( ^ω^)が退魔屋になったようです

143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:39:58.79 ID:2xRbCs6d0
  
敵を屠るには、この右腕だけがあればいい。

一振りで、密集している相手を5体は裂く。

100の敵を屠るには、この体があればいい。

一瞬にして、すべてを塵と化す。

では1000の敵を屠るには?

すべてを捨てればいい。

すべてを無に還せる。


【第14夜】



144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:40:16.69 ID:2xRbCs6d0
  
スポットライトが降り注ぐ中。舞を踊る。
それは酷く幻想的で、かつ現実味を帯びている。
舞うほどに、紅い液体が舞い上がり、それがこの場所を塗らしていく


内なる何かと手を結んだような変な感覚。
自分の体であり、しかし別の体のような感覚。
力の解放はしてない。ただの生身。
それなのに、コノ爪はたやすく敵を屠る。
この足は、たやすく敵を裂く。
変な感覚。むしろ昂ぶってる感情。
敵を屠るが減りはしない。
しかし、それが永遠に続いてもいいと思った。
この舞い散る紅い液体がコノ体に降り注ぐたびに
生暖かい感覚が、俺の感性、感情を昂ぶらせる。
さぁ、永遠に舞い続けよう





145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:40:46.82 ID:2xRbCs6d0
  
私は恐れている。目の前の少年を。
あれから私は分身を使い、吸血行動を怠っていない。
毎日10人以上ものニンゲンの血を吸い。力を蓄えてきた。
前回戦闘した、あの時の戦闘力ならばたやすく殺せるはずだった。
しかしなんだ、今の目の前の少年の力は。

私の分身が束になって掛かっても。それは一瞬にして無に還される。
まるで踊りでも踊っているかのようなその光景。

パチンッ

私は慌てて指を鳴らすと分身を作成する。
少年にけしかけた分身の数はすでに50を超える。
さすがに1〜2激は攻撃を与えているが、少年は衰える事は無い。
大丈夫。心配するな・・この分身の能力は私に適してる。
このまま分身に攻撃を続けさせ、疲れるのをまとう。
そして、吸ってやろう。奴の血を思う存分。



146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:41:24.25 ID:2xRbCs6d0
  
川 #゚ -゚)「いけっ!奴を殺せぇぇ!」

狂ったように叫ぶ。殺せない苛立ちからだろうか。
それでも冷静にいなければと自分に言い聞かす。
私の分身たちはオリジナルと同等の力を持つ。
つまり私自身ということ。
それでも、少年は苦にすることなく、それを消していく。
腕を振れば一体が。足を使えばモウ一体が。
次々と裂かれ、鮮血をふき荒らす。
すでに、戦いの場となっている場所には、血の池が出来上がっていた。
私自身の血で。

目の前がクラッとする。さすがに分身を作りすぎているのかもしれない。
しかし、一対一で戦っても勝機は無いだろう。
このまま続けるしか・・・

パチンッ

私は再び分身を作り出し、けしかけるのであった。



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:42:14.06 ID:2xRbCs6d0
  


夢を見ているような感じ。
目の前の光景は、生暖かさを感じさせれるが、自分の前では起きてない、起こってない状況のようにさえ感じられる。
なんて、気分がいいんだ。

敵の数は、瞬く間に減っていく。
倒した数なんて数えてはいない。しかしすでに軽く100を超えるだろう。
屠った敵は、すべて塵と化して行く。
一番最初に殺した、あの分身のように。
なので正確な数はわからない。だが、まだまだ足りなかった。

川 #゚ -゚)「なんでよおおおおおおおおお!」

敵の本体が狂ったように叫ぶ。
それでも指を鳴らし再び、分身を作成する。
そうだ!そうだ!もっと作れ、もっと殺させろ。
まだたりない!まだだ!

(#゜ω゜)「ゥォォォォォォオオオオオオ!」

咆哮のように叫ぶ。それは自分の口からでたのだが、確実に内なる何かの咆哮であった。

より一層激しく舞う。
腕を振ると、次々と吸血鬼は裂けていく。
足を振ると、次々と吸血鬼は飛んでいく。

気分がいい、まだまだまだ!

