( ^ω^)ブーンが夢をかなえたようです

51: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:42:01.07 ID:E9yqRx720
  
どうやって呼び出されたのかわからないけど、ツンはかなり急いできたのだろう。
あれからまだ30分はたっていないと思うし、さっき職場でわかれた時と同じ服装。
だけど、あまり無茶な呼ばれ方でもなかったようだ。
今はドクオ相手にイライラしているようだけど、これくらい彼女にとっては日常レベルだから。

ショボンのやる事は本当に迅速・的確な気がする。

今の状態のツンなら、さっきよりもまだ説明しやすいはず。
自力で説明を試みる。


( ^ω^)「まあ、落ち着いて聞くお?僕、本当にVIP・GAMEに当選したんだお!」

ξ゚听)ξ「ハァ?何?今度は3人そろって釣りってわけ?エイプリルフールは過ぎたばかりよ」

(´・ω・`)「うん、どこかで聞いたような反応だね」

('A`)「んー、ちっと複雑だが気持ちはわかる。嘘を嘘と見抜ける人じゃないと人生はむずかしい」

ξ゚听)ξ「それよりブーン。仕事はどうしたのよ?今より楽な場所は、ちょっと思いつかないわよ?」

(;^ω^)「あぅあぅ、本当の本当にそれどころじゃないんだお。・・・先生方お願いしますお!」


僕の能力から推測して、ツンに説明することは不可能と判断。
速攻で前言撤回、2人に協力を仰ぎ説明開始。



53: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:43:06.05 ID:E9yqRx720
  
(´・ω・`)「じゃあ、まずこれは、IRCのログとVIP・GAME公式サイトだから見て欲しい」

ξ゚听)ξ「はぁ・・・まあいいわよ。えっと、どれ?・・・おーん!プテラノドーン!!」

(´・ω・`)「いや、その3つ下」

ξ゚听)ξ「ああ、確かに番号は言ってたわね。でも、これどうせ、ログの番号偽造したんでしょ」

('A`)「あー、確かに俺ら暇だけどそこまでしねぇよ」

ξ゚听)ξ「朝から晩まで、IRCに入り浸ってる奴等が言っても説得力ないわよっ!」

(;^ω^)「いや、それはツンも同じだお?」


予想以上に手ごわい。
チャットのログは、自分のPCで確認しない限り信用しないだろう。
VIP・GAME公式サイトは問題ないのだから、後はどうやって番号を確認させるかだけど。
あ、番号・・・オッケー把握。


( ^ω^)「ツン、これを見るお!」


肌身離さず持ち歩いていた、時価430億円の紙切れ。
これ以上、説得力のあるものは思いつかない。
・・・最初からこれを見せれば、よかったんじゃないだろうか?



54: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:43:55.31 ID:E9yqRx720
  
(´・ω・`)「そういえば、持ち歩いてるんだったね」

('A`)「おー、あらためて見ると、ただの紙切れのくせに・・・すげぇプレッシャーだな」

ξ;゚听)ξ「た、確かに番号合ってるみたいだけど、ど、どうせショボンあたりが偽造したんでしょ」

(´・ω・`)「いや、流石にそこまでは。僕達の日頃の言動ってそんなにアレかな」

('A`)「あー、お前ホントかわいげねぇなぁ・・・ってブーン?」


ツンにここまで否定されると、この時価430億円が急に頼りなく見えてきた。
いくら付加価値が付いていても、これじゃ本当にただの紙切れだ。
・・・この3人の中で誰が一番好きとか、そういうのを僕には決められない。
つきなみな表現だけど、全員大切だし。

だけど、ツンに関してだけは方向性が少し違う。
だからこんなに悲しくなるのだろうか、というか情けない。

・・・なんで僕、こんな事で泣いてるんだ。


(;ω;)「うぅ・・・ほ、本当なんだお・・・僕、僕・・・あぅ・・・」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと、ブーン!大丈夫?」

