( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

9: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 04:52:00.00 ID:YCXfwVd30
  
第1話 「前日」


世界最大の広さを誇る大陸
そこにはVIP・ニューソクの二大国家が領有を分割していた
国民により代表が選出される“正義”を自称する国 VIP
血統を重視し、絶対の王が君臨する“騎士”の国 ニューソク
両国間の仲はけして友好的ではなかったが、大きな諍いもなく刻は過ぎていた

発端は些細なことだった
VIP傘下の国とニューソク傘下の国が争いを起こした
両国共、非常に小さな国で人々はすぐに沈静化するものだと思っていた
しかし、ニューソクの王はこの争いをVIPの宣戦布告とし、戦争を仕掛けた
大陸を二分する二つの巨大国家の争いに人々は巻き込まれた

刻が進むにつれ、両国の戦力に徐々に差が表れ始めた
絶対的戦力差がVIPの勝ちを確信させた

だがそこに、永世中立国として過去200年間の戦争に加担してこなかったラウンジがニューソク側についた
彼らの参戦は戦況を一変させた
“銃”という弓矢よりも遠くから、剣よりも威力のある武器を携え彼らは各地の戦場で猛威を振るった
VIPはかつての領土の3割程を失い、喉元にナイフを突きつけられるような状態にまで陥った


VIPの田舎町、戦乱の火の粉がそこまで迫ってきている地

物語はそこから始まる。



10: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 04:52:47.16 ID:YCXfwVd30
  
(;^ω^)「早く帰るお。皆まってるお。」

慌てて買ったものは落とさないようにしないと。
今日は特別な日。僕とドクオにとって大事な日なんだから。
あまりカーチャンを心配させないようにしないと、カーチャンには安心してもらわないと。

( ^ω^)「…お?」

見たことのない女性があたりを不安そうにキョロキョロしている。
はて?こんな小さな町で知らない人なんていないと思ったが。
ましてや

(* ^ω^)「すっげえ美人だお…。」

なんだか困っているように見えるが周りに誰もいない。
声を掛けた方がいいのだろうか?でも話をしただけで緊張しそうな美人だし
でも…。

(;^ω^)「ド…ドウカシマシタカ……オジョウサン!!」

うまく喋っている自信がない。キモイとかいわれたらどうしよう。
声なんて掛けなければよかった。ああ自分の馬鹿ばかバカBAKA!

そんな自己嫌悪に陥ってると彼女は極上の笑顔を僕に向けた。

ξ゚ー゚)ξ「ありがとう。ちょっと道に迷っちゃって。」

それが僕と彼女の始めての出会いだった。



11: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 04:53:48.50 ID:YCXfwVd30
  
( ^ω^)「ツンはなんでこの町に越してきたんだお?」

あの後、僕は彼女の行き先を聞いたが、この町に越してきたばかりで少し辺りを散策している間に迷ってしまったらしい。
行くあてがないなら僕の家に着いてこないかと渾身の勇気を振り絞ったらあっさりOKしてくれて、今にいたるといったところだ。
僕が女の子を連れてきた時のドクオの反応が楽しみでしょうがない。

ξ゚听)ξ「ン。ちょっと…ね。」
(;^ω^)「あ、いや答えにくい質問だったかお?ごめんだお。」
ξ゚听)ξ「え、そんなことないわよ。それよりブーンの家はどんなとこなの。」
( ^ω^)「もうすぐ着くから楽しみにしててほしいお。とっても大家族なんだお?」
ξ^ー^)ξ「へー。いっぱい兄弟がいるんだー。楽しそうでいいわね。」

厳密には兄弟じゃないんだけどね。まぁ兄弟みたいなものだし、勘付かれても面白くない。
そうこうしているうちに家の前まで着く。

( ^ω^)「ここが僕の家だお。」
ξ゚听)ξ「…ここって。もしかして孤児院?」



12: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 04:54:24.70 ID:YCXfwVd30
  
