( ^ω^)ブーンが任務失敗したようです

43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:15:56.53 ID:d6qPW6Pg0
  
ザアアアアアアアアアアッ

雨が酷い

傷薬を塗ったと言うのに雨のせいで全く意味が無くなってしまった
( ^ω^)「寒いお」

今までにこんな事は何度もあった。野営の時、訓練の時、任務の時。
ただ何故か今まで以上に辛く感じた。

雨で足場が悪い。ブーンは妹山の麓まで辿り着いていた。
( ^ω^)「もうしくじる訳にはいかないんだお。ドクオやショボン、この町の人達の為にも・・」
そう言うとブーンは暗く、冷たい山の奥深くに走って行った。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:16:49.26 ID:d6qPW6Pg0
  
ショボンがドクオの家に着いたのはそれから大分経ってからだった

(´・ω・`)「そっか。でも出て行ったって事はやっぱり・・・」
ショボンがそう言いかけると
('A`#)「そんなの関係ねーよ!アイツは俺たちの為に出て行ったんだぜ?」
ドクオが熱くなる。ドクオの中でもうブーンは大切な友達なのだろう。
(´・ω・`)「そんな事言ってももう出て行っちゃったならしょうがないじゃない。手がかりも無いんだし・・・」
('A`)「そりゃそうだけどよ・・・」
不満そうにドクオが答える。
(´・ω・`)「もうこの話は終わりにしようよ。」
('A`)「・・・」
ドクオはどうにかしたい、でもどうすればいいか分からない。そんな顔をしていた。

その時一階からお母さんの声がした

J( 'ー`)し「ドクオー。ブーン君上着忘れていったみたいだから明日返してあげてねー。」
('A`)「!!」
慌ててドクオが階段を駆け下りる。
これは大きな手がかりになるかもしれない。

('A`)「待ってろよ、ブーン・・・」

ドクオはカーチャンから上着を受け取ると大急ぎで二階に駆け戻った



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:19:19.47 ID:d6qPW6Pg0
  
妹山の研究施設は公には国の自然保護、観察の為の施設と銘打っている。

が現実には全く違う目的で施設が運営されているらしい。

ブーンの任務は施設の破壊と研究内容の破棄。施設責任者の拘束、最悪の場合口封じである。

内容は教えてもらえなかったがこの研究はホライゾン市住民の命を奪う可能性が高いと聞いた。

それ以上のことはブーンにも知らされていない。



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:22:57.53 ID:d6qPW6Pg0
  
その頃ブーンは妹山の中腹まで来ていた

( ^ω^)「前に来た時はこの辺りから警備が厳重になってたお。もうミスはしないお。」
雨は容赦なくブーンの体を打つ。小さな擦り傷とは言え雨が沁み、
全身に鉄条網を巻きつけられた様な痛みが全身を襲う。
ブーンがふと立ち止まり濡れた地面に手を当てる。
( ^ω^)「確か・・・ここらへんだお。」

ブーンが地面の泥を手で掘り進むとビニールに包まれた金属が
顔を出した。
最初の任務の際に回収しきれなかった装備を埋めて隠していたのである。

分解された銃を黙々と組み立てる。
( ^ω^)「ふぅ・・あと少しだお」
ブーンには親は居なかった。兄弟も。友達さえも作れる環境では無かった。
物心つく前から戦闘、潜入の訓練を受けさせられていたからだ。
いかに人より勝るか、足音を消し気配も殺し誰にも気が付かれない様に任務を遂行出来るか、
見つかれば相手を傷つけるのも仕方が無い。
もし自分が失敗しても組織から来た別の人間が任務を遂行する。

それがブーンの存在意義だった。それが世界の全てだと思っていたし教え込まれていた

世の中には正義も悪も無くただ心を殺す日々。



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:28:31.09 ID:d6qPW6Pg0
  
でも今は違う

自分の任務の成功には自分以外の誰かの人生が懸かっている事を知った。
人間同士は出会ってすぐでも仲良くなれる、優しくなれるんだってドクオ達が教えてくれた。

明るく少し乱暴だけど友達思いのドクオ、ちょっと心配性な感じだけどそれも友達を心配しての事。優しいショボン。
見ず知らずの他人の自分を受け入れてくれたドクオの一家。
「もしこの人達に危害が加わるのなら必ずこの施設を破壊する。任務を遂行する。」