('A`)「どうする?今度は、どうせ目薬でも仕込んだんでしょってか?」



55: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:44:42.24 ID:E9yqRx720
  
ξ;゚听)ξ「わかったからっ!べ、別にブーンの事を信用してないとかじゃなくて・・・ああ、もうっ!」

(;ω;)「あぅ・・・あ・・・」

(´・ω・`)「うん。ほら、君も。今は悲しくて泣いてるような場面じゃないよ?」

ξ;゚听)ξ「わかった、本当に信じるわよっ!もう、いい加減に泣きやみなさいっ!」

('A`)「ほれブーン。俺が“うらみ・ます”聴かせてやるから。な?」

(;^ω^)「あぅ・・・あ、ありがとうだお。でも、それは今はいいお」


どうにか涙は止まったけれど、自分で自分が情けなすぎる。
本当に億万長者になったのだろうか?
何だか昨日までの僕と、まるっきり変わっていない気がしてくる。


ξ゚听)ξ「はぁ・・・本当に当たったのはわかったけど。ありえない数字ね」

( ^ω^)「僕もそれで混乱中なんだお」

ξ゚听)ξ「っていうか、アンタ。私に取られるとか思わないわけ?」

('A`)「あー、そういう話は俺らが散々した。まあ、ブーンはブーンだったって話」



56: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:45:28.94 ID:E9yqRx720
  
ξ゚听)ξ「そう。まぁ、何となくわかるからいいわよ。で、こんな金額どうするつもり?」

(´・ω・`)「そのあたりの話も、さっきから3人で色々考えてみたけど、決まらないんだよね」

ξ゚听)ξ「ホント駄目な連中ね」


( ^ω^)「そうだ、ツンは何かいい使い方とか思いつかないかお?」

ξ;゚听)ξ「わ、私?とりあえずマイキーDVD買い占め・・・いや、ワンオフ物を製作させるとか?」

('A`)「はいはい。お前も人の事いえねぇな」

(´・ω・`)「うん。そんなわけで、話は換金してからって事に落ち着いたんだよね」


3人で、ツンにここまでの話を説明しながら、また色々と考えてみる。
僕の今の状況だと・・・430億円まで3万年って聞いたかな?
有名どころで中国三千年の歴史とか・・・よく聞くけどあれの更に10倍?

少々卑屈な考えだけれど、僕の一生分の価値なんか一気に突き抜けてる。
これじゃあ何でも出来るといっても、今ひとつ事態が把握できなくて当然だろう。

少し、発想を変えてみる。
やりすぎると駄目になるから気をつけろと言われたけど、以前ドクオに受けたアドバイスを思い出す。



57: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:46:20.02 ID:E9yqRx720
  
こんな感じだったかな、“俺らは色んな意味でとにかく弱い?”
続きは何だっただろう?

“だが基本的には世の中は生ぬるい優しさで出来ている?”
僕はこの話のこのあたりで、全然優しく何かないって反応した記憶があるけど・・・。

そうだ、その後ドクオがこう言った“困ったときには弱さを自覚して武器にしろ”
これをやってみよう。


困っている・・・というのとは、ちょっと違う気がするけど。
とりあえず駄目人間だから、やりたい事も思いつかないっていうのは、やりすぎなくらい自覚してる。
やりたい事も思いつかないのを自覚・・・ああ、そうか。


やりたい事じゃなくて、今まで駄目人間だったから出来なかった事を考えよう。


好きな漫画の主人公みたいに、強くて頭がよくて格好よくて・・・みたいなのは、まあ無理だろう。
ああいうのは、金と関係ない世界だし。
ちょっと考え方はキモイ気がするけど、金があろうとあまり関係ない事も結構あると把握。

よし、次。

世の中妥協が大切だ byドクオ
今は話も一段落し、入れなおした“うらみ・ます”を熱唱している彼だけど、僕の中でひそかに大活躍だ。



58: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:47:08.97 ID:E9yqRx720
  
出来なかった事なら、なにせ駄目人間だし、細かいのを入れれば山ほど出てくるけれど。
それらを整理して、金で何とかなる事から優先順位の高いものを選択。
あった、金も無いしっていう理由で言えなかった事。