( 'A`)「おー。ブーン遅かったじゃvgべrkbふじこv:z。」
J('ー`)し「あらあら、ブーンも隅におけないわねぇ。」
(;'A`)「ま、ま、まままま待て待て待て待て落ち着けブーン拉致はよくないあまりにも不謹慎だ北のお国の将軍様だ!!!」
(# ^ω^)「おめーちょっとこっちこいや。」
ξ゚听)ξ「……。」
J('ー`)し「それよりブーン、カーチャンにこの子を紹介してくれない?彼女が困ってるわよ?」

おっといけない、こんな女旱を相手してる場合じゃなかった。
早速カーチャンに僕のかのjy

ξ゚听)ξ「あの、私彼と付き合ってるわけじゃないんですが……。」
(  ω )「かのjy   え?」


(*'A`)「ちょwwおまっwwwテラダサスwww」
J('ー`)し「あらあら、振られちゃったわねぇw」
(;^ω^)「ちょwwカーチャンまでwwwテラヒドスwww」

「なになに〜?どしたの〜?」
「この人だれ〜?」
(*'A`)「おいチビ共ww面白い話聞かせてやるからこっちゃこ〜いww」
(# ^ω^)「おまえマヂ一遍殺すお?」



13: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 04:55:25.10 ID:YCXfwVd30
  
「ブーンこわい〜。」 「やめて〜。」 「怖すぎだぞ〜。」

馬鹿な!!このブリッジ状態のまま両手両足を使い素早く走り、かつ虚ろな表情と白目で動き回るという有史以来だれもやったことのないだろう
この動きを見て皆大爆笑の渦に巻き込まれるはずが…。

(;'A`)「もう止めとけって、ツンちゃんも怖がってるぞ。」
ξ゚听)ξ「………。」

くそう!まず僕が皆を笑わせてパーティを始めようと思っていたのに。
そう、今日はパーティだ。大変で…きっとすごくツライ明日を無事に過ごすためのパーティ。

「ラーラララーラー♪」

チビ達が合唱を始める何処で練習したのかすごく揃っていて一生懸命で綺麗で………少し目頭が熱くなる。
歌が終わり、僕は全力で拍手する。ツンも感動したようで力一杯拍手していた。

( 'A`)「…さてと、俺の番かな。」

そう言ってドクオはいつもの格好をし、いつもの、いやいつもより大目の道具を持ってステージへ向かった。
ドクオがステージに上がると同時にチビ達が歓声を上げる。……僕の時より多くない?

ξ゚听)ξ「すごい人気なのね。」
( ^ω^)「ドクオの“コレ”はパーティの時しか見せないから当然だお。」
ξ゚听)ξ「コレ?それにあの格好は?」
( ^ω^)「見てれば分かるお。きっと感動するお。」

ツンは自分の事でもないのに誇らしげに喋る僕を少しだけ不思議そうに見ていたが、すぐにステージに目を戻した。
部屋にいる全員の視線が自分に向いたのを確認するとドクオを大袈裟な感じでお辞儀をする。
ピンクと白の縞々の服、鼻の頭に赤いボールを付けている姿がひどく似合っている。
ドクオは自分の胸ほどもあるボールに手を掛ける。いよいよ始まるみたいで先程の喧騒が嘘のようにピンと張り詰めた緊張がその場を包む。



14: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 04:57:49.77 ID:YCXfwVd30
  
( '●`)「……ほっ!!」

不安定なボールに乗っかりバランスを取る。こんなことはドクオに取っては朝飯前のことだが
ワザとらしくバランスを崩したようなそぶりを見せる。

「ドクオガンバレ〜。」 「落ち着いて〜。」

チビ達も応援を掛けるがこれは一種のお約束。皆ドクオがこれくらい両目を瞑ってても出来ることを知っている。

ξ゚听)ξ「ね、ねぇ!危ないわよ!大丈夫なの!?」
( ^ω^)「大丈夫だお。これはお約束みたいなモノだお。本番はこれからだお。」
ξ゚听)ξ「そ、そうなの?」

ツンはそれでも心配らしくハラハラした様子で見守っていたが、次第にドクオは安定した様子で指の間に挟んでいたビンを上空に投げる。
投げられたビンは左手から右手へと移行する。それを4本のビンで繰り返す。



15: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:00:38.53 ID:YCXfwVd30
  
ξ゚听)ξ「…すごい。」

チビ達が歓声をあげる。それに気を良くしたのか、ドクオは自身のMAXである6本に挑戦する。
だが、ドクオはそれだけでは満足しなかったらしく。

( '●`)「……チョッとツンちゃん、そこのビンを4本ほど持ってきてくれる?」
ξ゚听)ξ「アタシ?」

まさかドクオ!あれをやろうというのか!危険すぎると言って封印したあの技を!

