( ^ω^)ブーンが任務失敗したようです

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:54:49.81 ID:d6qPW6Pg0
  
ザァァァァッァァ
( ,'3 )「雨嫌いなんだよなぁ。運転しにくいし。」
真っ暗闇の中、ヘッドライトだけを頼りに大型のトラックを巧く操る。
雨の森、さらに舗装もまともにされて無く街燈も無い。運転する側にとっては
最悪の条件だろう。

( ,'3 )「そろそろ研究所につくなぁ。」

その時だった
フロントガラスいっぱいに泥のような物が飛んできて広がり視界が一瞬遮られた

( ,'3 )「うわッ!!!!」
思わず急ブレーキを踏み車を止める。
( ,'3 )「雨で泥が跳ねたか?」
そう言ってドアを開け外に出ようとした時だった。


( ^ω^)「動くな」

運転手の首筋に雨で濡れた冷たい金属が触れる
( ,'3 )「うわ・・っ!なんだおm」
( ^ω^)「喋っても殺す、目を合わせても殺す、黙って言う事を聞けば危害は加えない」
そう言うと手に握ったナイフに力が入る

運転手にもそれが伝わったのか打って変わって大人しくなった。
( ^ω^)「良い子だお。僕を乗せたまま施設に走るんだお。」
そう言うとブーンは助手席に潜り込んだ。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:57:08.47 ID:d6qPW6Pg0
  
ドクオが妹山への道を自転車で走る。数時間前に通った道だ。
('A`)「うわぁ、くっそ台風でも来るんじゃねーか!」
雨は収まる気配も無くドクオの顔面に打ち付ける。
流石のドクオもこの雨と風には苦労しているようでなかなか前に進まない。
('A`)「ブーンと出会った場所まで・・晴れてりゃ飛ばせば30分でいけるんだけどこの雨じゃ・・・」
珍しく弱音を吐いたドクオの横をヘッドライトを付けた一台の軽自動車が通った。
その車はドクオの近くまで来た瞬間スピードを落とし、窓が開いた。

(`・ω・´)「ドクオ君?ショボンから聞いたよ。乗りなさい。」
車の窓から見えたのはショボンの叔父のシャキンだった。
(`・ω・´)「ショボンから電話があってね。友達が大変なんだろ、乗りなさい。妹山の麓まででいいね?」
そう言うと車から降りトランクを開けドクオの自転車を積み込む。

どうやらドクオが出た後すぐにショボンが電話をしてくれていたらしい。
('A`)「ありがとうな!シャキンさんが来てくれるとは思わなかったぜ!」
ドクオはそう言うと雨合羽を脱いで車の後部座席に乗り込んだ。

(`・ω・´)「いいんだ。それより大丈夫か?ショボンに聞いた限りじゃ面倒な事になってそうだが・・・」
心配そうに甥の友達を見つめながら話す。
('A`) 「大丈夫だってwショボンは大袈裟だからなぁ。」

そう言ったドクオは笑顔だったが何かこみ上げる感情があるように見えた



80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/29(火) 23:59:40.82 ID:d6qPW6Pg0
  
車の窓から見る外の景色はさっきまでとは別世界のように見えた。
真っ暗な森の中を走る。舗装されているとはいえ地面の状態はそれ程良くは無いようで
シャキンはあまりスピードを出さすに安全運転をしている。

('A`)「雨・・・酷いっすね。」
(`・ω・´)「あぁ。そうだね。土砂崩れ注意の警報が出ていたから気をつけないと。」

このシャキンと言う人はショボンの叔父なのだが、幼くして父親を失ったショボンにとって
父親のような存在だった。普通の家庭で父親が教えるような事は大抵この人に教わった。
ショボンの釣り好きもシャキンに影響されての事だ。
ドクオも「話せる大人」としてシャキンを信頼していた。

('A`)「シャキンさんは妹山の施設について何か知ってますか?」
ドクオが普段とは違う真面目な顔で質問する
(`・ω・´)「いや・・・あまり詳しくはないが・・・。私が子供の頃は自然しか無かったよ。」

ドクオの欲しい答えは返って来なかった。まぁ当然と言えば当然だろう。
そんな怪しな施設が家の近くにあってそこを爆破したかもしれないスパイを探しに行く、
そんな事を知れば町が大パニックになるだろう。ただでさえ静かな町だ。



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 00:04:49.79 ID:C0xUXuWB0
  
('A`)「そうですか。」
ドクオはそれ以上質問しなかった。
コンビニは夜の12時に閉まるし大した娯楽は無い。ジャンプは毎週水曜に発売だ。
ネット通信もままならなく 休日などはもっぱら山や川、海で走り回るぐらいしかできない。
でもドクオはそんな町が大好きだった。
その町がどうにかなるかもしれない、この自然を壊されるかもしれない。
何も無い町で普段じゃありえないような映画みたいな事件が起こってる。

