( ^ω^)が退魔屋になったようです

162:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:07:49.64 ID:2xRbCs6d0
  
ビュッっと風を鋭く切り裂く音とともに。俺が居た場所が裂かれる。
寸前で横によけそれを避ける。
が、待ち構えてたかのように別の影が襲い掛かる。

( ;^ω^)「チィッ」

大きく跳ぶと、今まで居た場所にビュッという音とともに影が通過する。
あの影の得体がわからない以上、アレに触れるのは危険だ。
そう一瞬で理解する。

タンッと着地すると狙ってたかのように、鋭い針状の影が襲ってくる。短くバックステップでそれを交わす。
タタタタタッ

目の前には小さな穴が無数にあいていた。

(*゚ー゚)「ふふふふ」

さも戦うのが楽しげにしぃは笑っている。



163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:08:43.43 ID:2xRbCs6d0
  
笑っているが攻撃の手は休めない。
次から次へと俺に影が襲い来る。

それを紙一重で交わしながら思った。

戦闘が楽しいのは俺も一緒じゃないか

【 最終夜 終章 】

依然気持は高まり、コノ体はいまだ内なる何かと手を結んでいるかのように軽い。
ビュッと撓りながら蔓状の影が襲い掛かる。それを交わすと入れ替わりに勢い良く少女に突っ込む。

懐に入る。
そう思い、右手を振った瞬間。俺の右腕は少女に当る前に何かにはじかれた。

ゴギンッ
鈍い音。それとともに右腕に多少の痛みが走る。
タンタンッ と勢い良く後ろへ飛び。距離を取る。

( ;^ω^)「何かに守られてるお・・・」
右腕をコキコキ鳴らし調子を確かめながらそうつぶやく

(*゚ー゚)「あはは。どうしたの?お兄さん。何もしないまま死ぬ?」

そういいながら休憩を取らせないかのように無数の影が襲ってくる。
ビュンッ ヒュンッ 
影が次々と空を裂き、襲い掛かる。
俺はそれを必死によける。
しかし、よけつづけるうちに、失敗をした。



164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:09:11.85 ID:2xRbCs6d0
  
タンッ

大きく横に跳んだとき、その場所に逃げ場が無かった。
( ;^ω^)「チッ」
敵の攻撃は戦いながら刃状のものであると確信をした。
故に、防御は腕に集中し、腕を切らせないようにすればいい。
体を守るように腕をだし。腕のみに全身神経を集中させる。
しかし、その腕に伝わってきたのは、鋭い痛みではなく
鈍い衝撃だった。

ドゴッ

腕に伝わった衝撃はたやすく俺の体を駆け抜ける。
勢いついたその衝撃からは逃れることは出来ず。そのまま地面へと激突する。
防御を腕のみに集中していたため、体に伝わった衝撃に対してはほぼノーガード。
口に酸っぱい感覚が広がり、それとともに鉄の味がする。

( ;^ω^)「ガッ・・・・は」

地面に打ち付けられた俺はそのまま悶絶をする。
そんな様子をみてしぃは楽しそうにいう。


(*゚ー゚)「あはは、お兄さんてんで期待はずれだよ。これならまだお爺さんのほうが楽しかったかな。」

そんなことを口にした。



165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:09:38.25 ID:2xRbCs6d0
  
お爺さん・・・?
・・・・一つの不吉な予感が脳裏を駆け巡る

( ;^ω^)「クッ・・・」

ヨロッと俺はその場に立ち上がる。防御した腕はいいが、衝撃が伝わった脇腹のほうはアバラが何本か持っていかれたようだ。

(#^ω^)「おい・・・」
息をするのも苦しい。口いっぱいに広がる鉄の味を我慢しながら俺は聞く。聞かなければならない。

(#^ω^)「お爺さん・・ってなんだお?」

(*゚ー゚)「・・え?」
(#^ω^)「・・・・・」

(*゚ー゚)「お兄さんの家にいたお爺さん。だよ?」

悪い予想は的中した。
クラッと目の前が赤く染まる感じがする。
チカチカ点滅が再び始まる。



166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:10:14.37 ID:2xRbCs6d0
  
(#^ω^)「・・・・・なぜ、知ってるお」
(*゚ー゚)「あはは、だってここ来る前にお爺さんが私を退治しに来たんだよ?ショボとつーの仇だって。予想以上に強かったな〜」

