A`)「そっか、ならいいんだけどな」
(´・ω・`)「そうそう、ブーンがドクオ見たいにならないか不安でさ
 一応聞いて見たんだよ」
(*'A`)「そうそう、俺さま見たいに、クールでナイスガイにな」
(´・ω・`)「鏡を見て来い、ぶっ殺すぞ」
(#'A`)「ショボ!てめぇえええええええええ」


ワハハハハハと 笑う歌声

そのときはまだ、この歌声を聴くのが最後になるなんて
思っても居なかった



87:1 :2006/07/26(水) 00:27:15.29 ID:j3+PSWWs0
  
('A`)「んじゃなー」
(´・ω・`)「気をつけてね?」

校門のところで手を降る二人。
ついさっきまで、一緒に帰ると言ってきた二人。
よほど僕は二人を心配させてしまっていたんだろう。

すこし、ズキリと胸が痛んだが
もう大丈夫という姿を見せるためにも、いつもと同じように
帰ることにした。

二人には大丈夫と言い聞かせ
そう、本当にもう大丈夫なのだから

( ;^ω^)「よーし!帰るお〜〜〜!」

両手を広げる。いつものように
そして大きく翔けだす、飛ぶかのごとく

そう、終焉に自ら走りだしたのだった



88:1 :2006/07/26(水) 00:27:42.04 ID:j3+PSWWs0
  
「・・・・・・・・」
そこで僕の言葉が止まる
それに気づいた目の前の彼女は不思議そうに僕の顔を覗きこみ
「どうしたの?」

そう声をかける

「あんまり、この先は思い出したくないお・・・」

自ら封印をした、忌まわしき記憶、思い出そうとするたびに
脳が狂い、自分が狂い、世界が完全に狂いそうになるのを感じる。

だけど、ここで話を止めると言うことは

「そ、なら私は無理強いはしないわ。」

彼女との時間が終わってしまうことをさしていた
そう、何をためらうと言うのだろう。

僕はもう終わっているんだ。

何も恐い物はないじゃないか。狂おうがどうなろうが関係ない
いま、このときだけを楽しめれば



89:1 :2006/07/26(水) 00:29:26.00 ID:j3+PSWWs0
  
空が紅く染まっている。
夕暮れ時の空はどこか綺麗に思えた

空が赤い、黄昏色、でもこの色はすぐに真っ暗な闇へと変わる。
一瞬だけの美しさ。

なぜ、人の心はこのような一瞬だけの美しさに強く引かれるのだろう

( ^ω^)「ただいまだお!」

空を見上げながら走っていたら、いつの間にか家についていた。
玄関を空け、ドタドタと靴を放りながら家へと入る

( ^ω^)「おなかすいたおー」
ガラッと台所のドアを開けるが、そこに望んでいた人の姿はなかった

( ;^ω^)「あっれー・・・おかしいお」
玄関には、カーチャンの靴は並べて置いてあった。
つまりカーチャンは家にいるはずのなのに、一番居そうな場所にカーチャンの姿はなかった


( ;^ω^)「寝室かお・・?」

カバンを台所の飯台の上に置くとそのまま一階にある夫婦の寝室へと向かう。

しかしそこにもカーチャンの姿はなかった



90:1 :2006/07/26(水) 00:31:03.19 ID:j3+PSWWs0
  
( ;^ω^)「おかしいおー・・・・どこに居るんだろ?」
大きな声で呼ぼうかと思った。しかしそのとき
2回から、ミシミシッという音が響いた

( ;^ω^)「お?二階かお・・・」

二階には、ブーンの部屋とトーチャンの書斎がある。
もしかしたら自分の部屋に居るのかもしれない

そう思ったブーンは、飯台に置いたカバンをつかむとそのまま階段を駆け上って、自分の部屋へと転がり込む

しかし、ここにもカーチャンの姿はなかった。

ならば残っている場所はたった一つ、トーチャンの書斎だけだった。

( ;^ω^)「なにしてるんだお・・?」

扉の前に立つと分かる、不定期でなる音
それは部屋の中にカーチャンが居るということをさしていた

あの時の僕は信じてやまなかった。自分は幸せっだと
あの時の僕は知らなかった、人間が簡単に壊れる事を
あの時の僕は無力だった、親、1人も救えないのだから


そして僕は開けてしまった。なんも疑うことなく

"終わりへの扉"を

【四話 歪  終】



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