( ^ω^)ブーンが運命に喧嘩を売るようです

3: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:14:12.57 ID:yVAl4Y3n0
  
第18話 「宴の後には」


僕は生き残った。
何度も死ぬかと思う程にアサピーの攻撃を受けたが、生き残った。
あの後、気を失った僕はツンとジョルジュに抱えられ、医者に見せられたそうだが、
不思議な事に直接命に関わるような傷は一つも無く。すぐにでも全快するだろうと診断されたらしい。
二人はとても喜んでくれたが、僕の心の中は複雑だった…。

城の前一帯が消滅していた。
本当に何も無い。建造物はもとより、木も草も、更には二人も消えていた。
彼らが生きているのか?それとも相打ちで死んだのかは定かではない。
とにかく、彼らは辺り一体を根こそぎ“原子分解”してしまったようだ。
…ちなみに、僕はこの時ジョルジュに言われ、筋肉が『原子分解』である事を知った。
成る程…だからあんなに強かったのか…。



4: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:14:51.08 ID:yVAl4Y3n0
  

ジョルジュは、“ラウンジはもう戦争に参加する意思は無い。お互いに休戦協定を結んではどうか?”
という文書をVIPとニューソクに送るために、遣いを派遣した。
これですぐに全てがうまく行くとは思えないが、徐々に元の世界へと戻っていくだろう。
「俺達がなしたことはすぐに世界に波及するだろう」。ジョルジュはそう言っていた。

「今夜は祭りだ!」続けてジョルジュはそう言った。
まだ、これから大変な事だらけで、そもそもこの国だってまだまだ安定してないのに。
それでも、僕は“らしい”と思って笑みをこぼした。
…アサピーに仕えていた兵達は、当初敵対の様子を示していたが結局ジョルジュに従うようになった。

「行くあてねぇんなら俺のところに来ないか?敵じゃなければどんな奴でも助けるのが俺の主義だからな。」

この言葉が決定打となり、今は一緒に祭りの準備をしている。
本当、すごいよな…。

かくして、祭りが始まった。



5: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:15:39.78 ID:yVAl4Y3n0
  
( ^ω^)「……というお話だったのさ。」
ξ゚听)ξ「?何言ってるの?」
(;^ω^)「い、いや、なんでもないお!ただの説明だお!」
ξ゚听)ξ「?」

皆の嬉しそうな声が辺りに響き渡り、楽しげな歌声がラウンジ中を木霊する。
ジョルジュが腕を振りながら淫猥な言葉を叫んでる。…馬鹿だ。

僕はもう動く事はできるのだが、大事を取ってツンに見張られ……見守ってもらいながら
宴の中心から離れたところで、皆の様子を楽しんでた。

ξ゚ー゚)ξ「何にやにやしてるのよw」
(;^ω^)「痛っ!ちょwツンやめるおw」

ツンは僕の傷口をつんつん触る。痛い。正直やめてほしい。でも、これは…あ、新しい感覚が!
僕が何かに目覚める前にツンは止めてくれた。

ξ゚ー゚)ξ「ねっブーン?ちょっとあっちのほうに行かない?」
(;^ω^)「おっおっおっ?」

ツンが指差した先には、今は誰もいないであろう静かな個室。

もしかして…きた?

少しばかりの期待を胸に、僕はツンの後に付いていった。



6: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:16:40.61 ID:yVAl4Y3n0
  
ξ゚ー゚)ξ「あのね、ブーン。」
(;^ω^)「う、うんだお。」

やはり、やはりそうなのか!これで晴れて僕とツンは……。

ξ゚ー゚)ξ「アタシ、世界を旅してみようと思うの。」
(;^ω^)「僕もきm……お?」

あれ、何か違う話?ヒトリバシリデスカ?

ξ゚ー゚)ξ「?どうかした?」
(;^ω^)「いや、何でもないお。続けてくれお。」
ξ゚ー゚)ξ「それでね、アタシ考えたんだけど。」
ξ゚ー゚)ξ「この戦争が終わったら、もうアタシがVIPで未来を視る必要はないと思うの。」
ξ゚‐゚)ξ「あそこに居る時はアタシに自由はなかった。アタシは便利な“道具”。それだけだったわ。」
ξ*゚ー゚)ξ「でもね!世界に出れば、アタシは道具じゃなくて“人”として皆と接してもらえると思うの!」

ぱあっとツンの顔が明るくなる。そんなツンに見惚れる僕。

ξ*゚ー゚)ξ「それにね!アタシの力も誰か困ってる人の手助けになるかもしれないでしょ!?」
ξ*^ー^)ξ「今まで出来なかった事をイッパイして!今まで見れなかったものをタクサン目にしたいの!」
ξ*^ー^)ξ「きっと、世界はアタシを楽しませてくれるわ!!」



7: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:17:19.74 ID:yVAl4Y3n0
  
子供のようにハシャグツン。世界に対して希望で満ち溢れているように。

( ^ω^)「それは…。」
ξ*゚ー゚)ξ「ウン?」
( ^ω^)「それはいい考えだと思うお。きっとツンならどこに行っても好かれると思うお。」

偽らざる本音。ツンはどこに行ってもきっと大丈夫だろう。

ξ*゚ー゚)ξ「ウン…それでね?」
( ^ω^)「…それで?」
ξ////)ξ「えっと…ブーンにも一緒に来て貰いたいな…なんて…。」
( ^ω^)「………。」

僕は…僕はツンと一緒にいていいのか?ツンを死なせてしまうのではないか?
…きっと大丈夫だ。戦争は終わった。戦いは過ぎ去った。
ツンが僕と一緒にいる事を望むなら、それに答えればいいじゃないか。
もし、ツンに危険が及ぶようなら、さっきみたいに僕が助ければいいじゃないか。
…何より、僕がツンと一緒にいたい。

