( ^ω^)が退魔屋になったようです

38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:32:55.15 ID:2xRbCs6d0
  
暗闇の中フラッシュバックするのはあの光景。
紅い水溜りが広がり、そこに一人立っている。
気分は高揚し、それが快感とも成っていた気がする。

?【いい加減認めてしまえ、ソレがおまえの本性だ】

内なる何かが、そう囁く。
( ^ω^)「違うお、あれは俺じゃないお!」
?【快感を感じ、人を殺め、何が違う お前は立派な殺人鬼だ】
( ^ω^)「あれは・・人じゃないお!吸血鬼だお!それの繁殖を阻止しただけだお!!」
?【じゃあ、なんでお前は、快感を感じていた。あの血の池の中、なぜ頭をつぶす必要がある?
  切り離せばいいだけじゃないか。なぜ拒む?なぜ拒絶する?受け入れろそうすれば・・・・】


うるさい、うるさい、うるさい!

( ;ω;)「うるさああああああああああいい、黙れ黙れ!違う違う、あれは俺の意思じゃないお
      あれは俺じゃないお、奴らは人じゃないお!だから、つぶした、壊した、殺したお!!」

暗闇の世界の中
内なる何かが、必死に柵をつかみ、叫ぶ

?【まだ、否定するのか!あれはお前だ、お前が殺した、血の中で快感を感じていた、
人を殺し優越感に浸っていた、お前にはその力がある、お前は喜んでるんだ、
仕事といって人を殺めるのを肯定し、楽しんでいるんだ!】



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:33:29.64 ID:2xRbCs6d0
  
( ;ω;)「あああああああああああああああ」

頭の中に響く声は、直接俺の神経を侵してくる
頭から、脊髄を通り、ゾクリという感覚と共に、血液と同じように体中へと進入してくる。
一度かかったら抜け出すことの無い毒。それは俺を狂わせ、そして死に至らしめる。

( ゜ω゜)「あア、ア、、ァ、、、ァアァァ、、、」

それに抵抗するように、必死に何かを探す。
暗闇が支配するこの世界で。抗うことの出来無い支配の中。
それでも、何かの救いを求め、手を伸ばす、地面をつかむ
そして引っかく。

助けて・・・・ガリガリガリガリ
いやだ・・・・ガリガリガリガリ
違う・・・・・ガリガリガリ
俺じゃない・・・ガリガリガリガリ

違う【認めろ!】違う【認めろ!】違う【認めろ!】
違う【認めろ!】違う【認めろ!】違う【認めろ!】

ガリガリガリガリガリガリガリガリ
いやだ【殺した!】いやだ【殺した!】いやだ【殺した!】
いやだ【殺した!】いやだ【殺した!】いやだ【殺した!】

ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ

第6夜



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:33:59.38 ID:2xRbCs6d0
  
( ;^ω^)「うわあああああああああああああああああああ」

ばさっと布団を跳ね除け、身を起こす。
目に入ってきたものはいつも見慣れた風景だった。
自室、何時帰ってきていつ着替えたのかは分からないが
寝巻きで、自分の布団の上で横になっていた。

いやな夢をみたからだろうか、寝巻きはじっとりと汗を吸い取り
少しばかり重くなっていた。
( ;^ω^)「きもち…わるいおっ…ハァ…」

あの夢は力を開放しすぎたために見たのだろうか。
今まではあんな夢は見たことが無かった。
夢の光景が、脳裏に浮かび上がってくる

( ;^ω^)「う・・・ぁ」

胃から逆流してくるなにかを必死に抑えるようにしてうずくまる。
すっぱい味が口いっぱいに広がり、再び同じようにむせ返す。

こんな俺の状態をしってか、知らずか、爺がいつのまにか水を持ってそばにいた。
/ ,' 3「さ、若様どうぞ」
そういって差し出された水を一気に飲み干す。
熱を持っていた体にひんやりと冷たい感覚が広がり。
ようやく俺は落ち着いた。



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:34:26.73 ID:2xRbCs6d0
  
/ ,' 3「大丈夫ですか?若様」
( ;^ω^)「ああ、落ち着いたお・・」
/ ,' 3「酷くうなされていたようなので、少し心配致しましたが。」
( ;^ω^)「もう心配いらないお、大丈夫だお。」
グッグッと感覚を確かめるように手のひらを握る。
幸い、傷みは無かった。

( ;^ω^)「それより、今は何時だお…」
べっとりと汗をかいた寝巻きを脱ぎながら爺に聞く。
/ ,' 3「はい、12時頃になります。」
予想外に寝ていたようだ。今日は学校は休むしかないか・・

/ ,' 3「若様」

俺が着替え終わるのを待っていたのだろう。
少し真剣な声で、爺が話し掛けてきた
( ;^ω^)「ん・・・なんだお?」
大体予想はついている。力のことだろう

/ ,' 3「私、あまりうるさくは言いたくないのですが、若様の力は特別です。
    体と心が熟成されるまでは、あまり使われないように心がけてください。
    もし、人手が足りないのであればこの私目が、僭越ながら力になりますゆえ・・・」
爺曰く、昔は自分も魔を退治していた一人だという。
今の白い髪、白いあごひげを携えた姿からは想像できないが。



