( ^ω^)が退魔屋になったようです
- 54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:49:26.63 ID:2xRbCs6d0
- ドグン ドグン ドクン ドクン
鼓動が大太鼓を鳴らしてるかのように打ち続ける。
血液が回っているはずなのに、頭からは血の気が引いていくような感覚、目がかすみ、ゆがみ、そして吐き気
ここにいてはいけない。 体全体がそう警告しているのに。
なぜ俺は ここに入ってしまったんだろう・・・・・・
【第7話】
- 55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:49:50.66 ID:2xRbCs6d0
- 目の前に飛び込んできたのは 赤 紅 朱 あか あか あか
赤い色。壁に、地面に、まるで空まで、塗りたくられたように一面真っ赤。
同時に噎せ返るような血の香、肉の香
その匂いは、俺の鼻から入り込み、内なる何かにまで届く。
ズキン ズキン と内なる何かが暴れだす
( ;^ω^)「ガッ・・ハァァァ・・・・・」
胃から液体が逆流して、口いっぱいに酸っぱい味が広がる。
胸の鼓動がさらに高まり、まるで自分の体じゃないよう。
ドクンドクンドクン
熱い、熱い、熱い
ドクンドクンドクン
必死に苦痛に耐えながら、俺はゆっくりと顔を上げる。
一面真っ赤に彩られた世界。
昼間なのに、日の光が届かない路地裏に
まるで似つかわしくない姿が立っている。
- 56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:50:18.77 ID:2xRbCs6d0
- 何かをつかみ上げてる腕は細く、垂れてくる紅い液体によって染め上げられている。
つかみ上げてるものを見つめるその顔は、トロトロと物体から流れる液体を恍惚の表情で口に含めている。
コクン コクン コクン コクン
喉が鳴る、口に含めているのではなく、飲んでいる。
ぼろ雑巾のような姿になった、ソレから流れ落ちてくる液体を飲んでるのだ。
血が出なくなれば、再び力をこめ、絞る
ドロッっと最期の残りかすのような血が滴り落ち。
ただの肉片のみとなった、それは 無残にも放り投げられた。
視界が紅い、目の中に血が入ったかのように、真っ赤。
鼓動は、相変わらずドグンドグンと警告を発する。
目の前の者を見るな、見てはいけない。
しかし、俺の目は、すでに ソレを捕らえていた。
真っ赤な世界で、まるで遊んでいるような笑みを浮かべ
立っている子供の姿を。
- 57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:50:57.15 ID:2xRbCs6d0
- (*゚ー゚)「あは・・こんばんわっ」
まだ明るいはずの世界で、彼女はこういった頬に血がついたままの、あどけない笑顔で
ゾクリと得体のしれないものが、一気に体中を駆け巡る
(*゚ー゚)「あ、そっか・・今は明るいから、こんにちわか・・」
( ;^ω^)「・・・・」
目の前の子供は無邪気さを残す、幼い子供。
しかし、ゾクリゾクリと体が警告を上げている。
あれはただの子供じゃない、ただの人間じゃない
(*゚ー゚)「あはは、お兄さんすごい汗だよ、どうしたの?」
一歩、ピシャっという水の音と共に子供が近づく
高まる鼓動を抑えつつ、全身に広がる警告を我慢しつつ。
俺はゆっくりと立ち上がった
( ;^ω^)「何を、してたんだお?」
俺の口からでた第一声はソレだった。
目の前にいるのは一見あどけない子供。
ただ、演劇の練習です。とか、全部作り物ですよ。とか
そんな言い訳を言ってくれたら信じたかも知れないのに。
いや、そういって欲しかったかもしれない。
でも、目の前の子供は
- 59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:51:27.11 ID:2xRbCs6d0
- (*゚ー゚)「・・・・?」
と少し不思議な表情を浮かべる。
本気で何のことだか分かっていないようなしぐさだった。
( ;^ω^)「今、、お前は何をしていたお」
ゆっくりと、悲鳴をあげつづける体を無理やりに使い
戦闘態勢を取る。
俺の敵意が伝わったのだろうか。子供は、らしくない不適な笑みを浮かべ。
(*゚ー゚)「お兄さんには何に見えたんですか?ふふ、私はただ食事していただけですよ」
そういった。
( ;^ω^)「食事・・・人間を殺すことが・・?」
気で負けたらすべてが終わり。人外との戦闘の第一歩はそれだった。
しかしすでに俺は負けているかもしれない。
正直に言えば、恐怖している。目の前にいるのはただの子供のはずなのに、その内なる部分には、見えない強大な何かが潜んでいる。
そんな気がする。
- 60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:51:59.01 ID:2xRbCs6d0
- (*゚ー゚)「ふふ、お兄さんは面白いこというのね。じゃあ逆に質問させてもらうけど、お兄さんは、自分が食べてきた物達のことを殺したとは言わないの?」
( ;^ω^)「・・・どういうことだお」
(*゚ー゚)「だから、牛さんや、豚さん、鳥さんとか魚さん、お兄さんも食べてるでしょ?