(*'A`)「うぃー、すっきりした」

ξ゚听)ξ「ネガティブソングを笑顔で歌う奴とかキモイわよね」

(#'A`)「うるせぇな!あー、そういやお前、ブーンに本当だったら何でもするとか言ったんだって?」

ξ;゚听)ξ「記憶にないわよっ」

(´・ω・`)「うん?次は僕かな・・・」

(;^ω^)「ちょ、ちょっと重要な事を思い出した件!」


ああ、僕は間違いなく駄目人間だろう。
今でさえかなり緊張しているし、時間を置いたらまた別の理由を作って、言えなくなるに決まってる。


(´・ω・`)「うん。どうしたんだい?」

(;^ω^)「ツ、ツン、お願いがあるお!」

ξ;゚听)ξ「はぁ・・・まぁ、仕方ないわ。あまり無茶はやめてよね」



59: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:47:51.72 ID:E9yqRx720
  
(;^ω^)「ぼ、僕と付き合って欲しいお!」

ξ゚听)ξ「ハァ?こうして付き合ってるじゃない?」


こんなところで天然の反応なのだろうか?
ここで中途半端に退いたら、きっとぐだぐだになると思う、たぶん。
やり始めたらならとことんやれって、何かの漫画に書いてあった気もする。


(;^ω^)「だ、だ、だったら、結婚して欲しいお!」

ξ*゚听)ξ「ちょ、ちょっとアンタいきなりっ!」


('A`)「あー、お前・・・」

(´・ω・`)「ドクオ。今は僕達が口を出すところじゃないよね」

('A`)「んー、そうだな」


(;^ω^)「僕は、い、いきなりってわけじゃないお!」

ξ*゚听)ξ「ほ、本気で言ってるの?アンタ430億円とか意味本当にわかってる?」



60: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:48:39.18 ID:E9yqRx720
  
(;^ω^)「それは2人に散々言われて把握してるつもりだお!」


本当に散々言われている。
事態が把握しきれないほどの金額だって事くらいわかっている。
それでも、みんなの話を聞いて出てきたどれよりも・・・今はこれだ。
というかまた、これがかなわないくらいなら、430億円なんて大したことないような気もしてきた。


沈黙が長い。
ショボンが入れたEVAのオープニングが終わりに近づいてる。
・・・この人はこれ、歌えるのだろうか?ああ、いや、今はそれどころじゃない。


(;^ω^)「ツ、ツン?」

ξ゚听)ξ「もう一度聞くわよ?本当にわかってる?」

( ^ω^)「把握してるお!」


今度ははっきり断言した。
キョどらなかった自分に少し驚いてる。



61: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:49:23.90 ID:E9yqRx720
  
ξ゚听)ξ「そう。じゃあ、それ頂戴とは言わない。この場で燃やしたら考えてあげる」


え?それでオッケーなのか?
簡単なことじゃないか。
テーブルの上、目の前にはドクオのライターが置きっぱなし。
実に簡単だと思う。

ドクオにわざわざ断る事も無いだろう、ライターを手にとって火をつける。
一発でついた。
うん、実に簡単だ。

後はこの紙切れをこうして・・・


ツンにいきなり手をはね退けられた。
なんでツンが邪魔をするのだろう?

