( ^ω^)が退魔屋になったようです

95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:48:50.93 ID:2xRbCs6d0
  
家に帰るなり襲ってくる反動

玄関先についたとたん目の前は赤くなり、四肢からは力が抜けていく。
それと同時に激しい痛みが襲ってくる。

力の解放はしていなかったはずなのに。
ここ最近の頻繁による力の解放によるためなのだろうか
予想だにしていなかった反動が身に降りかかる

視界は赤く滲み、動悸は激しい。

ドクンドクンドクン

高鳴る鼓動は、まるで自分の物ではないように
うるさく耳に入りこむ。



96:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:49:05.86 ID:2xRbCs6d0
  
( ;゜ω゜)「また・・・きたお」

体の中で内なる何かが出せ!と暴れる。
ギシギシと何かを封印している檻を鳴らすたびに
それは体に言い知れぬ痛みとして降りかかる。

( ;^ω^)「ま、、ケナイお…」

口に言葉を出し、改めて認識する。
内なる何かは、俺の体を欲する。
自由に行動できるように、俺の心をのっとり
もう一人の俺として活動をしたがる。

ブーンの家に生まれたときに背負う運命。


それは、【鬼】を体に巣くわせることだった。。。



【 第10夜 】



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:49:30.31 ID:2xRbCs6d0
  
「鬼」

それは古代より伝わる。空想上の生物をさす。
その姿形はさまざまで、赤い皮膚をもった鬼や、青い皮膚、緑の皮膚とさまざまな色が要ると伝えられている。

また、鬼は古代より悪者と称されている。
人を食らい、村を荒らし
人々にとっては悪そのものの存在と称されている。

しかし、鬼にも各々で性格が違い、好戦的な鬼がほとんどを閉めるが、その中でも平和を望む鬼もごく一部いた。

ブーンの家は、鬼の一族の末裔にあたる。

鬼と人、伝記に記されているのはごく一部で、全てが鬼が悪者。
人がその鬼を退治する。これが一般的な物語になっている。

しかし、鬼と人があいまみれる。そんな出来事が起こった。
一人の心優しい鬼と、一人の人間の女性。
その二人が出会ったことが、キッカケだった。

それがブーン家の始まりの場所だと聞かされている。



98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:49:45.93 ID:2xRbCs6d0
  
普段より鬼の姿をしているのでは他の人より恐れられる。
そこで、その鬼は人間の姿に扮することを学ぶ。
同時にそれは鬼の力を封印していくことともなった。

必要なときだけ、鬼の力を解放する。
これは、とても便利な能力であった。

こうして、二人は人間とし、愛を育み。
子孫を残していった。

それがブーン家だと言われている。

しかし、長年生活していくにつれ、内なる鬼の力は
しだいに押さえつけられることに反発をしていく。
故に、次の子孫に移る鬼の力は強暴で暴力的な鬼が移る

このままでは、鬼そのものがうまれかねない。
そう恐れた先祖は、鬼の力を解放する手段を模索する。

それが魔の退治屋だった。



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:50:11.76 ID:2xRbCs6d0
  
人外の生物。それは無論人の手に負えるものではない。
そこで、鬼の力を宿す我等が、人の変わりに、そう要った魔を退治することにより、力を開放し、鬼の力を弱めていくことになった。

しかし、想像以上に鬼の力は強大化していた。
ひとたび全てを開放すれば、精神は鬼にのっとられ
別人格になった。そう何度も聞かされた。
故に、一部分だけを開放する。それがブーン家の中では
決まりになったことだった。しかし、魔の退治屋をしていく上で
どうしても全てを開放しなければならない場合もでてくる。

こうしたことで、ブーン家の先代達は、同士に打たれ死ぬ人も少なくは無かった。



101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:50:26.87 ID:2xRbCs6d0
  
そして、現在鬼を宿すのは 俺のみとなる。
両親が最後の継承者であり、その子供。俺が一番最後の継承者となっている。
他の親類は全て、鬼に抗えなくなり、自ら命を絶ってきた。