でも、牛さんたちも生きている。ソレを人間のために殺して、お肉として売り出して、それを買って食べる。
私が、今みたいに、ニンゲンを殺すのとどこが違うのかしら?」
無垢な笑顔を浮かべながら 目の前の子供はそう言った。
( ;^ω^)「クッ・・・おまえは・・・!」
そういいかけたとき
(*゚ー゚)「シィよ」
細い声で、しかし力強く、俺の言葉を遮り、そう言った。
( ;^ω^)「な、何?」
(*゚ー゚)「私の名前、おまえなんていわれるのは嫌い、しぃ、コレが私の名前。」
( ;^ω^)「・・・・」
(*゚ー゚)「あら、レディーが名乗っているのにお兄さんは何もしないのかしら?」
優雅に、この世界からは想像できないようなしぐさでおじぎをするしぃ。
- 61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:52:47.95 ID:2xRbCs6d0
- ( ;^ω^)「ブーンだお」
(*゚ー゚)「ふふ、ブーンさんっていうのね、よろしくね。」
そういいながら、ニッコリと微笑むレイ
(*゚ー゚)「大丈夫だよ、ブーンさん、私あなたのことちょと気に入ったから」
しらずしらず体がこわばっているのだろう、警戒を解かない俺に向かい、そういって来る
(*゚ー゚)「だって、ブーンさんは、こいつらとは違うもん。」
そういいながら、コツンと転がっている首を蹴る
(*゚ー゚)「こいつら、ここに入ってきた途端、うるさい声あげて逃げ出そうとするんだよ?
こっちのコイツなんて、キャーーーーッって金切り声あげてさ、鼓膜がやぶれるかとおもっちゃった」
そういいながら、首だけの女性を蹴るとそれはボールのようにポーンッと飛んでいった
見ていて気分が悪くなる。
(*゚ー゚)「ふふ、その点お兄さんは、汗は書いてるけど、声出さなかったしね。 それに・・・・・・・」
( ;^ω^)「それになんだお・・・」
少し考えるようにしながら
(*゚ー゚)「ブーンさんは、私に似たものを感じるし」
- 62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 00:53:33.52 ID:2xRbCs6d0
- そう、言った
グランと一瞬にして世界が反転するような感じがした。
内なる何かが共鳴するように暴れだす。
ドクンドクンドクン
鼓動が再び高まりだす。目の前が赤くなり、滲み出す
(*゚ー゚)「あはは、大丈夫?つらそうだね。ふふ」
すべてを見透かしているかのように
そういいながら、ステップを踏み出し始めるしぃ。
ピシャピシャと、音を立てながら、踊るその姿は
この血の世界が舞踏会場ではないのかと連想させるぐらいにきれいだった。
(*゚ー゚)「ブーンさんは、私が気に入った初めての人。だから忠告しとくね」
彼女は舞いながら、
(*゚ー゚)「これ以上、吸血鬼に手を出すのはやめなさい」
それだけいった。
( ;^ω^)「なっ・・どういう・・・」
そういうのと同時に首に衝撃が走る。
四肢の力が一瞬にして抜け、俺はそのまま倒れてしまった。
薄れゆく意識の中見たのは。
(*゚ー゚)「ばいば〜い」
と笑顔で手を振る しぃの姿だった。
第7夜 終
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