ドクオも普段じゃこんな事信じないし誰かが話してても笑っただろう。でも今は信じて行動している。
それはきっとブーンに出会ったからだ。ブーンが何をしようとしているかは分からない。
だけど何かが起こっているのは事実なんだ。
今ドクオの中に自分にも何か出来ないか、ブーンを心配すると同時にそう言う感情が生まれていた。
ドクオもブーンと同じ気持ちなのである。

「守りたい」
そういったことを考えてた時だった。
(`・ω・´)「着いたよ」
車が止まる。ショボンと俺が自転車を止めていた所だ。
('A`)「ありがとう。」
そう言うとドクオは雨合羽を着て外に出た。
トランクを開けてもらい自転車を取り出す。
('A`)「帰りは自転車で帰るんで・・。本当に助かりました。」
そう頭を下げて川へと降りようとしたドクオにシャキンが叫ぶ
(`・ω・´)「何かあったらすぐ呼んでくれていい。あと無茶はするなよ。ドクオ、お前は子供なんだ。」
シャキンがそう言うと

('A`)「子供にしかできねー無茶もあったりするんすよw」
そう言ってライトを片手に闇の中に消えて行った



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 00:18:09.50 ID:C0xUXuWB0
  
フロントガラスに雨粒が当たり、ワイパーがそれを払いのける

( ,'3 )「どこまで行きゃいいんだ?」
トラックの運転手が恐る恐る強張った声で話しかける
( ^ω^)「余計な事は知らなくていいお。このトラックは施設の中に物資を搬入するんだお?中まで連れてって貰うお」

ブーンはそう言うと銃倉に込められた弾を確認する

もうすぐ施設に着くだろう。入り口の守衛を誤魔化せるか?無理なら強攻突破しかない。
この運転手はどうする?殺すか?

そこでブーンに躊躇いが生じた。いつもなら口を封じる為に、証拠を消す為に殺しただろう
しかしこの人も家庭があるかもしれない。妻に子供が居てもおかしくない年齢だ

( ^ω^)「あなたは・・・ あなたには家庭がありますかお?」
思わずありえない質問をしてしまった

運転手は少し驚いた様な顔をした後口を開いた
( ,'3 )「・・・もうすぐ3人目が生まれるところだ。次女が体弱くてよ、心配の種だ」

そう言うと運転手は少し悲しそうな顔をした



102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 00:26:32.16 ID:C0xUXuWB0
  
この仕事が危ない事なのは分かっていた。日当も良く大型免許以外の資格や学歴は必要ない
運んでる先の事は一切教えては貰えなかったし何を運んでるのかも知らない

ただ子供二人と妊娠した妻を養うには少しでも給料が良い仕事をするしかない
それが危ない仕事でもいい、危なくない仕事なんて無いんだから

そう言い聞かせて今日まで仕事をしてきた

しかし今日、刃物に拳銃らしき物を持った男に襲われた
多分自分は死ぬんだろう

そう覚悟した

( ,'3 )「家族に・・・メールだけでもダメかな」
運転手が蚊の鳴くような声でブーンに話しかける

(  ω )「・・・いいお」

いつものブーンなら恫喝しただろう。だが温もりを知った今、それ位なら・・・そんな気持ちがブーンを支配していた



110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 00:37:35.09 ID:C0xUXuWB0
  
殺すのか?殺していいのか?この人にも家族がいるんじゃないのか?
ドクオの家のようなあったかい家庭があるんじゃないのか?

( ^ω^)「・・・・・・」
頭が痛い、吐き気がする。傷が疼く、熱ももってるようだ
ブーンはずっと黙り込んでいた

( ,'3 )「あんちゃんよく見ると若いね。ありがとよ。メールは済んだ。そろそろ入り口だ」
運転手はそう言うとスピードを落とした

(  ω )「・・・」
ブーンは助手席の下に潜り込んで息を潜める

守衛は2人、手にはマグライトを持っているようだ

(=゚ω゚)「はいここで制まれよー」
(゚听)「おいおい。今日はちょっと遅いじゃねぇか。何やってたんだ?」

そう言いながら近付いてくる

( ,'3 )「い・・いやぁ。この雨だろ?土砂崩れも起きててよ。通っていいかい」
そう言いながら窓から顔を出す

(=゚ω゚)「中を見てから、だ。ま、大丈夫だろうけどよ」

そう言いながらマグライトで積荷を照らす
(=゚ω゚)「後ろは問題ねーな」



115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 00:46:25.16 ID:C0xUXuWB0
  
(=゚ω゚)「前の方はどうだ?雨もヒデェしさっさとしろよ」
そう言うともう一人の守衛が運転席を照らした

(  ω )「・・・」

このままやり過ごせる可能性はかなり低い。そもそもこんな方法で入るつもりでは無かった
このトラックを奪い運転手を殺す
そして入り口付近までトラックを走らせ守衛に突っ込ませて破壊