( '●`)「そう、2本のビンを俺がジャンプした時にボールの上に置いてくれない?」
ξ゚听)ξ「えっ!!ちょ、ちょっと!本当に危ないわよ!!怪我しちゃうわよ!!」
( '●`)「そう、これはとても危険だ。でも……。」

手は動かしながら一呼吸置くドクオ。パフォーマーとして重要な“間”を作り出し皆に向かって喋る。

( '●`)「皆が応援してくれたらきっと出来る!だからもっと大きい声で俺に声援を送ってくれい!!」

ドクオの声に合わせるようにチビ達が今まで以上の声を出す。もちろん僕だってドクオに声援を送る。
満足げな顔をしたドクオはツンと顔を合わせそして

飛んだ



16: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:01:09.39 ID:YCXfwVd30
  
ξ゚听)ξ「…エイッ!!」

ツンが差し出したビンに器用に足の指を絡めボールの上でバランスを取る。今度は演技じゃなく本当に倒れそうだ。

「ガンバレー!!」 「負けるなー!!」 「ドクオー!!」

チビ達に混じってツンも応援している。それに答えるように少しずつ少しずつ安定していくドクオ。
完全にバランスを取ったドクオに今日一番の拍手と喝采が送られる。だが……。

( '●`)「ツンちゃん残り2本も同じようにお願い。」



17: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:01:50.61 ID:YCXfwVd30
  
こっ、こいつ!己の限界を超えるつもりか!!
いささか(?)興奮気味にそんなことを考えていると皆の口からも不安げな声が漏れ出す。

ξ゚听)ξ「ほっ、本当にやるの!」
( '●`)「モチのロンだ。だから皆もそんな不安そうにしてないでもっと盛り上げてくれや!!」

それでも皆不安そうだったが、チビ達の内の一人が(いつも騒がしい奴だ)ドクオを応援すると
それは波のように広がっていき、ドクオコールで場は埋め尽くされた。
ドクオもいつもより更に緊張気味な顔をしていたが、やがてツンに合図を送るとビンを足で掴んだまま

飛んだ!!

ξ゚听)ξ「…エイッ!!」

ツンが差し出したタイミング・位置はバッチリ。後は、後はドクオがこの上に上手く着地すれば!!

(;'●`)「ウオッ!!」

ヤバイ!!足に挟んだビンの底とボールの上に置いたビンの先端が若干ずれてる!!!倒れる!!!


反射的に目を瞑るがいつまでたってもドクオが倒れる衝撃音が聞こえてこない。
薄く目を開けるとドクオは……ドクオはチャンと4本のビンの上に立っていた!!

「スゲー!!」 「ドクオカッコイイー!!」

間違いなく今日1番の拍手喝采がドクオに対して送られる。
その後、ドクオは危なげなく床に着地し、始める時のようにおどけた調子で、始める前より嬉しそうな顔でおじぎをした。



18: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:03:38.98 ID:YCXfwVd30
  
「ねーねー、ツンちゃんは何かお出し物無いの?」
ξ゚听)ξ「えっ?」

ドクオのパフォーマンスの後、カーチャンが用意したご馳走を食べながら皆で話をしていたところ
チビ達の中でも特に小さな女の子(おっとり天然タイプ)がツンに聞いてきた。
ここに連れてきた責任もあるし止めようかとも思ったが、意外にもツンはあっさり回答したのでその行為はすんでのところで行われることはなかった。

ξ゚ー゚)ξ「アタシはね、占いが得意よ。」
「ホントー!」 「私おねがいー。」 「私もー!」

ツンの答えに女の子達は目を輝かせて我も我もと列を作っていく。
ツンも悪い気はしないのか、一人一人占ってあげている。
もしかしたら本職なのかな?そんな考えも浮かぶほどにツンの態度は堂に入っていた。
皆占ってもらった結果を話し合っている様子ですごく楽しそうにしている。

