( ^ω^)ブーンが植物の世話をしているようです

27:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 20:52:33.78 ID:aOvnGawE0
  
『小学校』


ツンと初めて出会ったのは小学校までさかのぼる。
同じ小学校だったのだ、もっとも同じクラスになったことは無かったが。

当時はまだまだ幼くて、スカートめくりとか髪の毛を引っ張ったりするとヒーローのような扱いを受けた。
それが嬉しくて、僕も良くやっていた。


ξ゚听)ξ「ちょっと、やめてよー!」

( ^ω^)「ウンコみたいな髪の毛wwwワロスwwww」

ξT儺)ξ「わーん、違うもんー!」


自分は学校で有名なほどのいたずらっ子となっていた。
学年のほとんどの女子にちょっかいをかけた、ツンだって例外じゃない。
それでもクラスの違うツンにイタズラする機会は少なかったが。

(゚ε゚ )「なあブーン、ほらあの子隙だらけだぜ?」

( ^ω^)「オマエのパンツは何色だー!!」

自分がクラスの中心だと思っていた。
ブーンと走るのも自分がやったらとても受けた。
だから事あるごとにブーンと言って走っていたっけ。

それから自分のあだ名はブーンになった。



28:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 20:53:51.36 ID:aOvnGawE0
  
そして女の子を泣かせるたびにカーチャンは色々と言われたらしいが、自分には関係の無い話だった。
カーチャンが学校に呼ばれたり担任から電話が来るたび怒られるのではとドキドキしたが、
結局一度も怒られる事がなかった。

そしてそのために自分の行動は止められなくなっていった。



半年ほど経ったか、ちょうど皆が互いの顔を覚えてクラスにも馴染んでくる頃だ。

(´∀`)「ブーン、ほらあの女のグループに突っ込んで来いよ」

( ^ω^)「おkwwwブーン」

  「きゃ、またブーンよ」
  「キモイ、死ね!」
  「もう止めてよー」

(´∀`)「あははー、サイコー!」

女の子を泣かせたらそれは立派な行為なんだ、でもこの時から少しづつ違和感に気付いていた。
ただそれでもなりふり構わずふざけていた気がする。



29:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 20:54:33.40 ID:aOvnGawE0
  
小学校二年、新しいクラスになった。

ミ,,゚Д゚彡「ブーンってやってくれよ、ほらあのグループに」

( ^ω^)「え、でも……」

(`皿´ )「んっだよやれよー」

(;^ω^)「わ、分かったお……」

⊂二二二(;^ω^)二⊃ブーン

  「わ、またアイツよ」
  「ブーン菌が移るわ、あっち行こ」
  「マジあいつキモイ」

(`皿´ )「ははは!」

(;^ω^)「やってきたお……」

ミ,,゚Д゚彡「こっちくんなよ、ブーン菌が移るだろ」

(`皿´ )「どっか行けって」

そしてその時に気付いて悟った。
僕は虐められているんだ、そしてこれから先もずっと虐められ続けるんだって。



30:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 20:56:16.27 ID:aOvnGawE0
  
なまじ一年の時に有名な悪ガキだっただけに、自分が虐められているという事はすぐに広がった。
女子が自分を見るたび何か話している、「気持ち悪い」「キチガイ」……聞こえている。
そして男子からは事あるたびにバカにされ、命令される。

相手が警戒しているにも拘らず女子のグループに突っ込んだりした。
女子トイレに行って個室のドアを叩いたりした。
授業中パンツを脱いで机に立ったりもさせられた。

(`皿´ )「はは、あいつバカじゃね?」

自分にさせておいて何を言っているんだコイツは?
殺してやる、殺してやる。

そう思いながらも、当然そんな事出来やしない。

ミ,,゚Д゚彡「キメーよ、死ねよ」

(;^ω^)「フヒヒ、すいません!」

(`皿´ )「マジしんしょーだよあいつ」

心の中で何度と殺してやる、死んでやると思いながら普段は笑っていた。
笑っていたら少しでも虐められていると思われない気がしたんだ。
どう見ても虐められていたのに、バカだ。



31:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 20:57:34.02 ID:aOvnGawE0
  
それ以来家での自分は荒れていた。
カーチャンを意味も無く蹴ったりしたし、呼び方はババァになっていた。

それでも常に酷い感情ばかり沸いたわけではない。


小学校三年の授業で色鉛筆を使った。
皆が十数色の学校指定の色鉛筆を使う中、自分はカーチャンのお古を使っていた。
色は6色でいつの時代のものか分からない、使っていたらすぐにバカにされた。

