( ^ω^)ブーンが任務失敗したようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:46:27.31 ID:d6qPW6Pg0
  
ザッザッザッザッガサッ
「はぁ・・ はぁッ・・・ はぁっ・・・・」
薄暗い森を走る。
木の小枝が刺さり体中に細かい裂傷が一歩、また一歩と前へ進む度に増える気が
する。
「痛いお・・でもここで止まって捕まる訳にはいかないお。」
そう呟いて彼は薄暗い森の奥に消えて行った。



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:47:40.79 ID:d6qPW6Pg0
  
長岡県ホライゾン市は人口数千人の小さな街。
三方を山に囲まれ、南側が海に面していて真夏の避暑地としてかなり好い環境である。
都会からの旅行者も多く観光と僅かな農作物、海産物で島の人間は生活していた。

('A`)「おぉーい、今日は釣りに行く約束だろ〜?」
家のブザーを鳴らし近所迷惑も考えず大声で叫ぶ。

(´・ω・`)「ごめん。あぁ、またなんだ。許して貰おうとは思わない。
とりあえず麦茶でも飲んで落ち・・」

('A`)「はいはい分かった。また遅刻かよ。ショボンの寝坊癖はホント治んねーな。」

活発そうな、だがお世辞にもイケメンとは言えなさそうなこの少年の名はドクオ。
(´・ω・`)「まぁまぁ・・そんな怒らずに。すぐ準備するからさ。」
窓からそう言うと申し訳無さそうに準備を急ぐおおらかそうな少年は
どうやらショボンと言うらしい。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:48:52.66 ID:d6qPW6Pg0
  
('A`)「そう言やぁ、昨日山の上の方でサイレンが鳴ってたよなぁ。」
('A`)ノシ「なんかあったのかねぇ。」ドクオはそう言いながら
早く釣りがしたいのか釣り竿を振っている。

(´・ω・`)「そんなの鳴ってたっけ?覚えてないなぁ」
ショボンがそう答えると
('A`)「そう言えばショボンは一回寝たら起きねーもんな。」
とドクオはつまらなさそうに皮肉を返した。
ショボンはそんなドクオを気にもせず黙々と準備を続けている。
どうやらこの二人のやりとりはいつもの事らしい。

(´・ω・`)「随分お待たせしたね。さぁ、行こうか」
('A`)「ホントだよ。さっさと行かなきゃ日が暮れちまう。」
二人は自転車に飛び乗り釣り場へと急いだ。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:49:38.47 ID:d6qPW6Pg0
  
二人がいつも釣りをしている場所はニュー速港の突堤なのだが
どうやら今日は違う場所をドクオが見つけたらしく
初めての釣り場と言うこともあり
ドクオはやたら急かしていたらしい。
('A`)「妹山にうp川ってあるだろ?あそこ前から狙ってたんだけど
流れが急過ぎて良いスポット無かったんだよな。
ところがどっこい昨日学校帰りに川沿い歩いてたら
偶然みっけたんだよ!あそこは釣れるぜぇw」

(´・ω・`)「えっ、でもあの川ってかなり足場が悪いし
大人が一緒じゃなきゃ入っちゃダメらしいよ」

とショボンが少し強ばった表情で返す。
('A`)「いいんだよッ!ったくショボンはホント根性ねーな。
それでもVIPPERかよw」
と睨み付けるように言い放った。
彼の言うVIPPERとは「長岡県立VIP高校」の生徒と
言う意味らしい。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:50:23.56 ID:d6qPW6Pg0
  
ちなみにVIP高校は周りの学校に比べると少しやんちゃな子供が多く
何かと問題も絶えない学校である。
(´・ω・`)「・・・分かったよ。いっぱい釣れるならその方が楽しいしね。」

