( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

677: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/29(木) 03:17:20.99 ID:peTjNSpz0
  
第14話 「作戦」


(# ^ω^)「それでどうするんだお!?それじゃあジョルジュが死んじゃうお!」
「俺達の目的はあくまでアサピーの抹殺だ!この機会を逃す手はない!ジョルジュもきっと分かってくれるはずだ!!」

くそっ!この分からず屋が!!
先程から止まらない口論。僕は今OPPAIのアジトにいる。
僕が何故ここにいるかは順を追って説明することにしよう。

僕はツンと一緒に寝た後(結局眠れなかったが…)朝になり、地図だったかどうか確かめることにした。
結果は地図で間違いなかった。間違いはなかったのだが…。
縮尺の関係でVIP付近の事は全く描かれていなかった。
迷った末に僕はツンを起こし、ラウンジへと向かうことにした。
ラウンジもあまり詳しいとは言えないが、現実的問題として僕は腹が減っていた。
ツンにも何か食べさせないといけないし、意外と近くまで来ていた事から、ここを目的地に決めた。
それに、ジョルジュがあれからどうなったかの手がかりも得られるかもしれない。そんな考えもあった。

ラウンジには問題なく到着した。問題があったのは到着してからだった。

[反乱組織OPPAIリーダー“ジョルジュ”を、国家転覆を企てた罪とし、明日正午公開処刑と処す。]

僕は、ジョルジュが生きている喜びと、危険がすぐそこまでせまっている状況に
喜びと戸惑いがないまぜになった気持ちの悪い感情でいっぱいになった。
僕は空腹も忘れ、ツンヲ連れて急いでOPPAIのアジトへ向かった。
そして先の戦いでここに残った人たちが作戦会議絵を開いている所に出くわし、冒頭のシーンへが展開される。



678: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/29(木) 03:17:53.88 ID:peTjNSpz0
  
「アサピーが公開処刑の場に顔を出すと公言しているのだ!!奴は我々が壊滅したと思っている!今なら奴を討てる!!」
(# ^ω^)「それはジョルジュを助けるのも一緒だお!!この時しかジョルジュを助けるチャンスはないお!!」

話は先程から平行線をたどり続け、全く進展する様相を示す気配がない。
だが、ほとんどの人はアサピーを討つ事に賛同し、僕の考えに同調を示すのは4・5人しかいなかった。

「ふぇっふぇっふぇっwwそうカッカするでないおぬし等。もうちょっと落ち着かんか。」
「そうは言いますがね!?」
(# ^ω^)「そうだお!ジョルジュの命が掛かってるんだお!!」

老人が笑いながら悠長な事を言う。
彼は僕がここで始めてあったあの老人だ。
先程から会議の流れを見守っているだけだったが、遂に口を開いたかと思ったら先程のセリフを言われた。

老人「だからそうカッカするでないと言っておろうが、この馬鹿者どもが。」
老人「ブーンが少数の人間を連れてジョルジュを助け出し、お前らがアサピーを討つ。これで良いじゃろ?」
「……それなら。」
(;^ω^)「……まぁ。」

というか何でそのことに思い至らなかったんだ?僕は馬鹿か?
…なるほど、カッカしていたからか。確かに頭が働かなくなる。
僕達は老人の案を採用し、細かな点を決めていった。

「決行は今から2時間後の正午!!場所は城の前の大広間だ!!今度こそ必ず計画を成功させるぞ!!!」
「「「「「おう!!!」」」」
「では、解散!」



679: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/29(木) 03:19:02.93 ID:peTjNSpz0
  
ξ゚听)ξ「ブーン?本当に大丈夫なの?」
( ^ω^)「大丈夫だお。今度こそうまくいくお。」

僕はツンに今までのいきさつを簡潔に話し、彼女もそれで大体は理解したようだった。
決行は二時間後、それまでに僕はツンに言わなければならない。
嫌われようとも、それがツンのためなのだから。

ξ゚ー゚)ξ「そう。それじゃあアタシも付いて行くわよ?」
( ^ω^)「…だめに決まってるお。」
ξ゚ー゚)ξ「大丈夫よ。アタシだって相手の動きを視ることができるんだから。」
( ^ω^)「そういう問題じゃないんだお。」
ξ゚ー゚)ξ「?」