( ^ω^)「ありがとうだお。皆すごくうれしそうにしてるお。」
( 'A`)「そうそう。俺の時より盛り上がってたよ。」
ξ^ー^)ξ「そう?ありがとう!私も役に立てて嬉しいわ。」

本当に嬉しそうにしているツン。……あぁ、かわいいなぁ。こんな顔もできるんだぁ。
そんなことを考えていると別の名案が浮かんでくる。

( ^ω^)「そうだお!僕とドクオも占ってほしいお!」
ξ゚ー゚)ξ「ええ。もちろんいいわよ。」



19: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:04:41.10 ID:YCXfwVd30
  
(;'A`)「えっ、俺も?俺はいいよ。」
( ^ω^)「いいからいいから。まずはドクオから占ってほしいお。」
(;'A`)「いや、でもなぁ…。」

ごねるドクオを説得しツンに占ってもらう。まったく男の癖に心配性な奴だ。
おおかた嫌な結果が出たらどうしようとか考えているんだろう。…分からないじゃないんだけどね……。

(;'A`)「そ、それじゃあお手柔らかに。」
ξ^ー^)ξ「そんなに緊張しないでよw」

ξ゚听)ξ「…えっ?」
(;'A`)「ど!どうかしたの!!」
ξ゚听)ξ「う、ううん。そんなことなわよ。立派なパフォーマーになってて、人が多すぎるから驚いただけで……。」
(*'∀`)「まじで!!!嘘!!ホント!!うわっマジウレシー!!!」
( ^ω^)「ちょwwもちつけwww」
ξ゚听)ξ「………。」



20: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:07:41.51 ID:YCXfwVd30
  
その後、アタシは立て続けに占ったので、ちょっと疲れたといい。その場から逃げ出し、ソファーを拝借して先程のことを考えていた。

ξ゚听)ξ「なんで…。」

“力”を失った感じはしない。それに、ついさっきまで視えていたんだ、そんなことはありえない。
じゃあ何で……。
それにドクオ君の時に視えたあれは…。

J('ー`)し「ゴメンなさいね。疲れさせちゃったみたいで。」
ξ゚听)ξ「あ、いえそんな…。」

心配して来てくれたのたのだろうが、今はちょっと話をする気分ではない。
だからといって追い返すわけにもいかないけど。

それから、彼女とお喋りをした。なんだか分からないけど少しだけ気が晴れたような気がする。
感謝しなっくっちゃいけないかな。



21: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:10:20.38 ID:YCXfwVd30
  
J('ー`)し「……今日はね。明日ブーンとドクオが戦争に行くから、景気付けのためのパーティなの。」

ドクンっと心臓がなったのが分かった。
…やっぱり、やっぱりそうなんだ。
ドクオ君を視た時のあの光景は……。

J('ー`)し「2人共まだまだ子供だし、子供達も2人を頼りにしてる。絶対に帰ってきてほしいわ。」

なんで、なんでアタシにそんなことを言うの?お願い、もうやめて。
アタシの願いは届くことなく、彼女は更に言葉を続ける。

J('ー`)し「ドクオったらね、戦争に帰ってきたらパフォーマーになってお金稼いで、カーチャン達皆に楽させてやるんだーなんて言っててね。」

やめて!やめて!それ以上言わないで!!
……違う、言わなきゃ、私が教えてあげなきゃ。ドクオ君は戦争に行ったら!



22: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:11:08.02 ID:YCXfwVd30
  
ξ゚听)ξ「……あの。」
J('ー`)し「うん?」

言わなきゃ!言わなきゃ!!言わなきゃ!!!