この少年はどうやらかなりの釣り好きらしく
最近の釣果もイマイチと言うことで
ドクオの見つけたポイントへの期待はまんざらでも無い様子である。

('A`)「だろ?俺は期待は裏切らない男だからまかしとけってw
さぁ。もうそろそろ着くぜ。」とショボンに向かって笑顔で言った。

成程、これは確かに期待出来そうである。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:51:08.25 ID:d6qPW6Pg0
  
川底には大小さまざまな岩が沈み苔の付き具合もかなり良い。
今まで人間の立ち入った形跡は殆んど無く魚からしたら楽園なんだろう。

('A`)「さぁて。ここらへんでいいか。」
ドクオと呼ばれた少年はそう言うと方に引っ掛けていた釣り道具一式を
岩場へ投げ置いた。
どうやら喋り方同様、大雑把な性格らしい。
(´・ω・`)「うん。ここでいいね。準備しようか。」
ショボンと呼ばれた少年も仕掛けの準備に取り掛かる。

('A`)「なぁ、ショボン。餌は何でいく?」
(´・ω・`)「そうだね。まずは川海老でいいんじゃない?食いつき
悪かったら他のも試してみよう。」
('A`)「よしきた。」

どうやらドクオはショボンの釣りの腕は認めているらしく素直に指示に従う。

二人とも準備が終わりポイント探しの為に二手に分かれて水面から飛び出た岩と岩を飛び跳ねる。
('A`)「俺はここだな!よっしショボン。今から勝負だぜ!」
ドクオがショボンにそう叫んでまず第一投を投げ入れる。
狙った所にピンポイントにチャポンと落ちた。彼の腕もなかなかの物である。

(´・ω・`)「ちょ・・・せこいなぁ。まぁいいや。おk。」
そう言うとショボンも第一投を投げる。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:52:26.42 ID:d6qPW6Pg0
  
このショボンと言う少年。三度のメシより釣りが好きと言うことで釣りにおいてはかなりの自信があった。
今まで釣りに出かけると坊主で帰る事も殆んど無く彼の家の夕食は釣りに行った日は
魚メインの様々な料理が並ぶほどである。
今日もこの様子だと大漁に釣って帰るだろう。

(´・ω・`)「ふぅ。ちょくちょく餌は喰ってるね。大物がいる予感。」
ショボンがそう言って餌を付け直しながらドクオをチラッと見る。

('A`)「くっそ。全然喰わねーじゃねーか。」
ドクオはブツブツ呟きながら竿を振っている。
やはりかなりの短気者らしく開始5分ですでに投げやりな感じである。

(´・ω・`)「ドクオ。もうちょっと仕掛けを深めにした方がいいよ。
ここの川は意外と深いみたいだし。」
('A`)「そうか!さすがショボンちゃんwよっし!仕掛け深くしてみっか。」

そう言うとドクオは仕掛け手繰り寄せて作り直す。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:55:01.25 ID:d6qPW6Pg0
  
釣り始めから数十分が経ちショボンのバケツには良い形の川魚が数匹入っていた。
(´・ω・`)「本当に良いスポットだなぁ。毎週でも来たいよ♪」
ショボンはこの釣り場がかなり気に入ったらしく黙々と竿を振る。

一方ドクオを見るとかなり苛立っているのが分かる。
('A`#)「全然釣れねーじゃねぇか!!何が仕掛けだよ。ショボンのせいで
釣れなくなったんじゃねーのか!?」
とドクオは無茶苦茶な事を言いながら雑に竿を振るが一向に釣れる気配は無い。
(´・ω・`)「僕は嘘はついてないよ。ここは深めの仕掛けの方が・・・」
ショボンがそう言い掛けた時、対岸の草葉がガサガサと激しく揺れた。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:55:46.54 ID:d6qPW6Pg0
  
('A`)「今明らかに向こうで何か動いたよな?俺見てくるわ!」
ドクオはもう釣りに来た事など忘れて川沿いの探検に夢中なようだ。
(´・ω・`)「ちょ・・・クマーや狼かもしれないよ。危ないって。」
ショボンがドクオを止めるがドクオは聞く耳を持たない。

