( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

306: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:02:19.08 ID:vv4YsYe40
  
第9話 「しぃ」


結局、また何も出来なかった。僕は死なずに周りの皆が死んだ。
ドクオの時も、今回のも、僕はは右往左往と逃げ続けるしか出来なかった。
情けない情けない情けない。
僕は自分の覚悟すらまともに貫く事ができないのか?
ドクオに合わせる顔が無い。このままじゃ情けなさ過ぎてあの世に行くことすら出来ない。

僕が動くと誰かが死ぬ。……ショボンはそう言っていたっけ?

(  ω )「…違うお。」

僕の変わりに誰かが死ぬ。今思うと、そうとしか考えられない。
ドクオも、OPPAIの人たちも僕を庇う様に死んだ。
これじゃあ、これじゃあ本当に



307: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:03:07.25 ID:vv4YsYe40
  
(  ω )「亡霊…だお。」

他人の生気を吸い自分の糧に変える。
そのまま膨張し続けたら僕は何処に行き着くのだろうか。
不死?馬鹿な!御伽話じゃあるまいし。

( ;ω;)「ウゥゥゥ…。」

ドクオ。ゴメンお。ゴメンお。
でも、僕が動くと誰かが僕の代わりに死んじゃうんだお…。


僕が今いる所は何だか古びた牢屋だった。
地下だからなのか、酷く空気が淀んでいて、少し息苦しい。

コンコンっと遠くで何かが響く音がする。
音はこちらに近づいてきて、僕の前で止まった。



308: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:04:28.26 ID:vv4YsYe40
  
( ><)「捕虜NO.B−201!お前を今日限りで条件付釈放とします!」
( ;ω;)「へあっ?」

意味が分からない、僕はついさっきここで目を覚ましたばかりだ。

(;><)「何泣いてるんです!条件付とはいえ釈放です釈放!ほら、これで顔拭いてさっさと出るんです!」

そういって彼はハンカチを僕に手渡してくる。格好は看守のようだが、こんなんで看守つとまるのか?

( ;ω;)「…あでぃがどぶだぼ(ありがとうだお)。」

思いっきり鼻をかむ。フー、スッキリした。

(;><)「ちょっと!!アンタ何やってるんです!?意味不明です!?全然わかんないです!」



309: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:04:59.92 ID:vv4YsYe40
  
( ><)「釈放条件は、“この国の法に従う事”、“この国を出ない事”、“進入禁止区域に入らない事”この三つだけです。」
( ^ω^)「この国を出ないはいいとして、法に従う・進入禁止区域ってのはイマイチ分かりにくいお。」
( ><)「進入禁止区域は人目で分かるようになってるから問題ないです。…法に従うは、覚えてもらうしかないんです!」
( ^ω^)「…それで、僕達は何処に向かってるんだお?」
( ><)「お前の釈放を斡旋してくれたこの国のナンバー2の方です!」
(;^ω^)「ちょwwなんでイキナリそんなお偉いさんが僕を釈放するんだお!?」
( ><)「そんなこと僕がわかるはずないんです!!着きました!ここです!!」

国のお偉いさんなんて聞いていたから僕はてっきりもっと豪奢な屋敷に連れて行かれるのかと思ったが、
僕のいた牢屋の上にあるなんかヘンテコリンな容器が並ぶ部屋の前に連れてこられた。

( ><)「ワカンナイデス看守官!ただいま条件付釈放員を連れてまいりました!」

しかし、呼びかけられたその人物は何かに没頭しているのか、全く気付かない。

(;><)「アノー…。しぃ様?」
(*゚ー゚)「ん…、ああ御免なさい。ちょっと研究に没頭してて気が付かなかったわ。」



310: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:06:09.06 ID:vv4YsYe40
  
(*゚ー゚)「うん、お疲れ様。」
( ><)「それでは失礼します!」

女性だったのか。いや、それよりこんな若いのに。

(*゚ー゚)「どうしたの?そんなにジロジロ見ちゃってww」
(;^ω^)「いや、何でもないですお。」

正直胸元に目が言っていたがそんなことは勿論いわない。

(*゚ー゚)「そう?それならこちらの用件を済ませていくわね?」
(;^ω^)「はいだお。」

正直その扇情的なボディが気になる。

(*゚ー゚)「それじゃあ質問形式で済ましていくから正直に答えてね。」
(*゚ー゚)「それじゃあ最初は“あなたはころされたことがありますか?”」
(;^ω^)「へっ?なんだお、その質問?」
(*゚ー゚)「ちゃんと答えなさい。あなたに拒否権は無いのよ。」
(;^ω^)「…ないお。」