ミ,,゚Д゚彡「オイこれすぐに芯折れるぜ?」

(`皿´ )「マジだ、ダッセー!」

そう言って全部芯をおられた。
悔しくて家でカーチャンにあたった。

 今時オマエの古臭い色鉛筆使えねーお、ダサすぎるお。
 あんなの使い続けるんだったら学校行かないお。

次の日、机の上に新品の色鉛筆があった時は正直に感謝した。
ありがとうと心で何度も言った。

その日にその色鉛筆は結局すべて折られた。
その時はカーチャンに申し訳なくなった。



32:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 20:58:44.93 ID:aOvnGawE0
  
小学校三年生、ここから虐めっ子は頭角をあらわしてくる。
同時、言葉だけでなく暴力が増える。
当然その標的に自分は選ばれた。

デブだから何回殴っても平気だろって何度も殴られた。
蹴られた、周りの皆はただ笑って助けの手なんて差し伸べない。

自分はずっと笑いものだった。


家ではカーチャンにあたってばかりだった。
傷してくるからさすがに虐められてくることくらい分かるだろう、
  「大丈夫?」
  「担任に話しようか?」
  「今日休むかい?」
大丈夫なわけ無いだろう、担任に言ったり休んだりしたらもっと虐められるに決まっている。

何を言われてもムカついたし、自分が怒りを吐き出せる場はそこしかなかった。
  「バカか?」
  「くそババア」
  「死ね」
全部こうやって返した。
カーチャンを傷つけたくてごはんを別々に食べたり、色々と命令したりした。

J( 'ー`)し 「ごはん後の食器はちゃんと片付けしてよ」

  「うるさいお、だったら明日からオマエのまずいメシなんて食わねーお!!」



33:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 20:59:30.70 ID:aOvnGawE0
  
虐めは虐めを生む、それは何となく分かる気がする。
自分と同じ存在を作りたいんだ。

自分はカーチャンを虐めていた。
そしてカーチャンは……どこにそのわだかまりをぶつけていたのだろう……?



『内藤さん』


( ;ω;)「!!」

突然の声に驚く、少々物思いに耽っていたようだ。
時間を見ると21時を10分ほど過ぎていた。

(;^ω^)「すみませんお、時間過ぎちゃったみたいですお!」

ここにいられるのは21時までだ、急いで荷物を整理した。
そしてツンに声をかける。

( ^ω^)「明日も来れたら来るお、いい子にしているんだお?」


病院から出ると、改めて会社まで車を走らせた。



35:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:00:56.20 ID:aOvnGawE0
  
会社に車を置き、そこから歩いてようやく帰宅する。
21時半、いつも通りの時間だ。

風羽さんに見るように言った映画をつけながらパスタを茹でた。
今日はナポリタン、お腹は大いに減っている。

( ^ω^)「ハムッ、ハフハフッ、ハフッ!」

テレビを見ながらポケーッと過ごした。

ああそうだ、明日は風羽さんと協賛のお願いに行かなくてはいけない。
また汗をかくのだろうな……思い出すとため息をついた。


テレビの中では美男美女が愛を語っていた。

無駄に広い部屋がとても虚しかった。



36:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:01:50.49 ID:aOvnGawE0
  
結局その日は夜遅くに寝た。
それでも朝起きるまでにゆうに6時間の睡眠はとれた。
家と会社が近い特権だ。

起きて髭を剃ると、適当に寝癖を直してすぐに家を出た。
会社にはいつも30分前に出勤している、深い理由も無いが。
何となく遅れたくないしギリギリ行動が怖いだけだが……早過ぎなのは自分も分かっている。

今日もコンビニに寄って朝ごはんのパンと野菜ジュースを買って会社に到着した。



37:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:02:36.04 ID:aOvnGawE0
  
( ^ω^)「……ということで、今日は風羽と一緒に協賛のお願いに行ってきますお」

( ゚∀゚)「そうか、じゃあショボンさんには俺から言っとくわ。
   ちなみに10件取れるまで帰ってくるなよ」

(;^ω^)「ちょwwwwテラ鬼畜wwwww」

(*ノωノ)「内藤先輩、頑張りましょうね!」

(;^ω^)「あー……」

気の無い返事をしてから、栖来さんから受け取ったメールをプリントアウトする。
そして昨日の内にまとめておいた資料を持って準備万端だ。
会社内ではないので、暑いと思いながらもスーツを着た。