ちなみにこの地方にはクマーも狼も生息していない。せいぜい狸かイタチだろう。

ドクオが対岸に渡れる場所を探していると少し上流に大きな丸太が一本、川に掛かってあるのを見つけた。
('A`)「自然に倒れたにしちゃ不自然だなぁ。」そう呟きながら丸太の上を猿の様に
するすると渡っていく。運動神経はかなり良いらしい。

(´・ω・`)「僕はここで釣りするから。すぐ帰って来るんだよ。」
ショボンはドクオにそう叫ぶとまた竿を黙々と振り続けた。
釣りが絡むと友人そっちのけのようである。

('A`)「へいへい。分かりましたって。」
ショボンの言葉を聞き流すとドクオは対岸に辿り着いた。
('A`)「さっきの草葉は、っと・・・あそこらへんか」
ドクオが木々の間をすり抜けて先程音がした所へ近づく。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:56:32.15 ID:d6qPW6Pg0
  
ドクオが先程音がした場所に近づいた瞬間、

ガサッ!

と大きな音がした。
流石のドクオもこれには少し驚いたのか足が一瞬止まる。

('A`;)「こりゃ・・・狸やらイタチじゃないかもな。」

ドクオがそう思った瞬間、人の声がした。
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
呻く様な声である。これを聞きドクオは一気にその草むらへ飛び込む。

そこにいたのは黒い作業着というか・・・そう、映画に出てくるような特殊部隊が
着るような格好をした同い年くらいの少年が仰向けに倒れていた。
('A`)「おい!大丈夫か!?怪我でもしてんのか??」
ドクオが少年に駆け寄り辺りや体を見回す。
目立った傷やアザは無いものの、細かい擦り傷が多い。服の汚れ具合を見ても
かなり長い間森に居たのだろう。そこら中泥だらけである。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:57:17.38 ID:d6qPW6Pg0
  
('A`)「おーい!!ショボン!!お前もこっち来て手伝え!」
ドクオがショボンに向かって大声で叫ぶ。

ショボンがびっくりしてドクオの声がした方に叫ぶ。
(´・ω・`)「どうしたのさ。なんかあったの?」
('A`)「怪我人がいる。」

その一言でショボンも慌ててさっきドクオが渡った丸太に走った。

(;´・ω・`)「この人は・・・どうしたの?変な服装だし、釣り人じゃ無さそうだけど・・・」
ショボンが少し心配そうに怪我をしている少年を見つめる。

('A`;)「俺もよく分からないんだけど取り敢えず怪我の手当てしてやらなきゃ・・・」

二人が困惑してると少年の目が少し開いた。

(メ´ω`)「ここは・・・どこだお。」
呟くように呻いた瞬間少年の目がはっきり開いた。
(メ`ω´)「君らは誰だお!?何故ここに居る!」
少年はそう叫んだかと思うとドクオに足払いをかけてマウントポジションを取る

('A`;)「お・・俺達はお前が倒れてるの見つけたから手当てしようと・・・」
(´・ω・`;)「そうだよ!だからドクオに危害を加えるのはやめて欲しい。」

二人がそう話すと少年の顔から険が取れた。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:58:02.45 ID:d6qPW6Pg0
  
(メ´ω`)\「すまなかったお。」

少年はそう言うとドクオに手を差し出す
ヽ('A`;)「ホントだぜ。」
そう言ってドクオは少年の手につかまり立ち上がった。

(´・ω・`;)「あなたは何者なんですか?なんでそんな服を着てるんですか?なんで倒れてたんですか?」
思わずショボンが質問攻めをする

(メ´ω`)「それは・・・答えられないお」
少年は少し困ったようにそう答えた。

('A`)「SATみたいでかっこいいよなぁwまぁ答えられなきゃいいや。せめて名前くらいはいいだろ?」
ドクオがそう答えると少年は少し考えた後

(メ´ω`)「僕の名前は・・・ブーンだお」
と答えた。

('A`)↓「ブーンか。俺はドクオ、んでこいつはショボン。よろしくな!」
(´・ω・`;)「しょ・・ショボンです。よろしく。」

どうやらショボンはまだ警戒しているらしい。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 22:59:22.40 ID:d6qPW6Pg0
  