ξ゚听)ξ「……きっと、大丈夫ですよ。2人共無事に帰ってきますよ。」

違う、そうじゃない!そんな事を言いたいんじゃない!
…でも、どう言えばいいの?どう言ったら彼女は納得してくれるの?
アタシが考え込んでいると奥からブーンがやってきた。

( ^ω^)「カーチャン、もう大分暗くなってきたからツンを送ってくるお。」
J('ー`)し「わかったわ。ただし…送り狼になっちゃだめよw」
(;^ω^)「ちょwwこの人何言ってんのwww」

だめ、言わなきゃ。今言わないと!



ドクオ君が死んじゃうって



23: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:12:49.77 ID:YCXfwVd30
  
帰り道、ツンの態度は明らかにおかしかった。何かを話そうとしてやめたり、僕の話に気の無い返事をしたり。

( ^ω^)「どうかしたのかお?さっきから何だか辛そうだお?」
ξ゚听)ξ「…なんでもないわ。」

まただ。どうしたらいいのか分からず僕は何の気なしに思いついたことを喋りだした。

( ^ω^)「それにしても、この国の大統領は無能だお。いや、大統領だけじゃないお、政府関係者は皆ダメダメだお。」
ξ゚听)ξ「!」
( ^ω^)「ニューソクと戦争なんてして皆大変な思いをしているはずだお。なんでそんなことが分かんないのかお?」
( ^ω^)「きっとこの国のお偉いさんは皆頭がおかしいんだお。」

ξ )ξ「……なんで…。」
( ^ω^)「ん?」
ξ#゚听)ξ「何でそんなこと言えるのよ!!」
(;^ω^)「ツ、ツン?」

ヤバイ、本気で怒らせてしまったようだ。どうにかして静めないと。
そう思う僕の気持ちとは裏腹に、ツンはドンドンヒートアップしていく。



24: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:13:45.97 ID:YCXfwVd30
  
ξ#゚听)ξ「戦争が無かったときは政府に問題なんて無かったじゃない!!」
ξ#゚听)ξ「大統領だって皆が投票して決めたはずでしょ!?」
ξ#゚听)ξ「大体戦争を始めたのはニューソクが攻め込んできたから仕方なく応戦しただけじゃない!!」
ξ#゚听)ξ「全部…全部政府のせいにするなんて、卑怯だわ!!!」
(;^ω^)「ご、ごめんだお。」

彼女の勢いに押され謝ることしか出来ない僕。
親に政府の人間でもいたのだろうか?もし僕もカーチャンを馬鹿にされたらこんな風に怒るだろう。
だから素直に謝る僕。…ちょっと情けないけど。

(;^ω^)「ごめんだお。」
ξ゚听)ξ「……。ごめんなさい、私の方こそ言い過ぎたわ。」

その後、無言で歩き出し、結局ツンが「ここまででいいから」と言い出すまで会話は無かった。

( ^ω^)「それじゃあ、お休みだお。」
ξ゚听)ξ「…あの、ブーン、ドクオ君の事なんだけど…。」
( ^ω^)「ドクオ?」
ξ゚听)ξ「うん。その、ね。…あの…。」

ツンが何かを喋ろうとした時、低い男の声が彼女の声を遮った。

怪しげな男「ツンだな?我々と供に来てもらう。拒否権は無い。死にたくなければ従っていただこう。」



28: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:16:50.41 ID:YCXfwVd30
  
(;^ω^)「な、あんたら誰だお!ツンに何の用だお!」

男らは5人全員同じ黒い服を着て、みな同じような鉤爪を装着している。
はっきり言って危険なふいんき(なryを醸し出している。

(;^ω^)「もう一度聞くお!!あんたら誰だお!!」

男の一人が軽く腕を上げる。同時に別の一人が僕の下に異常なスピードで詰め寄ってきた。

(;^ω^)「な、何をするつもりだお!?」

精一杯の虚勢を張りながらそう答える。だが。

ドン!!