その方がどうせバレるなら確実に中には入れる、そう思ってトラックに乗り込んだ。はずだった

迷いがこんな無茶な作戦を実行させた。馬鹿げてる。
自分でもそう思いながら祈るように息を殺して隠れる

(゚听)「異常ないな。行っていいぞ」
守衛はそう言うと道を開けようとしたその時だった

piriririririririririririrririri

運転手の携帯が鳴った



121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 00:59:17.20 ID:C0xUXuWB0
  
(゚听)「なんだ?携帯か?」
守衛が怪訝そうな顔で運転手をライトで照らす
( ,'3 )「わ・・わりぃ。娘からのメールだ」

そう言って携帯を開こうとした時、震える手から思わず携帯を落としてしまった
携帯は助手席の方に転がり落ちる
(゚听)「ここに来る時は電源切れっていつも言ってんだろうが。探してやるよ。何処だ?」
そう言って助手席の下をライトで照らして回る

ブーンは手のナイフを持ち替えた

(゚听)「な、なんか動いたな、なんだ?」
(  ω )「・・・掻い潜れるとは思って無かったお。しょうがないな」

( ^ω^)「会ったばっかりだけどさよならだお」
そう言うやいなやブーンは助手席のドアを蹴り破って外に出た

(=゚ω゚)「な・・・なんだ!何が起こった!!」

積荷を検閲していた守衛も走ってくる

(゚听)「コイツ!?前の爆破犯か!」
(=゚ω゚)「本部に連絡取れ!あと銃の使用許可も出す。殺せ!」

( ^ω^)「その前にお前らは死ぬんだお」
ブーンは右手に握ったナイフを強く握り締めた



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 01:09:01.49 ID:C0xUXuWB0
  
( ,'3 )「お・・俺はどうすりゃいいんだ・・」


ブーンはぬかるんだ地面を左足で思い切り蹴った

左手で牽制しながら右足で回し蹴りを繰り出す
(=゚ω゚)「ぐ・・・」
あまりの速度に守衛は反応出来ず膝から崩れ落ちた
そこでブーンの右手が閃いた

膝から落ちた守衛の首を綺麗に真一文字に切裂く

雨の中に一瞬で血だまりが出来た

(゚听)「おおお前!!クソ!!死ねええぇぇぇあぁァァ!!!」
そう叫びながら肩のサブマシンガンのセーフティを解除しブーンに銃口を向ける

守衛が引き金を引くと同時にトラックに無数の穴があき水溜りの水が跳ねる

( ^ω^)「そんなんじゃ当たらないお」
そう言ってブーンはトラックの影に隠れる

(゚听)「おいクソ運転手!!テメーも仲間なんだろ!!!ぶっ殺してやるよ!!」
そう叫ぶと守衛は運転席に銃口を向けた

( ,'3 )「お・・おれはちが・・」
言い終わるより先に銃声が夜の森に鳴り響く



130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 01:18:33.81 ID:C0xUXuWB0
  
雨が痛い。服が濡れる。なんでだ?さっきまで運転席に居たはずなのに・・・

( ,'3 )「何が・・どうなって?」
混乱する運転手の右手をブーンがしっかりと握っていた

(  ω )「怪我は・・無いですかお?」

さっきの一瞬、ブーンは運転席のドアをこじ開け運転手の手を引きトラックの外に引きずり出したのだった

( ,'3 )「俺は平気だ。それよりあんちゃん大丈夫か?」
( ^ω^)「僕は大丈夫だお!そんなやわじゃないお!」

ブーンは満面の笑みで言った

(゚听)「どこだぁぁぁ!そっちか!?」
守衛は狂ったようにトラックを殴りつけた

( ^ω^)「ここは危ない。逃げるんだお」
ブーンはそう言うとポケットから小さな筒を出し運転手に渡した
( ^ω^)「これは非常用の発炎筒だお。明日日が昇ったらこれを使えば誰かしら助けてくれるお」
( ,'3 )「あ・・あんちゃんは・・」
( ^ω^)「僕には仕事が残ってるお。さ、時間は稼ぐ。行くんだ」
そう言うとブーンは運転手の背中を軽く押す



148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/30(水) 01:44:30.76 ID:C0xUXuWB0
  
( ,'3 )「な・・なぁ!」

振り返って運転手が叫ぶ

( ,'3 )「アンタ多分うちの子とそう変わらない歳だろう。死んじゃダメだぞ。絶対死んじゃダメだ」
(  ω )「僕は死なないお。だからおじさんも良いお父さんになってくれお!」

( ,'3 )「俺は中嶋、中嶋バルケンだ。困ったらうちに来いよ!じゃあな」

そう言うと中嶋は夜の森に消えて行った

( ^ω^)「ふぅ・・・やっと行ったかお。」
ブーンはそう言うと左腕を握り締める

( ^ω^)「これは流石に左手が使えそうにないな。どうするかお」
そう言った瞬間後ろから銃声が響く

( ^ω^)「まだ休めそうにないお。施設にもバレてるだろうし。らしくない事するもんじゃないお」

そう言うと一つ大きな溜息をついてブーンは立ち上がって走り出した



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