僕にも生きる理由が出来た

そう思えば思うほど今まで以上にブーンの動きが精錬されていく。 傷の痛みも我慢できる。

ブーンは暗視カメラに気を付けながら研究施設が見える位置に着いた。
( ^ω^)「前より警備が厳重になってるお・・・まぁ、当然か。」
前もって頭に叩き込んである地図を思い出す。

( ^ω^)「・・・」
ブーンが考え込んでいると100m程先に恐らく車だろう、明るいライトが2つ動いている。
( ^ω^)「搬入用トラックか・・・使えるかもだお」

ブーンは雨の音に紛れて飛び出すようにトラックへ向かった



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:31:41.54 ID:d6qPW6Pg0
  
先程より雨が酷く降りしきっている。さっきまでは小雨だったが今はもうバケツをひっくり返したような雨だ。
その雨が撃つ窓を眺めながら二人の男がコーヒーを飲んでいた。
部屋中にコーヒーの香りが充満する。

( ゚∀゚)「しかしアレだよなぁ。さっさとこんな田舎から都会勤務へ戻りたいぜ。」
白衣を着た上司らしい男が話す。二人とも30代前半くらいだろうか。
( ,,゚Д゚)「ですよね。いくらここが研究にもってこいの土地とは言え何も無さすぎますね。都心に戻りたいですよ。」
もう一人の男が相槌を打つ。
二人はしばし談笑しながらコーヒーを飲み干した。

( ゚∀゚)「さて、そろそろ実験室に戻るか。」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:34:26.38 ID:d6qPW6Pg0
  
上司と思われる男の一言に反応して、もう一人の男も立ち上がると同時に思い出したように口を開く。

( ,,゚Д゚)「そうですね。あ、そう言えばこの前の侵入犯どうなったんですか?」
( ゚∀゚)「例の彼か。まだ捕まっていないようだよ。だけどそこまで気にする事ではないよ。」
男は涼しげな顔で話す。
それ程警備に自信があるんだろうか?全くブーンの事など気にも留めていない感じだ。

( ゚∀゚)「さぁ、休憩終わり終わり。戻るぞ。」
男がそう急かすとドアを開け二人の研究者らしき男達は談話室からそそくさと出て行った。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:35:20.73 ID:d6qPW6Pg0
  
その頃ドクオ達は二人で頭をひねっていた。
('A`)「なぁ、これどうやって使うんだ?」
(´・ω・`)「どうって・・・。僕にも分かるわけないよ。」
ショボンが困った顔で返す。

ブーンの残していった上着を二人で調べた結果色々な事が分かってきた。
まずこの服は物凄い強度で作られていると言う事。
少々の事ではまずこの布は貫通しないだろう。恐らくナイフの刃さえも・・・
(´・ω・`)「これはもしかしたらナイフとかの刃物との戦闘を想定して作ってるのかもしれないね。」
ショボンは自分で言って少しビビっている。
それはそうだ。普通に暮らしている高校生にはナイフで刺される事などまず想像出来ない。

('A`)「そうかもな。そういやアイツ喧嘩もかなり強いぜ。だってこの俺が一瞬で馬乗りだもんな。」
ドクオが納得したように話す。この少年、喧嘩にはかなり自信があるようだ。
この喧嘩っ早そうな性格じゃ喧嘩になることもしょっちゅうなのかもしれない。

二人が頭を捻ったのは右の胸ポケットに入っていた小さな機械である。
携帯ほどのサイズだけど数字のボタンなどないし、画面はあるけど真っ暗だ。

('A`)「雨に濡れて壊れちまったのかねぇ?」
ドクオはそう言いながら乱暴に振り回す。
(´・ω・`)「ちょ・・・。家のリモコンじゃないんだから。壊れちゃうよ。」
ショボンが思わずドクオを止める。
('A`)「じゃあお前動かしてみろよ。」
ドクオがショボンに向かって軽く投げる。
(´・ω・`)「もう、乱暴だなぁ。」
そう言うと機械を凝視しつつ黙り込んだ



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:38:07.23 ID:d6qPW6Pg0
  
ショボンは考えていた。

彼がもし特殊な訓練を受けた兵士だとして雨に濡れたくらいで壊れるような機械を果たして使うだろうか?
テレビや映画で見るそういうスパイなんかは大抵雨に濡れたり海に潜ったり平気でしている。
ショボンの中で「洗濯とか雨や少々の衝撃くらいで壊れるはずがない。」と言う考えが強かった。