(メ´ω`)「怪我は無いかお。森には・・山登りが目的で来たんだお。」
ブーンと言う少年はそう答えると辺りを見回す。
('A`)「嘘くせーけどまぁ、信じるよ。俺らとタメくらいだろうし。取り敢えず俺んち来るか?
怪我の手当てもしないとな。それに服もキタネェww」
(´・ω・`;)「い・・家に呼ぶのは・・・」

ショボンがそう言いかけるとブーンが答えた

(メ´ω`)「ここは・・・どこだお?」
('A`)「ここか?ここは長岡県ホライゾン市。んでこの川はうp川だぞ。」
ドクオがそう答えると
(メ´ω`)「結構遠くまで来たつもりだったが・・じゃあせっかくだしお世話になるお。ありがとうだお。」

そう言うとブーンは体に付いた葉っぱや小枝、泥を手で払った。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:00:07.04 ID:d6qPW6Pg0
  
ドクオとショボンが釣りの道具を片付けている間、ブーンは遠くの妹山の方角をしきりに気にしている。

('A`)「よーし。じゃ帰るか。ショボンはどうする?」
(´・ω・`)「僕は家に帰るよ。魚持って帰らなきゃいけないし・・。」
そうショボンが答えるとドクオは少し自分の釣果を思い出し不満そうに
('A`)「あー。そういや釣りに来たんだっけ・・・。」
と今更ながら悔しそうに返した。

('A`)「ブーンはチャリ無いから俺と二人乗りな。」
ドクオがそう言うと
(メ^ω^)「僕は大丈夫。山登りするくらいだから普段から鍛えてるんだお!走るお!」
と答えた。

('A`)「あっそ。じゃ行くぞー。」
(´・ω・`)「おk」

そう言って3人はホライゾン市内へ向かって走り出した。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:02:05.69 ID:d6qPW6Pg0
  
ドクオが家に着く頃にはもう7時を回っていた。

ガラガラッ
('A`)「ただいまー。カーチャン、友達連れてきたぜ。」
ドクオが大声で叫ぶ。
J( 'ー`)し「あんた声でかいわよ!ご近所さんに迷惑じゃないのさ!」
このドクオのお母さんの声も相当でかい。

ブーンが玄関から挨拶をする
(メ^ω^)「どうもだお。夜分に申し訳ないですお。」
するとさっきとは打って変わって優しい声で

J( 'ー`)し「あらあら。お友達ね。こんばんわ、ゆっくりしていって頂戴ね。」
と笑顔で言う。ドクオがおせっかいで声がでかいのはお母さん譲りなんだろう。

(メ^ω^)「ありがとうございますですお。」
('A`)「よっし!じゃあブーンも俺の部屋来いよ!」
そう言ってドクオは階段を駆け上がる

J( 'ー`)し「あら、ブーン君?だっけ。お洋服汚れてるじゃない。洗っててあげるわ。」
( ;^ω^)「それは悪いお・・・」
そう答えると
J( 'ー`)し「子供が遠慮してるんじゃないわよ。さぁさぁ、一人分洗うも二人分洗うも同じなんだから!」
そう言ってブーンの上着を受け取ると洗濯機に放り込んだ。

('A`)「おーい!ブーン。さっさと来いよ!」
二階からドクオが叫ぶ
(メ^ω^)「分かったお。」

そう答えるとブーンも二階へと階段を駆け上がった



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