それに・・・気がつけば僕、ショボンとドクオに押さえつけられてるし。


ξ#゚听)ξ「ば、馬鹿じゃ、いや、狂っちゃったわけ!」

('A`)「あー、ツン。今の見てたら断言はできねぇけど。俺ら普段、結構ガチな連中も相手にしてる」

(´・ω・`)「うん。そんなわけで、素人判断だけど彼は狂ってるわけじゃない」



63: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:50:11.13 ID:E9yqRx720
  
(;^ω^)「ちょ、何だお?」

ξ*゚听)ξ「・・・話はわかったわ。今の事は謝っとく。ゴメン。・・・じゃあ・・・また」

('A`)「オーケー。この馬鹿には俺らがもっと言い聞かせとく」

(´・ω・`)「うん。済まない。少し彼の事を甘く見てたよ」

(;^ω^)「え、な、何だお?ちょっと待つお!」


2人が僕を放したのは、ツンが出て行ってからだいぶたってからだった。
今から追いかけても追いつかないだろう。
それにこの2人が、行かせてくれそうな雰囲気じゃない。


(´・ω・`)「少しは落ち着いたかい?」

('A`)「・・・まあ、何だ。お前も唐突すぎるけど、奴もひねくれすぎだな」

(;ω;)「・・・人生オワタだお」

('A`)「バーカ。ホントわかってねぇな。泣くな泣くな、煩わしい」

(´・ω・`)「うん。否定されたわけじゃ・・・いや、肯定的だったよ?」

(´ω`)「・・・そんな餌には釣られないお」



64: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:51:08.88 ID:E9yqRx720
  
('A`)「だー、いや、ホントだって。誓ってもいい」

(´ω`)「ドクオ、前にそんな事いって、僕にくそみそ写真のアドレス踏ませたお」

(´・ω・`)「じゃあ、僕も誓っていいよ」

(;^ω^)「え?マスターもかお?マジかお?」

('A`)「・・・あー、俺、もう1曲ネガティブソング入れていい?」

(´・ω・`)「まあまあ。ああ、後、順番的に次は僕だね」


どういう事だろう?
2人が気休めの嘘とかをついてるわけじゃない、それはなんとなくわかる。


( ^ω^)「そこのところkwsk」

('A`)「あー、それこそわかりゃしねぇよ。まあ、アレだ」

(;^ω^)「ちょwwwアレじゃわからないお!」

('A`)「算数とか公式知ってりゃ、理屈わからなくても問題解けたりするだろ?そんな感じ」

(´・ω・`)「うん。数学って言ったほうが洒落てるけどね」



65: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:51:51.32 ID:E9yqRx720
  
('A`)「いや、今のわざとよ?ホントよ?これがセンスって奴よ?」


ドクオの例えは何となくわかるけど、結局のところ僕はその公式にあたる部分がわからない。


( ^ω^)「よくわからないけど、オッケーだったって事かお?」

(´・ω・`)「さて、お嬢さんもあのとおりの性格だし、君は君でやりすぎなところがあるしね」

(;^ω^)「あ、あぅ、結局どうなんだお?」

(´・ω・`)「うん。だから・・・とりあえず肯定的だったって感じかな」


やっぱり、今ひとつ把握できない。
まあ、1人で人生オワタとか思っていたけど、そういう状況じゃないらしい。
よくわからないけど、むしろ悪くはなかった?だったらとりあえず・・・いいじゃないか。


( ^ω^)「ktkr!」

('A`)「あー、あんまり楽天的すぎるのも、どうかと思うけどな」

(´・ω・`)「彼はこの先もこの調子だろうし、そのあたりは大丈夫なんじゃないかな?」



66: ◆Brsj/lcRyc :2006/06/01(木) 21:52:49.30 ID:E9yqRx720
  
その後、1時間くらいカラオケ屋で時間を潰した。

ドクオからツンのどのあたりが好きなの?とか、何ていうか返事に困る事を聞かれたりしながら。
ショボンは、明日は朝一番で手続きを済ませれるように、手順を調べておいてくれたそうだ。

2人して、今日は僕の部屋に泊まろうか?と、まだ心配なのだろう・・・そんな事を言ってくれた。
とても2人を泊められるような、広さも布団もないからさすがに断ったけど。

まあ、3人にしか言ってないのだから大丈夫だろう。
カラオケ屋を出た後、ショボンが運転してきたワゴン車に、自転車も積んでもらい家まで送ってもらった。


(´・ω・`)「明日の朝には2人で迎えに来るから」

( ^ω^)「今日は何から何までサンクスだお!」

('A`)「まあ、暇だったし。色々あって楽しかったし、別になぁ」

(´・ω・`)「うん。なかなか難しいだろうけど、今日は早めに寝ておくといいよ」

( ^ω^)「把握したお!」


部屋に戻り、習慣になってるIRCのチェック・・・ツンは離席中のネームのままだ。
今日はとりあえず、2人の言うとおり明日に備えて寝るとしよう。


第3話 完



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