(´・ω・`)「どこかにロックがかかってる・・かな」
ショボンが機械をいじくりまわす。
('A`)「おっ!なんかいけそうじゃねぇか。さっすがショボン!」
ドクオが尊敬の眼差しで見る。
このショボンと言う少年、けして機械に強いという訳ではない。だがドクオよりかは幾分マシなようである。
(´・ω・`)「わからないけどね。ただ少々じゃ壊れたりしないとは思うよ。」
そう言いながらもショボンは何か怪しい所は無いかと目を丸くして見ながら手探りで探していた



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:39:16.72 ID:d6qPW6Pg0
  
「ただいまぁ。勉強はかどらなくって帰って来ちゃった。」

玄関から可愛らしい大きな声がドクオの部屋まで響く。

J( 'ー`)し「あらあら。おかえりなさい。あんまり夜遅くに出歩いちゃだめじゃない。」
ドクオの母が玄関で出迎える。
ξ('A`)ξ「はいはい。ただいま帰りました!あれ、おにーちゃんの友達来てる?」
どうやらこの少女がドクオの妹のようだ。ドクオは似てないと言っていたが良く似ている。
そう言うと少女は二階に駆け上がる



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:42:49.56 ID:d6qPW6Pg0
  
ξ('A`)ξ「こんばんわ〜!」

そう言うとドクミは勢い良くドアを開けた
(´・ω・`)「やぁ。こんばんわ。」
ξ('A`)ξ「ショボンさんお久しぶり!元気だった?」
ショボンが話しかける。二人は顔見知りらしい。まぁ子供の頃からドクオと一緒にいるんだから当然か。

(´・ω・`)「うん。まぁまぁだね。ドクミちゃんはどう?」
二人がしばし談笑しているとドクオがその話を遮る。

('A`)「何しに来たんだよドクミ!お前今日泊まりじゃなかったのかよ。勉強出来ないから諦めたのか〜?」
ドクオがそう皮肉交じりに言うと
ξ('A`)ξ「他の子の勉強まで見るのめんどいじゃん。皆私にすぐ聞いてくるから勉強になんなくってさぁ。」
そう言うと鞄から取り出した天然水のペットボトルを開けて喉を潤した。
ドクミはドクオと違いかなり頭の出来は良いようだ。

('A`)「へっ。あぁそうかい。ショボン、こんな奴ほっとこうぜ! 俺達にはしなきゃなんない事があるんだもんな!」
ドクオがバツの悪そうな顔でショボンに話しかける。
(´・ω・`)「そうだね。っと、ドクミちゃんって機械に詳しいかい?」
ショボンがドクミに掌の機械を見せる

('A`)「ショボン!こいつに分かるわけねーだろ?」
ドクオが思わずショボンを制止しようとするがそれより早くドクミが食いついてきた。
ξ('A`)ξ「へぇ。何これ?新しいゲーム?」

ドクミが興味津々でショボンから機械を受け取る
(´・ω・`)「ゲームじゃないんだけどね。これの電源かロック見つけられないかな?」
ξ('A`)ξ「うーん。出来ない事は無いかも。ちょっと待ってて。」
ドクミはそう言うと自分の部屋に走った



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:44:29.19 ID:d6qPW6Pg0
  
ドクミの部屋にはパソコンがある。毎年少しづつお金を貯めて自分で買った。
元々裕福とは言えないドクオ家だったがドクオ、ドクミが本当に望む事はやらせて貰って来た。
だからドクオもドクミも母には感謝している。

ξ('A`)ξ「ネットで似たような機械について調べれば分かるかも・・・」
そう言いながらドクミはパソコンの電源を立ち上げた。
(´・ω・`)「パソコンかぁ。良いアイデアだね。」
ショボンが感心したようにドクミを見る
('A`)「そ・・そうだけどよ。ドクミが凄いって言うかありゃパソコンが凄いんだろ。まぁ、期待しようぜ」
ドクオはかなり悔しそうにしていたがドクミなら分かるかも・・・と内心思っているようだ。

ξ('A`)ξ「あった。でもちょっと違うなぁ。」
ドクミがマウスを思わず止める

('A`)「どれだよ!どれ??」
ドクオが思わずパソコンの画面にかじりつく
ξ('A`)ξ「もう!うっとおしいなぁ。これだって。」
ドクミが指差した機械は無線機器の説明やら詳しい解説が載っているHPだった