しかし、永遠かと思われるその至福の時間はあっさりと終わりを告げた。



148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:44:01.21 ID:2xRbCs6d0
  
川 ;゚ -゚)「ハァー・・・ハーァー・・・」

目の前に居るのは肩で息をしている吸血鬼の本体。
ツンのように手を胸へともっていき苦しそうにしている。

川 #゚ -゚)「な、んで・・・なんでなのよ!」

悔しそうに叫ぶ。
「満月の夜。私の力となるものが現れるはず!なのに!なんで!こないの!!!」
狂ったように叫ぶ吸血鬼。
(#^ω^)「ふ、、フハッハハ、アハッハハハッハハ」
その光景がすごく滑稽に見える。先ほどまで優性に立っていたあの態度から、いまは一変、追い詰められた小動物のようなその態度。
俺が一歩足をだすと、同じく一歩下がる。
川 ;゚ -゚)「な、なにがおかしいのよ」
ハァハァと苦しそうに言う。しかしうわべだけでは強がっているが、体は正直だ。ガタガタと振るえている。

(#^ω^)「さぁ、終わりにするお」
自分でも信じられないような下衆な笑いを浮かべる。
瞬時に一歩。敵の前まで翔ける。完全にその姿を確認できない吸血鬼は急に目の前に現れた俺に驚き。そして絶命した。

ドスッ
最初と同じような終わり。
心臓を一突き。それだけで吸血鬼は動かなくなる。
川 ;゚ -゚)「な、んで・・・」
かすかに漏れる声。そしてそのまま。心臓を貫かれたまま。
吸血鬼は灰になり。消えていった



149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:45:12.89 ID:2xRbCs6d0
  



( ^ω^)「アハ、アハッハ、アハハハハッハハハッハハハ」

一人高笑いする。みたか、ツン!仇は打った。
内なる自分はそう思い、笑ってる。
しかし、現実は違う。
ただ、おかしいだけ。紅くそまったこの格好も。紅く塗られたこの空間も。
そしてその原因を作った俺自身にも。
ただ、おかしかった
そして、まだ足りなかった

「アハハハ、まだだ、まだだまだだまだだだ!!!!!!!!!!!!!」
昂ぶりが収まらない。アレだけ吸血鬼を屠ったというのに。
まだ足りなかった。

そうか、まだ足りないなら仕方ない。
すでに闇に包まれたコノ世界にきた俺は、表の俺がそう思っていることを止められない。
もう、どうでもいい。ツンの仇は打てた。

ジャリとその場から去ろうとする。
しかし、それは後ろから投げかけられた声によって踏みとどまった



150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:46:42.19 ID:2xRbCs6d0
  
(*゚ー゚)「あれ、お兄さん?」

( ^ω^)「・・・・」
無言で声のした方を振り向く。
そこには、白いドレスのような服に身を包んだしぃが立っていた。

(*゚ー゚)「お兄さん・・・吸血鬼には手を出すなっていったのになぁ」
少しムカついているように言う目の前の少女。
(*゚ー゚)「でも、いっか。代わりが見つかったし」
そういいながら、ニッコリと微笑むと
(*゚ー゚)「お兄さん。血吸わせてもらうね」
そんなことを言い出した。

( ^ω^)「あははははは、出来るか!?オマエに、今の俺が殺レルのか!?」
その言葉でまだ戦闘の続きが出来る。そう思った俺はおかしくてたまらなかった。
(*゚ー゚)「・・・・お兄さん、ふふ。あなた、ショボの息子でしょ」
その一言で、俺の笑いが止まる。
内なる俺も驚く。目の前の少女からなぜ父親の名前が出るのか!?



151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:49:21.94 ID:2xRbCs6d0
  
(*゚ー゚)「ふふ、やっぱりね。同じ力を持っているものね。」
( #^ω^)「・・・・なぜ知っているお。」
俺の気持を代弁するようにモウ一人の俺が話す。
(*゚ー゚)「あははは、だって。私を退治しにきたんだもん。何年か前に、この季節だったかな。」
( ^ω^)「・・・!」
(*゚ー゚)「うん、ショボ・・とつーだったかな。私もさすがに手を焼いたよ。
    でも、甘かった。ふふふ。私がつーに手を出したとき。身代わりとなって、死んでいった。
    無論。ショボの方が力が上だった。つーがかなうはずは無いわよね。
    でもね、あはは、彼女ったら必死の形相になって襲い掛かってくるの。まぁ、その勇気に免じて一撃で殺してあげたけど」

( ^ω^)「・・・そうか・・・お前が親の仇かお」
それだけでニヤリとしてしまう。まだ戦えるのもそうだが、仇を討てる。それだけでもこの戦闘には大きな喜びがある。
( ^ω^)「しかし、最初に聞いておこう。なぜ、お前が親父たちの名前を知ってるお」

この問いに、彼女は信じられないようなことをいった。

そう、それは運命であり、宿命かのように。
狂った歯車がガキンと音を立てて。組み合わさった瞬間だった。


(*゚ー゚)「・・・一応私は、あなたの姉なのよ」

【第14話 終】



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