そう思い出すように言う。

(#^ω^)「それで・・・・爺は・・・・」
そこまで口に出し止める。
今の俺の状況を考える。手も足も出ていない状況。
爺が昔、魔を退治していたとはいえ、今の絶好調の俺には手も足も出ないだろう。

聞きたくなかった。考えたくなかった。
なのに、目の前の少女は、しぃはさも楽しそうに。

(*゚ー゚)「いまごろ、丘の上でボロ雑巾のようになってるよ。アハハハ」
とケタケタ笑い始める

一瞬。爺の顔が脳裏にフラッシュバックする。
笑ってる顔。俺を心配してくれてる顔。
怒ってる顔。仕事をしてるときの顔。
それらは一瞬にガラスのように音を立てて砕け散った。

それと同時に、表立っていた俺の意識は暗闇に引きずりこまれる
ドクンドクンドクン
こうして俺の意識は 闇の中に閉じ込められた



168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:11:07.76 ID:2xRbCs6d0
  



私が発した言葉

(*゚ー゚)「いまごろ、丘の上でボロ雑巾のようになってるよ。アハハハ」
この言葉で目の前のお兄さんは動かなくなる。
すごいショックだったのだろうか。だとしたら少し悪いことをしたかも、お兄さんのことは嫌いではなかった。

しかし、変化は急に訪れた
クワッと目を見開いたかと思うと体が変化を始める。
着ていた服が破れるほどの筋肉の膨張
皮膚の色は肌色から紅く染まっていき、皮膚は硬い鱗のようなものに変化する。
髪が黒から金髪に、そして急激に伸びる。
極めつけにその顔は、まるで別の人のように鋭い眼光と、牙を持った顔に変化する。

ひとしきり変化が終わったところで目の前の何かは大きな咆哮を上げる。まるで町じゅうに響き渡るかのような咆哮

( #゜ω゜)「オォオオオオォオオォオォォオオオ」

ビリビリと空気が振動する。長年蓄積していた埃が空気中に舞うのがわかる。

そして、咆哮を止めるとこちらをにらんだ



169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:12:15.21 ID:2xRbCs6d0
  
( ゜ω゜)「ふぅ、、やっと解放された・・・いい気分だ」
目の前のそれは先ほどのお兄さんの声とは違い、気分を害する
なにか不思議な声だった。低くもなく高くもなくその中間でもない
言い表しにくい声。

そして、目の前の何かは私を見ると
( ゜ω゜)「例を言おう、お前のおかげで俺は解放された。
       そして、その感謝の意味をこめて最初に喰らってやろう」

たったそれだけを言った後に、体中を刺すかのような殺気が私を指していく。
ビリビリビリ
(*゚ー゚)「ふふふ。残念だけど。喰らうのは私、貴方はここで死ぬのよ」
力の差が見抜けないほど私は経験をつんでいないわけではない。
力は五分・・・全力で掛からないと負けるだろう。

私は、影の密度をさらに高める。
一撃もらえばそれはすなわち死に至るだろう。
この体が恨めしかった。

戦闘のきっかけは目の前の何かから仕掛けてきた。
音もなく私に向かって翔けてくる
それに向かい私は影を嗾ける。
数十本とも鳴ろう影が一気に襲いかかる。
しかし、何かは それにあたることなく、さらにスピードを上げ私の目の前へと立つ。
早い・・・



170:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:12:58.08 ID:2xRbCs6d0
  
そんなことを思った瞬間。ガシィィィンと
影のバリアが激しく振動をしその衝撃で体が吹き飛ぶ。

(*゚ー゚)「ヤバイ・・・」

目の前の影のバリアはたった一撃で、その効果を無くしていた。
再びバリアを張りながら私は翔ける。
無論敵に攻撃されないため。
私は、本気の速度で駆け抜けているのに関わらずそれを確認し、追って来る

右腕を上げ
とっさに影の針を無数に生成する。
(*゚ー゚)「喰らえっ!!!!」
そして右腕を振りそれを投げつける。針は吸い込まれるように一直線に目の前の何かに向かって疾る。
しかし、針は何かに刺さることは無く、その皮膚ではじかれていった

(*゚ー゚)「なっ・・・」

それには驚愕するしかない。
刺さることもせず、はじかれるなんて。
そんなコンマ何秒かのロスが命取りになる



171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:13:35.30 ID:2xRbCs6d0
  
体が横から衝撃を受ける。
かろうじて張り終わったバリアによって威力は消されたが衝撃でそのまま吹き飛ぶ
(*゚ー゚)「クソッ!」
ギリッと歯をかみ締めながら吹き飛ばされた方を見る。
しかしそこには何も居なかった。

ドスンッ

次は上からの衝撃。
今度はバリアを完全に通過し、私の体を捕らえる。
まるでダンプカーにでも衝突したような衝撃。
空中に居た私はそのまま地面へと叩きつけられた

(*゚ー゚)「ガハッ・・・・ゲホッゲホッ」

口の中に鉄の味が広がる。
ここまで力の差があるとは思わなかった。
ヤバイ、勝てない。

ヨロヨロと砂煙が巻き起こるその中心で身を起こす。
しかし、不思議と敵は攻撃を仕掛けてこなかった。
少し高みにある重機の上で腕を組み、ニターと笑う



172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:15:02.15 ID:2xRbCs6d0
  
( ゜ω゜)「ふははっは、どうした。その程度か?」

完全に勝ち誇ったかのような態度、それが私を切れさせる。
私は その場で両手を上げる。
そして影の針を作成する。
今度は先ほどのようなやわな針ではなく、思いっきり影を凝縮させた針。

(*゚ー゚)「ふん、まだまだこれから・・・」

そして私は再び右腕を振る。
一斉に跳ぶ針達。
しかし距離があるため当然それは楽に交わされる。
しかしそれが私のねらいだった。
避けた先に刃上の影を振るう。
空中ではよけることは出来ない

殺った!完全にそう思った
しかし、刃は敵を切り裂くことなく、手の平によって進行を止められていた。
( ゜ω゜)「この程度か・・・・」



173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:16:26.74 ID:2xRbCs6d0
  
敵がそう呟く。
しかし、進行が止められても、考えたくは無かったが予想の範囲内。
私は残る左腕を振るう

敵は刃を止めて油断をしていたのか、とっさに跳んできた無数の針に対して無防備だった。
そして、それらは弾けると思ったのであろう。

カカカカッカカカカ

心地よい音を立てながら針は、目の前の怪物に突き刺さっていく
( ;゜ω゜)「グォッ!?」

想像だにしない出来事だったのだろう
その場で怪物は体制を崩す。

そして私は影を一気に凝縮させるとそのまま敵がいる場所へと振った
ザクッ
鈍い手ごたえが伝わる



174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:16:56.07 ID:2xRbCs6d0
  
コレで殺った!そう思った私が甘かったのだろう。
次の瞬間、目の前に何かが立っている。
左腕は肘のあたりから無くなっており、血が流れ出ている。
体には無数の影が刺さった穴があいている。
だけどそれだけ。まだ動ける
まだ動いている

そして、ドスンッ という鈍い音とともに私の体を何かが突き抜けた。
それは丁度腹部のあたりを貫くように。何かの紅い野太い手が私を貫いている。
(*゚ー゚)「アッ・・・・」