( ^ω^)「僕は…。」
ξ////)ξ「…うん。」
( ^ω^)「一緒n「それはダメだよ、ブーン。」
ξ゚听)ξ「えっ?」
( ^ω^)「……。」
(´・ω・`)「それはダメだよ、ブーン。」

ショボンは、やはり現れた。



8: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:18:26.19 ID:yVAl4Y3n0
  
(´・ω・`)「それはダメだよ、ブーン。

三度目の邂逅。
…そろそろだとは…思っていた。
これからショボンは、僕にこう問いかけるんだ…そう…

(´・ω・`)「もう理解したかい?自分が“違う”という事を。」
( ^ω^)「…そろそろ来る頃だと思ってたお。」

きっと分かってて来たのだろう。僕がもう理解したということを…。

ξ゚听)ξ「ちょ、ちょっと待ってよ!ブーン、その人の事知ってるの?」
( ^ω^)「…ツンも知ってるのかお?」
ξ゚听)ξ「知ってる、けど。」
(´・ω・`)「僕の事はどうでもいい…いや、もうそんな事を言ってられなくなってきたね。」
( ^ω^)「どういう事だお?」
(´-ω-`)「…順を追って話そう。僕の名はショボン。ブーンにはもういったね?」
(´-ω-`)「僕は…故郷を失ってここに来た。」
(´-ω-`)「僕のいた所は…青い世界だった。そこで僕はある研究をしていた。」



9: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:19:02.90 ID:yVAl4Y3n0
  
ショボンの指がクルクルと交差しだす。

(´-ω-`)「父と…沢山の研究者達と共に、“運命”を綴るプロジェクトに参加していたんだ。」
( ^ω^)「運命を…。」
ξ゚听)ξ「…綴る。」
(´-ω-`)「そう。運命を綴る。実験場の名前から取って『プロジェクト2CH』。」
(;^ω^)「それは…前に聞いた事があるお。いったいそれが何々だお?」
(´-ω-`)「…『アカシャ』によって運命を綴り、世界をコントロールする計画だよ。」
(´-ω-`)「…いや、結局はコントロールする事も諦めたんだったね。」
(;^ω^)「コントロールって…。」
ξ゚听)ξ「でも…故郷を失ったって…。」
(´・ω・`)「そう。僕のいた所は崩壊し、プロジェクトも結局頓挫したんだ。」

閉じ続けていた目を開き、少しの時間間を取るショボン。
その間にも指の動きは止まらない。



10: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:20:00.43 ID:yVAl4Y3n0
  
(;^ω^)「それで、結局何が言いたいんだお?わざと遠回りして喋ってる感じがするお。」
(´・ω・`)「…確かにプロジェクトは途中で終わった。しかし、そのテストプログラムは遥か昔に導入されていた。」
(´・ω・`)「気が遠くなるような昔からその地で運命を綴り続けてきた。」
ξ゚听)ξ「待ってよ!それってまさか!?」
(´・ω・`)「…長い時を刻みながらも、この地で未だに稼動している。」

…頭が、混乱してきた。遥か昔に?ここで?運命を綴り続けてるってのか?

(´・ω・`)「そのアカシャがつい先日VIPの地で発見された。」
ξ゚听)ξ「VIPで!?」
(;^ω^)「そんな…VIPの近くにそんなものがあったのかお…。」
(´・ω・`)「アカシャを手に入れようと、彼女が動き出した。」
(´・ω・`)「僕は、彼女の間違った理想を止めなければならない。不当に世界に干渉させてはいけない。」
(;^ω^)「彼女って…誰だお?」
(´・ω・`)「…ブーン。それにツン。二人とも知っている人物さ。」

僕達二人ともが知っている人物?
自然とツンと顔を向き合わせる。



17: ◆y7/jBFQ5SY :2006/06/30(金) 22:29:12.48 ID:yVAl4Y3n0
  

(´・ω・`)「本題はここからだよ。」

そういって指の交差を人差し指から中指に変える。

(´・ω・`)「彼女は皇王を駒として使い。」
(´・ω・`)「ロビーに、VIPを攻めさせた。」
(;゚ω゚)「…!!」
ξ゚听)ξ「そんな!!だって…だって、もう戦争は終わるはずでしょ!!VIPとニューソクが戦う必要なんてないじゃない。」
(´・ω・`)「ニューソクなんて始めから関係なかったんだよ。」
(´・ω・`)「ただロビーにとって、彼女にとって都合が良かったから使い続けていた。それだけのことだよ。」
(;゚ω゚)「それで!VIPは今どうなんだお!!カーチャン達はぶじなのかお!?」

外が急にざわつき始める。何かがあったらしい。
でも、今はコッチの方が重要だ!

ふとツンの方を見る。青ざめた顔が目に入る。
同時にジョルジュの慌てた声が聞こえる。

「なんだと!!もう一変言ってみろ!!」
「く、繰り返します!VIPは、VIPは!」


(´・ω・`)「…壊滅したよ。」



第18話 「宴の後には」  終



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