( ^ω^)ブーンが植物の世話をしているようです
- 168:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 23:58:34.88 ID:aOvnGawE0
- 『社会人〜これまで3』
('A`) 「んだよ、恋人自慢かよー」
( ^ω^)「フヒヒ、すいません」
そう言いながら毒男にもツンを紹介した。
ξ゚听)ξ「始めましてー、津村です」
('A`) 「いえいえご丁寧にどうも、毒男です」
挨拶するや否や、毒男はこっちを向いた。
('A`) 「こらテメ、ギガ可愛いじゃねぇか。
高校野球の応援のノリで、空のペットボトルで殴りつけてぇ」
( ^ω^)「その内毒男だって、ツンほどで無いにしろいい子とめぐり合えると思うお」
('A`) 「ノロケ話に興味はねーよ、幸せヤロウが」
何だかんだで毒男も祝福してくれた。
そのあと少し話したら、二人とも随分と仲良くなっていた。
('A`) 「いい子だな、絶対に離すなよ?」
そう言われたことをしっかりと覚えている。
当然だと答えた。
- 171:◆7at37OTfY6 :2006/07/22(土) 23:59:22.20 ID:aOvnGawE0
- ξ゚听)ξ「お母さんですか、始めまして……」
J( 'ー`)し「あらあら、とうとう可愛い女の子が私のところに来てくれたわ。
どこかのお姫様みたいね」
ξ///)ξ「えっと、その……」
( ^ω^)「カーチャン、ツンが困ってるお!」
J( 'ー`)し「ゴメンなさいね、あまりに嬉しくて可愛くてね」
そういうカーチャンの顔は本当に嬉しそうだった。
こんな形で親孝行できるなんて思ってもいなかった。
ξ゚听)ξ「やさしくていいお母さんね」
( ^ω^)「カーチャンもツンの事をそう言ってたお」
ξ///)ξ「嬉しい……」
二人とも楽しく話してくれたみたいで良かった。
- 172:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:01:34.42 ID:xtICE8uZ0
- さて、えてして幸せな時が過ぎるのは早いものだ。
ここから週一くらいでツンはカーチャンに顔を見せてくれたし、自分もほぼ毎日カーチャンとは会った。
日に日に体調は悪くなっていたらしいが、ツンを見て楽しそうなカーチャンを見ていると本当かと思ってしまう。
おおよそ3ヶ月、それはあまりに早く過ぎていった。
時期的には丁度春だった。
「内藤さんのお母さんですが、退院の方を考えています」
( ^ω^)「おっおっ、最近調子悪そうにしていたけど大丈夫になったのかお?」
「いえ、我々では……施設に預けて面倒を見てもらわねばいけません」
ξ゚听)ξ「そんな……!」
(;^ω^)「施設……嫌だお、カーチャンは退院したら家に戻ってくるんだお!」
「いや、もうこれ以上になると……我々よりもちゃんとした介護者のいる……」
(;^ω^)「介護者ってなんだお、カーチャンは病人なんかじゃないお!
退院したら一緒に暮らすんだお!」
日に日にカーチャンは痩せ細って……食事もできず、髪の毛に至るまで目に見えてやつれていた。
まるで病人みたいだと確かに思った、それでもどこかで信じていたのに。
こういう時になって、初めてカーチャンの大切さを実感した。
他人に……渡したくないという感情が芽生えた。
- 173:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:02:13.61 ID:xtICE8uZ0
- ξ゚听)ξ「……その役、私じゃ……いけませんか?」
(;^ω^)「ツン!? そんな、仕事もあるのに……」
ξ゚听)ξ「辞めるわよ」
(;^ω^)「でもそんな、辞めるって……」
ξ゚听)ξ「いずれ……結婚したら辞めないといけないでしょ?