内なる何か、それは鬼そのもの

一端全てを開放すれば、俺の意識は鬼と変わり、暗い心の底へと幽閉されるだろう。
そして俺は・・・・醜い殺人鬼に








102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:50:45.45 ID:2xRbCs6d0
  
霞んだ視界は、みなれた天井を映し出している、そう想える。

視界がはっきりしない。
俺はどこにいるのだろうか

もやが掛かった頭を必死に回転させ、思考する。
ズキンと頭に鈍い痛みが響きながらも、ようやく現状を把握することができた。

昨晩、吸血鬼の死徒。事の発端を削除することが出来た。
そうだ、そのときに力を解放した反動で俺は今倒れてるのか・・・
いたむ体に鞭を打ちつつ時計を見る。

時刻はすでに昼頃を指していた。
学校は・・・休むしかないだろう。

久々に疲れた相手だった。こうやって休息を取るのも良いだろう。
そんな安堵感からだろうか、不意に眠気が襲ってくる。

俺はその眠気に身を任せると、思考は闇の奥底へと落ちていくのであった。






103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:51:05.25 ID:2xRbCs6d0
  
何時間寝たのだろうか、不意に電話のコール音で目を覚ます。

プルルル、プルルルと規則正しくなる音が聞こえる。

爺は居ないのだろうか。時計を見ると夕方を指している。
買出しにでもいっているのだろうか、爺は不意に姿を消すことがある。何をしているかは聞かないが。今回もそんな感じだろう。

俺は無視をしようとも想ったのだが、電話のコール音はしつこくなりつづける。

( ;^ω^)「ったく・・・ハイハイ 今出るお」

体を起こし、軋む体を必死に動かし、一回の電話まで向かう。
プルルル プルルル と次第に大きくなる音が煩わしくもなりながら俺は受話器を手にとった。

( ;^ω^)『はい、ブーンですお』
ξ゚听)ξ『あ、やっとでた・・』

それは聞きなれた声だった。そして予想外の相手。

( ;^ω^)『ぁ、ああ、ごめんお寝てたから・・・』

なぜ声が上ずっているのだろう。自分でも不思議だ。



104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:51:34.08 ID:2xRbCs6d0
  
ξ゚听)ξ『ん・・風邪酷いの?悪化した?』
心配そうに聞いてくるツン、その声はふだん聞きなれている声よりも優しく、聞こえた。
( ;^ω^)『いや、そんなことはないお、少し野暮用で。休んだんだお』
体の調子ははっきり言って悪い。しかしながら心配させるのもなんだかいやだった。不思議な感覚、それがこんな嘘を言う。
ξ゚听)ξ『あ、んそうなんだ。よかったよ、心配した。それでさ、明日…』
それだけ言うと黙るツン。自分からは言い出しにくいのだろう。

( ;^ω^)『ああ、覚えてるお。7時集合だったよな。駅前に』
ξ///)ξ『う、うん!大丈夫?これそう?』
( ;^ω^)『うむ、平気だお。』

ξ///)ξ『よかった、それだけがちょっと心配でね・・・』
そういいながら声が小さくなっていくツン。
電話越しでは極力聞き取りにくい大きさだった。

( ;^ω^)『ああ、悪かったお。心配かけて、平気だお』
ξ///)ξ『ん、うん!じゃあね?今日は安静にしとくんだよーばいばい!』

一方的に言葉を発せられ、電話は ブツッ という音と共に切れた。



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 01:51:49.76 ID:2xRbCs6d0
  
明日は土曜日。

ツンとの約束の日。 そうだ、ツンの誕生日だな。何かプレゼントをやらないと。

ツーツーツーと繰り返しなる音から耳を離し、
静かに受話器を置くと、そのまま自室へと引き返す。

不思議にも、明日を楽しみにしている自分がいる。
なぜだか理由はわからない。

( ^ω^)「さて、明日はお嬢様に付き合う日だお。ゆっくり体を休めるとするお」

そういいながら俺は再び夢の世界へと身を投じるのであった。

第10夜 終



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