あぁ、できるならずっと一緒にいたい。けどそれはダメだ。
ツンの笑顔が好きだ。ツンの怒った顔が好きだ。ツンの照れた顔が好きだ。

( ^ω^)「…とにかく、危険だからダメだお。」
ξ゚听)ξ「待ってよ!危険なのはブーンだって一緒じゃない。アタシは付いて行くわ。」



680: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/29(木) 03:19:21.88 ID:peTjNSpz0
  
ツンの仕草が好きだ。ツンのやさしさが好きだ。ツンの心が好きだ。
ツンが好きだ。ツンが好きだ。ツンが好きだ。
まだ会って間もないのに、僕はツンを好きになっていた。

( ^ω^)「…来られても邪魔なんだお。困るのは僕だお。」
ξ#゚听)ξ「なっ!そんな言い方ないじゃない!アタシはただブーンの力になろうって!」

好きなのに、好きだけど、好きだから、僕はツンにキチンと言わなければならない。
僕という呪いから逃がしてあげなければいけない。
失いたくないから、失わなければならない。

( ^ω^)「…僕のそばにいる人は皆死んでしまうだお。ツンは死にたいのかお?」
ξ#゚听)ξ「何よそれ!意味分かんないわよ!なんでアンタのそばにいるだけで死んじゃうのよ!!」
( ^ω^)「事実なんだお。だからツンは僕と一緒に何ていないでVIPに帰るんだお。」
ξ#゚听)ξ「何よ!結局はアタシと一緒にいたくないんでしょ!?そんなに言うなら消えてやるわよ。」

ツンの勢いに若干たじろぐ。それでもまだ足りない。更にもう一押し。

( ^ω^)「ああ、消えてくれお。僕もその方が……せいせいするお。」
ξ;;)ξ「………!!」

ツンは部屋から飛び出していった。その瞳に宿る水滴が光りを反射していた。

………これで、いいんだ…これで…。



681: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/29(木) 03:21:05.34 ID:peTjNSpz0
  
(-@∀@)「いい格好ですねぇジョルジュ君。大勢の前で処刑される直前の気分はいかがです?」

アサピーがイヤミったらしく問いかける。
全身傷だらけで拘束されているジョルジュは、笑顔で返答する。

( ゚∀゚)「なかなか悪い気分じゃねえなぁ。俺は根っから人前に立つのが好きなもんでね。」
( ゚∀゚)「後はステキおっぱいがいりゃあ完璧なんだがな!」
(#@д@)「キー!どこまでも憎たらしい!」

そういってアサピーはジョルジュに蹴りを入れる。何発も何発も何発も。
ジョルジュがたいして痛そうな顔をしないところが、またアサピーの怒りに触れる。

(#@д@)「どいつもこいつも…“レギオン”の人間はどうしてこうもいけ好かないのか!」
( ゚∀゚)「はっ!てめぇに好かれるようになったらお終ぇだ。」
(#@д@)「……まあいい!どうせお前は奴らをおびき寄せる餌です!せいぜい残った時間を楽しんでなさい!!」

そういって何処かに消えるアサピー。
アサピーが消えてから顔を苦痛で歪める。



682: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/29(木) 03:21:43.05 ID:peTjNSpz0
  
( ゚∀゚)「つつつ…。ったく、思いっきり蹴りくれやがって。」
( ゚∀゚)「それにしても…参ったね。」

アサピーはジョルジュを処刑時に自分がその場に顔を出すことで、残存しているOPPAIの殲滅を謀っている。
そのことがジョルジュには堪らない。自分のせいで仲間を危険にさらす事があってはならない。

( ゚∀゚)「…どうしたもんかね。」

行える事など一つもないだろうが、ジョルジュは必死に考えていた。

( ゚∀゚)「…ブーンの野郎がいたらなんとか何のかもな。」

自分でも何でそんな風に思ったのか分からないといったで感じでジョルジュは苦笑する。
それでも、あいつがいたら万事解決だな。
そんな奇妙な確信が心地よく、ジョルジュは遂には声を上げて笑い出した。

処刑執行まで後一時間。



683: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/29(木) 03:22:36.93 ID:peTjNSpz0
  

男はそこに立っている看板を見つめていた。
刑の執行が行われると書いてあるそれを無表情に見つめている。

「………。」

男は静かに歩き出した。

奴はここにいる。

その確信が男の足取りを早めさせる。
成人男性よりも一回りも二回りも大きな体躯を揺らしながら、
男は目的の場所へと向かった。

男はやたら筋肉質だった。



第14話 「作戦」  終



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