(*ノωノ)「相変わらず素敵な着こなしですね」

(;^ω^)「暑いお……」

そして二人で会社を出て、駅に向かった。
基本の移動手段は電車だ、車などで事故をしては会社の信用問題にかかわるから。



40:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:04:40.82 ID:aOvnGawE0
  
電車のタイミングはちょうど良く、昼前で空いていた。
一緒に座りながら昨日の映画の話に花を咲かせた。

(*ノωノ)「昨日の映画、確かに面白かったですね。
   ちょっと展開が無理矢理だった気もしますが、意外な方向に段々逸れていって……」

( ^ω^)「僕も初め見た時ひろゆきが最後にあれほど活躍するとは思っていなかったお」

(*ノωノ)「それです、FOX★の策略にはまる事まで作戦の内って言われて、やられたと思いました」

電車は乗換えが2回あったのでちょっと慌しかったが、とりあえず乗り過ごす事無く無事に目的地に着いた。
太陽がやはり暑かった、こんな日にスーツとは……酷な話だ。

( ^ω^)「そういえば、ご飯はどうするお?」

(*ノωノ)「そう思って内藤先輩の分もお弁当作ってきましたよ、良ければ食べて下さい」

( ^ω^)「mjd? よし、それじゃ2件だけ先に回って、そのあと公園ででも一緒に食事するお」

(*ノωノ)「はい、頑張りましょう!」

そしてその後2件にマラソン大会の協賛をお願いに向かった。
結果は片方はダメでもう一方は検討してくれるとのことだった。
検討してくれるという場合、大抵はダメなのだが。



41:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:06:01.39 ID:aOvnGawE0
  
食事は太陽が暑い中、公園のベンチでとることにした。
風羽さんはお弁当と水筒を丁寧に準備してくれる。
お弁当は色合い鮮やかでとても綺麗だった。

( ^ω^)「おいしそうだお!」

(*ノωノ)「あぷー……お口に合うかどうか……」

( ^ω^)「それじゃ食べるお!」

あまり意識しないようにと思っていたが、やはり女性の手作り料理となると嬉しいものだ。
嫌いな野菜もおいしくいただける。

( ^ω^)「僕の作るものと比べ物にならないお!」

(*ノωノ)「……内藤先輩っていつも自分でお弁当作っているんですか?」

( ^ω^)「そうだお、でも大抵ご飯と冷凍のおかずを詰めて終わりだお。
   こうやって手作りって感じのお弁当はやっぱりおいしいお」

(*ノωノ)「それじゃ、明日から内藤先輩の分も作ってきましょうか?」

(;^ω^)「……は?」

(*ノωノ)「あぷー……」



42:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:06:43.70 ID:aOvnGawE0
  
(;^ω^)「そんな、朝忙しいだろうしわざわざいいお」

(*ノωノ)「その、いつも帰り送ってもらっているお礼……じゃいけませんか?」

(;^ω^)「……」

本音を言うと嬉しいし、否定する理由は何もない。
断ると失礼だからね、だからだ決してやましい気持ちとか浮気なんかじゃない。

(;^ω^)「……それじゃあ、お願いするお」

(*ノωノ)「じゃあ、明日から気合入れて作ってきますね!」

(;^ω^)「いや、もっと気楽に作ってくれてでいいお……」

(*ノωノ)「いえいえ、お礼ですから気合入れますよ!」

そう言ってくれた。
何よりそのお弁当は本当においしかったから何も言い返せなかった。
これは朝も会社まで送ってやるくらいの気遣いが必要かもしれんね。



43:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:07:25.36 ID:aOvnGawE0
  
食事を終えると、改めて動き出すまでもうしばらくゆっくりとしていた。
太陽はギラギラと照りつける、さっき飲んだお茶がすぐに汗として出てきた。
都心部は特に暑く感じた。

(*ノωノ)「東京はちょっとうるさいですねー」

( ^ω^)「同感だお」

自分たちの会社は都心から少し離れた所にある。
東京までは大体1時間かからないくらい、その1時間で随分と町並みは変わる。

(*ノωノ)「私実家は中国地方なんですよ」

( ^ω^)「兵庫とかかお?」

(*ノωノ)「はい、だから東京に来ると中学校の修学旅行を思い出します。
   私たちは東京に来たんですよ、雷門が小さくてガッカリしました」

( ^ω^)「中学校かお……」

中学校にいい思い出はない。
考えるだけで機嫌が悪くなるのが自分でも分かった。



44:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 21:08:20.92 ID:aOvnGawE0
  
(*ノωノ)「内藤先輩はどこに行ったんですか?」

( ^ω^)「僕達の学校は沖縄に行ったお」

自分は行っていないが。
当日に仮病を使って休んだんだ。

(*ノωノ)「沖縄かぁ……いいですね。楽しかったですか?」

( ^ω^)「ぼちぼちだお」

そう言いながらベンチから立ち上がった。
一度伸びをすると、風羽さんを促す。

( ^ω^)「さて、そんな事ばっか話していると仕事が進まないお。
   無駄話もこのあたりにして後半戦行くお」

(*ノωノ)「あ、はい。次こそは協賛を成功させましょう!」

そして太陽の照りつける中、仕事の続きに入った。



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