( ^ω^)が退魔屋になったようです

153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:51:14.98 ID:2xRbCs6d0
  
(*゚ー゚)「・・・一応私は、あなたの姉なのよ」

信じられない言葉が耳に入り込んだ
何を言ってるんだ・・?
明らかに幼い目の前の少女は私が姉だと言う。
何?なんだって?
混乱をする。

そんな俺の顔を見て、少女しぃはさもおかしそうに笑った。
(*゚ー゚)「あははは、お兄さんやっぱり最高だよ」
その狂った笑い声が、俺を冷静にさせる。
オチツケオチツケオチツケ

(*゚ー゚)「うふふあははは、はー。くるし。。お兄さんのためにも少し説明してあげるよ」

そういいながら少女は歩き出した。
暗い倉庫の中を、まるで舞台に向かうかのような足取りで。
カツン、カツン。
足音はこの静寂の倉庫に大きく響き渡る。
そうして、スポットライトになっている月の光の中に身を投じるとまるで主役かのように、スカートの両端をもち、丁寧にお辞儀をしながら

(*゚ー゚)「ふふ、狂ったコノ世界の説明を始めるわ」

そう言った。

【最終夜 序章】



154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:53:45.02 ID:2xRbCs6d0
  

(*゚ー゚)「私の名前は、しぃ。この体の本来の名前をそのまま使ってるわ
    あなたより10歳年上の姉なのよ。タブン、ブーン家はそのことをひた隠しにしてたとおもうわ。
    だから、あなたが知らなくて当然のことなの」

目の前の少女は、要旨とは裏腹に妙に大人びた口調で話始める。

(*゚ー゚)「うん。これで判ったかしら?」

たったそれだけの説明。判るはずが無い。

( ;^ω^)「いや・・・ぜんぜんだお」
(*゚ー゚)「もぅ、ちゃんと理解しようとしてる?」
( ;^ω^)「それは・・・もちろん」
仇のはずのしぃと気安く会話をしている。
なんだか妙な気分だ。
しかし、心の奥底では常に

危ない危ない危ない
殺せ殺せ殺せ
そいつは危ない!殺せ!

そう、危険信号が発せられてる。
気分が妙に高まっているのが判る。

(*゚ー゚)「じゃあ、判りやすく説明するね」



155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:55:52.54 ID:2xRbCs6d0
  
そういうと、再びしぃは語り始めた

(*゚ー゚)「吸血鬼って不老不死といわれてるんだけど。実際はそうじゃないの。まぁ、コレは吸血活動をすれば克服はできるんだけどね。
    ちょっとでも、吸血活動を怠れば、体は朽ち果てる。
    まぁ、それでも真祖は特別でね。吸血活動をしなくても永遠に生きれることになってるの。でもね、体だけは違う。
    どれだけ永遠に生き延びられても。体だけはどうしようもない、ボロがでるの。それは何かを体内に組み込ませ”補修”をしない限りは永遠に壊れたまま。
    それでね、私の体。数百年前にもうボロがきちゃったのね。やっぱり吸血鬼っていうだけで悪の対象になって。色々な埋葬機関が私を屠りにきた」

そういいなら少しはにかみながら
(*゚ー゚)「あなたみたいな退治屋も着たわ」

そういいながらさらに続ける

(*゚ー゚)「それでね、そう。丁度体を変えようと思ったのはここ、日本に着てからね。私はそれまで色々な地にいたけど。日本にくるまえにいたフランス。
    そこでちょっとしたヘマをしちゃってね。体はもうすでに塵と化す寸前だったの。
    それで、ここ日本にきて、体の修理をしようとおもった。
    でもね?基本的に吸血鬼って魔族とも呼ばれる存在。
    何を見繕って補修をすればいいんだろう。って思ったの。普通は使い魔や下級魔族を屠るんだけどね。
    あいにくそんなのは日本には無かった。そこで、私は一個の考えが浮かんだの。
    体が補修できぬなら、体を変えればいいんだって。そしてその対象に選ばれたのがこの体。しぃよ」



156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 02:58:26.17 ID:2xRbCs6d0
  