それとも、結婚……してくれないの?」
(;^ω^)「……!」
医者の前だったが、そんなもの関係なかった。
自分はしっかりと口にした。
( ^ω^)「結婚しよう」
次の日、ツンは退職した。
- 175:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:04:00.77 ID:xtICE8uZ0
- しばらくはツンが抜けた分を取り返そうと仕事が忙しかった。
それでも一段落すると、改めて話をする。
J( 'ー`)し「それじゃ、ツンちゃんが……ゴメンね、私の体が弱いばっかりにゴメンね……」
ξ゚听)ξ「そんな、いーんですよ。お母さんのお世話なら喜んでしますよ」
( ^ω^)「それで、会社の近くに広いアパートがあるから、そこを借りる事にしたお。
そこで3人で暮らすお、カーチャンも一緒だお!」
もののほか話は早くまとまった。
カーチャンはどこにも行かないんだ、嬉しさがこみ上げた。
どれだけぶりだろう、カーチャンと一緒に暮らすだなんて。
広い部屋に新しい家具、お金は無駄遣いできないと引っ越し業者は雇わなかった。
何故雇わなかったのか、前述したとおりお金の節約のためだ。
代わりに毒男を雇って引っ越しの手伝いをしてもらった。
そしてその日は来てしまったのだ。
- 177:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:05:17.02 ID:xtICE8uZ0
- その日、ツンは新しい入居先の掃除をして自分と毒男はレンタカーのトラックで荷物を運んでいた。
引っ越しとなると思ったよりも物が多い、あと2往復くらいはしなければいけないようだ。
荷物を積み終えると、毒男の運転で新居に向かう事にした。
('A`) 「あーあ、俺と同類だと思っていたのに、ブーンは先に結婚か……」
( ^ω^)「スピーチをよろしく頼むお。
その隣でチューしてるお、うはっ!」
('A`) 「あームカつく……セクロス三昧俺も一度してみてーなー」
( ^ω^)「残念ながら、そんな野蛮なお付き合いしていないお」
(;'A`) 「はっ、マジで!?」
(;^ω^)「ちょwww運転中前見ろってwwww」
そうなのだ、僕とツンは何だかんだで両方とも渋り続け、結局まだ性行為に及んでいない。
もっともキスは毎日するし、一緒にお風呂にも入った事はあるのだが。
('A`) 「んだよ、同棲だしもうすぐにでもじゃねぇか」
( ^ω^)「というか今日です、本当にありがとうございました」
('A`) 「鬱だ、このままコイツと一緒に東京湾に突っ込みてぇ……」
そして実はこの日に初めてその行為をするに及ぶ約束があった。
ツン以外の人と付き合った事の無い自分は当然初めての経験で、今日はそのためかすごく気分がいい。
('A`) 「ぜってースピーチでこのことネタにしてやる」
- 179:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:06:45.21 ID:xtICE8uZ0
- 住む所はマンションの2階だ。
仕事場からも徒歩5分、最高の立地条件……と言いたいのだが、駐車場が有料なのだ。
ここも節約といって、会社に駐車場をお借りした。
さておき今日は引っ越しなので、駐車場に無断でトラックを止めると荷物を降ろす。
('A`) 「ふんっ……!」
( ^ω^)「おっ……!」
大きな荷物は僕と毒男が、そしてダンボールをツンが運んでくれた。
そしてしばらくすると、ようやく荷物を全て降ろし終える。
('A`) 「それじゃ、もう一回行って来るかな……」
( ^ω^)「僕が行くお?」
ξ゚听)ξ「でも荷物運びもあるし、私が運転してくるけど……」
('A`) 「もう大体重い荷物は運び終えたし、このレンタカー俺名義で借りてあるからさ。
あーでも名義とか関係ないか、とりあえずいちゃついとけバカヤロウ」
ξ///)ξ「あ……りがとぅ……」
( ^ω^)「じゃあいちゃつくお、ツン」
('A`) 「いや、ちゃんと運べる荷物は運び入れとけよ?
机とかはオレが帰って来てから内藤とやるから」
- 180:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:07:23.84 ID:xtICE8uZ0
- 毒男が行ったのを確認すると、ダンボールやテレビ台などの小さな荷物を運び入れる。
ξ゚听)ξ「重いわね、思ったより」
( ^ω^)「大丈夫かお?」
ξ゚听)ξ「まーね、筋肉痛になりそうだけど」
( ^ω^)「今晩にじっくりと癒してあげるお」
ξ゚听)ξ「キメェwwww」
( ^ω^)「……」
そして十数分、沢山あった荷物も運び入れるだけなら意外にすんなりと片付いた。
( ^ω^)「毒男が来るまでまだ時間あるお。
ツン、チューして」
ξ゚听)ξ「キメェwwww」
( ^ω^)「……」
ξ///)ξ「……ちゅっ」
( ^ω^)「うはwww」
- 181:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:08:05.27 ID:xtICE8uZ0
- しばらくしても毒男が戻ってくる様子はない。
机やタンスなどの重い家具と自分たちだけがそこにいた。
ξ゚听)ξ「ねえ、私たちだけで運んじゃわない?」
( ^ω^)「ツンには重いから無理だお」
ξ゚听)ξ「でも頑張れば……このタンスくらいだったら何とかさ!