(;゚ω゚)「おふっ!?」
ξ゚听)ξ「ブーン!!」



29: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:17:40.66 ID:YCXfwVd30
  
今まで感じたことの無いようなするどい痛みが腹部を襲う。
更に2発。3発。たまらずうずくまってしまう。

ξ゚听)ξ「やめなさい!あなた達に着いていくから彼を開放して!」

それを聞くと先程腕を上げた男が僕を殴っている男に何か合図を出し、ツンの下へ寄ってきた。

リーダーらしき男「理解の早い方でこちらも助かる。」

何が何だか分からないが、確かなことはこのままではツンが拉致(ドクオの冗談本当になっちまった)されてしまう。
どうにか、どうにかしないと…。
体を起こそうとしたら先程まで僕を殴っていた男が、その鈍い輝きを放つ鉤爪を僕の首下に持ってきた。
畜生…。このままじゃ…。
そうして何も出来ずにいると先頭の男がツンのすぐそばまで近寄ってきた。

その時

爆音と共に無数の何かがすごい勢いでこちら側に飛んできた。
レンガ?
埃が晴れ、爆音の先が見えるようになってもそこには誰もいなかった。
その代わり黒服5人の内3人が地面に突っ伏し、ツンの前になんだか

やたら筋肉質の男が立っていた。



30: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:18:55.58 ID:YCXfwVd30
  
全員黒服だからイマイチ判別がつき難いが、リーダーらしき男はまだ立っているようだ。ちなみに僕を殴り散らしていた奴は床にキスしている。

ξ゚听)ξ「クックル!」
(*゚∋゚)「………。」

クックルと呼ばれた男は本当に、本当に全く見えないスピードで黒服に近づき、
これまた全く見えないスピードで上から下へ黒服の頭を殴っていた。
確かにそれは原始的な“殴る”という行為なのだろうが、この光景はそんな生易しいものじゃあ断じてない。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

黒服は、頭の先から膝あたりまで地面に埋まっていた。たかが一発のパンチでこんなことになるのか?

リーダーらしき男「…この場は引かせて頂こう。命は粗末にしたくないんでな。」

そう言うやいなや、奴は脱兎のごとく逃げ出した。
それにしてもこの筋肉男、一体何者なのだろう?ツンとは知り合いのようだが。



31: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:21:33.09 ID:YCXfwVd30
  
ξ゚听)ξ「あの、ゴメンなさい。勝手に抜け出したりして。」
(*゚∋゚)「………。」

全く喋らない。怖ええ。マジ怖ええよこいつ!
僕の考えてることが伝わったのか筋肉は僕の方わジーっと見だす。
その表情からは何を考えているかサッパリ分からない。

ξ゚听)ξ「あの人は敵じゃないわ。殴らないで大丈夫。」
(*゚∋゚)「………。」

全く喋らない。いや、それよりもしかしてツンが言わなかったら殴られてた?あれを?
僕の気持ちを知ってか知らずか、筋肉はクルリと体を回転させ、歩き出した。

ξ゚听)ξ「あっ!ちょっ、ちょっと待ってクックル!」
(*゚∋゚)「………。」

ピタッと動きを止める筋肉。なんというか行動も外見もその全てが人間離れしている。
まさに悪魔じみている。いや、歩く筋肉?



32: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/25(日) 05:22:09.22 ID:YCXfwVd30
  
ξ゚听)ξ「…ブーン。ごめんなさい。私のせいで変なことに巻き込んじゃって。」
( ^ω^)「コレくらいなんてことないお。それよりツンが無事で良かったお。」

ちょっとばかし格好付け気味にそんな事をのたまう。
だが、ツンはそんな僕の態度も全く気にせずに言い出しにくそうにマゴマゴしている。
こんな時になんだが、ウン、こんな仕草も似合うなぁ…。
あまりにも場違いな考えをしている僕の思考を遮るように

ξ゚听)ξ「…明日は…二人とも気をつけてね。」
( ^ω^)「知ってたのかお?」
ξ゚听)ξ「うん。おばさまから聞いて…。」
( ^ω^)「大丈夫だお。僕は運がいいんだお。ドクオだってきっとなんとも無く帰れるはずだお。いざとなったら僕が守ってあげるんだお。」
ξ゚听)ξ「…うん。でも本当に気をつけてね。」

その言葉を最後にツンは筋肉の後ろを着いていった。
僕は二人が見えなくなるまで見送ってから家路へ向かった。
明日はきっと大変になる。けど…大丈夫、僕もドクオも絶対に、絶対に生きて帰る。

絶対に!

第1話 「前日」 終



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