それだけ聞いてもはっきりと理解が出来ずにいる。
でもはっきり判る。コイツはまともじゃない。
味方ではない。敵だ。でも。

なぜ?どうして?目の前にいるのはほんとに姉さんなのだろうか。
そんな不思議な感情が頭を支配する。

(*゚ー゚)「この体を見つけたのは偶然だったわ。通常のニンゲンの体をもらいうけても、
    それは弱くなることを指す。そんなのはごめんだったわ。で、そんなときにちょっとした使い魔にコノ街を
    散策させてたところ、通常とは違うニンゲンを見つけたの。
    それがブーン家。そのときは体の取り替えなんてしたこと無かったからなるべく安全な相手をっておもってたんだけど。
    丁度そのときしぃが居たわ。そのとき10歳。丁度あなたが生まれるときね。
    一目みて、気に入ったわ。内なる何か。それに惹かれた。
    そして、とある満月の夜。私はしぃを捕まえた。」

そこまで言っていったん黙る目の前の少女
(*゚ー゚)「そういえば、話は変わるけど一個質問ね。
     吸血鬼と称されてる私達だけど、その目撃例はすべて丁度20前後の成人した吸血鬼ばかり。さてこれはなぜでしょう?」



157:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:00:00.68 ID:2xRbCs6d0
  
そんな急な問。俺は答えることはできず。ただしぃを見つめる。
姉だったはずの体をもった。その少女を見つめる。
気持の昂ぶりはますます高揚しているのが自分でもわかった

(*゚ー゚)「あはは、わかんないか。答えはね、私達吸血鬼も年を取るの。
     でも、それじゃあ何にも普通の人間と変わらない。私達にとって狩りは生きることの大前提。
    すぐに老化して、狩りができなくなるとそれは死につながる。
    そこで私達の体は長年若いときの体を維持できるようにできてるの。
    でも、結局は長くいきたら老い更けるんだけどね・・・・」

そういいながら苦笑するしぃ

(*゚ー゚)「それで、話は戻るけどね。しぃを捕まえたとき。少しからだを変えるのをためらったわ。
    だって肉体的には10歳の幼子。取り替えた後にすぐに誰かに見つかると死ぬ危険性があるってね。
    でも、乗り移って10年もすれば立派な成人になる。
    これは一種の懸けだったわ。
    そうして私はしぃの体をのっとった・・・吸血鬼にしか出来ない方法で
    それは意外にうまく成功したわ。
    でもね、やっぱり吸血鬼からニンゲンの体に乗り変わるのはどこかに無理があったみたい。
    私の予想とは逆に、この年齢から成長することはなかった・・」



158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:01:52.27 ID:2xRbCs6d0
  
そういいなら ニターッとその幼さからは似つかわしくない笑みを浮かべる。
ゾクリと背中を何かが駆け上がった。

(*゚ー゚)「ま、そんなこんなで、ちょっとした用事があってコノ街にきたときに。
    両親とあったのよ。ショボとつーにね」

( ^ω^)「・・・それで・・・殺したのかお」

(*゚ー゚)「ん、そうね。私別に殺すつもりはなかったのよ。だって、一応しぃの親だし。戦うつもりすらなかったわ。
    でもね、あっちは違った。私の姿を見るなり取り乱して
    ギャァギャァ騒ぐの。うるさいって言ってやっても通じない。
    だから、特にうるさい方を消そうとしたの。つーをね。
    それに気づいたショボは自分のからだを呈してつーを守ったわ。
    それで、死んだ。つーはそれを見て逆上し、何か分けの変わらないことを
    のた打ち回りながら私に攻撃をしかけてきた。だから殺してあげた。コノ姿で。ね」



159:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:02:20.28 ID:2xRbCs6d0
  
( ^ω^)「・・・・・・」

(*゚ー゚)「さて、もう説明も済んだし。お兄さんも納得したかな?」
と、天使の笑顔で俺に問い掛けてくる。

( ^ω^)「ああ、よくわかった・・・・・お前がやっぱり仇だってことがお」
そういうなり構える。
( ^ω^)「俺の家族の仇討たせてもらうお」

目の前は常にチカチカしている。気を抜けばすぐに倒れるような感覚。でも、気分は高揚している。

(*゚ー゚)「あはは、そっか。ヤルんだ。しかたないなぁ・・・」

ズヌリとしぃの後ろの影がより黒くなったような気がする。
今まで感じたことの無いような空気が走る。
しぃの後ろの影はみまちがえではなく、確かにしぃの後ろから生えている。

(*゚ー゚)「うふふ。いくよ。お兄さん」

大きな影が振り下ろされた。
【最終夜 序章 終】



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