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:34:47.83 ID:2xRbCs6d0
  
( ;^ω^)「分かってるお。昨日の力の解放は半ば強制的にだったお。
       これからはそんなことが無いように気を付けるお。」
俺はいつも言われる爺の言葉にこう返している。
まるでテンプレートが用意されてるかのように、爺の発言に対する返答が俺の中には用意されている。

しかし、そんなテンプレートのような発言でも、爺は俺の口から聞けたことがうれしいのか、ニッコリと笑うと
/ ,' 3「さ、食事の支度ができてます。下階へとどうぞ」

そういいながら、部屋を後にしていくのだった。


簡単な食事を済ますと、俺は情報収集のためにテレビをつける。
無論ニュース番組だ。しかしながら、俺が望んでいる情報は放送されていなく、
お昼の特集!なんとかという、ご当地のおいしい料理!とかいう企画が放送されていた。
仕方なしに、耳はテレビの音に傾けつつ、新聞を開く。



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:35:31.25 ID:2xRbCs6d0
  
吸血鬼、吸血鬼

その文字を探しながら、何面かをめくる。
今一番、話題になっているのは衆議院選挙のため、ほとんどのページにそれ関連の話題が載ってある。
俺は、何ページがめくった後にお目当てのページを発見した。

しかし、そこに乗っていたのは想像していたのとは少し違った記事だった。
『吸血鬼、再び登場』
昨日俺は、数多くの吸血鬼を屠った。しかも後始末はつけずに。
昨日屠った死体が誰かに見つかった場合、問題となるだろう。
俺はそれを危惧していた。

しかし、記事を読んでいくにつれ、ソレはまったく関係なく。普通に吸血鬼による犯行のみが掲載されていた。
( ;^ω^)「・・・どういうことだお?」
まだ、少しモヤのかかってる頭にズキリと痛みが走る。
考えるのはよしたほうがよさそうだ。

しかしながら、気になる点は何個もある。
一つ。敵を破壊するのに時間がかかりすぎたこと。
一つ。死体をそのまま放置したこと。

魔の退治屋。一概には信じられないこのような闇の職業は
日の光にさらされるのを一番危険に想う。
どうやら、確認だけはしておいたほうがよさそうだ。

俺は、上着を着ると町へと繰り出していった



45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:36:02.41 ID:2xRbCs6d0
  


時刻にして、14:00付近。日の日差しはだんだん和らいできているが、
その日差しを一直線に受けているアスファルトからは蓄えられていた熱が放射される。
日中のなかで一番暑い時間帯だ。

ゆらゆらと、蜃気楼のように、少し先の視界が揺らいでいる

( ;^ω^)「あ・・つ・・いお…」

吸い込む息が熱ければ、吐き出す息も熱い。
オフィス街が並ぶこの町にはこの時間帯はあまり歩いている人はいないようだった。
とあるビルの入り口に出来ている日陰に入るとゆっくりと息を吸う。

( ;^ω^)「くるしいお…」

体調は想ったよりもよくはなかった。力の解放による反動だろう。
目の前はグルグルと視界がゆがみ、意識が飛びそうになる。

しかし、確認をするまでは倒れるわけには行かない。
もう良い一度だけ、深呼吸をすると再び俺は歩き出した。



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:36:55.91 ID:2xRbCs6d0
  

日中なのに、昨日の現場へと続く
薄暗いその路地に入り込んだ瞬間
違和感に襲われる。まるで現実の世界なのに、別の世界に入り込んだような言い表しにくい違和感。
目の前が熱くなり、ドクンドクンと鼓動が早くなる。
これは 警告 だろう。
体がこれ以上進むな。先にいくな、引き返せという。

しかし、そんなわけにはいかない。
( ;^ω^)「ぁ・・・ったくお、俺としたことが…なんてポカだお…」
かすれる声でそんな愚痴を言いながらも
ビルの壁に手をつき、体を支えながら一歩を踏み出す。

一歩。一歩
近づくにつれ、鼓動は高まり、そして視界は赤く染まっていく。
( ;^ω^)「やばっ・・・」
手で顔を覆いながらも、足は歩みを止めない。

昨日、戦闘があった、少し広い裏路地までは、もう少し。
しかし、足がすでに動かない。
足だけではなく、体のどこを見ても動かせるパーツは見当たらないに等しい。
汗がじっとりと溢れ出す。
熱いはずなのに、ゾクリ・ゾクリとこの感覚は背中を走り回り
警告を促しつづける。
イクナ・イクナ・イクナ・イクナ
行けば戻れない

そう言っているようだった。



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:37:55.02 ID:2xRbCs6d0
  

( ;^ω^)「クッ・・・」

吐き出していく灼熱の吐息と共に、違和感のある味が口いっぱいに広がる。吐き気を催しているようだ。
ガクガクと振るえる足。立つことさえままならない。
これは力の反動だけではないだろう。

頭ではすでに理解している。
この先に何がいるかも。
そして、今の体調ではそれに勝てないことも。

しかし、なぜだろうか。
通常ならば、このような状態に陥った場合。すぐさま退却をする。
あたりまえの行動。そして仕込まれた行動。
しかし、なぜか足が動き出そうとする。
頭とは反対の方向へと。

一歩 一歩 一歩

すぐ先にその路地は近づいていた。
噎せ返るような匂いの中。
俺は引き返すことも出来ず。

その光景を目撃することになった・・・・・

第6夜 終



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