ちょっと毒男くんには申し訳ないかなーって思ってて、できれば自分でやれる限りやろうかなって……」
( ^ω^)「相変わらずツンはくそ真面目だお」
ξ゚听)ξ「でもさ、手伝ってくれて――」
そんなツンに軍手を投げた。
( ^ω^)「そこの軽そうなタンスを一緒に運ぶお」
ξ///)ξ「……うん」
軽くても……タンスは重いんだ。
- 183:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:09:17.99 ID:xtICE8uZ0
- ( ^ω^)「僕が階段の上側で、出来る限り重さを支えるお。
ツンは足元に気をつけてくれお」
ξ゚听)ξ「う……うん」
やっぱりツンにしては重かったようで、頑張って持ってくれているのは分かるが負担は自分に大きくのしかかる。
それでもツンの気遣いを無駄に出来ない、必死に自分は持ち上げた。
ξ><)ξ「うーん……!」
(;^ω^)「階段だお、斜めになるから気をつけて欲しいお」
階段では上にいるほうがどれだけ下側に傾けられるか、そしてかつ重さを支えれるかがものをいう。
出来る限り斜めにしながら、しっかりと支えた。
(;゚ω゚)「ふごごごごご……!」
ξ><)ξ「ブーン、大丈夫……ッ!?」
(;゚ω゚)「全っ然平気だお!」
そしてとうとうその時はきた。
ツンが階段につまづいたのだ。
ξ゚听)ξ「あ――」
- 184:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:10:24.36 ID:xtICE8uZ0
- 自分はそれが分かった。
突如手に襲い来る重量、とっさの判断で自分はそれを支えた。
筋肉が悲鳴をあげた、それでも何とか耐えた。
その時、タンスは自分の手から逃げていった。
ツンがつまずいて、後ろに倒れるだろう瞬間――彼女は藁をも掴む思いでこのタンスにしがみ付いたのだ。
そしてそのままタンスは自分の手を離れた。
それが何を意味するか、それは分かりきっていた。
自分の登ってきた階段、手に乗っていた物は吸い込まれるようにそれを下っていった。
自分はタンスがあったその手を動かす事もせず、呆然とそれを見ていた。
映画のワンシーンのような、それを。
- 187:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:11:35.85 ID:xtICE8uZ0
- 流れる赤い血、量は多くないが頭からじわりじわりと出ているそれは死を連想させた。
急いで救急車に電話する。
(;゚ω゚)「救急車一台、早くしてくれお!」
「いいですか、落ち着いて下さい。アナタのお名前をお願いします」
(;゚ω゚)「名前なんていいお、早く救急車よこせお!」
落ち着かせようとしてくれたのだろうが、自分には無駄だったようだ。
ただひたすらに叫んでいた。
「今はどこにおられますか?」
(;゚ω゚)「引っ越し先だお、えーと……あああ!」
まったく思い出せなくて、部屋の管理所を取りに行こうと思ったがツンをこのままここにも置いていけない。
ますます混乱した。
(;゚ω゚)「なんでもいいお、まだ救急車は来ないのかお!」
「とりあえずお名前と生年月日を……」
(;゚ω゚)「オマエは僕をバカにしているのかお!!」
電源を切ると、怒りで壁を蹴る。
まだ運ばれていない机を蹴る。
どうすればいいんだ。
- 191:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:12:37.07 ID:xtICE8uZ0
- ツンはまだタンスの下敷きだった。
タンスをのけたかったが、大きくて自分一人では退けれない。
……そうか、片側だけ持ち上げればいいんだ!
電話ででもそれくらい教えろと思いながら、とりあえずタンスを持ち上げて横側に立ち上げた。
結局この世の中に頼ってはダメだ、自分で何とかしないと……。
そう思っていると、毒男のトラックが来た。
自分で何とかしないとと思った矢先それにすがりついた。
(;'A`) 「ばっ、おまっ……早く救急車に連絡しろよ!」
(;゚ω゚)「あんな物頼れないお、お願いだお助けてくれお!」
(;'A`) 「仕方ないな!」
そう言いながら毒男は携帯で電話し始めた。
(;'A`) 「はい、知り合いが階段で荷物の下敷きになって……はい。
内藤、ここの住所は?」
(;゚ω゚)「今持ってくるお!」
そう言ってすぐにここの住所の載った紙を新居から持ってくる。
- 192:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:13:29.76 ID:xtICE8uZ0
- (;'A`) 「住所は……それで、女性が一名……」
その後毒男はツンの状況を話し始めた。
(;'A`) 「内藤、どれくらいの高さから転んだんだ?」
(;゚ω゚)「あ、あの辺りかもしれないお……でも分からんお、とりあえず一番上よりは低いお……」
(;'A`) 「……分かった。
オマエは残った家具が道を防がないように、移動させておいてくれ」
(;゚ω゚)「でもツンが……」
(;'A`) 「ツンはオレが見ているから、早くしてくれ!」
自分はしぶしぶツンから離れると、家具を退けて道を作った。
そうこうしていると、ようやく救急車が来る。
(;゚ω゚)「遅いお、何してるんだお!」
この時自分は毒男が連絡してくれたとも気付かずに、自分の呼んだ救急車が今頃来たのだと思っていた。
- 194:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 00:14:18.42 ID:xtICE8uZ0
- 一瞬にして世界が真っ暗になったと思うと、次には沢山の光が降りかかった。
……映画が終わったのだ。
(*ノωノ)「あぷー……いい映画でしたね」
( ^ω^)「……そうだお、ハッピーエンドで終わってよかったお」
(*ノωノ)「本当ですね」
映画の内容は何となく見ていたので大体分かる。
もっとも台詞は聞いていなかったので詳しくは知らないが。
それよりも涙している風羽さんの顔が愛しかった。
( ^ω^)「もうちょっとゆっくりして、次はカラオケでもいって日頃のストレスを晴らすお」
(*ノωノ)「あ、いいですね!」
そう涙目で笑ってみせる彼女は、すごく可愛かった。
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