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:45:28.84 ID:d6qPW6Pg0
  
(´・ω・`)「んー。確かにちょっと違うなぁ。」
ショボンも思わず身を乗り出す
ξ('A`)ξ「そうなんだよねぇ。なんだかちょっと違う。」
ドクミとショボンは納得がいってないようだがドクオにはその違いがイマイチ分からない。
('A`)「同じじゃねーの?俺には一緒に見えるぜ。」
ドクオが真顔で言うとショボンとドクミは溜息を吐いた

そもそもこのドクオと言う少年、かなりの機械オンチなのである。
テレビも洗濯機もクーラーも同じモーターみたいなのが動いてて分解したら中には同じ機械が詰まってると思っている。
そんなドクオの意見はショボンもドクミもアテにはしていなかった。



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:47:58.32 ID:d6qPW6Pg0
  
ξ('A`)ξ「どうやって使うのかしら。」
違うと分かりつつもドクミはそのHPを見て回る。
このHPに載っている製品には大体側面にスイッチがあるようだ。
しかしこのブーンの残していった無線機らしい機械にはスイッチのような物は見当たらない。
(´・ω・`)「だめ・・かぁ。」
ショボンは思わず肩を落とす。
ξ('A`)ξ「ダメっぽいね。ごめんね。力になれなくて・・・」
そもそもこの少女には何も関係無かった筈だが・・・本当に残念そうに謝る

('A`)「くそッ、だめか。ってかさー。この右上の絵は何なんだ?」
ドクオが画面の右上を指さす。そこには一般に広告サイトと呼ばれるリンク先が貼ってあった。
ξ('A`)ξ「それはねぇ。他のサイトの人がウチのサイトにも人を呼んでください、って理由で
載せさせてもらってるの!要するに新聞の広告みたいなものね。」
とドクミが自慢げに説明する。
普段あまり自分に質問しない兄が自分を頼りにしてくれているのが嬉しいのだろう。

('A`)「へぇ。でもさ、この広告?だっけ。ミリタリーとかウェポンとか書いてあるって事は
軍事系の広告なんだろ?もしかしたらここにヒントがあるかもしれないぜ。ブーンはきっと傭兵か何かだろ?」

ドクオが何気なく言った。



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:50:23.45 ID:d6qPW6Pg0
  
もう夜の11時半をまわっていた。外は雨と風がさっきより酷くなっていて
窓がしきりにガタガタと揺れている。山や川などはかなり足場も悪くなって歩けたものじゃないだろう。
ドクオの中でブーンが今何所にいるかふとよぎった。

('A`)「山・・・アイツもしかしてまた妹山に行ったんじゃないか?!」
ドクオが思わず飛び跳ねる。
(´・ω・`)「そうかもしれない。あの最初に会ったときやけに妹山の方を気にしてたし。」
ショボンはあの時のブーンの視線を見逃さなかった。
('A`)「俺達が会ったのがうp川の下流らへんだろ・・。で、『そんなに遠くまで来てなかった』みたいな事言ってたから・・・」
ドクオが必死に頭の中で思い出しながら計算しているようだ。
(´・ω・`)「やっぱりあの山の上の施設か・・・もしかしたらその向こうに秘密の研究所でもあるのかもね。」
ショボンが答える。
ドクミは突然の話の展開についていけて無いようだ。
ξ('A`)ξ「ちょ・・ちょっと!私はもう良いの?」
ドクミが不満そうに話す。
('A`)「あぁ・・サンキュな!助かった!俺ちょっと出るわ!」
ドクオは今すぐにでも走って行きそうな勢いだ。
(´・ω・`)「今すぐ行くのかい?雨と風が酷いけど・・・しょうがないね。」
ショボンも準備をしようとしたがその時ドクミが言った。
ξ('A`)ξ「さっきの軍事系のHPなんだけどどうやら個人のサイトみたいなのよね。
メルアドもばっちり載ってるしこの機械の画像をデジカメで撮って送れば何か教えてもらえるかも。」
ドクミがそう言うと
('A`)「やるじゃねぇかドクミwじゃショボンと残ってその機械について調べてくれ。 俺は頭使うより体使う方が得意だからな、任せとけって!」
そう言うとドクオは自分の部屋から雨合羽を取り出し羽織る。
('A`)「携帯は持っていくからなんかあったら連絡ヨロシク!」
そう言うとドクオはいつも夜釣りで使う大型ライトを片手に階段を駆け下りて行った。



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