なんて間抜けな声だろう。
自分の声を聞きながらそう思った

そして次には私の体は再び地面へと叩きつけられていたのだった



175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:18:18.13 ID:2xRbCs6d0
  
ブンッと大きく腕を振うと簡単にその体は抜け地面へと叩きつけられる
腕を切られるのは予想外だった。しかしこんなものは時間がたてば治るだろう。もし治らなければ別のニンゲンの腕をつければいい。

ニターといやな笑みを浮かべる。

地面へと叩きつけられた少女はもう動くことは無い。
かろうじて息はしているようだが、生きてるだけ
何も出来ず、何も考えられず、ただ生きてるだけ。

生という名の愚かな棒に必死にしがみつき、奈落のそこに落ちるのを拒否しているだけ。
ただそれだけの肉塊に過ぎない。

(#゜ω゜)「オオオオオオオオヲヲヲヲヲヲッヲヲヲヲォォォォ」

喜ぶように咆哮する。気分がいい、解放された早々こんなに楽しい戦闘が出来た。
そして、最高の肉を食えるのだから。

ガシッと、右腕で肉塊の腕を掴み持ち上げる。
ブラリと重力にしたがって吊り上げられたその体は
四肢に力はなく、ただ振り子のようにブラブラと揺れる。
突き刺した腹部からはおびただしい血液が流れ出ている。

( ゜ω゜)「さて、死なれると不味くなるからな。」
かろうじて目に宿っている光を確認する
それは微かながらも、光を宿していた。

(#゜ω゜)「ハハハ、サヨウナラ、どこかの知らない誰かさん」

皮肉めいた言葉でその肉塊の首に歯を立てたそのとき



176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:19:27.09 ID:2xRbCs6d0
  
/ ,' 3 「すいません・・・若様・・・」
その言葉と共に

ドスン

と鈍い衝撃が胸に走る

( ゜ω゜)「・・・・?」
何事かと思い自分の胸を見下げると
心臓があるあたりから腕が生えている
そしてその先にある手に握られている物体は
ドクンドクンと脈を打つ。そして脈を打つたびに赤黒い物体を放出してる。

( ;゜ω゜)「・・・な・・・」

ズボッ

かなりの勢いで腕はこの体を抜けていく。
急激に力が入らなくなる。目の前がかすむ。

そしてそのままこの体は重力に従い。地面へとひれ伏す。
( ;゜ω゜)「ガッ・・・ァ・・・」



177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:20:03.41 ID:2xRbCs6d0
  
内側から血液が噴出してくる。
血液が回らない。目の前がチカチカする。
( ;゜ω゜)「グォォォォ」
もだえ苦しむように咆哮する。
そして、次に目に入ったのは、爺の姿だった。
悲しそうな、つらそうな表情で右腕にはこの体から抜き取った心臓が握られている

( ;゜ω゜)「ジ・・・ィ・・・・カァァ・・・」
/ ,' 3 「若様・・・・サヨウナラです」

そういうと、グシャッと手に握られていた心臓を握りつぶす。
それを確認したかのように、俺の意識は一瞬にして途切れた。
まるでテレビを消したときのように。
ブゥンッと一瞬で映像は途切れた。





178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/06/21(水) 03:20:28.11 ID:2xRbCs6d0
  
腕を伝わる生暖かい感覚がコレを現実だと理解させる。
この場には動かなくなった姉弟がいる。
それは両方ともただの、屍と化している。
目からは温かい液体が流れ出る。
それは、この腕に伝わる感覚よりも熱く。
ただ、自分が泣いているんだと認識させられる
忌まわしい血がにくくてしょうがない。
そして、自分に流れるこの血の運命すら恨むしかない。

浮かび上がる、若様の笑顔、表情、行動、しぐさ
すべてが私の心を締め付けていく。

そんな、後悔の念に責められながら
私は二つの亡骸を抱えるとその場を去った。

この狂った世界から。



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