311: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:06:43.95 ID:vv4YsYe40
  
それから僕は意味のよく分からない質問をされた。
実際何の意味があるのだろうか、意図の分からない事を何度も何度も質問された。
しかし、この質問は……

(*゚ー゚)「“あなたは他人の犠牲で生き残った事がありますか?”」
(;゚ω゚)「………!!」

その質問は…その質問はピンポイント過ぎる!
こんなことをこたえさせようというのか!?

(*゚ー゚)「質問に答えなさい。“あなたは他人の犠牲で生き残った事がありますか?”」
( ´ω`)「あり……ます…お。」

僕の答えを聞くとしぃは、首を下に向け震えだす。
何故振るえているのか?ここからでは表情が読み取れない。

(*゚ー゚)「うふふふふふふふ。やっぱりそうだったのね。ふふ、ふふふ。」
(*゚ー゚)「これで間違いないわ!!やっぱりアナタだったのね!!ふふうふうふふ!!」

瞳に狂気を宿し、しぃは僕を見つめなおした。



312: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:08:15.18 ID:vv4YsYe40
  
先程までのおだやかな空気から、よく分からない危険な空気へと変わっていく。

(*゚ー゚)「ふふ。質問を続けるわよ。“アナタは成人女性の肉体に興味はありますか?”」
(;^ω^)「あ、ありますお?」
(*゚ー゚)「“もし、あなたの前でHなことをしてくれる女性が出てきたときどうしますか?”」
(;^ω^)「分かりま…せんお。」
(*゚ー゚)「うふふ、嘘はダメよブーン君?汗をなめれば。」

べろり

(;゚ω゚)「ひう!!」
(*゚ー゚)「嘘はだめじゃない、味で分かるのよ?」

そういってしぃは僕に近づいてくる。
その腕を僕の首にグリンと回され、僕は体を拘束される。
しかし、何故か分からないが、ピンクな空気よりも今は嫌悪感のほうが先に立つ。

(;^ω^)「止めて、下さいお。」
(*゚ー゚)「うふふふうふふ。だめよ、あなたに拒否権は無いの。」

そういって僕に体を摺りよわせてくる。



313: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:08:48.51 ID:vv4YsYe40
  
喰われる!!

そう思ったと同時に、僕は反射的にしぃの体を全力で突き飛ばした。

しぃは一瞬だけ不思議そうな顔をしていたが、やがて先程の表情に戻っていく。

(*゚ー゚)「ふふ。まあいいわ。時間もたっぷりある事だしね。」
(*゚ー゚)「それと…あなたには危険行為をしたとして監視を付けることにします。」
(;^ω^)「ちょ、ちょっと待つお!今のは。」
(*゚ー゚)「それから、私はこれから実験施設のほうへ向かいます。同じ建物ないですがこちらは進入禁止区域ですのではいらないように。それじゃ。」
(;^ω^)「あ…ちょ…っと。」

扉は無常な音を立て閉められた。



314: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/26(月) 22:09:31.04 ID:vv4YsYe40
  
うふふふふふふふふ。
女の笑い声が不気味に響く。
目隠しと口輪され、椅子に縛られている女性の周りを嬉しそうに巡回する。

(*゚ー゚)「今日はちょっと嬉しい事があってね。上機嫌なの。」
(*゚ー゚)「そんなに緊張しないで、前も言ったでしょ?乱暴な事はしないって。」

そういって縛られている女性の後ろ側からギュウっと抱きつく。

「ふうっ!!」

縛られた口元から声がもれる。

(*゚ー゚)「だから言ってるでしょ?乱暴な事はしないわ。」
(*゚ー゚)「私は有能な人間には優しいの。とことんやさしいのよ?」
(*゚ー゚)「だから邪魔な目隠しも口輪も取ってあげる。」

(*゚ー゚)「うふふ、かわいい顔…。」

女性は急に光が入り込んできて眩しそうににしていたが、やがて目が慣れるとしぃを睨みつけた。

(*゚ー゚)「ふふ。そんなに睨まなくてもいいんじゃない?ねぇ、ツン。」



第9話 「しぃ」   終



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